【10年連続増配】三谷商事(8066)を8指標分析

三谷商事(8066)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年8月11日

10年連続増配・建設資材からITまで手がける福井発の総合商社、8指標はオールクリア

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。ビルの建設に欠かせないセメントや生コンクリート、ガソリンなどの石油製品、そして学校や企業向けの情報システム——暮らしと産業を支える幅広い商材を、100年以上にわたり扱ってきた総合商社が福井県にあります。M&Aで事業を増やし、買収後の改善(PMI)で育てる経営が特徴です。

今回は3月と9月に配当権利が確定する連続増配株の1社、三谷商事(証券コード:8066)を私独自の8指標で分析しました。

結論から言うと、三谷商事は8指標をすべてクリアしました。10年連続の増配と改善が続く利益率、自己資本比率59.2%の財務が強みである一方、2027年3月期は減配予想である点には注意が必要です。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年8月10日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています


三谷商事とはどんな会社?

三谷商事は、福井県福井市に本社を置く総合商社です。1914年に創業し、1946年に設立されました。グループは3つのセグメントで構成されます。1つめの情報システム関連事業は、ソフトウェア開発や画像システム、ハードウェア保守などで売上の約9%。2つめの企業サプライ関連事業は、セメント・生コンクリートなどの建設資材、石油製品、ゴンドラ、スパイス加工販売、タイヤ卸売などを手がける主力で約49%。3つめの生活・地域サービス関連事業は、ケーブルテレビやガソリンスタンド、カーディーラー、介護事業などで約41%です(2026年3月期 決算短信p.3のセグメント別売上高から自算)。

会社は「付加価値を増やし持続的に成長すること」を目標に、M&Aと買収後のPMI(事業の見える化・統合・改善)を成長の柱としています。これまでに日本ビソー(ゴンドラ)、Sonha(スパイス・ベトナム)、HGPK(タイヤ・マレーシア)などを買収し、買収した事業会社の売上を伸ばしてきました(2026年3月期 決算短信p.4・p.5、決算説明資料p.10・p.13・p.14)。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証スタンダード
業種:卸売業
決算月:3月
連続増配:10年(2026年3月期時点)
現在の株価:3,085円(2026年8月10日時点)
予想配当利回り:2.85%(2027年3月期 会社予想配当88円ベース)
配当権利確定:3月・9月(中間・期末の年2回)

📌株式分割について:三谷商事は2021年10月1日付で1株→4株の株式分割を実施しています。本記事のEPSと1株あたりの配当は、分割を反映した調整後の数値で統一しています。


配当情報

三谷商事は増配を続けていて、2026年3月期で10年連続増配になりました。同期の実績は年間97円(中間44円+期末53円)で、前期の66円から31円の大幅増配です。配当は中間・期末の年2回で、権利確定は3月と9月です。いっぽう2027年3月期の会社予想は年間88円(中間42円+期末46円)と、9円の減配予想になっています。実施された場合、連続増配は10年でいったん止まる計画です(2026年3月期 決算短信p.1・p.4)。会社は中長期的な観点から安定的に配当できることを基本方針とし、将来のM&Aによる事業展開や業績の状況等を勘案して配当を決めています(同p.4)。

項目 内容
株価 3,085円(2026年8月10日時点)
予想配当利回り 2.85%(2027年3月期 会社予想配当88円ベース)
連続増配年数 10年(2026年3月期時点)
1株あたりの配当 実績97円(2026年3月期・中間44円+期末53円)/予想88円(2027年3月期・減配予想)
EPS(1株あたりの利益) 280.45円(2026年3月期 実績)
配当性向 34.6%(2026年3月期 実績)

出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年8月10日時点)、配当は決算短信p.1。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当88円に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は決算短信p.1の公表値で、年間配当97円÷EPS280.45円の自算値とも一致します。連続増配年数は配当実績ベース(2021年10月1日付株式分割の調整後)で、2016年3月期は9円で据え置き、2017年3月期に9.5円へ増配して以降、2026年3月期までを10年と数えています。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

三谷商事 1株あたりの配当の推移 10年連続増配

1株あたりの配当は、2017年3月期の9.5円から2026年3月期の97円まで増えました。毎年ならすと約29.5%ずつ増やしてきた計算で、直近2期は+11円、+31円と増配のペースが上がっています。いっぽうで2027年3月期は88円へ戻す計画で、増配が続くかは次期以降の業績しだいです(この点は後ほどくわしく説明します)。


8指標分析の結果

ここからは、三谷商事を私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 三谷商事 判定
売上高 増加傾向 2,993億円→3,390億円(会計基準変更後の2022年3月期以降)
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 101.4円→280.45円(過去10年で約2.8倍・過去最高)
営業利益率 5%以上 9.6%(直近期・実績)
自己資本比率 40%以上 59.2%(直近期・実績)
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 全期間プラス(114億〜315億円)
現金等 増加傾向 666億円→1,160億円(過去10年で約1.7倍)
1株あたりの配当 10年以上連続増配 10年連続増配
配当性向 50%以下 34.6%(直近期・実績)

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。売上高は、2022年3月期に「収益認識に関する会計基準」を適用したことで売上高が約1,449億円減少する表示上の段差が生じています(2022年3月期 決算短信p.15)。適用後ベース(2022年3月期以降)で2,993億円→3,390億円、適用前(2017〜2021年3月期)も3,613億円→3,969億円といずれも増加傾向のため✅としました。EPSと1株あたりの配当は2021年10月1日付株式分割(1→4)の調整後です。金額は億円未満を切り捨てて表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)

ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。年はいずれも3月期で、いちばん右のグレーは会社予想(2027年3月期)です。

売上高と営業利益率

売上高は、2026年3月期で3,390億円でした。グラフでは2022年3月期に大きな段差がありますが、これは「収益認識に関する会計基準」の適用により、代理人取引の売上を総額から純額へ改めたことで売上高が約1,449億円減少した、表示上の変更によるものです(2022年3月期 決算短信p.15)。適用後のベースでは2022年3月期の2,993億円から3,390億円へ増加傾向にあり、適用前の期間(2017〜2021年3月期)も増加していました。2027年3月期は売上高3,300億円(前期比▲2.7%)と、中東情勢の影響による燃料卸事業の仕入・販売量の減少などを見込みます(2026年3月期 決算短信p.1・p.4)。

営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、2017年3月期の4.6%から2026年3月期の9.6%へ高まりました。ゴンドラ事業の販売好調、建設資材事業やスパイス事業での価格転嫁、情報システム関連事業の特需などが利益を押し上げています(決算短信p.2、決算説明資料p.3)。2027年3月期の会社計画も利益率9.5%と、高い水準を保つ見通しです(決算短信p.1)。

三谷商事 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株あたりの利益)と配当性向

EPSは、2017年3月期の101.4円から2026年3月期の280.45円へ、過去10年で約2.8倍になりました。途中の下落は2020年3月期の▲15.4%が最大で、直近期が過去最高です。2026年3月期は持分法による投資利益の増加や為替差益もあり、純利益は234億円(前期比+23.3%)と大きく伸びました(決算短信p.1・p.2)。2027年3月期の予想EPSは253.75円(▲9.5%)で、当期にあった為替差益や保険金収入の反動を見込んでいます(決算短信p.1・p.4)。

配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、2017年3月期の9.4%から2026年3月期の34.6%へ、増配にともない段階的に高まってきました。2027年3月期の予想は34.7%で、30%台半ばの水準を保つ計画です(決算短信p.1)。

三谷商事 EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスで、レンジは114億〜315億円です。直近の2026年3月期は279億円と、税金等調整前当期純利益の増加により前期から24億円増えました(2026年3月期 決算短信p.3)。

現金等(手元の現金)は、2017年3月期の666億円から2026年3月期の1,160億円へ、約1.7倍に増えました。借入金を差し引いた実質現預金は1,317億円にのぼり、会社は「事業に使っている金額(投下資本781億円)を上回っており課題」と説明しています。手元資金の厚みは安心材料であるいっぽう、資本効率の面では改善の余地がある状態です(決算短信p.5)。

三谷商事 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2026年3月期で59.2%でした。基準の40%を大きく上回り、2017年3月期の52.7%から長期では高まっています。2022年3月期には約101億円の自社株買いを行うなど株主還元を強化しながらも50%台を維持し、直近は利益の積み上がりで59.2%へ上昇しました(2026年3月期 決算短信p.1、2022年3月期 決算短信p.4)。

三谷商事 自己資本比率の推移


注目ポイント

10年連続増配。直近は1年で31円の大幅増配、年平均約29.5%のペース

1株あたりの配当は2017年3月期の9.5円から2026年3月期の97円へ、年平均約29.5%のペースで増えました。とくに直近2期は55円→66円→97円と増配の勢いが増しています。配当性向は34.6%と、利益に対してまだ余裕を残した水準です(2026年3月期 決算短信p.1、決算説明資料p.12)。

営業利益率は4.6%→9.6%へ改善。EPS・純利益は過去最高を更新

商社は利益率が低くなりがちな業態ですが、三谷商事の営業利益率は10年で4.6%から9.6%へ高まりました。価格転嫁の進展やゴンドラ・情報システムなど採算のよい事業の成長が背景です。2026年3月期は純利益234億円・EPS280.45円・ROE13.2%と、収益力の指標がそろって過去最高水準でした(2026年3月期 決算短信p.1・p.2、決算説明資料p.2)。

M&Aと買収後の改善(PMI)で成長。縮小市場でもシェアを拡大

会社はM&Aで事業を取り込み、買収後のPMIで育てる成長戦略を続けています。買収したODA商社シリウスの売上は4年で約2.1倍になりました。また、国内需要が縮小するセメント・生コンクリートや燃料油では、販売強化により数量の落ち込みを需要全体より小さく抑え、シェアを広げています(決算説明資料p.8〜p.10・p.14)。

いっぽうで、来期の配当計画や業績、資本効率については確認しておきたい点があります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

確認しておきたい点が3つあります。

第一に、2027年3月期の予想配当は88円で、9円の減配予想となっている点です。実施されれば、増配の記録はここでいったん途切れることになります。次期は純利益212億円(▲9.5%)の減益予想で、予想配当性向は34.7%と直近実績(34.6%)並みの水準を保つ設計になっています。業績連動の色合いが強い配当方針のため、増配基調に戻るかは次期以降の利益しだいといえます(2026年3月期 決算短信p.1・p.4)。

第二に、2027年3月期は減収減益の計画で、主力事業の多くが国内の縮小市場に属している点です。次期は売上高3,300億円(▲2.7%)・営業利益314億円(▲3.1%)の予想です。中東情勢の影響による燃料卸の仕入・販売量の減少、スパイス事業での価格転嫁の遅れ、マレーシアのタイヤ卸売事業での競争激化などを織り込んでいます。セメント・生コンクリートや燃料油の国内需要は縮小が続いており、シェア拡大で数量を保てるかを確認したいところです(決算短信p.4、決算説明資料p.8・p.9・p.11)。

第三に、手元資金が投下資本を上回り、資本効率に課題を残している点です。実質現預金(現預金から借入金を引いた額)は1,317億円と、事業に使っている投下資本781億円を上回っており、会社自身も課題と説明しています。投下資本の年平均成長率は直近3年で+0.2%にとどまり、豊富な資金を成長投資やM&Aへ振り向けられるかが、今後の株主還元の持続力にもつながるポイントです(2026年3月期 決算短信p.5)。


まとめ

三谷商事(8066)は、2026年3月期で10年連続増配となり、8指標をすべてクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 10年連続増配。直近は31円の大幅増配で、年平均増配率は約29.5%
✅ 営業利益率は4.6%→9.6%へ改善。EPS・純利益・ROEは過去最高水準
✅ 自己資本比率59.2%・現金等1,160億円。営業CFは過去10年すべてプラス

【留意点】
・2027年3月期は88円へ9円の減配予想で、連続増配は10年でいったん止まる計画
・次期は減収減益の予想。主力の建設資材・燃料油は国内需要が縮小する成熟市場
・実質現預金1,317億円が投下資本781億円を上回り、資本効率の改善が課題

3月と9月に配当の権利が確定する銘柄です。予想配当利回りは2.85%で、財務と収益力の裏づけがある8指標オールクリアの1社ですが、来期の減配予想がどう着地するか、業績とあわせて見ていきたい銘柄です。


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※業績・配当・財務の数値は、三谷商事の2026年3月期 決算短信(2026年5月15日)、2026年3月期 決算説明資料(2026年5月15日)およびIRBANKに基づきます(通期の連結業績・配当の状況・2027年3月期予想は決算短信p.1、経営成績とセグメント別の概況は同p.2・p.3、財政状態・キャッシュ・フローは同p.3、今後の見通し・配当方針は同p.4、中長期戦略・投下資本・実質現預金は同p.5。業績サマリーは決算説明資料p.2、営業利益の増減要因は同p.3、セグメント別業績は同p.5〜p.7、建設資材・燃料油の販売数量は同p.8・p.9、PMIの取組みは同p.10、次期業績予想は同p.11、株主還元は同p.12、成長戦略・M&Aは同p.13・p.14)。2022年3月期の収益認識会計基準の適用(売上高1,449億59百万円減少)と2021年10月1日付株式分割(1→4)、同期の自己株式取得は、2022年3月期 決算短信(2022年5月18日)p.1・p.4・p.15で確認しています。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年8月10日時点)です。創業(1914年)・設立(1946年)・本社所在地は会社公式サイトで確認しています。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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