最終更新日:2026年8月4日
10年連続増配・自己資本比率90.5%、企業のデータを「使える形」に整える会社
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。ネット証券などの口座開設で運転免許証を撮影して送ると、記載内容が自動で読み取られる——そんな仕組みの裏側を支えている会社があります。ダブルスタンダードは、独自のデータ処理技術で企業のバラバラなデータを整える会社で、2025年9月にはSBIグループに参画しました(2026年3月期 決算説明資料p.26)。
今回は3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、ダブルスタンダード(証券コード:3925)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、ダブルスタンダードは8指標のうち6つをクリアしました。10年連続の増配に加え、自己資本比率90.5%・借入金なしという財務の厚みが特徴です。いっぽうで、EPS(1株あたりの利益)と配当性向の2つは基準に届きませんでした。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年7月31日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています
ダブルスタンダードとはどんな会社?
ダブルスタンダードは、東京都港区に本社を置く情報サービスの会社です。2012年6月に前身のスマッシュ・マーケティングとして設立され、2013年に旧ダブルスタンダードとの合併を経て現在の商号になりました。2015年12月に東証マザーズへ上場し、2018年11月に東証一部、2022年4月にプライム市場へ移っています(決算説明資料p.26)。
事業は「WEBマーケティング事業」の単一セグメントです(2026年3月期 決算短信p.11)。中身は、Webや帳票、手書き書類などから集めたデータの誤記を直し、欠けた情報を補い、同じ情報を名寄せして「使える形」に整えるデータクレンジングが核になっています(決算説明資料p.13)。
サービスの例としては、紙やPDFの帳票を読み取るD-Fit&D-Just、運転免許証やマイナンバーカードなどほぼ全ての本人確認書類の読み取りに対応するD-Confia、データ整備のD-Cleanse、Webサイトの更新を自動検知するD-Checkなどがあります(同p.14〜17)。
特徴は、顧客基盤の広がりです。取引先企業数は2018年3月期の44社から2026年3月期には246社へ増え、直近1年だけで60社の新規獲得がありました。犯罪収益移転防止法の改正を背景に、本人確認まわりの引き合いが多いと会社は説明しています(同p.10)。2025年9月にはSBIグループに参画し、グループ各社との連携強化を進めています(同p.19・p.26)。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:情報・通信業
決算月:3月
連続増配:10年(2026年3月期時点)
株価:1,260円(2026年7月31日時点)
予想配当利回り:5.56%(2027年3月期 会社予想配当70円ベース)
配当権利確定:3月(年1回)
配当情報
ダブルスタンダードは増配を続けていて、2026年3月期で10年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2026年3月期の実績で70円(期末のみ)です。上場は2015年12月なので、この10年はすべて上場後の実績です。
ただし、この70円には記念配当の10円が含まれます。これを除いた普通配当は60円で、前期の60円から据え置きです。つまり直近の増配10円分は、記念配当によるものです。なお記念配当はこれが初めてではなく、2022年3月期の40円にも設立10周年の記念配当5円が含まれていました。この5円は期中(2022年2月28日)の修正で上乗せされた経緯があります(2022年2月28日「業績予想の修正及び期末配当予想の修正に関するお知らせ」)。
2027年3月期の予想配当は70円で、総額では据え置きです。実施されれば連続増配はいったん10年で止まります。いっぽうで予想の70円に記念配当の注記はなく、普通配当ベースでは60円から70円への引き上げにあたります。会社は連結配当性向25%を目安としつつ、「従前からの安定的な利益還元を継続」するとして70円(配当性向79.0%)を決めたと説明しています(決算説明資料p.21)。
📌 株式分割と本記事の基準
ダブルスタンダードは過去10年で株式分割を2回行いました。2018年4月1日付と2021年10月1日付の、いずれも1株→2株です(各効力発生日)。累積すると、2018年3月以前の1株はいまの4株にあたります。
本記事の配当・EPSは、これをさかのぼって調整した「調整後」の金額で統一しています。株価は実際の取引価格のため調整していません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 1,260円(2026年7月31日時点) |
| 予想配当利回り | 5.56%(2027年3月期 会社予想配当70円ベース) |
| 連続増配年数 | 10年(2026年3月期時点) |
| 1株あたりの配当(実績・総額) | 70円(普通60円+記念10円/2026年3月期) |
| EPS(1株あたりの利益・実績) | 81.95円(2026年3月期) |
| 配当性向 | 85.4%(2026年3月期 実績/70円÷81.95円) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月31日時点)、配当・EPSは2026年3月期 決算短信p.1。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当70円に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2026年3月期の実績(70円÷81.95円=85.4%)で、決算短信の公表値と一致します。連続増配年数は配当実績ベース(株式分割の調整後)です。2016年3月期が初めての配当のため比較の起点は同期とし、翌2017年3月期を増配1年目として2026年3月期までの10年と数えています。2026年3月期の増配(60円→70円)は記念配当10円によるもので、普通配当は据え置きです。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

1株あたりの配当は、2017年3月期の8.25円から2026年3月期の70円まで増えました(いずれも株式分割の調整後)。毎年ならすと約26.8%ずつ増やしてきた計算で、連続増配株のなかでも速いペースです。ただ直近は、増配の中身が記念配当に変わってきた点に注意が必要です。
8指標分析の結果
ここからは、ダブルスタンダードを私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | ダブルスタンダード | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 13.6億円→70.1億円(過去10年で約5.1倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 21.15円→81.95円(ピークは最古の約6.2倍。2026年3月期に▲37.9%の急落) | - |
| 営業利益率 | 5%以上 | 24.6%(直近期・実績) | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 90.5%(直近期・実績) | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(1.9億〜19.9億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 10.2億円→52.9億円(過去10年で約5.2倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 10年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 85.4%(直近期・実績/記念配当10円を含む70円ベース) | - |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。2026年3月期は主要取引先との取引終了の影響などで減収減益となりました。8指標のうち6つをクリア。EPSは2026年3月期に▲37.9%の急落があり、「安定して増加傾向」の基準に届きませんでした。配当性向は記念配当10円を含む70円ベースで85.4%となり、基準の50%を上回ったため届きませんでした(普通配当60円だけでも73.2%です)。
※EPSは決算短信の公表値(2026年3月期81.95円)を使用し、配当性向は「調整後の年間配当÷短信のEPS」で算出しています。IRBANKの決算まとめページに記載のない2019年3月期・2022年3月期の配当性向は、12円÷43.54円=27.6%、40円÷79.74円=50.2%と自算しています(IRBANKの配当推移ページの掲載値とも一致します)。金額は小数第一位までを四捨五入して表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。年はいずれも3月期です。会社予想のある系列は、いちばん右にグレーで2027年3月期の予想を示しています。
売上高と営業利益率
売上高は、2017年3月期の13.6億円から2026年3月期の70.1億円へ、過去10年で約5.1倍になりました。2022年3月期にかけて急拡大しましたが、同期の70.8億円には一時的な低粗利案件の受託が含まれます(決算説明資料p.6)。その後は2025年3月期の80.0億円をピークに、2026年3月期は主要取引先との取引終了の影響などで▲12.4%の減収となりました。2027年3月期の会社予想は72.0億円(前期比+2.7%)です(同p.20)。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、10年を通じて24.6〜32.6%で推移し、桃モアイ基準の5%を大きく上回ってきました。ただし2026年3月期は前期の32.6%から24.6%へ低下しています。単発の案件に売上が偏ったことや、継続的に入る売上の立ち上がりの遅れ、新サービス開発の先行投資が重なったためです(同p.7)。2027年3月期の会社予想は25.0%です。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPSは、2017年3月期の21.15円から2025年3月期には131.87円まで伸びました。ピークは最古の約6.2倍で、株式分割をさかのぼって調整した金額です。ところが2026年3月期は81.95円へ▲37.9%の急落となりました。桃モアイ基準では単年▲30%超の急落があると「-」としており、今回はこれが理由です。主要取引先との取引終了に加え、一部案件の売上計上の期ズレや新サービスの先行投資が重なったと会社は説明しています(決算説明資料p.5)。2027年3月期の会社予想EPSは88.56円です。
配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、2025年3月期まで27.6〜50.2%の範囲で動いてきました。それが2026年3月期は85.4%へ跳ね上がっています。利益が急減する年に配当を70円へ増やしたためで、記念配当10円を除いた普通配当60円だけでも73.2%です。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のレンジが1.9億〜19.9億円で、すべての年でプラスでした。8指標の「過去10年すべてプラス」をクリアしています。
2026年3月期は7.8億円で、前期の19.9億円から▲61.1%の減少です。税引前利益が減ったことに加え、前期の好業績に対する法人税等の支払い8.8億円がかさんだためです(2026年3月期 決算短信p.3)。
現金等(手元の現金)は、2017年3月期の10.2億円から2026年3月期の52.9億円へ約5.2倍に増えました。直近期は▲1.1%の微減ですが、営業CFで7.8億円を稼ぐいっぽうで配当の支払いに8.1億円を使った結果で、長期の増加傾向は崩れていません(同p.3)。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2026年3月期で90.5%でした。基準の40%を10年すべてで大きく上回っています。銀行からの借入金はなく、負債は買掛金や未払金などに限られます(2026年3月期 決算短信p.5)。
直近期は前期の84.8%からさらに上昇しました。未払法人税等の支払いで負債が減るいっぽう、純利益の計上で純資産が増えたためです(決算説明資料p.8)。

注目ポイント
10年連続増配。配当は8.25円から70円へ、年平均約26.8%のペース
1株あたりの配当は2017年3月期の8.25円から2026年3月期の70円へ、年平均約26.8%のペースで増えました(株式分割の調整後)。連続増配株のなかでも速い部類です。会社は株主への利益還元を重要な経営課題と位置づけ、継続的な還元を実施する方針を示しています(決算説明資料p.21)。
自己資本比率90.5%・借入金なし。現金等52.9億円は総資産の約7割
2026年3月期末の自己資本比率90.5%は、桃モアイ基準の40%を2倍以上上回る水準です。借入金がなく、手元の現金等52.9億円は総資産73.8億円の約7割を占めます。営業CFも10年すべてプラスで、減益の年でも配当の原資を現金で賄える財務の厚みがあります。
独自のデータ処理技術と広がる顧客基盤。取引先は44社から246社へ
データの誤記修正・欠損充当・名寄せを組み合わせる処理技術が、サービスの共通基盤になっています(決算説明資料p.12〜13)。取引先企業数は2018年3月期の44社から2026年3月期の246社へ、8年で5.6倍に増えました。犯罪収益移転防止法の改正で本人確認まわりの引き合いが多く、SBIグループとの連携も新規獲得の入り口になっています(同p.10・p.19)。
いっぽうで、利益の落ち込みや配当の中身には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、主要取引先との取引終了の影響が続いている点です。賃貸住宅大手の大和リビンググループとの取引は2025年3月期で概ね終了し、システム移管のサポートなど一部が続くものの、将来的には全て終了する予定です(2026年3月期 決算短信p.3)。この影響で2026年3月期は減収減益となりました。会社は2025年8月13日に通期予想を上方修正していました(純利益13.9億円→14.6億円)が、その修正後の計画に対しても純利益の達成率は76.1%にとどまりました(決算説明資料p.5、2026年3月期 第1四半期決算短信)。EPSが▲37.9%の急落となり8指標で「-」とした理由もここにあります。新規60社の獲得など依存解消は進んでいますが、収益基盤の再構築は道半ばです。
第二に、配当性向が85.4%と基準を大きく上回っている点です。これも8指標で「-」とした指標です。会社が目安とする連結配当性向25%に対し、2026年3月期の実績は85.4%、2027年3月期の予想も79.0%に達します(決算説明資料p.21)。記念配当10円を除いた60円ベースでも73.2%で、利益の大半を配当に回している状態です。利益の回復が計画どおり進まなければ、配当を維持・増配する余力は細ります。
第三に、2027年3月期の予想配当が70円の据え置きである点です。実施されれば連続増配はいったん10年で止まります。普通配当ベースでは60円から70円への引き上げにあたりますが、総額では横ばいです。なお過去には、2022年3月期に期中の修正で記念配当5円を上乗せした例があります(2022年2月28日「業績予想の修正及び期末配当予想の修正に関するお知らせ」)。また予想配当利回り5.56%という高さは、利益の約8割を配当に回す前提(予想配当性向79.0%)であることの裏返しでもあります。株価も、取引終了の先行きを織り込んで予想PER約14.2倍(1,260円÷予想EPS88.56円)にとどまっています。PBRは1株純資産494.19円に対して約2.5倍です。
まとめ
ダブルスタンダード(3925)は、2026年3月期で10年連続増配となった、8指標のうち6つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 10年連続増配。配当は8.25円から70円へ、年平均約26.8%のペースで増加
✅ 自己資本比率90.5%・借入金なし。現金等52.9億円は総資産の約7割
✅ データ処理技術を核に、取引先は44社から246社へ拡大
【留意点】
・主要取引先との取引終了で減収減益。EPSは▲37.9%の急落
・配当性向85.4%は基準超え。会社目安の25%も大きく上回る
・2027年3月期の予想は70円据え置き。実施されれば連続増配は10年で止まる
3月に配当の権利が確定する銘柄です。新規顧客の積み上げで利益を立て直し、普通配当ベースで増配を再開できるかを、これからの決算で見ていきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・配当・財務の数値は、ダブルスタンダードの2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結・2026年5月13日)、2026年3月期 決算説明資料(2026年5月13日)、IRBANKに基づきます(経営成績・財政状態・キャッシュ・フロー・配当の状況・EPS・自己資本比率は2026年3月期 決算短信p.1、発行済株式数は同p.2、増減要因・今後の見通しと主要取引先の記載は同p.2〜3、貸借対照表は同p.4〜5、単一セグメントの注記は同p.11、1株当たり純資産は同p.12/業績概要と計画比は決算説明資料p.5、売上高推移と低粗利案件の注記は同p.6、利益率は同p.7、貸借対照表の増減要因は同p.8、取引先企業数は同p.10、技術基盤・サービスは同p.12〜17、基本方針とSBIグループ連携は同p.19、業績予想は同p.20、配当政策と記念配当の内訳は同p.21、会社概要は同p.24、沿革は同p.26)。株式分割(2018年4月1日付・2021年10月1日付、各1株→2株)と2022年3月期の記念配当5円は、会社の適時開示および各期決算短信の注記に基づきます。2025年8月13日の通期業績予想の修正(上方修正)は、2026年3月期 第1四半期決算短信の「直近に公表されている業績予想からの修正の有無:有」欄で確認しています。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月31日時点)です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

