最終更新日:2026年7月19日
13年連続増配・独立系ITコンサル大手「フューチャー」
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。金融機関向けの基幹システム「次世代バンキングシステム」を自社の知財として持つ、独立系(特定の大手メーカーの系列に属さない)のITコンサルティング大手があります。営業利益率は21%を超え、売上は過去10年で約2.3倍に伸びました。
今回は6月・12月に配当権利が確定する連続増配株の1社、フューチャー(証券コード:4722)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、フューチャーは8つの指標をすべてクリアしました。13年連続の増配と高い収益性が強みです。いっぽうで、M&Aで変わった財務の姿など確認しておきたい点もあります。このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年7月16日時点の値です
📊 財務指標は2025年12月期(実績)の数値を使用しています
フューチャーとはどんな会社?
フューチャーは、1989年設立の独立系ITコンサルティング会社です。経営とITの両面から企業の改革を支援し、持株会社のもとに中核のフューチャーアーキテクトなどを抱えます。事業は「ITコンサルティング&サービス事業」と「ビジネスイノベーション事業」の2つで、売上の約9割をITコンサル事業が占めます(2026年12月期第1四半期・外部顧客への売上高ベース)。
顧客の業種はサービス36.6%・流通21.7%・金融19.4%・製造12.6%・官公庁等9.7%と幅広い構成です(ITコンサル事業・2026年12月期第1四半期、決算説明会資料p.8)。金融機関向けの「次世代バンキングシステム」「FutureBANK」など、自社開発のソフトウエア資産(知財)を持つことが特徴です。ビジネスイノベーション事業では、月刊誌の東京カレンダーやスポーツ向けデータ分析のライブリッツなどを手がけています。
2025年12月期の売上高は759億円(前の年より約8.8%増)で、2021年12月期から5期連続の増収です。2026年12月期は売上806億円・営業利益175億円(それぞれ約6.1%増・約8.2%増)を計画し、第1四半期は増収増益と概ね想定どおりに進んでいます(決算短信・決算説明会資料p.13)。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:情報・通信業
決算月:12月
連続増配:13年(2025年12月期時点)
株価:2,150円(2026年7月16日時点)
予想配当利回り:2.23%(2026年12月期 会社予想配当48円ベース)
配当権利確定:6月・12月(年2回)
配当情報
フューチャーは増配を続けていて、2025年12月期で13年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2025年12月期の実績で分割調整後46円です(中間23円・期末23円)。2026年12月期の会社予想は48円(中間24円・期末24円)で、実施されれば14期連続の増配となります。
利益に対する配当の割合(配当性向)は、2025年12月期の実績で34.8%と、桃モアイ基準の50%以下をクリアしています。会社は2026年12月期も、配当性向36.1%にあたる年間48円を公表しています(決算説明会資料p.15)。
📌 フューチャーは2022年1月1日(効力発生日)に1株→2株の株式分割を実施しています(過去10年で1回)。本記事の配当額・EPSは、2013年6月の1株→100株など過去の分割も含めてさかのぼって調整した「分割調整後」の基準で記載しています(株価は実際の取引価格のため調整しません)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 2,150円(2026年7月16日時点) |
| 予想配当利回り | 2.23%(2026年12月期 会社予想配当48円ベース) |
| 連続増配年数 | 13年(2025年12月期時点) |
| 配当性向 | 34.8%(2025年12月期 実績) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月16日時点)、配当・配当性向はIRBANKおよび決算短信。予想配当利回りは2026年12月期の会社予想配当(分割調整後1株48円)に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2025年12月期の実績(46円÷EPS132.1円=34.8%)です。連続増配年数は、2012年12月期が調整後7.5円の据え置きだったため、2013年12月期を増配1年目として実績ベースで13年と数えています。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2026年12月期)です。

1株あたりの配当は、2016年12月期の12.5円から2025年12月期の46円まで増えました(分割調整後)。毎年ならすと約15.6%ずつ増やしてきた計算です。2025年12月期も42円→46円と約9.5%の増配で、増配の勢いが続いています。
8指標分析の結果
ここからは、フューチャーを私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | フューチャー | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 336億円→759億円(過去10年で約2.3倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 24.7円→132.1円(過去10年で約5.3倍) | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 21.3%(直近期・実績) | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 64.4%(直近期・実績) | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(過去10年のレンジは24.6億〜106.8億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 117.6億円→328.0億円(過去10年で約2.8倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 13年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 34.8%(直近期・実績) | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標です。
※財務指標は2025年12月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明会資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標すべてをクリアしました。EPSはIRBANKの分割調整後系列(決算短信ベース)を使用しています。金額は原則として億円未満を切り捨て、営業CF・現金等は0.1億円単位(四捨五入)で表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2016年〜2025年実績+2026年予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。グラフは2016年12月期〜2025年12月期の実績で、会社予想のある系列は2026年12月期の予想もグレーで示しています。
売上高と営業利益率
売上高は、2016年12月期の336億円から2025年12月期の759億円へと、過去10年で約2.3倍に増えました。2020年12月期に小幅に減りました(前の年より約2.4%減)が、2021年12月期からは5期連続の増収です。2026年12月期の会社計画は806億円(約6.1%増)です。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、10.8%から直近21.3%へ高まりました。2022年12月期以降は21〜23%台が続き、基準の5%以上を大きく上回ります。2026年12月期の会社計画は21.7%です。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPS(1株あたりの利益)は、過去10年で24.7円から132.1円へと約5.3倍に増えました。途中の減少は2020年12月期の約16.1%減が最大で、▲30%を超える急落は一度もありません。安定した右肩上がりで、桃モアイ基準をクリアしています。2026年12月期の会社予想は133.1円です。
配当性向は、2016年12月期の50.6%が基準の50%をわずかに上回りましたが、それ以降はおおむね31〜47%で推移しています。直近の34.8%は、増配の余力を残した水準です。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスでした(レンジは24.6億〜106.8億円。最小は2017年12月期、最大は2024年12月期)。2022年12月期以降は75.7億〜106.8億円と、一段高い水準で推移しています。現金等(手元の現金)は、2016年12月期の117.6億円から2025年12月期の328.0億円へと約2.8倍に増えました。2017年12月期に一時94.8億円へ減りましたが、以降は8期連続の増加です。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年60.3〜77.8%で推移し、直近は64.4%です。基準の40%以上を大きく上回ります。2024年12月期に77.8%から60.3%へ下がったのはリヴァンプの子会社化によるもので(後述)、その後64.4%まで戻しています。

注目ポイント
営業利益率21%台の高い収益性
フューチャーは、売上を5期連続で伸ばしながら営業利益率も21%台へ高めてきました。「増収しながら利益率も上げる」成長が続いています。2026年12月期第1四半期も増収増益で、通期計画への進捗は概ね想定どおりです(決算説明会資料p.13)。
「次世代バンキング」などの知財がストック収益に
金融機関向けクラウド型基幹システム「次世代バンキングシステム」は、SBI新生銀行への新規導入が決定しました(決算短信)。すでに福島銀行・島根銀行で稼働しており、構築中の案件が順次稼働することでライセンス収入が積み上がる見込みです。地域金融機関向けの「FutureBANK」も毎年3〜4行のペースで新規獲得が続きます(決算説明会資料p.21)。デジタル庁の医療DX(デジタル変革)など官公庁案件も増えています(同p.8)。
増配を支える現金創出力と厚い手元資金
営業CFは過去10年すべてプラスで、手元の現金等は328.0億円まで積み上がりました。この現金創出力を土台に、年平均約15.6%のハイペースで増配を続けています。配当性向は35%前後にとどまり、還元の余力を残しています。
いっぽうで、M&Aで変わった財務の姿や、人材・AIをめぐる事業環境には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、リヴァンプの子会社化で財務の姿が変わった点です。2024年3月に経営支援会社リヴァンプの全株式を取得し、資金は借入でまかないました(会社適時開示・2024年3月18日)。この影響で自己資本比率は77.8%から60.3%へ低下しました(直近は64.4%へ回復)。2026年3月末時点で、のれん102億円・顧客関連資産91億円を計上し、長期の借入金は1年内返済分を含め142億円あります(四半期決算短信)。のれん・顧客関連資産の償却費は四半期で約3.9億円発生し、利益を継続的に押し下げます(決算説明会資料p.5)。
第二に、成長がコンサル人材の確保と高い稼働率に支えられている点です。会社は深刻な人手不足を事業環境の課題として開示しています(決算短信)。グループの人員は3,607人とほぼ横ばいの一方(決算説明会資料p.16)、プロジェクトの稼働率は通常の82〜83%に対し87%と高水準です(同p.26)。第1四半期の採用費も前年同期の2倍超に増えました。人材の確保・育成が計画達成のカギになります。
第三に、AIがIT業界の勢力図を変えつつある点です。決算短信は、AIによる自律的なソフトウエア開発の実証を受けて「SaaS不要論」が広がり、AIに代替される企業と、AIで新たな価値を生む企業との選別が進む可能性を開示しています。会社自身はAI投資を前期比で倍増させ、開発での活用で明確な効果を確認しています(決算説明会資料p.24)。また周辺のビジネスイノベーション事業は営業赤字が続き、YOCABITOは事業譲渡も含めた検討中です(同p.18)。AI時代に選ばれる側であり続けられるかが問われます。
まとめ
フューチャー(4722)は、「次世代バンキングシステム」などの知財を強みに営業利益率21%台を稼ぐ独立系ITコンサル大手で、2025年12月期で13年連続増配となった、8指標をすべてクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 売上は10年で約2.3倍・営業利益率21.3%の高い収益性
✅ 次世代バンキングなどの知財が、ストック型のライセンス収入に
✅ 13年連続増配・年平均約15.6%の増配ペースと厚い手元資金
【留意点】
・リヴァンプ子会社化でのれん・借入が増え、自己資本比率は60%台へ低下
・深刻な人手不足のなか、成長は人材の確保と高い稼働率が前提
・AIによるIT業界の選別が進む可能性、ビジネスイノベーション事業は営業赤字
6月・12月に配当の権利が確定する銘柄です。AIの波が追い風になるか逆風になるか、知財収益の積み上がりとあわせて、これからの決算でチェックしていきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・セグメント・配当予想・貸借対照表の数値は、フューチャーの2026年12月期第1四半期決算短信および決算説明会資料(決算ハイライトp.3、バランスシートp.5、業種別売上p.8、通期業績見通しp.13、5期推移p.14、期末配当p.15、人員推移p.16、質疑応答p.18〜26)に基づきます。過去10年の売上高・EPS・営業利益率・営業CF・現金等・自己資本比率・配当性向はIRBANKと会社開示を突合し、増減率の機械検算で全数値の一致を確認しています。2022年12月期の配当性向はIRBANK上に表示がないため、調整後の年間配当37円÷EPS104.34円=35.5%として桃モアイが算出しました。リヴァンプの連結子会社化と資金の借入は会社適時開示(2024年3月18日)、株式分割は会社開示の効力発生日(2022年1月1日)に基づきます。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月16日時点)によります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

