【12年連続増配】丸全昭和運輸(9068)を8指標分析

丸全昭和運輸(9068)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年7月28日

12年連続増配・工場の構内作業から海外輸送まで一括で請け負う総合物流企業

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。工場に運び込まれる原料、組み立てラインへの部品の供給、できあがった製品の保管と配送。そうした流れをまるごと引き受け、メーカーの生産現場を裏側から支える会社があります。得意分野は化学品や鉄鋼など産業材の物流で、2026年3月期は営業利益が過去最高となりました(決算説明資料p.3)。

今回は9月・3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、丸全昭和運輸(証券コード:9068)を私独自の8指標で分析しました。

結論から言うと、丸全昭和運輸は8指標すべてをクリアしました。12年連続の増配に加え、自己資本比率69.4%・配当性向32.3%と財務にゆとりがあります。いっぽうで、2027年3月期の配当予想や計画の達成度には確認しておきたい点があります。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年7月27日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています


丸全昭和運輸とはどんな会社?

丸全昭和運輸は、横浜市に本社を構える総合物流企業です。1931年に京浜工業地帯で創業し、1961年に株式を上場しました。トラック輸送や倉庫での保管だけでなく、工場構内での移送や組立、港湾荷役、通関、海外輸送までを一括で請け負うのが特徴です。自社で倉庫や車両を持つ「自社アセット主義」を掲げ、顧客ごとに物流をつくり込んでいます(決算説明資料p.21)。

2026年3月期の売上構成は、物流事業が1,293億円と全体の87.0%を占めます。内訳は全売上に対して貨物自動車運送41.1%・倉庫業24.0%・港湾運送11.2%・物流附帯9.9%・鉄道利用運送0.8%です。ほかに工場構内作業を担う構内作業及び機械荷役事業が168億円(11.4%)、建設業や警備業などのその他事業が24億円(1.6%)です(決算説明資料p.9・10)。

直近の動きでは、2025年度から3か年の第9次中期経営計画が2年目に入りました。2028年3月期に売上高1,760億円・経常利益185億円、ROE9〜10%を目指します。3年間で設備投資400億円・M&A枠100億円を計画しています(決算説明資料p.4)。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証プライム
業種:陸運業
決算月:3月
連続増配:12年(2026年3月期時点)
株価:7,790円(2026年7月27日時点)
予想配当利回り:2.70%(2027年3月期 会社予想配当210円ベース)
配当権利確定:9月・3月(年2回)


配当情報

丸全昭和運輸は増配を続けていて、2026年3月期で12年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2026年3月期の実績で210円(中間90円・期末120円、前期比40円の増配)です。いっぽう2027年3月期の会社予想は210円の据え置きです(決算短信p.5)。予想どおりなら、連続増配はいったん12年で止まることになります。

📌 株式併合と本記事の基準
丸全昭和運輸は2018年10月1日付で、普通株式5株を1株にする株式併合を行いました(あわせて単元株式数を1,000株から100株に変更)。株式分割の実施はありません。本記事のEPS・1株あたりの配当は、この併合をさかのぼって調整した「調整後」の金額です。株価は実際の取引価格のため調整していません。

項目 内容
株価 7,790円(2026年7月27日時点)
予想配当利回り 2.70%(2027年3月期 会社予想配当210円ベース)
連続増配年数 12年(2026年3月期時点)
配当性向 32.3%(2026年3月期 実績)

出典:株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月27日時点)、配当は決算短信および決算説明資料。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当210円に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2026年3月期の実績(210円÷EPS651.01円=32.3%)です。連続増配年数は、配当実績ベース(IRBANK・株式併合の調整後)で2015年3月期を増配1年目として12年と数えています(2014年3月期は据え置き)。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

丸全昭和運輸 1株あたりの配当の推移 12年連続増配

1株あたりの配当は、2017年3月期の55円から2026年3月期の210円まで増えました。毎年ならすと約16.1%ずつ増やしてきた計算です。特に2024年3月期以降は130円→170円→210円と、増配のペースが上がっています。


8指標分析の結果

ここからは、丸全昭和運輸を私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 丸全昭和運輸 判定
売上高 増加傾向 1,048億円→1,486億円(過去10年で約1.4倍)
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 247.0円→651.0円(過去10年で約2.6倍)
営業利益率 5%以上 10.4%(直近期・実績)
自己資本比率 40%以上 69.4%(直近期・実績)
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 全期間プラス(過去10年のレンジは64.9億〜171.7億円)
現金等 増加傾向 200.0億円→404.0億円(過去10年で約2.0倍)
1株あたりの配当 10年以上連続増配 12年連続増配
配当性向 50%以下 32.3%(直近期・実績)

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。2026年3月期は増収増益で、営業利益は過去最高でした。8指標はすべてクリアしています。EPSは決算短信の公表値(2026年3月期651.01円・2025年3月期491.24円)を小数第一位に丸めて表示し(IRBANK表示は651.00円)、金額は、億円単位は億円未満を切り捨て、0.1億円単位は表示桁未満を四捨五入して表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)

ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。年はいずれも3月期です。会社予想のある系列は、いちばん右にグレーで2027年3月期の予想を示しています。

売上高と営業利益率

売上高は、2017年3月期の1,048億円から2026年3月期の1,486億円へと、過去10年で約1.4倍に増えました。2021年3月期は建設関連貨物などの落ち込みで減収となりましたが、その後は増収基調が続いています。営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、2017年3月期の5.3%から2026年3月期の10.4%へ、ほぼ一貫して切り上がってきました。料金の適正化と利益率の高い取引の増加が効いています(決算説明資料p.7)。なお2027年3月期の会社予想は売上高1,620億円・利益率10.5%です。

丸全昭和運輸 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株あたりの利益)と配当性向

EPS(1株あたりの利益)は、2017年3月期の247.0円から2026年3月期の651.0円へと約2.6倍になり、過去10年で最高です。単年で30%を超える急落はなく、最大の下げは2021年3月期の▲16.0%にとどまります。2026年3月期が大きく伸びたのは、前期に計上した減損損失26.7億円が今期は1.4億円に縮んだことと、自己株式の取得で株数が減ったためです(決算説明資料p.6、決算短信p.8)。

配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、過去10年17.7〜34.6%で推移し、直近は32.3%です。基準の50%を下回り、増配の余地を残した水準といえます。

丸全昭和運輸 EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスでした(レンジは64.9億〜171.7億円。最小は2017年3月期、最大は2026年3月期)。増益にともなって増加基調が続いています。現金等(手元の現金)は、2017年3月期の200.0億円から2026年3月期の404.0億円へと過去10年で約2.0倍に増えました。2025年3月期は倉庫などの設備投資と自己株式の取得で381.1億円に減りましたが、翌期は404.0億円へ戻しています(決算短信p.4)。

丸全昭和運輸 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年60.2〜69.4%で推移し、直近は69.4%です。基準の40%を大きく上回り、財務の安全性は高い水準です。2026年3月期は利益剰余金が91億円、その他有価証券評価差額金が46億円増えたことで、比率は前期の67.7%から1.7ポイント上がりました(決算短信p.3)。

丸全昭和運輸 自己資本比率の推移


注目ポイント

12年連続増配に自己株買いも上乗せした株主還元

配当は12年連続で増えていて、年平均の増配率は約16.1%です。還元は配当だけではなく、2026年3月期は22億円の自己株式の取得も実施しました(決算短信p.13)。第9次中期経営計画では、3年間で株主還元に130〜150億円を充てる計画です(決算説明資料p.33)。株価7,790円に対する予想配当利回りは2.70%(2026年7月27日時点)です。

営業利益は過去最高。料金の適正化で利益率10.4%へ

2026年3月期は売上高1,486億円(前期比+2.8%)・営業利益154億円(同+5.6%)・純利益126億円(同+29.4%)でした。営業利益は過去最高を更新し、経常利益は2014年3月期から13期連続の増益で、2027年3月期の予想が達成されれば14期連続になります(決算説明資料p.3・19)。M&Aによる新規連結子会社の増加、業務効率化、料金の適正化が寄与しました(同p.6)。

8指標すべてクリア。自己資本比率69.4%の堅い財務

自己資本比率69.4%、営業CFは過去10年すべてプラス、現金等は約2.0倍。8指標はすべて基準を満たしました。成長投資も進めていて、2027年に横浜で開かれる国際園芸博覧会では、商船三井ロジスティクスと共同で推奨物流事業者に選ばれています(決算説明資料p.23)。得意分野の危険物倉庫も、2026年8月に広島倉庫が開設予定です(同p.27)。

いっぽうで、配当の伸び方や計画の達成度には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。

第一に、2027年3月期の予想配当が210円の据え置きである点です。2026年3月期は前期比40円と大きく増配した後で、予想どおりなら連続増配はいったん12年で止まります。会社は配当性向について「3年間の連結ベースで35%以上」を目標に掲げています(決算説明資料p.4)。3年通算での判断となるため単年では測れませんが、初年度の2026年3月期は32.3%、2年目の2027年3月期予想は31.5%と、35%にはまだ距離があります。なお予想利回り2.70%に対し、自前計算のPERは約11.7倍・PBRは約1.06倍(株価7,790円÷予想EPS667.17円、÷1株純資産7,367.82円)で、株価は市場平均と比べて低めの評価にとどまっています。

第二に、2026年3月期が期初計画に届かなかった点です。売上高1,530億円・営業利益160億円の期初計画に対し、実績は1,486億円・154億円と未達でした(決算説明資料p.7)。新規3PL案件の獲得が想定どおりに進まなかったことが理由です(同p.18)。2027年3月期は売上高+9.0%と前期実績(+2.8%)を上回る計画で、達成のハードルは高めです。

第三に、事業環境のリスクです。会社はドライバー不足、同業間の価格競争、原油価格の高止まりと電力料の高騰、特定業界・特定取引先への依存度をリスク要因に挙げています(決算説明資料p.15)。化学品や鉄鋼など産業材の物流が得意分野のため、荷主企業の生産動向の影響を受けやすい面があります。


まとめ

丸全昭和運輸(9068)は、工場の構内作業から海外輸送までを一括で請け負う総合物流企業で、2026年3月期で12年連続増配となった、8指標すべてをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 12年連続増配。配当は55円から210円へ、年平均約16.1%のペースで増加
✅ 2026年3月期は営業利益が過去最高。営業利益率は10.4%に改善
✅ 自己資本比率69.4%・営業CFは10年すべてプラス・配当性向32.3%の堅い財務

【留意点】
・2027年3月期の予想配当は210円の据え置き。連続増配はいったん止まる見込み
・2026年3月期は期初計画に未達。2027年3月期は+9.0%増収と高めの計画
・ドライバー不足やコスト高、特定業界・特定取引先への依存

9月・3月に配当の権利が確定する銘柄です。増配の再開につながる動きを、これからの決算で見ていきたい1社です。


連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。

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※業績・配当・財務の数値は、丸全昭和運輸の2026年3月期 決算短信(2026年5月11日)および決算説明資料(2026年5月20日)、IRBANKに基づきます(営業利益の過去最高と配当実績は説明資料p.3、中期経営計画と配当性向目標は同p.4、増収増益の要因は同p.6、期初計画との比較は同p.7、事業別の内訳は同p.9・10、リスク要因は同p.15、新規案件の状況は同p.18、連続増益は同p.19、株主還元枠は同p.33、国際園芸博覧会は同p.23、広島倉庫は同p.27、自己資本比率は短信p.3、キャッシュ・フローは短信p.4・13、配当方針は短信p.5)。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月27日時点)です。株式併合は会社IR開示(2018年10月1日付・普通株式5株につき1株)によります。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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