【12年連続増配】住友不動産(8830)を8指標分析

住友不動産(8830)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年7月28日

12年連続増配・東京のオフィスビル賃貸が牽引し純利益は13期連続の最高益

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。新宿の高層ビル群、分譲マンションの「シティタワー」、リフォームの「新築そっくりさん」。街で見かけるこれらを手がける会社があります。2026年3月期は既存ビルの空室率が5.8%から4.3%まで下がり、オフィス賃料は最大20%超・平均7%台の値上げが実現しました(決算短信p.3、決算説明資料p.5)。

今回は9月・3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、住友不動産(証券コード:8830)を私独自の8指標で分析しました。

結論から言うと、住友不動産は8指標のうち7つをクリアしました。12年連続の増配と、売上・利益すべてが過去最高となった2026年3月期の実績が特徴です。いっぽうで、残る1つの自己資本比率は基準に届きませんでした。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年7月27日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています


住友不動産とはどんな会社?

住友不動産は、東京都新宿区に本社を置く総合不動産会社です。1970年10月に東京証券取引所へ上場し、現在は東証プライムに上場しています。事業は、オフィスビルや賃貸マンションを貸す「不動産賃貸」、分譲マンション・戸建を売る「不動産販売」、リフォームと注文住宅の「ハウジング」、不動産仲介の「ステップ」の4本柱です。

2026年3月期の売上構成は、不動産賃貸が4,580億円と最も大きく、全体の約43%を占めます。次いで不動産販売3,231億円(約31%)、ハウジング1,887億円(約18%)、ステップ746億円(約7%)、その他132億円です(決算短信p.23・外部顧客への売上高)。営業利益では不動産賃貸が2,101億円と全体の約7割を稼ぎます。

直近の動きでは、2026年3月期から「第十次中期経営計画」(2026年3月期〜2028年3月期)に入りました。3か年累計で経常利益9,000億円・純利益6,500億円を掲げ、1年目の進捗率は32〜33%です(決算説明資料p.4)。東京で60万坪、インド・ムンバイで50万坪の開発を並行して進めています(同p.12)。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証プライム
業種:不動産業
決算月:3月
連続増配:12年(2026年3月期時点)
株価:3,781円(2026年7月27日時点)
予想配当利回り:1.38%(2027年3月期 会社予想配当52円ベース)
配当権利確定:9月・3月(年2回)


配当情報

住友不動産は増配を続けていて、2026年3月期で12年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2026年3月期の実績で44円(前期比9円の増配)です。会社は「年8円以上の累進配当」を掲げており、2026年3月期は利益が上振れたため追加の1円を加えた9円の増配となりました(決算説明資料p.5・p.12)。2027年3月期の会社予想は52円で、さらに8円の増配です。予想どおりなら13期連続の増配になります。

📌 株式分割と本記事の基準
住友不動産は2026年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の株式分割を行いました(決算短信p.1)。過去10年で分割はこの1回です。本記事の配当・EPSは、分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額で統一しています。株価は実際の取引価格のため調整していません。
なお2026年3月期の年間配当44円は、決算短信に載る中間42円(分割前の実際の金額)を分割後の21円に置き換え、期末23円と足したものです。

項目 内容
株価 3,781円(2026年7月27日時点)
予想配当利回り 1.38%(2027年3月期 会社予想配当52円ベース)
連続増配年数 12年(2026年3月期時点)
配当性向 19.3%(2026年3月期 実績)

出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月27日時点)、配当は決算短信および決算説明資料。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当52円に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2026年3月期の実績(44円÷EPS228.42円=19.3%)で、決算短信の公表値と一致します。連続増配年数は配当実績ベース(株式分割の調整後)で、2015年3月期を増配1年目として12年と数えています(2010年3月期から2014年3月期までは調整後10円の据え置き)。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

住友不動産 1株あたりの配当の推移 12年連続増配

1株あたりの配当は、2017年3月期の12円から2026年3月期の44円まで増えました。毎年ならすと約15.5%ずつ増やしてきた計算です。とくに2022年3月期以降は22.5円→26円→30円→35円→44円と、増配の幅そのものが年々大きくなっています。


8指標分析の結果

ここからは、住友不動産を私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 住友不動産 判定
売上高 増加傾向 9,251億円→1兆577億円(過去10年で約1.1倍)
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 109.2円→228.4円(過去10年で約2.1倍・毎年増加)
営業利益率 5%以上 28.3%(直近期・実績)
自己資本比率 40%以上 34.4%(直近期・実績)
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 全期間プラス(過去10年のレンジは1,272億〜2,600億円)
現金等 増加傾向 2,679億円→582億円(判定は換金性資産ベース。6,805億円→1兆1,787億円・約1.7倍)
1株あたりの配当 10年以上連続増配 12年連続増配
配当性向 50%以下 19.3%(直近期・実績)

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。2026年3月期は増収増益で、売上高・営業利益・経常利益・純利益のすべてが過去最高でした。8指標のうち7つをクリア。自己資本比率は34.4%と基準の40%を下回りました。現金等は2,679億円→582億円と純減のため、決算短信の貸借対照表で「現金及び預金+有価証券+投資有価証券」を合算して再判定し、6,805億円→1兆1,787億円(約1.7倍)と増えているため✅としています(2026年3月期の投資有価証券1兆1,196億円には非連結子会社・関連会社株式3,010億円を含みます)。
※EPSは決算短信の公表値(2026年3月期228.42円・2025年3月期202.56円)を小数第一位に丸めて表示し(IRBANK表示は2025年3月期202.55円)、金額は億円未満を切り捨てて表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)

ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。年はいずれも3月期です。会社予想のある系列は、いちばん右にグレーで2027年3月期の予想を示しています。

売上高と営業利益率

売上高は、2017年3月期の9,251億円から2026年3月期の1兆577億円へ、過去10年で約1.1倍になりました。伸び幅そのものは緩やかです。2021年3月期はコロナ禍で▲9.5%の減収となりましたが、2025年3月期・2026年3月期は2期連続で過去最高を更新しています。

目を引くのは営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)です。2017年3月期の20.3%から2026年3月期の28.3%まで、10年間ほぼ一貫して上がってきました。売上の約4割を占める不動産賃貸(オフィスビルが中心)は、いったん貸し出せば費用が大きく増えにくいためです。なお2027年3月期の会社予想は売上高1兆700億円・利益率29.9%です。

住友不動産 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株あたりの利益)と配当性向

EPS(1株あたりの利益)は、2017年3月期の109.2円から2026年3月期の228.4円へ約2.1倍になりました。過去10年、1年も減らさずに増え続けています。売上の伸びが約1.1倍にとどまるなかでEPSが2倍を超えたのは、利益率の改善と自己株式の取得が効いているためです。

配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、11.0%から19.3%へ上がってきましたが、基準の50%を大きく下回る水準です。増配を続けながらも、利益の8割は社内に残して開発投資に回しているかたちです。2027年3月期の予想EPSは239.7円で、予想配当性向は21.7%になります。

住友不動産 EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスでした(レンジは1,272億〜2,600億円。最小は2026年3月期、最大は2019年3月期)。直近の2026年3月期が10年で最も小さいのは、分譲マンションの在庫にあたる棚卸資産が1,291億円増えたことと、法人税の支払いが1,023億円に増えたことが主因です(決算説明資料p.22)。

現金等(手元の現金)は、2017年3月期の2,679億円から2026年3月期の582億円まで減りました。賃貸設備投資1,456億円、インド現地法人への出資643億円、自己株式の取得605億円、配当361億円といった支出が重なったためです(同p.22)。ただし現金だけでなく、換金しやすい資産をまとめて見ると姿が変わります。決算短信の貸借対照表(会社の資産と、その元手=借金や自己資本をまとめた表)で現金及び預金と投資有価証券(長期で持つ株や債券など)を合算すると、6,805億円から1兆1,787億円へ約1.7倍に増えています。本記事ではこの合算を「換金性資産」と呼び、8指標の現金等はこれをもとに✅と判定しました。

住友不動産 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2017年3月期の20.2%から2026年3月期の34.4%へ、10年間で14ポイント以上改善しました。ただし基準の40%には届いていません。総資産7兆1,856億円に対し、有利子負債が3兆9,759億円あるためです。ビルや土地という大きな資産を借入で持つ不動産デベロッパーに共通する構造ですが、8指標では例外を設けず「-」としています。

住友不動産 自己資本比率の推移


注目ポイント

12年連続増配。「年8円以上の累進配当」を会社が明言している

1株あたりの配当は2017年3月期の12円から2026年3月期の44円へ、年平均約15.5%のペースで増えました。会社は「年8円以上の累進配当」を継続する方針を示しており、2026年3月期は利益の上振れを受けて9円の増配となりました(決算説明資料p.5・p.12)。累進配当は「減配せず、維持または増配する」という考え方で、配当を受け取る側からすると予想が立てやすい方針です。

2026年3月期は売上・利益すべて過去最高。オフィス賃料の値上げが牽引

2026年3月期は売上高1兆577億円(前期比+4.3%)・営業利益2,991億円(同+10.2%)・純利益2,125億円(同+10.9%)で、いずれも過去最高でした。経常利益は5期連続、純利益は13期連続の最高益更新です(決算短信p.2)。主力の不動産賃貸は、既存ビルの空室率が5.8%から4.3%へ下がり、賃料も最大20%超・平均7%台の値上げが実現しました(同p.3、決算説明資料p.5)。

自己資本比率20.2%→34.4%。政策保有株の縮減目標も2年前倒しで達成

10年前は20%台前半だった自己資本比率が34.4%まで上がりました。利益の積み上げが自己資本を厚くしたためです。あわせて、政策保有株式(取引先との関係維持のために持つ株)の取得価格残高を2,466億円から1,581億円へ884億円減らし、株主資本に対する比率を10%以下に下げる目標を2年前倒しで達成しました(決算短信p.8)。

いっぽうで、財務の重さや手元現金の水準には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。

第一に、自己資本比率が34.4%と基準の40%を下回る点です。総資産7兆1,856億円に対し、有利子負債は3兆9,759億円あります。金利が上がる局面ではこの重さが効いてきます。実際、支払利息は2025年3月期の203億円から2026年3月期は272億円へ増え、2027年3月期は372億円を見込んでいます(決算説明資料p.6)。会社は有利子負債の長期比率94%・固定金利比率81%を確保し、賃料の上昇で金利負担増を吸収できると説明していますが、前提が崩れれば利益を押し下げる要因になります。

第二に、手元の現金が582億円まで減っている点です。2017年3月期の2,679億円から大きく減りました。8指標では投資有価証券を含む換金性資産で見て✅としていますが、その中身の多くは政策保有株式(取得価格1,581億円・時価5,164億円)や、インド現地法人などへの出資を含む非連結子会社・関連会社株式3,010億円です。すぐに現金化できる性質のものばかりではありません。今後も東京とインドで大型開発を続ける計画のため、資金の出入りは注視しておきたいところです。

第三に、予想配当利回りが1.38%と低い点です。連続増配株のなかでは低めの水準です。配当性向が19.3%と控えめで、利益の大半を開発投資に回す方針だからです。株価3,781円は予想PER約15.8倍・PBR約1.41倍(予想EPS239.67円・1株純資産2,675.04円で計算)で、株価が安いから利回りが低いわけではありません。増配のペースは速いものの、いま受け取れる配当額を重視する人には物足りない可能性があります。


まとめ

住友不動産(8830)は、東京のオフィスビル賃貸を主力とする総合不動産会社で、2026年3月期で12年連続増配となった、8指標のうち7つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 12年連続増配。配当は12円から44円へ、年平均約15.5%のペースで増加
✅ 2026年3月期は売上・利益すべて過去最高。純利益は13期連続の最高益
✅ 営業利益率28.3%・配当性向19.3%と、稼ぐ力と増配余力の両方に余裕

【留意点】
・自己資本比率34.4%と基準未達。有利子負債3兆9,759億円と金利上昇の影響
・手元の現金は2,679億円→582億円まで減少
・予想配当利回り1.38%と低め。利益の大半は開発投資へ

9月・3月に配当の権利が確定する銘柄です。「年8円以上の累進配当」がこの先も守られるかを、これからの決算で見ていきたい1社です。


連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。

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※業績・配当・財務の数値は、住友不動産の2026年3月期 決算短信(2026年5月13日)および決算説明資料(2026年5月19日)、平成29年3月期 決算短信、IRBANKに基づきます(過去最高と空室率は短信p.2・p.3、政策保有株式の縮減は同p.8、賃料の値上げ実績と株主還元は説明資料p.5・p.12、支払利息は同p.6、中期経営計画は同p.4、キャッシュ・フローの内訳は同p.22、セグメント別売上高は短信p.23)。換金性資産の合算に用いた貸借対照表の数値は、2017年3月期=現金及び預金2,693億円+投資有価証券4,112億円、2026年3月期=現金及び預金591億円+投資有価証券1兆1,196億円です(いずれも流動資産に「有価証券」の科目はありません)。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月27日時点)です。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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