【11年連続増配】TKC(9746)を8指標分析

TKC(9746)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年9月7日

11年連続増配・8指標オールクリア、会計事務所と自治体を支えるシステム大手「TKC」

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。税理士事務所が使う会計ソフトや、市役所の基幹システムを裏側で支えている会社があります。2026年3月末には、顧客である164の市町村すべてで、国が定めた標準システムとガバメントクラウドへの移行を完了しました(2026年9月期第3四半期決算短信)。

今回は3月と9月に配当権利が確定する連続増配株の1社、TKC(証券コード:9746)を私独自の8指標で分析しました。

結論から言うと、TKCは8指標をすべてクリアしました。自己資本比率83.6%、営業利益率19.3%と、財務も稼ぐ力も高い水準です。2026年9月期の配当予想は、業績の上方修正を受けて年間126円へ増額されました。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年9月4日時点の値です
📊 財務指標は2025年9月期(実績)の数値を使用しています


TKCとはどんな会社?

TKCは、会計事務所と地方公共団体に向けたシステムを開発・提供する会社です。1966年に設立され、1987年7月に東証へ上場しました。現在は東証プライム市場で、税理士・公認会計士1万1,600名が組織するTKC全国会と密に組んで事業を進めています(2026年6月末・2026年9月期第3四半期決算短信〈以下、第3四半期短信〉)。

事業は会計事務所事業・地方公共団体事業・印刷事業の3つです。売上の柱は会計事務所事業で、2026年9月期第3四半期累計の売上399億円は連結の約59%にあたります。地方公共団体事業が253億円、子会社が担う印刷事業が22億円と続きます(第3四半期短信)。

会計事務所向けでは、TKCのシステムを使った法人税の電子申告が65万6,000社を超えました。大企業向けでも強く、日本の上場企業の税務申告における市場シェアは44%、売上高トップ100社のうち94社がTKCのシステムで電子申告を行っています(第3四半期短信)。

地方公共団体向けでは、行政クラウドサービスが1,150を超える自治体に採用されています(同短信)。ただし直近の伸びは、国が定めた期限に向けた移行支援という一時的な収益に支えられた面があります。この点は「投資の留意点」で説明します。

会社は2026年8月7日に、2026年9月期の業績予想を上方修正しました。売上高868億円(前の年より4.0%増)、営業利益176億円(同9.0%増)、純利益128億円(同6.2%増)、EPS248.93円の計画です。第3四半期累計は売上675億円(前年同期比13.0%増)、営業利益165億円(同26.8%増)と、いずれも過去最高でした。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証プライム
業種:情報・通信業
決算月:9月
連続増配:11年(2025年9月期時点)
現在の株価:4,160円(2026年9月4日時点)
予想配当利回り:3.03%(2026年9月期 会社予想配当126円ベース。特別配当16円を除く普通配当110円では2.64%)
配当権利確定:3月・9月(年2回)


配当情報

TKCは増配を続けていて、2025年9月期で11年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2025年9月期の実績で110円(中間50円+期末60円)です。

2026年9月期の会社予想は、年間126円へ増額修正されました(中間55円+期末71円)。当初は前期と同じ110円の予想でしたが、2026年8月7日に業績予想の上方修正とあわせて配当予想も引き上げられました。会社は「12期連続となる増配を予定している」と説明しています(第3四半期短信)。

ただし中身は分けて見る必要があります。今期の期末71円には特別配当16円が含まれ、普通配当は55円です。年間では普通配当110円+特別配当16円の構成になります。前期の110円にも特別配当10円が含まれていたため、普通配当だけで見ると100円→110円の増配、総額では110円→126円の増配です。特別配当は毎期の約束ではないため、次の期にはく落する可能性があります。

会社の配当方針は、毎期適正な利益を確保しながら、配当性向(単体)50%を目途とするものです(決算短信)。あわせて自己株式の取得も進めており、還元は配当と自社株買いの両輪です。

利益のうち配当に回す割合(配当性向)は、2025年9月期の実績で46.9%です。桃モアイ基準の50%以下を満たしています。

📌 株式分割と本記事の基準
TKCは、2021年4月1日付で1株→2株の株式分割を実施しました(過去10年で1回)。本記事の配当・EPSは、分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額です(株価は実際の取引価格のため調整しません)。

項目 内容
株価 4,160円(2026年9月4日時点)
1株あたりの配当(2026年9月期 会社予想・総額) 126円(普通配当110円+特別配当16円)
予想配当利回り(総額ベース) 3.03%(126円ベース)
予想配当利回り(普通配当のみ) 2.64%(110円ベース)
連続増配年数 11年(2025年9月期時点)
配当性向 46.9%(2025年9月期 実績。110円÷EPS234円31銭)

出典:株価は東証終値(2026年9月4日時点)、配当・EPS・配当性向は決算短信・IRBANK。予想配当利回りは2026年9月期の会社予想配当に基づき、株価の変動により変わります。総額ベースは特別配当16円を含む126円、普通配当のみは110円で算出しました。配当性向は2025年9月期の実績で、この110円にも特別配当10円が含まれます(普通配当は100円)。連続増配年数は配当実績ベース(IRBANK・決算短信)で、2015年9月期を増配1年目として実績11年と数えています。配当・EPSは2021年4月1日付の株式分割(1株→2株)を遡及調整した調整後の金額です。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2026年9月期)です。

TKC 1株あたりの配当の推移 11年連続増配

1株あたりの配当は、2016年9月期の40円から2025年9月期の110円まで増えました。毎年ならすと約11.9%ずつ増やしてきた計算です。2021年9月期には72円へ20%増やすなど、二桁の増配率が続いた年もあります。


8指標分析の結果

ここからは、TKCを私独自の8指標で見ていきます。8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 TKC 判定
売上高 増加傾向 577億円→834億円(過去10年で約1.4倍)
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 89.8円→234.3円(過去10年で約2.6倍・単年の急落なし)
営業利益率 5%以上 19.3%(直近期・実績)
自己資本比率 40%以上 83.6%(直近期・実績)
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 全期間プラス(過去10年のレンジは81億〜130億円)
現金等 増加傾向 165億円→335億円(過去10年で約2.0倍)
1株あたりの配当 10年以上連続増配 11年連続増配
配当性向 50%以下 46.9%(直近期・実績)

✅は基準を満たした指標です。
※判定はすべて2025年9月期の実績ベースで行っています。2026年9月期の会社予想は判定に含めていません。
※財務指標は2025年9月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標をすべてクリアしました。2025年9月期は売上高834億円(前期比11.0%増)・営業利益161億円(同4.1%増)と増収増益でした。なお2025年9月期の年間配当110円には特別配当10円が含まれ、普通配当は100円です。2026年9月期の予想配当性向は、総額126円÷予想EPS248.93円=50.6%と基準の50%をわずかに上回りますが、判定は実績ベースのため変更していません。予想EPSは決算短信の248.93円を使用しています(IRBANK表示の258.06円との差は、1株あたり利益を計算するときの株式数の基準が違うためです)。金額は億円未満を切り捨てて表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2016年9月期〜2025年9月期実績+2026年9月期予想)

ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。グラフは2016年9月期〜2025年9月期の実績で、会社予想のある系列(売上高・営業利益率・EPS・配当性向・1株配当)は2026年9月期の予想も示しています。

売上高と営業利益率

売上高は、2016年9月期の577億円から2025年9月期の834億円へ増えました。過去10年で約1.4倍です。2021年9月期に一度だけ減収となりましたが、それ以外の年はすべて増収でした。2026年9月期の会社予想は868億円(前期比4.0%増)で、8月に855億円から上方修正されています。

営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、13.2%から19.3%へ上がりました。ソフトウエアやコンサルティングなど、利益率の高いサービスが収益の中心だからです。2025年9月期は前期の20.6%から1.3ポイント下がりましたが、桃モアイ基準の5%以上を大きく上回る水準です。2026年9月期の会社計画は20.3%です。

TKC 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株あたりの利益)と配当性向

EPS(1株あたりの利益)は、2016年9月期の89.8円から2025年9月期の234.3円へ増えました。過去10年で約2.6倍です。途中で前年を下回った年はなく、着実な右肩上がりでした。2026年9月期の会社予想は248.9円です。

配当性向は、40.3〜46.9%の範囲で推移しています。基準の50%以下に収まったまま、配当額を伸ばしてきました。ただし2026年9月期の予想は、特別配当16円を含む126円をもとにすると50.6%となり、基準をわずかに上回ります。グラフでも右端の予想が50%の基準線を上に抜けています。

TKC EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスでした(レンジは81億〜130億円。最小は2017年9月期、最大は2023年9月期)。直近4年は120億円台から130億円台で安定しています。

現金等(手元の現金)は、2016年9月期の165億円から2025年9月期の335億円へと約2.0倍になりました。2020年・2021年9月期に一時的に減りましたが、その後は増加が続いています。自己株式の取得や増配を続けながら手元資金を増やしてきた形です。

TKC 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、77.7%から83.6%へ上がりました。桃モアイ基準の40%以上を大きく上回ります。2019年9月期に73.8%まで下がりましたが、その後は回復し、直近が過去10年で最も高い水準です。2026年9月期の第3四半期末はさらに85.5%まで上がりました。

貸借対照表(会社の資産と、その元手=借金や自己資本をまとめた表)にも借入金の計上はありません(第3四半期短信)。借金に頼らず、稼いだ利益を積み上げてきた財務構造です。

TKC 自己資本比率の推移


注目ポイント

クラウドのストック型収益が積み上がっている

TKCの収益は、毎年続けて使ってもらうストック型が中心です。会計事務所向けでは、財務会計システム「FXクラウドシリーズ」の新規利用が拡大し、スタンドアロン版からクラウド版への移行も順調に進んでいます(第3四半期短信)。給与計算システムの利用は19万社を超え、システムで処理する従業員数は2026年6月に300万人を突破しました。地方公共団体向けでも、標準化の完了後にソフトウエア利用の料金体系を見直したことで、ソフトウエア売上が伸びています。

替えにくい3つの市場でシェアを持つ

TKCは、会計事務所・大企業・法曹という3つの市場に食い込んでいます。上場企業の税務申告では市場シェア44%を持ち、売上高トップ100社のうち94社が採用しています。法律情報データベース「TKCローライブラリー」は判例収録数36万5,000件超で、3万2,000の機関で7万5,000IDが登録されています(いずれも第3四半期短信)。日々の業務に組み込まれる仕組みで、一度入ると替えにくい性質があります。

増配と自社株買いの両輪で還元している

株主還元は、配当と自己株式の取得の両輪で進めています。2026年9月期は第3四半期までに150万株・約59億円を取得し、あわせて206万株を消却しました(第3四半期短信)。この結果、発行済株式数は5,024万株まで減っています。1株あたりの価値を高める動きが、年間126円への増配と並んで続いている形です。

いっぽうで、今期の配当の中身や来期の業績には、確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。

第一に、増配の一部が特別配当である点です。2026年9月期の予想126円のうち、16円は特別配当です。普通配当は110円で、前期の普通配当100円からは10円の増配になります。特別配当は毎期の約束ではないため、次の期にはく落する可能性があります。総額ベースの利回り3.03%に対し、普通配当だけで見ると2.64%です。どちらの水準で見ているかを意識しておきたいところです。

第二に、直近の好業績が一時的な特需に支えられている点です。第3四半期までの大幅な増収増益は、自治体システムの標準化に伴う一時的な収益(標準化特需)が第2四半期までに大きく寄与したものです。この特需は2026年4月以降すでに収束しました。会社は、ガバメントクラウドの運用管理補助の受託や料金体系の改定で補うとしていますが、2027年9月期以降の経営計画については「現在精査を進めております」として、まだ具体的な数値を示していません(第3四半期短信)。特需の反動をどこまで補えるかは、次の本決算での開示を待つ必要があります。

第三に、配当性向が会社方針の水準に届いた点です。会社の方針は、配当性向(単体)50%を目途とするものです。2026年9月期の予想は、連結ベースで50.6%(126円÷EPS248.93円)、単体ベースでも50.8%(126円÷個別EPS247.97円)と、いずれも目途の50%に達しています。ここから配当をさらに増やすには、利益そのものを伸ばす必要があります。特需の反動が想定される期をどう乗り切るかが、今後の増配ペースを左右しそうです。


まとめ

TKC(9746)は、会計事務所と地方公共団体のシステムを担う会社で、2025年9月期で11年連続増配となった、8指標をすべてクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 11年連続増配・年平均約11.9%の増配ペースで、8指標をすべてクリア
✅ 自己資本比率83.6%・借入金なし、営業CFは過去10年すべてプラス(81億〜130億円)
✅ 営業利益率は13.2%→19.3%へ上昇し、クラウドのストック型収益が拡大

【留意点】
・2026年9月期の予想126円のうち16円は特別配当(普通配当は100円→110円の増配)
・標準化特需は2026年4月以降に収束し、2027年9月期以降の計画は精査中
・予想配当性向50.6%は会社方針の50%目途に達し、さらなる増配は利益の伸び次第

3月と9月に配当の権利が確定する銘柄です。特別配当を除いた普通配当をどこまで伸ばせるか、そして特需のあとの実力をチェックしていきたい1社です。


連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。

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※業績・配当・還元方針などのデータは、TKCの2025年9月期決算短信〔日本基準〕(2025年11月12日)、2026年9月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(2026年8月7日)および同日公表の「令和8年9月期 配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」に基づきます。過去10年の各指標はIRBANKと決算短信を突合し、増減率の機械照合で確認しています。EPSは決算短信の基本的1株当たり当期純利益(2025年9月期234円31銭)で、IRBANK表示(234.29円)とはわずかに異なります。2026年9月期の予想EPS248円93銭は決算短信の公表値で、前期の期中平均株式数をもとに算出されています。IRBANKが表示する258.06円は、自己株式の取得・消却後の株式数を反映した水準です。単体ベースの予想配当性向50.8%は、決算短信の個別業績予想(1株当たり当期純利益247円97銭)に配当126円をあてはめて桃モアイが算出しました。2021年9月期の配当性向はIRBANK欠測のため、決算短信の公表値43.7%(72円÷EPS164円93銭)を使用しています。連続増配年数は配当実績ベース(分割調整後)で、2015年9月期を増配1年目として実績11年と数えています。配当・EPSは2021年4月1日付の株式分割(1株→2株)を遡及調整した調整後の金額です。株価は東証終値(2026年9月4日時点)によります。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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