最終更新日:2026年8月11日
11年連続増配・8指標オールクリアの「開発型企業」
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。全国の自動車販売店で新車に施工されるボディコーティング。その商材を自社で開発し、販売店に届けている会社があります。アルコール検知器「ソシアック」や、60数カ国への自動車部品販売も手がける、大阪発のBtoB企業です。
今回は3月と9月に配当権利が確定する連続増配株の1社、中央自動車工業(証券コード:8117)を私独自の8指標で分析しました。
結論からいうと、8つすべてをクリアしました。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年8月10日時点の値です
📊 8指標の判定は2026年3月期(実績)の数値です。進捗として2027年3月期第1四半期にも触れています
中央自動車工業とはどんな会社?
中央自動車工業は1946年創立、大阪市に本社を置く自動車関連の「開発型企業」です。事業は2つのセグメントに分かれます。柱の自動車部品・用品等販売事業では、ボディコーティングを中心とした自社開発商材を全国の自動車販売店に拡販するほか、アルコール検知器「ソシアック」を一般法人・官公庁・輸送事業者などに販売しています。海外では60数カ国をネットワークし、自社ブランド「J.C.A.P.」などの自動車用部品を部品輸入商・代理店等に販売しています。
もう1つの自動車処分事業は、子会社の株式会社ABTが担う、損害保険会社の全損認定車両の処分に関わる業務です。2026年3月期の売上構成は、部品・用品等販売が359億円(うち海外105億円)、自動車処分が108億円で、合わせて全社の467億円になります。近年はM&Aにも積極的で、2024年12月にケー・エム・エンタープライズ、2025年8月に森田産業を子会社化し、部品販売の販路を広げています。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証スタンダード
業種:卸売業
決算月:3月
連続増配:11年(2026年3月期時点)
現在の株価:2,233円(2026年8月10日時点)
予想配当利回り:2.82%(2027年3月期予想)
配当権利確定:3月・9月(年2回)
配当情報
中央自動車工業は2026年3月期まで11年連続で増配しています。2015年3月期の据え置き(分割調整後9円)を経て、2016年3月期の11円から増配が始まりました。2026年3月期の年間配当は64円(中間26円・期末38円)で、この10年(2017年3月期→2026年3月期)で約5.5倍になりました。なお2026年3月期の期末配当には創立80周年記念配当3円が含まれます(2026年3月期決算短信p.1)。本記事の連続増配カウントは、記念配当を含む配当合計額(配当履歴ベース)で判定しています。
2027年3月期は年間63円(中間30円・期末33円)の会社予想です。記念配当3円がなくなる影響で合計では前期比1円の減少ですが、普通配当ベースでは61円から63円へ2円の増配予想となります。予想どおりの場合、合計額ベースの連続増配は2026年3月期の11年でいったん区切りとなる見込みです。通期の業績予想・配当予想は、2026年5月14日公表の期初予想から修正なく据え置かれています(2027年3月期第1四半期決算短信p.1)。会社は連結配当性向30%以上を目標に、安定かつ高配当を目指す方針を示しています(2026年3月期決算短信p.5)。
📌 株式分割と本記事の基準
中央自動車工業は2025年4月1日付で、1株→3株の株式分割を実施しています(2026年3月期決算短信)。本記事の配当・EPSは、分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額で統一しています(株価は実際の取引価格です)。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 株価(2026年8月10日時点) | 2,233円 |
| 予想配当利回り(2027年3月期予想) | 2.82% |
| 連続増配年数(2026年3月期時点) | 11年 |
| 配当性向(2026年3月期実績) | 36.7% |
※予想配当利回りは2027年3月期の予想配当63円を2026年8月10日時点の株価で割った値です。配当性向は2026年3月期実績。株価の変動により利回りは変わります。
予想利回りは2.82%です。2027年3月期の予想配当性向は36.6%(63円÷予想EPS171.90円)と会社目標の30%以上に沿った水準で、予想PERは約13.0倍です(株価2,233円と予想EPS171.90円から桃モアイが計算)。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

8指標分析の結果
ここからは、中央自動車工業を私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | 中央自動車工業 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 186億→467億円 | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 44.34円→174.58円 | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 24.4% | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 88.4% | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(24.2億〜90.5億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 72.5億→260.4億円 | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 11年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 36.7% | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKのデータをもとに桃モアイが独自に分析。8指標の「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年(2017年3月期〜2026年3月期)の長期トレンドで判定しています。なお2026年3月期の純利益には、森田産業の子会社化にともなう一時的な特別利益(負ののれん発生益6.0億円)が含まれます。投資判断の参考としてご活用ください。
※金額は、売上高は億円未満を四捨五入し、利益・営業CF・現金等は小数第一位までを四捨五入して表示しています。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)
売上高と営業利益率
売上高は2017年3月期の186億円から2026年3月期の467億円へ、10年で約2.5倍になりました。過去10年はすべて前期比プラスです。直近の2026年3月期は前期比+12.4%と大きく伸び、海外販売(前期比+31.8%)と自動車処分事業(同+17.5%)がけん引しました。2027年3月期は500億円(前期比+7.1%)を会社が計画しており、第1四半期の売上高は114億40百万円(前年同期比+16.8%)・通期予想に対する進捗率22.9%と順調な滑り出しです(2027年3月期第1四半期決算短信p.1・p.2)。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、過去10年で16.5〜26.6%と、全期間で桃モアイ基準の5%を大きく上回ります。会社は中期経営計画で「売上高営業利益率20%以上」を経営目標に掲げる、高収益のBtoB企業です(2026年3月期決算短信p.5)。2026年3月期は増収率+12.4%に対して営業利益の伸びが+3.1%にとどまり、利益率は26.6%から24.4%に低下しました。2027年3月期は24.8%の水準を会社が計画しています。第1四半期は営業利益29億14百万円(前年同期比+19.0%)・営業利益率25.5%と、増収率を上回る増益ペースでした。

EPS(1株利益)と配当性向
EPSは2017年3月期の44.34円から2026年3月期の174.58円へ、10年で約3.9倍になりました。この間の減少は2021年3月期の▲1.3%のみと小幅で、安定した右肩上がりです。2026年3月期は前期比+11.0%の174.58円でした。なお同期の純利益96.5億円には、森田産業の子会社化にともなう負ののれん発生益6.0億円(特別利益)が含まれます(2026年3月期決算短信p.8)。
2027年3月期のEPSは171.90円(前期比▲1.5%)の会社予想です。営業利益は+9.0%の増益計画ですが、純利益は特別利益の反動もあり微減を見込んでいます。第1四半期のEPSは43.37円(前年同期35.55円)で、通期予想に対する進捗率は25.2%です。
配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、過去10年で26.2〜36.7%と、全期間で桃モアイ基準の50%以下に収まっています。近年は会社目標の「連結配当性向30%以上」に沿って30%台へ高まってきました。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスです。2017年3月期の24.2億円から2026年3月期の90.5億円へ約3.7倍に増え、稼ぐ現金の水準そのものが大きく切り上がっています。
現金等は2017年3月期の72.5億円から2026年3月期の260.4億円へ、約3.6倍に増えました。2020年3月期には103.7億円から88.3億円へ14.9%の減少がありましたが、翌期から再び増加に転じ、長期では増加傾向をしっかり保っています。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2017年3月期の81.3%から2026年3月期の88.4%へ上昇しました。過去10年すべてで80%を上回り、桃モアイ基準の40%を大きく超えています。連結貸借対照表に借入金の計上はなく、現金等260.4億円を持つ実質無借金の財務です(2026年3月期決算短信p.7)。2027年3月期第1四半期末はさらに88.9%へ上昇しています(2027年3月期第1四半期決算短信p.1)。

注目ポイント
ボディコーティングなど自社開発商材を全国に広げる「開発型企業」
中央自動車工業の柱は、ボディコーティングを中心とした自社開発商材の拡販です。全国の自動車販売店を地域密着型営業で回り、大阪の中之島R&Dセンターや展示型オフィスの東京支社を活用して、高付加価値商材の提案を進めています。アルコール検知器「ソシアック」も成長分野で、2026年3月期の売上高は15億71百万円(前期比127%)に伸びました。防汚コーティングや抗菌防臭剤など、自動車以外の異業種向けビジネスも広げています(2026年3月期決算短信p.2〜3、会社説明会資料p.3)。
海外60数カ国のネットワークとM&Aで広がる販路
海外では60数カ国をネットワークし、自社ブランド「J.C.A.P.」などの自動車用部品を販売しています。2026年3月期の海外販売は105億円と前期比+31.8%の大きな伸びでした。2024年12月にケー・エム・エンタープライズ、2025年8月に森田産業を子会社化し、それぞれ強みを持つアジア・中南米向けの販路を取り込んでいます。子会社ABTの自動車処分事業も売上108億円(前期比+17.5%)と伸びており、事業の柱が複線化しています(2026年3月期決算短信p.2〜3)。2027年3月期第1四半期も海外販売は前年同期比+22.5%と伸びが続いています(2027年3月期第1四半期決算短信p.2)。
営業利益率24.4%・実質無借金、還元は「配当性向30%以上」を明示
営業利益率は24.4%、ROE(自己資本利益率)は16.3%と、卸売業としては際立つ収益性です(ROEは決算短信の自己資本当期純利益率=期中平均自己資本ベース)。会社は中期経営計画で営業利益率20%以上・ROE15%以上へ目標を引き上げ、株主還元でも連結配当性向30%以上と「安定かつ高配当」を掲げています。自己資本比率88.4%・借入金なしの財務を土台に、配当はこの10年で約5.5倍(2017年3月期→2026年3月期の9年間で、年平均増配率 約20.8%)になりました(2026年3月期決算短信p.5)。
いっぽうで、来期の配当予想などには確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
確認しておきたい点が3つあります。
第一に、2027年3月期の配当は合計63円と、前期比1円減の会社予想であることです。2026年3月期の64円には創立80周年記念配当3円が含まれており、その剥落が理由です。普通配当ベースでは61円から63円へ2円の増配予想ですが、予想どおりの場合、記念配当を含む合計額ベースの連続増配は2026年3月期の11年でいったん区切りとなる見込みです。来期以降の配当がどう積み上がるかは確認しておきたいポイントです。
第二に、業績が国内外の自動車市場や外部環境の影響を受けることです。2026年3月期の国内新車総販売台数は前年比0.9%減の約453万台と、市場自体は伸びていません。また期末にかけて急変した中東情勢により、同地域向け売上の一部に影響がありました。会社も金融資本市場の変動や米国の通商政策、中東情勢による景気の下振れリスクを注視するとしています(2026年3月期決算短信p.2・p.4)。2027年3月期第1四半期は全体では増収でしたが、成長分野のアルコール検知器の売上は2.5億円と、前年同期の3.0億円から▲16.1%に減っており、事業ごとの濃淡は確認しておきたいところです(2027年3月期第1四半期決算短信p.2)。
第三に、M&Aの拡大にともない、のれんや一時要因が利益に影響することです。2026年3月期末ののれんは30.0億円で、年間4.8億円ののれん償却が販管費に計上されています。また同期の純利益には負ののれん発生益6.0億円の特別利益が含まれ、2027年3月期のEPSが微減予想となる一因です。経常利益には持分法による投資利益10.7億円(経常利益の約8%)も含まれており、利益の中身をセットで確認したい銘柄です(2026年3月期決算短信p.6〜8)。
まとめ
中央自動車工業(8117)は、2026年3月期で11年連続増配となった、8指標をすべてクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ ボディコーティングなど自社開発商材を全国に広げる高収益の「開発型企業」
✅ 営業利益率24.4%・自己資本比率88.4%・借入金なしの実質無借金財務
✅ 配当はこの10年で約5.5倍、配当性向30%以上を目標に還元を強化
【留意点】
・2027年3月期は記念配当の剥落で配当合計63円と1円減の予想(普通配当は2円増配予想)
・国内新車市場の縮小や中東情勢など、外部環境の影響を受ける
・のれん30.0億円や負ののれん発生益など、M&Aに伴う利益の一時要因がある
権利確定は3月と9月(年2回)。予想配当利回りは2.82%ですが、高い収益性と財務の健全さ、明確な還元方針を重視する方は候補に入れて確認してみてください。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※出典:株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年8月10日時点)。財務数値は2026年3月期決算短信(2026年5月14日公表)、2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月5日公表・業績予想および配当予想は期初予想から修正なし)、会社説明会資料(2026年1月)、IRBANKの過去10年データにもとづきます。EPSと配当性向はIRBANKの表示値(2026年3月期174.58円・36.7%)を使用し、決算短信の公表値と一致することを確認しています。予想EPS171.90円・予想配当63円は決算短信の通期予想の公表値です。第1四半期の売上高・営業利益・EPS・自己資本比率・セグメント別売上は2027年3月期第1四半期決算短信にもとづきます。連続増配年数は配当履歴ベースで、2015年3月期の据え置き(分割調整後9円)の翌期にあたる2016年3月期(同11円)を増配1年目としています。判定は記念配当を含む配当合計額で行っており、2026年3月期の64円には創立80周年記念配当3円が含まれます(2026年3月期決算短信の注記)。株式分割は2025年4月1日付の1株→3株(同短信注記)で、本記事の配当・EPSは分割調整後の金額です。創立年・本社所在地・事業内容・店舗網等は会社公式サイト(会社概要)および会社説明会資料、セグメント別売上・アルコール検知器売上・国内新車総販売台数・中東情勢の影響・のれん・負ののれん発生益・持分法投資利益・経営目標(営業利益率20%以上、ROE15%以上、連結配当性向30%以上)は2026年3月期決算短信にもとづきます。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

