最終更新日:2026年8月29日
11年連続増配・連結会計ソフトで国内トップクラスのシェアを持つソフトウエア企業
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。上場企業が決算をまとめるときに使う「連結会計ソフト」で、国内トップクラスの導入実績を持つ会社があります。2026年6月期は売上高と営業利益がどちらも過去最高を更新しましたが、一過性の費用が重なり、純利益は前期を下回りました。
今回は6月に配当権利が確定する連続増配株の1社、アバントグループ(証券コード:3836)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、8指標すべてをクリアしました。ただし2026年6月期は減益となっており、確認しておきたい点もあります。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年8月28日時点の値です
📊 財務指標は2026年6月期(実績)の数値を使用しています
アバントグループとはどんな会社?
アバントグループは、企業の「連結会計」や「経営管理」を支えるソフトウエアを開発・提供する持株会社です。グループの中心は3社あります。連結会計システム「DivaSystem LCA」を手がける株式会社ディーバ、データ分析やBI(社内データを経営に活かす仕組み)を支援する株式会社ジール、経営管理ソリューションを担う株式会社アバントです。
祖業のDivaSystem LCAは、2026年6月末時点で1,300社以上の導入実績があります。2025年度の連結会計ソフトウエア市場では、SaaS/PaaSで55.6%、パッケージで44.7%のシェアを占めています(2026年6月期 決算説明資料p.10)。多くの上場企業が、決算や情報開示の実務でこのソフトを使っているということです。
報告セグメントは「連結決算開示事業」「DX推進事業」「経営管理ソリューション事業」の3つで、これに小規模な子会社をまとめた「その他」が加わります。2026年6月期の売上構成比は、DX推進事業が36%、連結決算開示事業が31%、経営管理ソリューション事業が31%、その他が2%です(同資料p.34)。
収益の土台になっているのは、ソフトの利用料や保守などのストック型収益(継続して積み上がる収益)です。2026年6月期第4四半期のストック売上比率は41.6%で、ストック売上高は20四半期連続で増加しています(同資料p.28)。景気の波を受けにくく、業績が安定しやすい構造といえます。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:情報・通信業(ソフトウエア)
決算月:6月
連続増配:11年(2026年6月期 時点)
現在の株価:1,221円
予想配当利回り:2.78%
配当権利確定:6月(年1回・期末)
配当情報
アバントグループは、2026年6月期まで11年連続で増配を続けています。1株あたりの配当は、過去10年でみると2017年6月期の4円から2026年6月期の32円まで増えました(分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額)。年平均では約26.0%のペースで増やしてきた計算になります。
年間配当は、実績の2026年6月期が32円、会社予想の2027年6月期は34円(前期比+2円)です。配当は年1回(期末のみ)で、6月末が権利確定(配当を受け取る権利が決まるタイミング)となります。
配当方針は、DOE(純資産配当率。株主が出したお金に対して何%を配当するかを示す指標)を基準にしたものです。2026年6月期のDOEは7.5%で、中期経営計画の期間内に純資産配当率8%の達成を志向すると表明しています。あわせて「原則、1株当たりの配当金が前期の水準を下回らないこと」という安定配当も方針として示しています(2026年6月期 決算短信p.9、決算説明資料p.16)。
📌株式分割について:アバントグループは過去に複数回の株式分割を実施しています。本記事があつかう過去10年では、2016年12月1日・2017年11月1日・2019年12月1日にそれぞれ1株→2株(累積で1株が8株相当)へ分割しました(いずれも効力発生日。各期の決算短信の注記事項で確認)。本記事のグラフ・表に載せているEPS(1株あたりの利益)と1株あたりの配当の過去の数値は、これらの分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額です。株価は実際の取引価格のため、調整せずそのまま表示しています。なお2026年6月期に期末発行済株式数が2,136,600株減っていますが、これは自己株式の消却によるもので、株式分割・株式併合ではありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 現在の株価 | 1,221円(2026年8月28日時点) |
| 予想配当利回り | 2.78%(2027年6月期 会社予想ベース) |
| 連続増配年数 | 11年(2026年6月期 時点) |
| 配当性向 | 38.4%(2026年6月期 実績) |
予想配当利回りは2027年6月期の会社予想配当(34円)を基準日の株価で割った値です。配当性向は2026年6月期の実績配当(32円)÷EPS(83.41円)で算出しています。株価は東京証券取引所の終値(2026年8月28日)、配当・EPSは2026年6月期 決算短信p.1によります。会社予想の1株当たり当期純利益は100.13円(2027年6月期・同短信p.1)で、記事中の予想PER約12.2倍・予想配当性向34.0%はこの値をもとに算出しています。株価変動により利回りは変わります。
配当の推移は次のグラフのとおりです。いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年6月期)です。

8指標分析の結果
ここからは、アバントグループを私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | アバントグループ | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 105億円→304億円(過去10年) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 17.67円→83.41円(ピークは2025年6月期の94.15円) | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 15.4% | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 60.3% | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(10〜44億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 39億円→133億円(過去10年) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 11年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 38.4% | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標です。
※財務指標は2026年6月期(実績)。IRBANKのデータをもとに桃モアイが独自に分析しています。なお8指標の「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定しており、一時的な減少はクリア扱いとしています。金額は億円未満を切り捨てて表示しています。2026年6月期は増収でしたが、一過性の費用などにより純利益は前期を下回りました。投資判断の参考としてご活用ください。
※EPSは決算短信の1株当たり当期純利益を採用しています(2026年6月期83.41円、2025年6月期94.15円)。IRBANKは2025年6月期を91.24円と表示していますが、同じIRBANKの配当性向26.6%は94.15円をもとに計算されており、決算短信の公表値26.6%とも一致するため、短信の値で統一しました。本文とグラフでEPSの表示桁が異なり、グラフのみ小数第一位まで表示しています。
※営業利益率は決算短信の売上高営業利益率(2026年6月期15.4%、2025年6月期16.3%)です。
※配当性向は2017年・2018年・2020年6月期がIRBANKで欠測のため、年間配当÷EPSで自算しました(2017年6月期=4円÷17.67円=22.6%、2018年6月期=6円÷28.28円=21.2%、2020年6月期=9円÷40.92円=22.0%)。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)
ここからは、アバントグループの業績を5枚のグラフで見ていきます。いずれも過去10年の推移で、薄いグレーの棒は会社予想(2027年6月期)を表しています。
売上高と営業利益率
売上高は2017年6月期の105億円から、2026年6月期には304億円まで増えました。10年でおよそ3倍です。2026年6月期は前期比8.0%増で、過去最高を更新しています。会社予想では2027年6月期に328億円と、さらに増収を見込んでいます。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、過去10年でおおむね12〜17%台で推移しています。2026年6月期は15.4%で、前期の16.3%からは0.9ポイント下がりました。人員増にともなう人件費や採用費、オフィス移転にかかった費用、経営管理ソリューション事業での一過性の費用が重なったためです(2026年6月期 決算説明資料p.19)。それでも桃モアイ基準の5%を大きく上回る水準です。

EPS(1株利益)と配当性向
EPS(1株あたりの利益)は、2017年6月期の17.67円から2026年6月期の83.41円へ、10年でおよそ4.7倍になりました。ピークは2025年6月期の94.15円です。2026年6月期は前期比11.4%の減少となりましたが、桃モアイ基準で目安としている単年30%超の急落はなく、長期では右肩上がりが続いています。
2026年6月期の減益には、一過性の要因が含まれます。経営管理ソリューション事業で受注損失引当金2億3,800万円を計上したこと、投資有価証券評価損6,800万円が出たこと、前期にあった株式売却益3億1,800万円の反動があったことなどです(2026年6月期 決算短信p.2、p.12〜13)。
配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、過去10年でおおむね20%台前半から半ばで推移してきましたが、2026年6月期は38.4%まで上がりました。配当を32円へ増やす一方でEPSが減ったためです。会社予想の2027年6月期は34.0%で、桃モアイ基準の50%以下に収まる見込みです。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべての期でプラスを確保しています。レンジは10億〜44億円です。2026年6月期は37億円で、前期の44億円からは減りました。税金等調整前当期純利益が49億円から45億円へ減ったことに加え、前払費用が3億円増えたことなどが響いています(2026年6月期 決算短信p.17)。
手元の現金等(キャッシュ・フロー計算書上の現金及び現金同等物)は、2017年6月期の39億円から2026年6月期の133億円まで増えました。ただし直近は前期の151億円から18億円減っています。これは投資活動で13億円、財務活動で42億円を使ったためで、財務活動の内訳は自己株式の取得32億円と配当金の支払い9億円が中心です(同短信p.18)。増配と自社株買いを同時に進めた結果の減少で、10年の長期トレンドでは3.4倍に増えています。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2017年6月期の52.9%から2026年6月期には60.3%まで高まりました。桃モアイ基準の40%を大きく上回る水準です。
2026年6月期は前期の63.9%から3.6ポイント下がっています。自己株式を32億円取得したことで純資産が減ったためで、有利子負債は少ないままです(2026年6月期 決算短信p.7)。安定した利益と現金が、増配を続ける土台になっています。

注目ポイント
連結会計ソフトを軸にしたストック型のビジネス
連結会計や経営管理のソフトは、いちど導入すると長く使い続けられることが多く、利用料や保守がストック型の収益として積み上がります。ストック売上高は20四半期連続で増加し、売上に占める比率も41.6%まで高まりました(2026年6月期 決算説明資料p.28)。祖業のDivaSystem LCAは1,300社以上に導入されており、上場企業の決算実務に組み込まれていることが、収益の安定につながっています。
10年で3倍近くに伸びた売上と15%台の営業利益率
売上高は105億円から304億円へと、10年でおよそ3倍になりました。この間、営業利益率は12〜17%台を保っています。規模を広げながら利益率を落としていない点は、増配を続ける裏付けになります。2026年6月期は売上高・営業利益ともに過去最高を更新しました(同資料p.4)。
DOE基準の配当方針と厚い自己資本
アバントグループは、利益の増減に左右されにくいDOE(純資産配当率)を配当の基準にしています。2026年6月期のDOEは7.5%で、中期経営計画の期間内に8%の達成を志向する方針です。自己資本比率60.3%、営業CFは毎期プラスと財務も健全で、2026年6月期には配当11億円に加えて自己株式32億円を取得しました(配当11億円は2026年6月期に係る配当金総額です。前出の「配当金の支払い9億円」はキャッシュ・フロー計算書上の支払額で、前期分の配当にあたります)。株主への還元に積極的な姿勢がうかがえます。
いっぽうで、足元の利益や中期計画の進み方には、確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
確認しておきたい点が3つあります。
第一に、2026年6月期は増収だったものの、純利益は前期比13.1%減となりました。EPSも94.15円から83.41円へ減っています。要因には受注損失引当金や投資有価証券評価損といった一過性のものが含まれますが、配当性向は26.6%から38.4%へ上がりました。増配のペースが利益の伸びを上回っている状態が続けば、配当性向はさらに高まります。
第二に、経営管理ソリューション事業の落ち込みと、中期経営計画の進捗の遅れです。同事業の営業利益は前期比36.3%減で、会社自身が中期経営計画に対する「最大のギャップ」と位置づけています。2028年6月期の目標は売上高400億〜450億円、営業利益90億〜110億円ですが、2026年6月期の実績は304億円・46億円で、目標達成には高い成長が必要です。会社は経営体制・事業モデル・人財の3点で同事業の再構築に着手したと説明しています(2026年6月期 決算説明資料p.7、p.12、p.14)。なお2026年6月期は、期初の会社予想に対して売上高で8.5%、営業利益で7.9%、純利益で14.7%それぞれ下回りました(同資料p.5)。
第三に、予想配当利回りは2.78%と、連続増配株のなかで高いほうではありません。基準日の株価から計算した予想PERは約12.2倍、PBRは約2.9倍です。PER12倍台は極端に割高な水準ではなく、配当性向をおさえて利益を成長投資に回してきたことが背景にあります。また配当は年1回(6月末)のみで、中間配当はありません。今の株価でまとまった配当収入を得ることを重視する場合は、他の連続増配株と比べたうえで判断するとよいでしょう。
まとめ
アバントグループ(3836)は、2026年6月期で11年連続増配となった、8指標すべてをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 売上高は105億円→304億円と10年で約3倍、営業利益率15.4%を維持
✅ 営業CFは過去10年すべてプラス、自己資本比率60.3%で財務は健全
✅ DOE基準の配当方針のもと11年連続増配、2027年6月期も34円へ増配予想
【留意点】
・ 2026年6月期は増収ながら純利益は前期比13.1%減、配当性向は38.4%へ上昇
・ 経営管理ソリューション事業の落ち込みで中期経営計画の進捗が遅れている
・ 予想配当利回りは2.78%と高配当ではなく、配当は年1回(6月末)
配当の権利確定は6月(年1回・期末)です。予想配当利回りは株価の変動で変わるため、購入を検討する際は最新の株価と会社予想をご確認ください。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
出典:株式会社アバントグループ 2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結)、同 2026年6月期 決算説明資料(いずれも2026年8月5日公表)、IRBANK。株価は東京証券取引所の終値(2026年8月28日)。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。記載の数値は基準日時点のものです。

