【10年連続増配】GSIクレオス(8101)を8指標分析

GSIクレオス(8101)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年8月11日

10年連続増配・累進配当を掲げる事業創造型商社

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。繊維と工業製品を両輪に、世界36拠点でグローバル展開する商社があります。1927年創業のGSIクレオスで、2027年に創業100周年を迎えます。

「配当性向50%以上の維持」と「1株あたり100円を下限とする累進配当」を明文化している点が特徴です。今回は3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、GSIクレオス(証券コード:8101)を私独自の8指標で分析しました。

結論からいうと、8つのうちクリアは2つでした(売上高と1株あたりの配当)。クリアが少ない理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年8月10日時点の値です
📊 8指標の判定は2026年3月期(実績)の数値です


GSIクレオスとはどんな会社?

GSIクレオスは1927年創業、東京都港区に本社を置く「事業創造型商社」です。1931年に横浜市で株式会社林大作商店として設立され、2001年に現在の社名になりました。祖業の繊維事業を「基幹事業」、工業製品事業を「成長ドライバー」と位置づけています。

繊維事業はファイバー・アウター・インナーの3セグメントで、原糸からアパレル製品までを扱います。工業製品事業はセミコンダクター・ケミカル・ホビー&ライフ・マシナリー&イクイップメントの4セグメントです。ホビー&ライフには、世界の模型ファンに知られる塗料ブランド「Mr.HOBBY」も含まれます。

拠点は国内9・海外27の計36拠点で、海外売上高比率は69.4%です。2026年3月期の売上構成は繊維事業が82.9%、営業利益では工業製品事業も41.4%を占めます(2026年3月期決算説明会資料p.7・p.14)。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証プライム
業種:卸売業(商社)
決算月:3月
連続増配:10年(2026年3月期時点)
株価:2,619円(2026年8月10日時点)
予想配当利回り:4.05%(2027年3月期予想)
配当権利確定:3月(年1回・期末のみ)


配当情報

GSIクレオスは2026年3月期まで10年連続で増配しています。2013年3月期から2016年3月期まで4期の据え置き(調整後10円)を経て、2017年3月期の15円から増配が始まりました。2026年3月期の年間配当は104円(期末一括)で、この10年で約6.9倍になりました。2026年3月期は期初の100円予想から、2026年2月9日に102円へ、決算発表と同日の2026年5月15日に104円へと、2度の増額修正が入っています。

会社は株主還元方針として「配当性向50%以上の維持」と「1株あたり100円を下限とする累進配当」を掲げています(2026年3月期決算短信p.4)。2027年3月期は年間106円へ、2円の増配を会社が予想しており、実施されれば11期連続増配となります。なお2022年3月期の配当65円には、創立90周年記念配当7円が含まれます(2022年3月期決算短信の配当欄注記)。記念配当を除いた普通配当58円でも前期の30円を上回っており、翌期の73円が65円を上回っているため、連続増配のカウントには影響しません。

📌 株式併合・株式分割と本記事の基準
GSIクレオスは2017年10月1日付で10株→1株の株式併合を、2021年4月1日付で1株→2株の株式分割を実施しています。本記事の配当・EPSは、併合・分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額で統一しています(株価は実際の取引価格です)。

項目
株価(2026年8月10日時点) 2,619円
予想配当利回り(2027年3月期予想) 4.05%
連続増配年数(2026年3月期時点) 10年
配当性向(2026年3月期実績) 50.2%

※予想配当利回りは2027年3月期の予想配当106円を2026年8月10日時点の株価で割った値です。配当性向は2026年3月期実績。株価の変動により利回りは変わります。

予想利回りは4.05%と、連続増配株のなかでは比較的高い水準です。予想配当性向は50.0%(106円÷予想EPS211.80円)で、会社方針どおりの水準です。予想PERは約12.4倍です(株価2,619円と予想EPS211.80円から桃モアイが計算)。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

GSIクレオス 1株あたりの配当の推移 10年連続増配


8指標分析の結果

ここからは、GSIクレオスを私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 GSIクレオス 判定
売上高 増加傾向 1,415億→1,886億円
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 126.61円→207.24円
営業利益率 5%以上 1.91%
自己資本比率 40%以上 36.1%
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 10年中2年がマイナス
現金等 増加傾向 123.7億→79.4億円
1株あたりの配当 10年以上連続増配 10年連続増配
配当性向 50%以下 50.2%

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKのデータをもとに桃モアイが独自に分析。なお8指標の「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年(2017年3月期〜2026年3月期)の長期トレンドで判定しており、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標のうちクリアは2つでした。EPSは2018年3月期に前期比30%を超える減少があり「安定して増加傾向」の基準に届きませんでした。営業利益率・自己資本比率・営業CF・現金等・配当性向が基準に届かなかった理由は、本文でくわしく説明しています。投資判断の参考としてご活用ください。
※金額は、売上高は億円未満を切り捨て、営業CF・現金等は小数第一位までを四捨五入して表示しています。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)

売上高と営業利益率

売上高は2017年3月期の1,415億円から2026年3月期の1,886億円へ、10年で約1.3倍になりました。2020〜2022年3月期はコロナ禍の影響などで1,100億円台へ落ち込みましたが、2023年3月期から4期連続の増収です。2026年3月期は前期比+14.0%で過去最高を更新しました。2027年3月期は1,860億円(前期比▲1.4%)を会社が計画しています。

営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、過去10年で0.92〜3.12%と、全期間で桃モアイ基準の5%を下回ります。商社は商品を仕入れて売るビジネスモデルのため、売上高に対する利益率は低くなりやすい業態です。2026年3月期は1.91%で、2027年3月期は2.04%へ改善する会社予想です。

GSIクレオス 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株利益)と配当性向

EPSは2017年3月期の126.61円から2026年3月期の207.24円へ増えましたが、前半は振れ幅の大きい推移です。2017年3月期に純利益が16.3億円へ急増したあと、2018年3月期は9.1億円へ大きく減少し、EPSも前期比▲44.12%の70.75円となりました(2026年3月期決算説明会資料p.48)。この単年での大幅減が、「安定して増加傾向」の基準に届かなかった理由です。

いっぽう直近は流れが変わっています。2023年3月期から4期連続でEPSは増加し、純利益は2025年3月期・2026年3月期と2期連続で過去最高を更新しました(2026年3月期決算短信p.2)。2027年3月期は211.80円へ、さらに増える会社予想です。

配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、2021年3月期までは11.8〜28.2%の低い水準でした。2022年3月期に48.9%へ上がり、以降は50%前後で推移しています。会社が「配当性向50%以上の維持」を方針としているため、桃モアイ基準の50%以下を構造的にわずかに上回りやすく、2026年3月期は50.2%でした。

GSIクレオス EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のうち8年がプラスでしたが、2022年3月期に▲70.8億円、2023年3月期に▲17.2億円のマイナスとなりました。商社は取引が拡大する局面で、売上債権や在庫に運転資金が先行しやすい業態です。直近2期は27.1億円→48.4億円と回復しており、2026年3月期のプラスは仕入債務の増加などによるものです(2026年3月期決算短信p.3)。

現金等は2017年3月期の123.7億円から2026年3月期の79.4億円へ減少し、こちらも基準に届きませんでした。近年は借入金の返済や配当金の支払いなど財務活動への支出が続いており、2025年3月期・2026年3月期の財務CFはそれぞれ▲42.2億円・▲32.2億円です(2026年3月期決算短信p.3)。ネット有利子負債は42.5億円まで減っており、現金の減少には負債圧縮という側面もあります(2026年3月期決算説明会資料p.17)。

GSIクレオス 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2017年3月期の27.4%から2026年3月期の36.1%へ上昇しました。10年で改善が進んだものの、全期間で桃モアイ基準の40%には届いていません。商社は仕入債務や借入金を活用して大きな取引を回す業態のため、自己資本比率は低めになりやすい点は考慮が必要です。

2022年3月期に40.2%へ到達したあとは、30%台後半で推移しています。2026年3月期の低下は売上債権の増加などで総資産がふくらんだ資産側の要因で、純資産の額自体は322億円へ前期末から21億円増えています(2026年3月期決算短信p.3)。

GSIクレオス 自己資本比率の推移


注目ポイント

創業約100年、繊維と工業製品の「事業創造型商社」

GSIクレオスの原点は、1927年に始まった生糸の商いです。以来、事業を工業製品分野へ広げ、いまは繊維と工業製品の7セグメントを世界36拠点で展開しています。海外売上高比率は69.4%と、グローバル比率の高さが特徴です。2026年3月期は売上高・純利益とも過去最高を更新しました(2026年3月期決算短信p.2)。

「配当性向50%以上+下限100円の累進配当」を明文化

株主還元方針として、配当性向50%以上の維持と、1株あたり100円を下限とする累進配当を明文化しています(2026年3月期決算短信p.4)。1株あたりの配当は10年で15円から104円へ約6.9倍になり、年平均増配率は約24.0%です。2026年3月期は業績の上振れにあわせて、100円→102円→104円と2度増額されました。100株以上を1年以上保有する株主にはクオカードの株主優待もあります(2026年3月期決算説明会資料p.24)。

有機薄膜太陽電池(OPV)など、次の成長への種まき

2026年4月に、有機薄膜太陽電池(OPV)を製造・販売する合弁会社を設立しました。窓ガラスに後付けできる軽くて曲がる次世代太陽電池で、2030年代半ばに売上高100億円規模を目指しています(2026年3月期決算説明会資料p.35)。中期経営計画では2025〜2027年度に約50億円の成長投資を計画しており、透析クリニック運営など南米でのメディカル事業も広げています。

いっぽうで、8指標では6つが基準に届きませんでした。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

確認しておきたい点が3つあります。

第一に、営業利益率が過去10年を通じて桃モアイ基準の5%に届いていないことです。商社は仕入れて売るビジネスモデルのため利益率が低くなりやすく、同社の営業利益率は過去10年で0.92〜3.12%の水準です。2026年3月期は1.91%でした。会社は迅速な価格転嫁や事業ポートフォリオの見直しを対応策に挙げており、2027年3月期は2.04%へ改善する会社予想です(2026年3月期決算説明会資料p.21〜22)。

第二に、営業CF・現金等・自己資本比率と、財務まわりの3指標が未達なことです。営業CFは2022年3月期・2023年3月期にマイナスとなり、現金等も10年前の123.7億円から79.4億円へ減りました。自己資本比率は36.1%と基準の40%未満です。ネット有利子負債の圧縮は進んでいますが、運転資金でキャッシュが振れやすい商社業態である点は理解しておきたいところです。

第三に、EPSの振れ幅と、50%前後で推移する配当性向です。EPSは2018年3月期に▲44.12%の単年減少があり、直近4期の連続増加が続くかは今後の確認ポイントです。また配当性向50%以上を維持する方針のため、桃モアイ基準(50%以下)は構造的に上回りやすくなります。減益の年には配当の増額余地が細りやすい点に注意が必要ですが、会社は1株100円を下限とする累進配当を掲げています(2026年3月期決算短信p.4)。


まとめ

GSIクレオス(8101)は、2026年3月期で10年連続増配となった連続増配株ですが、8指標のうちクリアは2つでした。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 繊維と工業製品を両輪に世界36拠点で展開、売上高・純利益は過去最高
✅ 配当性向50%以上+下限100円の累進配当を明文化、配当は10年で約6.9倍
✅ 予想配当利回りは4.05%と比較的高く、クオカードの株主優待もある

【留意点】
・営業利益率は1.91%と、過去10年を通じて基準の5%未満
・営業CFがマイナスの年があり、現金等・自己資本比率も基準に届かない
・配当性向は方針上50%前後で推移しやすく、EPSの振れ幅も大きい

権利確定は3月(年1回・期末のみ)。8指標では課題の多い銘柄ですが、明文化された累進配当と4.05%の予想利回りに魅力を感じる方は、財務面の留意点とあわせて確認してみてください。


連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。

楽天証券とSBI証券、連続増配株を始めるならどっち?

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※出典:株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年8月10日時点)。財務数値は2026年3月期決算短信(2026年5月15日公表)、2026年3月期決算説明会資料(2026年6月10日)、IRBANKの過去10年データにもとづきます。EPSと配当性向はIRBANKの表示値を使用しています(2025年3月期EPSはIRBANK表示の192.15円を使用しており、決算短信の192.20円とは算定に用いる株式数の違いにより差があります)。予想EPS211.80円と予想配当性向50.0%は決算短信の公表値です。配当性向のうち2018年3月期はIRBANKの業績ページの表では空欄のため、調整後の年間配当÷EPSで桃モアイが計算しています(17.5円÷70.75円=24.7%)。2022年3月期の48.9%は決算説明会資料p.23の値です。連続増配年数は配当履歴ベースで、2016年3月期の据え置き(調整後10円)の翌期にあたる2017年3月期(15円)を増配1年目としています。株式併合は2017年10月1日付の10株→1株、株式分割は2021年4月1日付の1株→2株で、本記事の配当・EPSは併合・分割の調整後の金額です。2022年3月期の創立90周年記念配当7円は2022年3月期決算短信の配当欄注記、2026年3月期の配当予想の修正(100円→102円)は2026年2月9日公表の開示、期末配当の増額(102円→104円)は2026年5月15日公表の開示にもとづきます。創業年・沿革・拠点数・海外売上高比率・株主還元方針・株主優待・OPV事業は決算短信および決算説明会資料にもとづきます。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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