【11年連続増配】菱友システムズ(4685)を8指標分析

菱友システムズ(4685)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年8月6日

11年連続増配・ものづくりの解析を支えるシステム会社、8指標は7つクリア

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。飛行機やロケットの機体が、飛ぶときの力にどれだけ耐えられるか。そうした「ものづくり」の計算や設計を、システムの面から支えている会社があります。三菱重工業が株式の31.21%を持つ筆頭株主です。2026年3月期は売上高が2期連続、利益は各段階で過去最高を更新しました(2026年3月期 決算短信p.2、決算説明資料p.3・p.5)。

今回は3月と9月に配当権利が確定する連続増配株の1社、菱友システムズ(証券コード:4685)を私独自の8指標で分析しました。

結論から言うと、菱友システムズは8指標のうち7つをクリアしました(営業活動によるCFが未達)。11年連続の増配と年平均約21.0%という増配ペース、自己資本比率68.9%の堅い財務が特徴です。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年8月5日時点の値です
📊 8指標の判定は2026年3月期(実績)の数値です。進捗として2027年3月期 第1四半期にも触れています


菱友システムズとはどんな会社?

菱友システムズは、東京都港区に本社を置く情報サービス会社です。1968年の設立で、東証スタンダードに上場しています。三菱重工業が発行済株式の31.21%を持つ筆頭株主で、有価証券報告書に記載されている主要な顧客も三菱重工業と日本アイ・ビー・エムです(2026年3月期 決算説明資料p.3、IRBANK)。

事業の柱は、生産管理システムなど「ものづくり」に関わるシステム開発です。あわせて、システムの保守・運用・監視、IT基盤の構築、航空機・ロケット・エンジンの空力/構造解析や自動車の衝突解析といった設計支援、PLM(製品ライフサイクル管理)、情報セキュリティ、AI・IoTを使ったデジタルビジネス支援までを手がけます(同p.4)。報告セグメントは情報サービスの1つのみで、連結子会社3社を含むグループの従業員は2,006名です(2026年3月期 決算短信p.16、決算説明資料p.3)。

2025年度からは3か年の中期経営計画「顧客と並走する菱友」を進めています。AIエージェントの事業化や、セキュリティ製品開発に向けた網屋との資本業務提携など、新ビジネスの立ち上げに取り組んでいます(決算説明資料p.13・p.15)。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証スタンダード
業種:情報・通信業
決算月:3月
連続増配:11年(2026年3月期時点)
株価:2,632円(2026年8月5日時点)
予想配当利回り:3.80%(2027年3月期 会社予想配当100円ベース)
配当権利確定:3月・9月(年2回)


配当情報

菱友システムズは増配を続けていて、2026年3月期で11年連続増配になりました。2026年3月期の実績は調整後97.5円です。期末配当は直前の予想50円から55円へ引き上げて着地しました(2026年3月期 決算短信p.1)。2027年3月期の会社予想は年間100円(中間50円・期末50円)で、この予想どおりに実施されれば12期連続になります。会社は連結配当性向30%超を目途に配当を行う方針です(決算説明資料p.17)。

📌 株式併合・株式分割と本記事の基準
菱友システムズは、2017年10月1日付で5株→1株の株式併合、2021年1月1日付で1株→5株、2025年10月1日付で1株→2株の株式分割を行っています。3つを合わせると、併合前の1株は現在の2株に相当します。本記事の配当・EPS・利回り・配当性向は、すべて併合・分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額で統一しています。なお2026年3月期は期の途中に分割があったため、年間配当は中間85円を分割後の42.5円に置き換えて期末55円と合計し、97.5円としています(分割を考慮しない場合は195円です)。

項目 内容
株価 2,632円(2026年8月5日時点)
予想配当利回り 3.80%(2027年3月期 会社予想配当100円ベース)
連続増配年数 11年(2026年3月期時点)
配当性向 31.8%(2026年3月期 実績)

出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年8月5日時点)、配当は決算短信・決算説明資料。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当100円に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2026年3月期の実績(調整後97.5円÷EPS306.66円=31.8%)で、会社公表値と一致します。連続増配年数は配当実績ベースで、2016年3月期を増配1年目として11年と数えています(2015年3月期は調整後5円で据え置き、2016年3月期は15円)。配当・EPSは2017年の株式併合と2021年・2025年の株式分割をさかのぼって調整した調整後の金額です。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

菱友システムズ 1株あたりの配当の推移 11年連続増配

1株あたりの配当は、2017年3月期の17.5円から2026年3月期の97.5円まで増えました。毎年ならすと約21.0%ずつ増やしてきた計算で、連続増配株のなかでも速いペースです。2027年3月期の予想100円が実施されると、10年前のおよそ5.7倍になります。


8指標分析の結果

ここからは、菱友システムズを私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 菱友システムズ 判定
売上高 増加傾向 323.5億円→432.3億円(過去10年で約1.3倍)
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 88.09円→306.66円(ピークは2026年3月期の306.66円で最古年の約3.5倍。急落なし)
営業利益率 5%以上 12.7%(直近期・実績)
自己資本比率 40%以上 68.9%(直近期・実績)
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 過去10年のレンジは▲8.7億〜40.9億円(うち2年がマイナス)
現金等 増加傾向 6.7億円→33.1億円(過去10年で約4.9倍)
1株あたりの配当 10年以上連続増配 11年連続増配
配当性向 50%以下 31.8%(直近期・実績)

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標のうち7つをクリア。営業活動によるCFは、過去10年のうち2019年3月期(▲8.7億円)と2023年3月期(▲4.3億円)の2回マイナスとなったため、基準に届きませんでした。2026年3月期は売上高432.3億円(前期比+1.1%)と2期連続の過去最高で、利益は売上総利益から純利益まで各段階で過去最高でした(決算説明資料p.5)。なお同期は特別利益1.0億円(固定資産売却益0.8億円・投資有価証券売却益0.2億円)を含みます(決算短信p.7)。
※菱友システムズは日本基準・連結です。過去10年に2017年10月1日付で5株→1株の株式併合、2021年1月1日付で1株→5株、2025年10月1日付で1株→2株の株式分割を行っており、本記事の配当・EPSはすべて併合・分割をさかのぼって調整した調整後の金額です。EPSはIRBANKの調整後系列を基本に、直近期は決算短信の公表値306.66円を使っています(IRBANKの表示306.61円とはわずかに異なります)。IRBANKで配当性向が欠測の2018年3月期・2021年3月期は、調整後配当÷調整後EPSで自算しています(2018年3月期=22.5円÷93.64円=24.0%、2021年3月期=30円÷111.94円=26.8%)。金額は小数第一位までを四捨五入して表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)

ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。年はいずれも3月期で、いちばん右のグレーは会社予想(2027年3月期)です。配当性向のグラフは実績の最終年で止めています。

売上高と営業利益率

売上高は、2017年3月期の323.5億円から2026年3月期の432.3億円へ、過去10年で約1.3倍になりました。2018〜2022年3月期には減収の年が4回ありますが、いずれも下げ幅は限られています。2023年3月期からは増収に転じ、2026年3月期まで2期連続で過去最高を更新しました(2026年3月期 決算短信p.2)。2027年3月期の会社計画は450.0億円(前期比+4.1%)です(同p.4)。

営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)の改善が目を引きます。2017年3月期の5.5%から2026年3月期の12.7%へ、10年で7ポイント以上上がりました。売上原価率が2022年3月期の80.3%から2026年3月期の76.9%へ下がったことが効いています(決算説明資料p.10)。2027年3月期の計画は営業利益54.5億円で、利益率は12.1%の見込みです(2026年3月期 決算短信p.4・自算)。

菱友システムズ 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株あたりの利益)と配当性向

EPSは、2017年3月期の88.09円から2026年3月期の306.66円へ増え、最古年の約3.5倍で過去最高です。単年で最も大きい減少は2021年3月期の▲15.5%にとどまり、▲30%を超える急落は一度もありません。8指標の「安定して増加傾向」を満たす、着実な右肩上がりです。2027年3月期の予想EPSは282.25円と、▲7.9%の減少を見込みます(2026年3月期 決算短信p.2。背景は「投資の留意点」で説明します)。

配当性向(利益のうち配当に回す割合)は19.9%から31.8%へ切り上がってきました。会社が目途とする連結配当性向30%超の水準です(決算説明資料p.17)。基準の50%にはまだ余力があり、2027年3月期の予想配当性向は35.4%です(2026年3月期 決算短信p.2)。

菱友システムズ EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のレンジが▲8.7億〜40.9億円(うち2年がマイナス)で、8指標で唯一の未達となりました。マイナスは2019年3月期(▲8.7億円)と2023年3月期(▲4.3億円)です。システム開発は売上代金(売上債権)の回収時期で営業CFが振れやすく、直近でも2025年3月期は売上債権等の増加12.7億円が押し下げ要因、2026年3月期は逆に回収が進んだ7.3億円が押し上げ要因になりました(2026年3月期 決算短信p.11)。なお直近3年は30億円以上のプラスが続いています。

現金等(手元の現金)は、2017年3月期の6.7億円から2026年3月期の33.1億円へ、10年で約4.9倍になりました。このほか貸借対照表には、現金等とは別に外部へ預けている預け金71.1億円を流動資産に計上しています(2026年3月期 決算短信p.5)。

菱友システムズ 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2026年3月期で68.9%でした。基準の40%を大きく上回ります。2017年3月期の39.4%から10年で約30ポイント上がりました。

借入金はなく、有利子負債はわずかなリース債務のみで、実質的に無借金です。キャッシュ・フロー対有利子負債比率は0.0年でした(2026年3月期 決算短信p.3・p.6)。進捗として、2027年3月期 第1四半期末の純資産は237.8億円で、配当支払いの時期にあたり利益剰余金の減少により前期末から1.9億円減っています(2027年3月期 第1四半期決算短信)。

菱友システムズ 自己資本比率の推移


注目ポイント

11年連続増配。年平均約21.0%のペースで、2027年3月期も100円へ増配予想

1株あたりの配当は2017年3月期の17.5円から2026年3月期の97.5円へ、年平均約21.0%のペースで増えました。2026年3月期は期中の増配修正(2026年1月30日公表)を経て、期末配当を直前予想の50円から55円へさらに引き上げて着地しています(2026年3月期 決算短信p.1)。2027年3月期の予想は年間100円で、実施されれば12期連続です。

利益は各段階で過去最高。営業利益率は10年で5.5%→12.7%へ改善

2026年3月期は、売上高が2期連続の過去最高となったうえ、売上総利益・営業利益・経常利益・純利益の各段階でも過去最高を更新しました(決算説明資料p.5)。営業利益率は10年で5.5%から12.7%へ上がり、ROE(自己資本利益率)は18.9%(期中平均の自己資本ベース・決算短信の公表値)と高い水準です(2026年3月期 決算短信p.1)。

自己資本比率68.9%・実質無借金。現金等は10年で約4.9倍

自己資本比率は68.9%と基準の40%を大きく上回り、借入金のない実質無借金の財務です。現金等も6.7億円から33.1億円へ約4.9倍になり、配当を払い続ける土台は厚くなっています。

いっぽうで、営業CFの振れ方や来期の利益予想には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。

第一に、営業CFが過去10年で2回マイナスになった点です。2019年3月期(▲8.7億円)と2023年3月期(▲4.3億円)で、8指標で唯一の未達でした。売上債権の回収時期によって年ごとの振れが大きい構造は、今後も続く可能性があります。直近3年は30億円以上のプラスが続いており、この安定が保たれるかが確認点です。

第二に、三菱重工グループなど特定の取引先との結びつきが強い点です。三菱重工業は発行済株式の31.21%を持つ筆頭株主で、有価証券報告書に記載の主要な顧客も三菱重工業と日本アイ・ビー・エムです(決算説明資料p.3、IRBANK)。特定の取引先のIT投資の動向に業績が左右されやすい構造です。また大株主の上位2者(三菱重工業と菱友社員持株会)で株式の51.64%を持ち、時価総額も約336億円(株価2,632円×発行済株式数12,779,712株で自前計算)と、市場で売買される株式は多くありません。

第三に、2027年3月期は増収でも減益の予想である点です。売上高450.0億円(前期比+4.1%)に対し、営業利益は54.5億円(同▲0.7%)とほぼ横ばい、純利益は36.0億円(同▲7.9%)の減少見込みです(2026年3月期 決算短信p.2)。会社は生成AIや情報セキュリティなど新領域への研究開発・製品開発投資を積極的に行う計画で(同p.4)、前期には固定資産売却益などの特別利益1.0億円もありました(同p.7)。進捗として、第1四半期は売上高98.5億円(前年同期比▲3.0%)・営業利益7.4億円(同▲16.3%)・純利益4.7億円(同▲24.8%)の減収減益で始まりましたが、通期予想は据え置かれています(2027年3月期 第1四半期決算短信)。


まとめ

菱友システムズ(4685)は、2026年3月期で11年連続増配となった、8指標のうち7つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 11年連続増配。年平均約21.0%のペースで、2027年3月期も100円へ増配予想
✅ 売上・利益とも過去最高を更新。営業利益率は10年で5.5%→12.7%へ改善
✅ 自己資本比率68.9%・実質無借金。現金等は10年で約4.9倍

【留意点】
・営業CFは過去10年で2回マイナス(8指標で唯一の未達)。回収時期で振れやすい
・三菱重工グループなど特定の取引先への依存。市場で売買される株式も多くない
・2027年3月期は増収でも減益予想。第1四半期は減収減益で始まった(通期予想は据え置き)

3月と9月に配当の権利が確定する銘柄です。予想配当利回りは3.80%で、速い増配ペースと営業CFの安定度をあわせて見ていきたい1社です。


連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。

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※業績・配当・財務の数値は、菱友システムズの2026年3月期 決算短信(2026年4月28日)、2026年3月期 決算説明資料(2026年4月)、2027年3月期 第1四半期決算短信(2026年7月31日)およびIRBANKに基づきます(通期の連結業績・配当の状況・2027年3月期予想は2026年3月期 決算短信p.1〜p.2、キャッシュ・フローの概況と指標トレンドは同p.3、今後の見通しは同p.4、連結貸借対照表は同p.5・p.6、連結損益計算書・特別利益は同p.7、連結キャッシュ・フロー計算書は同p.11、セグメント情報・1株当たり情報は同p.16。会社概要・大株主・事業内容は決算説明資料p.3・p.4、決算ハイライトは同p.5、売上原価率は同p.10、配当方針・配当予想は同p.17)。株式併合・分割の効力発生日(2017年10月1日・2021年1月1日・2025年10月1日)は、IRBANKの資本異動情報と、株式分割に関する適時開示(2020年11月26日「株式分割および定款の一部変更ならびに配当予想の修正に関するお知らせ」、2025年7月31日公表の株式分割のお知らせ)で確認しています。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年8月5日時点)です。時価総額は株価2,632円と期末発行済株式数12,779,712株から桃モアイが算出しています(媒体によっては異なる基準を使うため、値が異なる場合があります)。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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