最終更新日:2026年8月7日
10年連続増配・日本の「道」を支える舗装材料メーカー、8指標は6つクリア
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。毎日なにげなく歩いたり、車で走ったりしている道路。その舗装に使うアスファルト乳剤で、国内トップクラスのシェアを持つ会社があります(個人投資家向けIRセミナー資料p.16)。2024年10月1日に持株会社体制へ移行し、茨城県つくばみらい市では総投資額約300億円を見込む新工場プロジェクトを進めています(同p.8・p.39)。
今回は3月と9月に配当権利が確定する連続増配株の1社、ニチレキグループ(証券コード:5011)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、ニチレキグループは8指標のうち6つをクリアしました(EPSと配当性向が未達)。10年連続の増配と年平均約14.9%の増配ペース、予想配当利回り3.88%が特徴です。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年8月6日時点の値です
📊 8指標の判定は2026年3月期(実績)の数値です
ニチレキグループとはどんな会社?
ニチレキグループは、東京都千代田区に本社を置く道路舗装材料の会社です。1943年の創業で、東証プライムに上場しています。2024年10月1日付で持株会社体制へ移行し、前身のニチレキ株式会社から現在の社名になりました(個人投資家向けIRセミナー資料p.6・p.8)。
事業の柱は2つです。1つめは、アスファルト乳剤や改質アスファルトなどを作って売る「アスファルト応用加工製品事業」で、売上の32.6%を占めます。2つめは、道路舗装工事や橋の防水工事などを請け負う「道路舗装事業」で、売上の67.0%です(2026年3月期 決算短信p.2)。アスファルト乳剤は、固体のアスファルトを常温でも液状で扱えるようにした材料で、国内初の「カチオン系アスファルト乳剤」を開発したのがこの会社です。改質アスファルトとあわせて国内トップクラスのシェアを持ちます(同セミナー資料p.16・p.18)。
拠点は全国に105か所(2025年7月現在)あり、グループの従業員は1,386名(連結・2025年3月31日現在)です(同セミナー資料p.6〜p.7)。道路や橋の老朽化を背景に、国は2026年度〜2030年度の「第1次国土強靱化実施中期計画」(事業規模20兆円強)を予定していて、公共投資は底堅く推移する見込みです(同セミナー資料p.37、2026年3月期 決算短信p.5)。会社側も、つくばみらい市の新工場「つくばビッグシップ」を2027年度に稼働させる計画です(同セミナー資料p.39)。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:石油・石炭製品
決算月:3月
連続増配:10年(2026年3月期時点)
株価:2,190円(2026年8月6日時点)
予想配当利回り:3.88%(2027年3月期 会社予想配当85円ベース)
配当権利確定:3月・9月(年2回)
配当情報
ニチレキグループは増配を続けていて、2026年3月期で10年連続増配になりました。2026年3月期の実績は年間80円(中間40円・期末40円)です。2027年3月期の会社予想は年間85円(中間40円・期末45円)で、この予想どおりに実施されれば11期連続になります(2026年3月期 決算短信サマリー)。なお2023年3月期の50円には記念配当5円、2024年3月期の70円には記念配当10円が含まれますが、普通配当だけで見ても増配は続いています(個人投資家向けIRセミナー資料p.47)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 2,190円(2026年8月6日時点) |
| 予想配当利回り | 3.88%(2027年3月期 会社予想配当85円ベース) |
| 連続増配年数 | 10年(2026年3月期時点) |
| 配当性向 | 53.4%(2026年3月期 実績) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年8月6日時点)、配当は決算短信。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当85円に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2026年3月期の実績(80円÷EPS149.74円=53.4%)で、決算短信の公表値と一致します。連続増配年数は配当実績ベースで、2017年3月期を増配1年目として10年と数えています(2016年3月期は20円で据え置き、2017年3月期は23円)。過去10年に株式分割・併合はありません。なお2024年10月1日付の持株会社体制への移行は組織再編(会社分割)で、株式分割ではありません。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

1株あたりの配当は、2017年3月期の23円から2026年3月期の80円まで増えました。毎年ならすと約14.9%ずつ増やしてきた計算で、連続増配株のなかでも速いペースです。2027年3月期の予想85円が実施されると、10年前のおよそ3.7倍になります。
8指標分析の結果
ここからは、ニチレキグループを私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | ニチレキグループ | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 544.4億円→758.5億円(過去10年で約1.4倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 131.21円→149.74円(ピークは2022年3月期の222.88円。2020年3月期に▲49.3%の急落あり) | - |
| 営業利益率 | 5%以上 | 7.8%(直近期・実績) | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 64.9%(直近期・実績) | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(24.2億〜91.0億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 192.9億円→247.5億円(過去10年で約1.3倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 10年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 53.4%(直近期・実績) | - |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・個人投資家向けIRセミナー資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標のうち6つをクリア。EPSは、2020年3月期に前期比▲49.3%の急落があり、「安定して増加傾向」の目安(単年▲30%超の急落なし)に届きませんでした。配当性向は53.4%と、基準の50%を上回りました。2026年3月期は売上高758.5億円(前期比+0.1%)とほぼ横ばいの一方、営業利益は59.2億円(同▲5.5%)、純利益は42.9億円(同▲11.4%)の減益でした(2026年3月期 決算短信サマリー)。
※ニチレキグループは日本基準・連結です。過去10年に株式分割・併合はありません。EPSはIRBANKの系列を基本に、直近2期は決算短信の公表値(2025年3月期164.90円・2026年3月期149.74円)を使っています。金額は小数第一位までを四捨五入して表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。年はいずれも3月期で、いちばん右のグレーは会社予想(2027年3月期)です。配当性向のグラフは実績の最終年で止めています。
売上高と営業利益率
売上高は、2017年3月期の544.4億円から2026年3月期の758.5億円へ、過去10年で約1.4倍になりました。2024年3月期に▲5.8%の減収がありますが、長期では増加傾向です。2027年3月期の会社計画は800.0億円(前期比+5.5%)です(2026年3月期 決算短信サマリー)。この計画には、原油価格の上昇分を販売価格・工事価格に反映する影響が含まれます(前提はドバイ原油100ドル/バレル・為替160円/ドル。同p.5)。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、2026年3月期で7.8%でした。基準の5%は過去10年すべての年で上回っています。2021年3月期の12.8%をピークに、原材料価格が高値圏で推移するなかで直近は8%前後の水準です(同p.2)。2027年3月期の計画は営業利益60.0億円で、利益率は7.5%の見込みです(同サマリー・自算)。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPSは、2017年3月期の131.21円から2026年3月期の149.74円になりました。ただ道のりは平たんではなく、2020年3月期に▲49.3%の急落があり、翌2021年3月期に219.70円へ回復しています。ピークの2022年3月期222.88円からは3期続けて減り、直近はピーク比約67%の水準です。単年▲30%超の急落があったため、8指標の「安定して増加傾向」には届きませんでした。2027年3月期の予想EPSは149.95円と、ほぼ横ばいの見込みです(2026年3月期 決算短信サマリー)。
配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、17.5%から53.4%へ切り上がってきました。増配のペースがEPSの伸びを上回ってきたためで、基準の50%をわずかに超えています。2027年3月期の予想配当性向は56.7%です(同サマリー)。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスで、レンジは24.2億〜91.0億円でした。2026年3月期は24.2億円(前期比▲50.6%)に減りました。税金等調整前当期純利益62.3億円や売上債権の減少15.7億円などの増加要因に対し、未払消費税等の減少20.6億円などが重しになりました(2026年3月期 決算短信p.4)。
現金等(手元の現金)は、2017年3月期の192.9億円から2026年3月期の247.5億円へ、10年で約1.3倍になりました。直近は前期末比68.6億円の減少です。新工場などへの投資(有形固定資産の取得53.7億円)に加え、自己株式の取得24.7億円・配当の支払い22.6億円・長期借入金の返済18.2億円と、投資と株主還元にまとまった現金を使った1年でした(同p.4)。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2026年3月期で64.9%でした。基準の40%を大きく上回ります。ただし2023年3月期の79.2%をピークに低下していて、2025年3月期には新工場投資に向けた長期借入180.0億円を行いました(2026年3月期 決算短信p.13)。2026年3月期の低下は、新工場の建物などで総資産が102.5億円増えた影響が主因で、自己資本の額自体はむしろ増えています(純資産は前期末比+23.5億円。同p.3)。

注目ポイント
10年連続増配。年平均約14.9%のペースで、2027年3月期も85円へ増配予想
1株あたりの配当は2017年3月期の23円から2026年3月期の80円へ、年平均約14.9%のペースで増えました。2027年3月期の予想は年間85円で、実施されれば11期連続です。2026年3月期は配当22.6億円の支払いに加えて自己株式の取得24.7億円を行い、会社は総還元性向(配当と自社株買いを合わせた還元の割合)を着実に向上させる方針を示しています(2026年3月期 決算短信p.4、個人投資家向けIRセミナー資料p.48)。
アスファルト乳剤で国内トップクラスのシェア。国土強靱化で公共投資は底堅い
主力のアスファルト乳剤・改質アスファルトは国内トップクラスのシェアで、舗装の調査・診断から材料の製造・販売、工事までを一貫して手がける事業モデルが強みです(個人投資家向けIRセミナー資料p.10・p.16・p.18)。国の防災・減災、国土強靱化対策を背景に、公共事業量は2026年度以降も高い水準で推移することが期待されていて、事業の追い風になっています(2026年3月期 決算短信p.5)。
道路舗装事業が増収増益。2027年度には約300億円の新工場が稼働予定
2026年3月期は、道路舗装事業が売上508.3億円(前期比+2.5%)・セグメント利益47.4億円(同+12.5%)と増収増益でした(2026年3月期 決算短信p.3)。つくばみらい市で建設中の新工場「つくばビッグシップ」は2027年度に稼働予定で、生産能力の向上や高付加価値製品の製造を担う計画です(個人投資家向けIRセミナー資料p.39)。
いっぽうで、利益(EPS)や配当性向、大型投資に伴う財務の変化には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、EPSの変動が大きい点です。2020年3月期に▲49.3%の急落があり、ピークの2022年3月期222.88円から直近は149.74円まで3期続けて減りました。8指標で唯一のEPS基準(安定して増加傾向)に届かず未達です。2026年3月期の減少は、営業減益に加えて、持分法による投資利益の減少や支払利息の増加など営業外の要因も重なったものです(2026年3月期 決算短信p.8)。今後の回復が確認点です。
第二に、配当性向が53.4%と基準の50%を上回る点です。2027年3月期の予想配当性向は56.7%へさらに上がる見込みです(2026年3月期 決算短信サマリー)。自己株式の取得も合わせると、株主への還元は利益に対して大きい水準にあります。増配を続ける余力という意味では、EPSの回復が鍵になります。
第三に、約300億円の新工場投資で財務が変化している点です。2025年3月期に長期借入180.0億円を行い、自己資本比率は2023年3月期の79.2%から64.9%へ低下しました。2026年3月期は現金等も前期末比68.6億円減っています(2026年3月期 決算短信p.3〜p.4・p.13)。基準の40%は今も大きく上回っており、新工場が計画どおり2027年度に稼働し、投資が利益につながるかが確認点です。
まとめ
ニチレキグループ(5011)は、2026年3月期で10年連続増配となった、8指標のうち6つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 10年連続増配。年平均約14.9%のペースで、2027年3月期も85円へ増配予想
✅ アスファルト乳剤で国内トップクラスのシェア。国土強靱化で公共投資は底堅い
✅ 道路舗装事業が増収増益。2027年度には約300億円の新工場が稼働予定
【留意点】
・EPSは2020年3月期の急落とピーク比約67%への減少で未達
・配当性向53.4%は基準の50%超(未達)。2027年3月期予想は56.7%
・新工場投資で借入が増え、自己資本比率は64.9%へ低下(基準40%はクリア)
3月と9月に配当の権利が確定する銘柄です。予想配当利回りは3.88%で、速い増配ペースと利益(EPS)の回復をあわせて見ていきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・配当・財務の数値は、ニチレキグループの2026年3月期 決算短信(2026年5月12日)、個人投資家向けIRセミナー資料(2025年9月6日・東京IPO主催)およびIRBANKに基づきます(通期の連結業績・配当の状況・2027年3月期予想は決算短信サマリー、経営成績とセグメント別の概況は同p.2〜p.3、財政状態は同p.3、キャッシュ・フローの概況は同p.4、今後の見通しと業績予想の前提は同p.5、連結損益計算書は同p.8、連結キャッシュ・フロー計算書は同p.12〜p.13。会社概要・沿革・シェア・拠点数は同セミナー資料p.6〜p.8・p.16・p.18、事業モデルはp.10、国土強靱化の政策動向はp.37、つくばビッグシップはp.39、配当の推移・記念配当はp.47、総還元性向の方針はp.48)。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年8月6日時点)です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

