【11年連続増配】静岡ガス(9543)を8指標分析

静岡ガス(9543)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年7月29日

11年連続増配・静岡県中東部の暮らしと工場を支える都市ガス会社

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。台所のコンロやお風呂の給湯、工場の熱源。静岡県の中東部で、約36万戸のお客さまにガスを届けている会社があります。2025年12月期は減収ながら営業利益が前期比36.6%増と大きく伸び、配当方針には「累進的配当」を掲げています。

今回は6月・12月に配当権利が確定する連続増配株の1社、静岡ガス(証券コード:9543)を私独自の8指標で分析しました。

結論から言うと、静岡ガスは8指標のうち6つをクリアしました。11年連続の増配と、自己資本比率67.0%の堅い財務が特徴です。いっぽうで、EPSと営業活動によるCFの2つは基準に届きませんでした。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年7月28日時点の値です
📊 財務指標は2025年12月期(実績)の数値を使用しています


静岡ガスとはどんな会社?

静岡ガスは、静岡県中東部を地盤とする都市ガス会社です。2001年12月に東京証券取引所へ上場し、現在は東証プライムに上場しています。都市ガスの製造・供給・販売を軸に、LPG、電力・再生可能エネルギー、くらしサービス、エンジニアリングサービス、海外事業まで手がけています。2025年12月期の都市ガス販売量は1,595百万m³、お客さま数(取付メーター数)は361,987戸です(決算短信p.2)。

2025年12月期の売上構成(外部顧客への売上高)は、ガスが1,551億円で全体の約77%を占めます。ほかにLPG・その他エネルギーが298億円(約15%)、受注工事やガス機器販売などのその他が161億円(約8%)です(決算短信p.14)。

直近の動きでは、2026年1月にグループ組織再編を実施し、中間持株会社の設立や分社化・合併を経て新体制で事業を開始しました。連結子会社は35社、持分法適用会社等は8社です(決算説明資料p.13)。また2026年から2028年の中期経営計画では、2028年に経常利益133億円・ROE8.0%を目指します(同p.8)。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証プライム
業種:電気・ガス業
決算月:12月
連続増配:11年(2025年12月期時点)
株価:1,279円(2026年7月28日時点)
予想配当利回り:3.44%(2026年12月期 会社予想配当44円ベース)
配当権利確定:6月・12月(年2回)


配当情報

静岡ガスは増配を続けていて、2025年12月期で11年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2025年12月期の実績で43円(中間20.50円・期末22.50円、前期比3円の増配)です。2026年12月期の会社予想は44円(中間22.00円・期末22.00円)で、予想どおりなら12期連続の増配になります。

配当方針として、会社は「累進的配当」と「配当性向3割(目標水準)」を掲げています。株主資本配当率(DOE)は2025年実績で2.60%、2026年予想で2.57%です(決算説明資料p.24)。

項目 内容
株価 1,279円(2026年7月28日時点)
予想配当利回り 3.44%(2026年12月期 会社予想配当44円ベース)
連続増配年数 11年(2025年12月期時点)
配当性向 32.2%(2025年12月期 実績)

出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月28日時点)、配当は決算短信および決算説明資料。予想配当利回りは2026年12月期の会社予想配当44円に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2025年12月期の実績(43円÷EPS133.42円=32.2%・決算短信の公表値と一致)です。連続増配年数は、配当実績ベース(IRBANK)で2015年12月期を増配1年目として11年と数えています(2014年12月期は10円で据え置き)。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2026年12月期)です。

静岡ガス 1株あたりの配当の推移 11年連続増配

1株あたりの配当は、2016年12月期の13円から2025年12月期の43円まで増えました。毎年ならすと約14.2%ずつ増やしてきた計算です。特に2023年12月期に19円から25円へ、2024年12月期には40円へと大きく引き上げ、その後も43円と積み上げています。


8指標分析の結果

ここからは、静岡ガスを私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 静岡ガス 判定
売上高 増加傾向 1,085億円→2,012億円(過去10年で約1.9倍)
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 91.2円→133.4円(2018年12月期・2020年12月期・2024年12月期に急落)
営業利益率 5%以上 7.0%(直近期・実績)
自己資本比率 40%以上 67.0%(直近期・実績)
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 過去10年のレンジは▲69.0億〜377.5億円(うち1年がマイナス)
現金等 増加傾向 114.2億円→326.5億円(過去10年で約2.9倍)
1株あたりの配当 10年以上連続増配 11年連続増配
配当性向 50%以下 32.2%(直近期・実績)

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2025年12月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。2025年12月期は減収増益で、営業利益は前期比36.6%増でした。8指標のうち6つをクリア。EPSは2018年12月期▲34.0%・2020年12月期▲32.9%・2024年12月期▲38.5%と単年30%超の急落が3回あり「安定して増加傾向」に届かず、営業CFは2021年12月期に▲69.09億円のマイナスがありました。EPSは決算短信の公表値(2025年12月期133.42円・2024年12月期116.98円)を小数第一位に丸めて表示し(IRBANK表示は116.9円)、営業利益率も決算短信の公表値7.0%(自算6.99%)を使用しています。金額は億円未満を切り捨てて表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2016年〜2025年実績+2026年予想)

ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。年はいずれも12月期です。会社予想のある系列は、いちばん右にグレーで2026年12月期の予想を示しています。

売上高と営業利益率

売上高は、2016年12月期の1,085億円から2025年12月期の2,012億円へと、過去10年で約1.9倍に増えました。2022年12月期に1,329億円から2,073億円へ大きく伸び、その後は2,000億円台で推移しています。直近は、原料費調整制度によるガス販売単価の下方調整や電力需給調整市場での収益減などにより、前期比0.5%減となりました(決算短信p.2)。営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は過去10年で3.4〜9.4%と振れがありますが、直近は7.0%と基準の5%を上回りました。なお2026年12月期の会社予想は売上高2,011億円・利益率4.8%です。

静岡ガス 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株あたりの利益)と配当性向

EPS(1株あたりの利益)は、2016年12月期の91.2円から2025年12月期の133.4円へと増えました。ただし2018年12月期に前期比▲34.0%、2020年12月期に▲32.9%、2024年12月期に▲38.5%と、単年で30%を超える急落が3回あります。判定を「-」としたのはこのためです。ピークは2023年12月期の190.2円で、直近はその7割の水準です。

配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、過去10年で13.1〜34.2%と基準の50%を下回って推移し、2025年12月期は32.2%でした。利益が細った年でも配当の負担は重くなりすぎていません。なお2026年12月期の会社予想は36.4%です。

静岡ガス EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のレンジが▲69.0億〜377.5億円で、2021年12月期の1年だけマイナスでした。同期は減価償却前利益149.67億円を確保したものの、売上債権やたな卸資産の増加により▲69.09億円の支出となっています(2021年12月期 決算短信p.4)。赤字による流出ではありませんが、8指標の「過去10年すべてプラス」には届きません。直近の2025年12月期は345.6億円で、過去10年では2番目に多い水準です。現金等(手元の現金)は、2016年12月期の114.2億円から2025年12月期の326.5億円へと過去10年で約2.9倍に増えました。

静岡ガス 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年58.2〜69.9%で推移し、直近は67.0%です。基準の40%を大きく上回り、財務の安全性は高い水準です。2025年12月期は、米国シェールガス開発事業の権益取得などで総資産が前期末比256億円増えました。ただし自己資本の額自体も利益の積み上がりで増えたため、比率の低下は前期の69.4%から2.4ポイントにとどまっています(決算短信p.3)。

静岡ガス 自己資本比率の推移


注目ポイント

11年連続増配・配当方針に「累進的配当」を明記

1株あたりの配当は2016年12月期の13円から2025年12月期の43円へ、年平均約14.2%のペースで増えました。会社は配当方針として「累進的配当」と「配当性向3割(目標水準)」を掲げ、株主資本配当率(DOE)は2025年実績で2.60%です(決算説明資料p.24)。2026年12月期は44円の増配予想で、実現すれば12期連続の増配になります。

2025年12月期は減収ながら営業利益が36.6%増

2025年12月期は、売上高2,012億円(前期比▲0.5%)に対して営業利益140億円(同+36.6%)・経常利益147億円(同+12.9%)・純利益100億円(同+14.5%)となりました。長期契約でのLNG調達に努め、価格が高止まりしていたスポット市場での調達を抑えられたことが要因です。加えて、原料価格の変動がガス販売単価に反映されるまでのタイムラグも寄与しました(決算短信p.2)。

堅い財務を土台に、成長投資1,070億円へ

自己資本比率67.0%・現金等326億円と財務は堅く、2025年12月期の営業CFは345億円でした。2026年から2028年の中期経営計画では総投資額1,070億円のうち88%を成長投資に充て、2028年に経常利益133億円・ROE8.0%を目指します(決算説明資料p.8・23)。2025年5月には米国のシェールガス開発事業の権益(鉱業権127百万米ドル)を取得しています(決算短信p.12)。

いっぽうで、利益(EPS)や営業CF、これからの財務には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。

第一に、2026年12月期が大幅な減益計画である点です。会社予想は売上高2,011億円とほぼ横ばいの一方、営業利益96億円(前期比▲31.6%)・経常利益104億円(同▲29.4%)・純利益91億円(同▲9.3%)で、EPSは133.42円から120.89円へ下がる見込みです(決算短信)。原料価格の変動が販売単価に反映されるまでのタイムラグは、2025年が+19億円のプラス寄与だったのに対し、2026年計画では▲5億円と逆方向に働きます(決算説明資料p.22)。配当は44円へ増配予想ですが、予想配当性向は36.4%に上がります。

第二に、EPSの変動が大きい点です。2018年12月期▲34.0%、2020年12月期▲32.9%、2024年12月期▲38.5%と、単年で30%を超える急落が3回ありました。8指標でEPSが「-」となった理由です。原料価格や為替の影響を受けやすく、2025年12月期も為替差損6億円を営業外費用に計上しています(決算短信p.7)。

第三に、営業CFが1年マイナスだったことと、これから財務レバレッジが上がる計画である点です。2021年12月期は売上債権やたな卸資産の増加により▲69.09億円の支出となりました。加えて中期経営計画では、成長投資940億円の原資として負債活用520億円を見込んでいます(決算説明資料p.25)。この結果、自己資本比率は2025年の67.0%から2028年計画で55.0%へ、D/Eレシオは0.1倍から0.6倍へ上がる想定です(同p.8)。


まとめ

静岡ガス(9543)は、静岡県中東部を地盤とする都市ガス会社で、2025年12月期で11年連続増配となった、8指標のうち6つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 11年連続増配。配当は13円から43円へ、年平均約14.2%のペースで増加
✅ 2025年12月期は減収ながら営業利益+36.6%。配当方針に「累進的配当」を明記
✅ 自己資本比率67.0%・現金等326億円の堅い財務

【留意点】
・2026年12月期は営業利益▲31.6%の減益計画
・EPSは過去10年で3回、単年30%超の急落
・営業CFは2021年12月期にマイナス。中計では自己資本比率55.0%へ低下する想定

6月・12月に配当の権利が確定する銘柄です。減益計画のなかで累進的配当をどう守っていくかを、これからの決算で見ていきたい1社です。


連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。

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※業績・配当・財務の数値は、静岡ガスの2025年12月期 決算短信(2026年2月10日)および決算説明資料(2026年2月13日)、2021年12月期 決算短信(2022年2月8日)、IRBANKに基づきます(経営成績・販売量は短信p.2、財政状態は同p.3、為替差損は同p.7、米国シェールガス権益は同p.12、セグメント別売上は同p.14、2021年12月期のキャッシュ・フローは同期短信p.4、中期経営計画とD/Eレシオは説明資料p.8、グループ組織再編は同p.13、経常利益の分析は同p.22、投資計画は同p.23、株主還元は同p.24、キャッシュアロケーションは同p.25)。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月28日時点)です。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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