【13年連続増配】インテージホールディングス(4326)を8指標分析

インテージホールディングス(4326)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年8月24日

13年連続増配・メーカーの業界標準とされるパネル調査を持つ市場調査の大手「インテージHD」

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。「SRI+(全国小売店パネル調査)」などのパネルデータで、私たちの毎日の買い物を数字にしている会社があります。2023年10月にNTTドコモとの資本業務提携でグループ入りし、データ連携を軸に事業を広げています。

今回は12月・6月に配当権利が確定する連続増配株の1社、インテージホールディングス(証券コード:4326)を私独自の8指標で分析しました。

結論から言うと、インテージホールディングスは8つの指標のうち6つをクリアしました。13年連続の増配と堅実な財務が強みですが、EPS(1株あたりの利益)と配当性向の2つは基準に届きませんでした。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年8月21日時点の値です
📊 財務指標は2026年6月期(実績)の数値を使用しています


インテージホールディングスとはどんな会社?

インテージホールディングスは、1960年に「社会調査研究所」として創業したマーケティングリサーチ(市場調査)の大手です。2001年に株式を上場し、2013年に持株会社化して現在の社名になりました。強みは、調査対象を固定して継続的にデータを集めるパネル調査です。小売店パネル「SRI+」や消費者パネル「SCI」を提供し、会社はこれを「メーカーの業界標準」と位置づけています。継続して利用する顧客は約400社です(決算説明会資料p.17)。

事業はマーケティング支援(消費財・サービス)・マーケティング支援(ヘルスケア)・ビジネスインテリジェンスの3セグメントです。2026年6月期の売上構成は消費財・サービスが70.3%、ヘルスケアが18.8%、ビジネスインテリジェンスが11.0%です(決算短信。構成比は四捨五入のため合計は100%になりません)。

2026年6月期は売上高671億円(前の年より2.3%増)、営業利益57.5億円(同35.6%増)の増収増益でした。営業利益は会社の通期予想56億円を上回り、過去最高の水準です。いっぽうで純利益は、子会社ののれんなどの減損損失により前の年より51.4%減りました(決算短信)。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証プライム
業種:情報・通信業
決算月:6月
連続増配:13年(2026年6月期時点)
現在の株価:1,925円(2026年8月21日時点)
予想配当利回り:2.60%(2027年6月期 会社予想配当50円ベース)
配当権利確定:12月・6月(年2回)


配当情報

インテージホールディングスは増配を続けていて、2026年6月期で13年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2026年6月期の実績で48円です(中間24円・期末24円)。2027年6月期の会社予想は50円(中間25円・期末25円)で、実施されれば14期連続の増配となります。

会社は2026年8月に配当方針を変更しました。第15次中期経営計画(2027年6月期〜2031年6月期)の期間は、DOE(自己資本配当率)5.0%を下限とし、配当を累進的(減配せず、維持または増配する方針)とすることを掲げています(決算説明会資料p.26)。利益が落ち込んだ年でも配当を維持しやすい方針といえます。

利益に対する配当の割合(配当性向)は107.7%で、桃モアイ基準の50%以下を大きく超えました。減損損失により純利益が落ち込んだためで、利益を上回る配当を出した形です。なお2027年6月期の予想ベースでは47.8%に戻る見込みです。この点は「投資の留意点」で説明します。

📌 インテージホールディングスは2017年10月1日付で1株→2株の株式分割を実施しています(過去10年で1回。このほか10年より前の2013年10月1日付にも1株→2株)。本記事の配当額・EPSは、すべての分割をさかのぼって調整した「分割調整後」の基準で記載しています(株価は実際の取引価格のため調整しません)。

項目 内容
株価 1,925円(2026年8月21日時点)
予想配当利回り 2.60%(2027年6月期 会社予想配当50円ベース)
連続増配年数 13年(2026年6月期時点)
配当性向 107.7%(2026年6月期 実績)

出典:株価は東証終値(2026年8月21日時点)、配当・配当性向は決算短信。予想配当利回りは2027年6月期の会社予想配当(1株50円)に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2026年6月期の実績(調整後48円÷EPS44.58円=107.7%)で、決算短信の公表値と一致しています。連続増配年数は、2013年3月期が調整後12.5円の据え置きだったため、2014年3月期を増配1年目として実績ベースで13年と数えています(決算期変更後の2020年6月期〔15か月の変則決算〕も1期として数えています)。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年6月期)です。

インテージホールディングス 1株あたりの配当の推移 13年連続増配

1株あたりの配当は、2017年3月期の17.5円から2026年6月期の48円まで増えました(分割調整後)。毎年ならすと約11.9%ずつ増やしてきた計算です。2027年6月期は48円→50円と、約4.2%の増配予想です。


8指標分析の結果

ここからは、インテージホールディングスを私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 インテージHD 判定
売上高 増加傾向 480億円→671億円(過去10年で約1.4倍)
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 71.91円→44.58円(2026年6月期に▲51.5%の急落)
営業利益率 5%以上 8.6%(直近期・実績)
自己資本比率 40%以上 70.9%(直近期・実績)
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 全期間プラス(過去10年のレンジは19.7億〜70.3億円)
現金等 増加傾向 104.2億円→173.4億円(過去10年で約1.7倍)
1株あたりの配当 10年以上連続増配 13年連続増配
配当性向 50%以下 107.7%(直近期・実績)

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年6月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明会資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標のうち6つをクリア。EPSは2026年6月期に▲51.5%と単年▲30%超の急落があり(2020年6月期も▲39.6%、2024年6月期も▲29.3%)、「安定して増加傾向」の基準に届きませんでした。配当性向107.7%も50%以下の基準を超えています。どちらも、減損損失17.8億円と投資有価証券評価損6.1億円という一時的な費用が主な原因です(詳細は「投資の留意点」)。決算期の変更により、2020年6月期は15か月の変則決算です。EPSは決算短信の1株当たり当期純利益(44円58銭)を使用しています。2018年3月期の配当性向はIRBANK上に表示がないため、調整後の年間配当20円÷EPS76.08円=26.3%として桃モアイが算出しました。金額は、売上高は億円未満を四捨五入し、営業CF・現金等は小数第一位までを四捨五入して表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年3月期〜2026年6月期実績+2027年6月期予想)

ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。グラフは2017年3月期〜2026年6月期の実績で、会社予想のある系列は2027年6月期の予想もグレーで示しています。なお同社は決算期を3月から6月へ変更したため、2020年6月期は15か月の変則決算です。前後の年との増減は単純比較できない点に注意してください。

売上高と営業利益率

売上高は、2017年3月期の480億円から2026年6月期の671億円へと、過去10年で約1.4倍に増えました。2020年6月期の大きな増加(23.9%増)と翌2021年6月期の減少(▲13.9%)は、15か月の変則決算の影響を含みます。2026年6月期は、パネル調査の値上げや新規契約、カスタムリサーチの案件獲得が寄与し、前の年より2.3%増えました。ただし会社の通期予想700億円には届きませんでした(決算説明会資料p.9)。

営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は過去10年5.2〜8.9%で推移し、直近は8.6%と基準の5%以上をクリアしています。2026年6月期は、主力パネル調査「新SCI」への切替が完了して二重コストが解消したことなどにより、営業利益が35.6%増えました(決算説明会資料p.5)。2027年6月期の会社予想は8.7%です。

インテージホールディングス 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株あたりの利益)と配当性向

EPS(1株あたりの利益)は、過去10年で71.91円から44.58円へと減りました。過去10年のピークは2025年6月期の91.83円で、直近はその半分以下の水準です。2026年6月期は▲51.5%の急落で、桃モアイ基準に届きませんでした。2020年6月期にも▲39.6%、2024年6月期にも▲29.3%の落ち込みがあり、利益の振れが大きい点が特徴です。2027年6月期の会社予想は104.68円と、過去10年で最も高い水準を見込んでいます。

配当性向は過去10年おおむね24〜70%で推移してきましたが、2026年6月期は107.7%と基準の50%を大きく超えました。純利益が減損損失で落ち込んだ一方、配当は48円へ増やしたためです。2027年6月期の会社予想は47.8%です(グラフの破線)。

インテージホールディングス EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスでした(レンジは19.7億〜70.3億円。最小は2024年6月期、最大は2020年6月期)。2026年6月期は40.8億円で、前の年の64.3億円から減りました。減損損失は現金の支出をともなわないため利益ほどは落ちておらず、減少の主な理由は法人税等の支払額が増えたことです(決算短信)。現金等(手元の現金)は、2017年3月期の104.2億円から2026年6月期の173.4億円へと過去10年で約1.7倍に増えました。

インテージホールディングス 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年60.3〜71.1%で推移し、直近は70.9%です。基準の40%以上を大きく上回ります。2026年6月期には残っていた長期借入金1億円を返済し、借入金はゼロになりました。減損損失を計上した年でも自己資本の額は増えており、堅実な財務が保たれています(決算短信)。なお自己資本は純資産から非支配株主持分などを除いた額で、IRBANK等に載る「株主資本」(その他の包括利益累計額を含まない、より狭い概念)とは別の数字です。

インテージホールディングス 自己資本比率の推移


注目ポイント

営業利益は過去最高水準、収益性が大きく改善

2026年6月期の営業利益は57.5億円で、前の年より35.6%増えました。会社の通期予想56億円も上回っています。主力パネル調査の値上げと新規契約に加え、新SCIへの切替完了で二重コストが解消したことが寄与しました(決算説明会資料p.5)。営業利益率は8.6%と、過去10年で2番目に高い水準です。

第15次中計でData Tech領域へ、5年で売上1,100億円を計画

会社は2027年6月期から2031年6月期までの第15次中期経営計画を策定しました。従来の業界別セグメントを、リサーチを深めるInsightと、顧客のデータ活用を支えるData Techの2つに再編します。計数目標は、売上高を2026年6月期の670億円から1,100億円へ、営業利益を57億円から125億円へ引き上げる計画です(決算説明会資料p.15)。パネルデータをAIで扱いやすい形に広げる「AIデータプラットフォーム」を主要な成長ドライバーに据えています(同p.17)。

配当方針をDOE5.0%下限の累進配当へ変更

配当方針も中計に合わせて変わりました。従来の「連結配当性向50%を目指す」から、DOE(自己資本配当率)5.0%を下限とする累進的な配当へ切り替えています(決算説明会資料p.26)。利益の振れに左右されにくく、減配せずに配当を維持または増やす方針です。2027年6月期は50円の増配予想で、実施されれば14期連続の増配となります。

いっぽうで、利益(EPS)や配当性向には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。

第一に、EPSが安定せず、2026年6月期に大きく落ち込んだ点です。純利益は17.03億円と前の年より51.4%減り、EPSは91.83円から44.58円になりました。原因は減損損失17.8億円と投資有価証券評価損6.1億円です。減損の内訳は、子会社リサーチ・アンド・イノベーション関連ののれん等が14.4億円、旧長野事業所関連が3.3億円、その他0.1億円です(決算説明会資料p.4)。2020年6月期に▲39.6%、2024年6月期に▲29.3%の落ち込みもあり、利益の振れが大きいことが基準未達の理由です。

第二に、配当性向が107.7%と、基準の50%を大きく超えた点です。その年の利益を上回る配当を出した形で、手元の資金や過去の利益の蓄えから配当を払っています。会社は2027年6月期に純利益40億円(134.9%増)・配当性向47.8%への回復を見込んでいますが、これは減損の反動を前提とした計画です。新方針のDOE5.0%下限は利益が落ち込んだ年でも配当を維持しやすいいっぽうで、配当性向は跳ね上がりやすくなります。実力ベースの利益が計画どおり伸びるかが、増配を続けるカギになります。

第三に、NTTドコモの連結子会社である点と、2027年7月に予定するグループ再編です。2023年10月の資本業務提携でNTTドコモのグループ会社となっており、親会社の経営方針の影響を受けやすく、少数株主と利益が相反する可能性があります(いっぽうで、成長戦略はドコモ連携が軸でもあります)。また2027年7月1日付で子会社3社を吸収合併し、純粋持株会社から事業持株会社へ移行する方針です(決算説明会資料p.19)。再編には一定の費用が見込まれており、移行期の業績の振れには注意が必要です。


まとめ

インテージホールディングス(4326)は、2026年6月期で13年連続増配となった、8指標のうち6つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 営業利益57.5億円(35.6%増)と過去最高水準、営業利益率8.6%
✅ 第15次中計でData Tech領域へ、2031年6月期に売上1,100億円・営業利益125億円を計画
✅ 自己資本比率70.9%・借入金ゼロ、DOE5.0%下限の累進配当へ方針変更

【留意点】
・EPSは2026年6月期に▲51.5%、減損損失17.8億円などが影響
・配当性向は107.7%と基準の50%を大きく超過
・NTTドコモの連結子会社で、2027年7月にグループ再編(事業持株会社化)を予定

12月・6月に配当の権利が確定する銘柄です。予想配当利回りは2.60%で、一時的な費用がはく落する2027年6月期に利益と配当性向が戻るかを確認していきたい1社です。


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※業績・セグメント・キャッシュフロー・貸借対照表・配当の数値は、インテージホールディングスの2026年6月期 決算短信(2026年8月5日)および決算説明会資料(2026年8月7日/特別損失の内訳p.4、営業利益変動要因p.5、第14次中計の振り返りp.9、第15次中計 計数目標p.15、AIデータプラットフォームp.17、グループ再編p.19、配当方針p.26)に基づきます。過去10年の売上高・EPS・営業利益率・営業CF・現金等・自己資本比率・配当性向はIRBANKと決算短信を突合し、増減率の機械照合で確認しています。EPSは決算短信の1株当たり当期純利益(44円58銭)を使用しています。2018年3月期の配当性向はIRBANK上に表示がないため、調整後の年間配当20円÷EPS76.08円=26.3%として桃モアイが算出しました。株式分割(2013年10月1日付・2017年10月1日付、各1株→2株)は有価証券報告書(第46期)の注記に基づきます。株価は東証終値(2026年8月21日時点)、予想配当利回りは会社予想配当50円をもとに桃モアイが算出しました。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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