最終更新日:2026年8月7日
10年連続増配・オーラルケアに強い日用品大手
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。「クリニカ」のハミガキや「キレイキレイ」のハンドソープ、洗剤の「トップ」など、毎日の暮らしで使う製品をつくる会社があります。2025年にはベトナムで医薬品などを手がけるメラップライオンを100%子会社化し、化学品子会社の譲渡も決めるなど、オーラルケアと海外へ経営資源を集中させています。
今回は6月・12月に配当権利が確定する連続増配株の1社、ライオン(証券コード:4912)を私独自の8指標で分析しました。
結論からいうと、8つのうち7つをクリアしました。EPS(1株あたりの利益)に確認しておきたい点があります。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年8月6日時点の値です
📊 8指標の判定は2025年12月期(実績)の数値です。進捗として2026年12月期第1四半期にも触れています
ライオンとはどんな会社?
ライオンは1891年創業の日用品メーカーです。ハミガキ・ハブラシなどのオーラルケア分野で国内トップの地位にあり、「クリニカ」「システマ」「NONIO」といったブランドを展開しています。ほかにも洗剤の「トップ」、ハンドソープの「キレイキレイ」、解熱鎮痛薬の「バファリン」など、生活に身近な製品を幅広く手がけています。
事業セグメントは、一般用消費財事業・産業用品事業・海外事業の3つです。近年は海外の成長が目立ち、2025年7月に連結化したベトナムのメラップライオン(医薬品など)が新たな柱に加わりました。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:化学
決算月:12月
連続増配:10年(2025年12月期時点)
株価:1,742.5円(2026年8月6日時点)
予想配当利回り:1.95%(2026年12月期予想)
配当権利確定:6月・12月(年2回)
配当情報
ライオンは2025年12月期まで10年連続で増配しています。2015年12月期の10円据え置きを経て、2016年12月期の13円から増配が始まりました。2025年12月期の年間配当は30円(中間15円+期末15円)です。
2026年12月期は前期から4円増配の年間34円(中間17円+期末17円)を会社が予想しています。実施されれば11期連続の増配です。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 株価(2026年8月6日時点) | 1,742.5円 |
| 予想配当利回り(2026年12月期予想) | 1.95% |
| 連続増配年数(2025年12月期時点) | 10年 |
| 配当性向(2025年12月期実績) | 30.1% |
※予想配当利回りは2026年12月期の予想配当34円を2026年8月6日時点の株価で割った値です。配当性向は2025年12月期実績(年間配当30円÷EPS99.74円)。株価の変動により利回りは変わります。
予想利回りは1.95%と低めです。ただこれは、配当性向を30%前後に抑えて利益を成長投資に回しているためで、株価の割高さが主因ではありません(PER約19.3倍・PBR約1.49倍。株価1,742.5円と予想EPS90.38円・BPS1,166.54円から桃モアイが計算)。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2026年12月期)です。

8指標分析の結果
ここからは、ライオンを私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | ライオン | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 3,427億→4,220億円(IFRS系列・過去最高) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 55.13円→99.74円(2023年に単年▲33.3%) | - |
| 営業利益率 | 5%以上 | 8.6% | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 61.1% | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(192億〜436億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 777億→880億円 | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 10年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 30.1% | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2025年12月期(実績)。IRBANKのデータをもとに桃モアイが独自に分析。自己資本比率は会計基準により表記が異なり、IFRS採用企業ではIRBANK上「株主資本比率」と表示されます。なお8指標の「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定しており、一時的な減少はクリア扱いとしています。2025年12月期は増収増益となりました。8指標のうち7つをクリア。EPSは2023年12月期に単年で30%を超える減少があったため、「安定して増加傾向」の基準に届きませんでした。
※ライオンは2018年12月期からIFRSを任意適用しています。本記事の2017年12月期以降の数値はIFRS基準(IRBANKの遡及組替値)、2016年12月期は日本基準です。IFRS採用ですが、売上の表記は会社開示に合わせ「売上高」としています。2025年12月期の営業利益には、ベトナムのメラップライオンの100%子会社化にともなう段階取得差益(一時的な利益)が含まれます。金額は億円未満を切り捨てて表示しています。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2016年〜2025年実績+2026年予想)
売上高と営業利益率
グラフで2016年から2017年にかけて売上が減って見えるのは、会計ルールの変更による見かけの段差です。ライオンは2018年12月期からIFRS(国際会計基準)を任意適用しており、2017年以降の数値はリベート等を売上から差し引くIFRS基準に組み替えられています。実際の減収ではありません。
IFRS基準の系列で見ると、売上高は3,427億円から4,220億円まで着実に増えています。直近は6期連続の増収で、2025年12月期は過去最高を更新しました。国内の高付加価値製品と海外事業の成長が押し上げています。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、過去10年で5.1〜12.4%と波があります。2023年12月期は5.1%まで下がりましたが、その後は2年連続で回復し、2025年12月期は8.6%でした。2026年12月期は9.3%への改善を会社が見込んでいます。

EPS(1株利益)と配当性向
EPSは2016年の55.13円から2025年の99.74円へと、10年で約1.8倍になりました。ただし途中の波が大きく、2023年12月期には77.04円から51.42円へ、単年で33.3%減少しています。原材料価格の高騰などが利益を圧迫した年でした。この単年での大きな急落があるため、8指標のEPSは「-」としています。
2024年以降は2年連続で大きく回復し、2025年12月期の99.74円は2020年のピーク(102.75円)に迫る水準です。なお2026年12月期の予想EPSは90.38円で、減少の見込みです。
配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、おおむね20〜35%の低い水準で推移しています。EPSが急落した2023年12月期だけ50.6%と基準をわずかに超えましたが、2025年12月期は30.1%に戻りました。増配を続ける余力は十分に残っています。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスです。過去10年のレンジは192億〜436億円で、2025年12月期は406億円でした。日用品という安定した商売の強みが、現金創出力に表れています。
現金等は2016年の777億円から2025年の880億円へ増えています。ピークの2020年(1,215億円)からは減っていますが、これは自己株式の取得やM&Aなど、株主還元と成長投資に現金を使ってきたためです。直近の減少の中身は「投資の留意点」でくわしく触れます。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2016年の49.4%から2025年の61.1%へ上昇を続けています。桃モアイ基準の40%を全期間で上回り、直近が最高水準です。有利子負債比率も8.75%と低く、財務の安全性は高いといえます。

注目ポイント
暮らしに欠かせないオーラルケアで国内トップ
ライオンの中核は、ハミガキ・ハブラシなどのオーラルケアです。国内トップの地位にあり、景気に左右されにくい生活必需品のため、需要が安定しています。2025年12月期は高価格帯ハミガキがけん引し、最重点のオーラルヘルスケア分野は4.7%成長しました(2025年度決算説明会)。単価の高い製品へのシフトが、利益率の改善にもつながっています。
増配ペースが加速している
年間配当は10年で13円から30円へ、年平均約9.7%のペースで増えました。増配幅も近年は年1円刻みから、2025年12月期+3円、2026年12月期予想+4円へと広がっています。会社は「毎期の増配を基本」とする方針を示し、自己株式の取得・消却も機動的に検討するとしています。
足元の進捗も順調です。2026年12月期第1四半期は売上高992億円(前年同期比+5.3%)・営業利益62.9億円(同+11.6%)の増収増益で、通期予想は据え置かれています(第1四半期決算短信の業績予想の修正の有無:無)。
財務の健全性が年々高まっている
自己資本比率は10年で49.4%から61.1%へ上昇し、有利子負債は少なめです。営業CFは10年すべてプラスで、安定して現金を生み出しています。この財務力を土台に、ベトナムのメラップライオン買収やオーラルケアへの成長投資など、次の一手を打てる状態です。
いっぽうで、利益(EPS)や来期の予想には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
確認しておきたい点が3つあります。
第一に、EPSに単年での大きな急落があることです。2023年12月期のEPSは77.04円から51.42円へ、1年で33.3%減少しました。原材料価格の高騰などが背景です。10年トレンドでは約1.8倍に増えているものの、この急落があるため、8指標のEPSは「安定して増加傾向」の基準に届かず「-」としています。
第二に、2026年12月期は最終利益が減益予想であることです。売上高4,300億円(前期比+1.9%)・営業利益400億円(同+10.0%)と増収・営業増益の計画ですが、親会社の所有者に帰属する当期利益は250億円(同▲9.4%)の見込みです。2025年12月期の営業利益にメラップライオン100%子会社化にともなう段階取得差益(一時的な利益)が含まれていた反動などが影響します。予想EPSは90.38円に下がり、予想配当性向は37.6%へ高まります(基準の50%以下には収まる水準です)。
第三に、積極投資により現金等が直近で減っていることです。2025年12月期はメラップライオンの子会社化などで投資活動によるCF(設備やシステムなど、将来に向けた投資に使った現金)が434億円の支出となり、現金等は1,022億円から880億円へ13.8%減少しました。フリーキャッシュ・フロー(営業CFから投資を差し引いた現金)も28億円のマイナスです。10年間では現金等は増えており8指標はクリアですが、今後もオーラルケアへの成長投資を優先する方針のため、投資と還元のバランスは確認しておきたいところです。
まとめ
ライオン(4912)は、2025年12月期で10年連続増配となった、8指標のうち7つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ オーラルケア国内トップの安定需要と高付加価値化による収益改善
✅ 年平均約9.7%の増配ペースで、2026年は+4円の34円予想(11期連続へ)
✅ 自己資本比率61.1%・営業CF10年全プラスの堅実な財務
【留意点】
・EPSは2023年12月期に単年▲33.3%の急落があり、8指標では「-」
・2026年12月期は一時的な利益の反動などで最終減益予想(予想配当性向37.6%)
・積極投資により現金等は直近で13.8%減少
権利確定は6月・12月(年2回)。予想配当利回りは1.95%と低めですが、増配の継続力を重視する方は候補に入れて確認してみてください。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※出典:株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年8月6日時点)。財務数値は2025年12月期決算短信〔IFRS〕(2026年2月12日公表)、2026年12月期第1四半期決算短信〔IFRS〕(2026年5月12日公表・業績予想の修正の有無:無)、IRBANKの過去10年データにもとづきます。EPSの実績99.74円・予想90.38円は決算短信の公表値です(IRBANKの予想EPS表示90.36円は自社計算による端数差)。連続増配年数は配当履歴ベースで、2015年12月期の10円据え置きの翌期にあたる2016年12月期(13円)を増配1年目としています。事業・株主還元方針の記述は2025年度決算説明会(2026年2月12日)の内容にもとづきます。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

