最終更新日:2026年7月21日
13年連続増配・MLCC世界首位級の電子部品大手「村田製作所」
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。スマートフォンやサーバーの中に、米粒より小さな部品が数百〜千個も入っているのをご存じでしょうか。その代表格が積層セラミックコンデンサ(MLCC)で、村田製作所は世界シェア首位級を握る電子部品の大手です。
今回は9月・3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、村田製作所(証券コード:6981)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、村田製作所は8つの指標のうち6つをクリアしました。13年連続の増配と、実質無借金の堅い財務が強みです。いっぽうでEPS(1株あたりの利益)と配当性向には、確認しておきたい点があります。理由は、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年7月17日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています
村田製作所とはどんな会社?
村田製作所は、1944年に京都で創業した電子部品の大手メーカーです。主力は積層セラミックコンデンサ(MLCC)で、電気をためて放す小さな部品として、世界シェア首位級を持ちます。スマートフォンからデータセンターのサーバー、自動車まで、電子機器のほぼすべてに使われます。企業スローガンは「Innovator in Electronics」です。
2026年3月期の売上構成は、コンデンサが51.1%、高周波・通信が21.6%、インダクタ・EMIフィルタが12.2%、エナジー・パワーが8.4%、機能デバイスが5.9%、その他が0.8%です(決算説明資料の事業別セグメント売上収益)。近年はサーバー向けを中心にデータセンター関連の需要が急拡大し、コンデンサがけん引役になっています。
2026年3月期は、売上収益1兆8,309億円(前の年より5.0%増)、営業利益2,818億円(0.8%増)と、増収増益でした。売上収益は2022年3月期以来4期ぶりに過去最高を更新しました。データセンター向けのコンデンサ需要が伸びた一方、表面波フィルタ事業ののれん減損▲438億円などの一時費用が利益を押し下げました(決算説明資料p.16)。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:電気機器
決算月:3月
連続増配:13年(2026年3月期時点)
株価:7,632円(2026年7月17日時点)
予想配当利回り:0.92%(2027年3月期 会社予想配当70円ベース)
配当権利確定:9月・3月(年2回)
配当情報
村田製作所は増配を続けていて、2026年3月期で13年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2026年3月期の実績で65円です(中間30円・期末35円)。2027年3月期の会社予想は70円(中間35円・期末35円)で、実施されれば14期連続の増配となります。
会社はDOE(株主資本配当率)5%の達成を見据えた増配を掲げ、2027年3月期のDOEは4.6%の見込みです。あわせて、過去最大となる1,500億円を上限とする自己株式取得も実行します(決算説明資料p.32)。
利益に対する配当の割合(配当性向)は50.9%で、桃モアイ基準の50%以下をわずかに上回りました。なお2027年3月期の予想ベースでは43.5%と、50%を下回る見込みです。
📌 村田製作所は2019年4月1日付・2023年10月1日付(いずれも効力発生日)で、各1株→3株の株式分割を実施しています(過去10年で2回)。本記事の配当額・EPSは、これらの分割をすべてさかのぼって調整した「分割調整後」の基準で記載しています(株価は実際の取引価格のため調整しません)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 7,632円(2026年7月17日時点) |
| 予想配当利回り | 0.92%(2027年3月期 会社予想配当70円ベース) |
| 連続増配年数 | 13年(2026年3月期時点) |
| 配当性向 | 50.9%(2026年3月期 実績) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月17日時点)、配当・配当性向は決算短信。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当(1株70円)に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2026年3月期の実績(調整後65円÷EPS127.66円=50.9%)で、決算短信の公表値と一致しています。連続増配年数は、2013年3月期が調整後11.11円の据え置きだったため、2014年3月期を増配1年目として実績ベースで13年と数えています。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

1株あたりの配当は、2017年3月期の24.44円から2026年3月期の65円まで増えました(分割調整後)。毎年ならすと約11.5%ずつ増やしてきた計算です。2026年3月期は57円→65円と、約14.0%の増配でした。
8指標分析の結果
ここからは、村田製作所を私独自の8指標で見ていきます。なお私が確認する8つの指標は、売上収益・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
| 指標 | 基準 | 村田製作所 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 増加傾向 | 1兆1,355億円→1兆8,309億円(過去10年で約1.6倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 81.5円→127.7円(2022年3月期のピーク163.7円比78%) | - |
| 営業利益率 | 5%以上 | 15.4%(直近期・実績) | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 85.0%(直近期・実績) | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(過去10年のレンジは2,252億〜4,896億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 2,392億円→6,537億円(過去10年で約2.7倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 13年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 50.9%(直近期・実績) | - |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標のうち6つをクリア。EPSは2022年3月期のピーク163.7円から2024年3月期95.7円まで下がり、直近127.7円がピーク比78%にとどまるため「安定して増加傾向」の基準に届きませんでした(2026年3月期の純利益には、表面波フィルタ事業ののれん減損▲438億円などの一時費用が含まれます)。配当性向は50.9%と基準の50%をわずかに上回りました。自己資本比率は会計基準により表記が異なり、IFRS採用企業ではIRBANK上「株主資本比率」と表示されます。EPSは決算短信の基本的1株当たり当期利益(127.66円)を使用しています(IRBANK表示127.71円とはわずかな差)。金額は表示桁未満を四捨五入して表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年3月期〜2026年3月期実績+2027年3月期予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。グラフは2017年3月期〜2026年3月期の実績で、会社予想のある系列は2027年3月期の予想もグレーで示しています。
売上収益と営業利益率
売上収益は、2017年3月期の1兆1,355億円から2026年3月期の1兆8,309億円へと、過去10年で約1.6倍に増えました。スマートフォン向けの伸び悩みはあるものの、サーバーを中心としたデータセンター関連需要がコンデンサをけん引しています。2026年3月期は前の年より5.0%増え、2022年3月期以来4期ぶりに過去最高を更新しました(決算説明資料)。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は過去10年11.9〜23.4%で推移し、直近は15.4%と基準の5%以上をクリアしています。2026年3月期はのれん減損などの一時費用で伸びが抑えられましたが、2027年3月期の会社予想は19.4%です。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPS(1株あたりの利益)は、過去10年で81.5円から127.7円になりましたが、動きは安定していません。2022年3月期に163.7円のピークをつけた後、2024年3月期には95.7円まで下がりました。ピークから2年で約▲42%の下落で、直近127.7円もピーク比78%にとどまります。この振れの大きさが、桃モアイ基準に届かなかった理由です。2027年3月期の会社予想は161.0円です。
配当性向は過去10年おおむね26〜54%で推移しました。直近の2026年3月期は50.9%と、基準の50%をわずかに超えています。利益が落ち込んだ2024年3月期は54.3%まで上がりました。2027年3月期の会社予想は43.5%です。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスでした(過去10年のレンジは2,252億〜4,896億円。最小は2018年3月期、最大は2024年3月期)。2026年3月期は4,252億円と潤沢です。現金等(手元の現金)は、2017年3月期の2,392億円から2026年3月期の6,537億円へと過去10年で約2.7倍に増えました。稼いだ現金を設備投資と株主還元に回しながら、手元資金も着実に厚くしています。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年75.3〜85.2%で推移し、直近は85.0%です。基準の40%以上を大きく上回ります。社債・借入金は2026年3月期末で33億円と、実質ほぼ無借金の堅い財務です(決算説明資料の連結財政状態計算書)。

注目ポイント
データセンター需要でコンデンサが急拡大、2027年3月期は大幅増益計画
村田製作所の成長の軸は、データセンター向けのコンデンサ需要です。2026年3月期はコンデンサの売上収益が9,364億円(前の年より12.6%増)と伸び、全社の過去最高売上をけん引しました(決算説明資料p.12)。2027年3月期は、売上収益1兆9,600億円・営業利益3,800億円(34.8%増)と、データセンター関連需要を背景に大幅な増収増益を計画しています(同p.21)。
実質無借金の堅い財務と、増配+自己株取得の株主還元
自己資本比率85.0%・現金等6,537億円と、財務は非常に堅い状態です。株主還元では、2027年3月期に年間70円へ増配する計画に加え、過去最大となる1,500億円を上限とする自己株式取得を実行します(決算説明資料p.32)。DOE5%の達成を見据え、資本効率の改善と還元強化を同時に進めています。いっぽうで、利益(EPS)や配当性向には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、EPSの振れが大きく、直近の利益に一時費用を含む点です。EPSは2022年3月期の163.7円をピークに、2024年3月期には95.7円まで下がりました。2年で約▲42%の下落です。また2026年3月期の純利益には、表面波フィルタ事業ののれん減損▲438億円などの一時費用が含まれます。利益が電子部品の需要サイクルに左右されやすく、右肩上がりとは言い切れないことが、基準未達の理由です。
第二に、配当性向が50.9%と、基準の50%をわずかに上回る点です。2027年3月期の会社予想では43.5%に下がる計画ですが、実績ではEPSの落ち込みに合わせて配当性向が切り上がる年もあります。利益の振れが大きいぶん、配当性向も年によって上下しやすい点は意識しておきたいところです。
第三に、業績が景気やハイテク需要の波を受けやすく、予想利回りも低めな点です。電子部品はスマートフォン・自動車・データセンターなどの需要に左右され、好不況の波(シリコンサイクル)を受けやすい事業です。予想配当利回りは0.92%と、連続増配株の中では低い水準で、配当よりも成長・値上がり益に期待する面が強い銘柄といえます。なお2026年3月にIT環境への不正アクセスが開示されましたが、会社は事業活動への影響は確認されていないとしています(決算説明資料p.3)。
まとめ
村田製作所(6981)は、MLCCで世界シェア首位級の電子部品大手で、2026年3月期で13年連続増配となった、8指標のうち6つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ データセンター需要でコンデンサが急拡大、売上収益は4期ぶりに過去最高を更新
✅ 自己資本比率85.0%・実質無借金・現金等6,537億円の堅い財務
✅ 13年連続増配に加え、過去最大1,500億円の自己株取得で還元強化
【留意点】
・EPSはピークから約▲42%下落し、直近は一時費用を含む(右肩上がりとは言い切れない)
・配当性向は50.9%と基準の50%をわずかに超過
・景気・ハイテク需要の波を受けやすく、予想利回りは0.92%と低め
9月・3月に配当の権利が確定する銘柄です。データセンター需要を追い風にした利益成長が、EPSの安定と配当性向の低下につながるかを、次の本決算でチェックしていきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・セグメント・キャッシュフロー・貸借対照表・配当の数値は、村田製作所の2026年3月期 決算短信〔IFRS〕および2025年度 決算説明会資料(業績概況p.9、事業別セグメントp.12、利益変動要因p.16、業績予想p.21、株主還元p.32、連結財政状態計算書p.37)に基づきます。過去10年の売上収益・EPS・営業利益率・営業CF・現金等・自己資本比率・配当性向はIRBANKと決算短信を突合し、増減率の機械照合で確認しています。EPSは決算短信の基本的1株当たり当期利益(127.66円)を使用しています(IRBANK表示127.71円とはわずかな差)。株式分割(2019年4月1日付・2023年10月1日付、各1株→3株・いずれも効力発生日)は会社IRサイト「株式基本情報」および適時開示に基づきます。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月17日時点)によります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

