【11年連続増配】アズビル(6845)を8指標分析

アズビル(6845)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年8月7日

11年連続増配・ビルの空調を自動で整える計測・制御機器メーカー、8指標はすべてクリア

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。オフィスビルや商業施設の空調が、季節や人の出入りに合わせて自動で調整されている——その裏側を機器とシステムで支えている会社があります。1906年創業の計測・制御機器メーカーで、2026年に創業120周年を迎え、記念配当12円を含む年間50円の配当を計画しています(決算説明資料p.18・p.33)。

今回は3月と9月に配当権利が確定する連続増配株の1社、アズビル(証券コード:6845)を私独自の8指標で分析しました。

結論から言うと、アズビルは8指標をすべてクリアしました。11年連続の増配に加えて、営業利益は過去最高を更新し、財務も自己資本比率76.1%と厚みがあります。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年8月6日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています


アズビルとはどんな会社?

アズビルは、東京都千代田区に本社を置く計測・制御機器メーカーです。1906年に山武商会として創業し、2012年4月に社名を山武からアズビルへ変更しました。上場は1961年10月で、グループは子会社39社・関連会社1社で構成されます(2026年3月期 決算短信p.12)。2026年5月には創業120周年を機に、本社を丸の内パークビルディングへ移転しています(決算説明資料p.33)。

事業は3つの柱で構成されます。1つめのBA(ビルディングオートメーション)事業は、ビルの空調自動制御やセキュリティの機器・システムを、開発から施工・保守まで一貫して手がける主力事業で、売上の約5割を占めます。2つめのAA(アドバンスオートメーション)事業は、工場やプラント向けの制御システム・センサ・調節弁などを提供し、売上の約4割です。3つめのLA(ライフオートメーション)事業は、ガス・水道メーターや住宅用の全館空調システムを扱い、売上の約1割です(同p.12〜p.13、売上構成は2026年3月期 決算短信p.24から自算)。海外売上高の比率は17.5%です(決算説明資料p.10)。

会社は、長年の顧客基盤で稼ぐ「基盤事業」と、データセンターや半導体、スマートメーターなどの「成長事業」を循環させる事業モデルを掲げ、2030年度に売上高4,200億円・ROE15%の長期目標を置いています(2026年3月期 決算短信p.10・p.11)。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証プライム
業種:電気機器
決算月:3月
連続増配:11年(2026年3月期時点)
株価:1,731円(2026年8月6日時点)
予想配当利回り:2.89%(2027年3月期 会社予想配当50円ベース)
配当権利確定:3月・9月(年2回)


配当情報

アズビルは増配を続けていて、2026年3月期で11年連続増配になりました。同期の実績は年間32円(中間13円+期末19円)で、前期から8円の増配です。期末配当は、業績が計画を上回ったことを受けて当初計画からさらに6円積み増されました(2026年3月期 決算短信p.9)。2027年3月期の会社予想は年間50円で、内訳は普通配当38円(6円増配)+創業120周年の記念配当12円です。実施されれば12期連続になり、会社も「12期連続となる普通配当増配」と説明しています(決算説明資料p.19・p.21)。

📌 株式分割と本記事の基準
アズビルは、2018年10月1日に1株→2株、2024年10月1日に1株→4株の株式分割を実施しています(累積で1株→8株。日付は会社IR開示の効力発生日です)。本記事の配当・EPS・配当性向は、すべて分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額で統一しています。

項目 内容
株価 1,731円(2026年8月6日時点)
予想配当利回り 2.89%(2027年3月期 会社予想配当50円ベース。普通配当38円のみでは2.20%)
連続増配年数 11年(2026年3月期時点)
1株あたりの配当 実績32円(2026年3月期・すべて普通配当)/予想50円(2027年3月期=普通38円+記念12円)
EPS(1株あたりの利益) 75.76円(2026年3月期 実績)
配当性向 42.2%(2026年3月期 実績。32円÷75.76円)

出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年8月6日時点)、配当は決算短信・決算説明資料。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当50円(普通配当38円+創業120周年記念配当12円)に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2026年3月期の実績(32円÷EPS75.76円=42.2%)で、決算短信の公表値と一致します。連続増配年数は配当実績ベースで、2016年3月期を増配1年目として11年と数えています(2015年3月期は調整後7.88円で据え置き、2016年3月期は8.38円)。配当・EPSは2018年・2024年の株式分割をさかのぼって調整した調整後の金額です。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

アズビル 1株あたりの配当の推移 11年連続増配

1株あたりの配当は、2017年3月期の9.63円から2026年3月期の32円まで増えました。毎年ならすと約14.3%ずつ増やしてきた計算で、直近2期は+26%→+33%と増配のペースが上がっています。会社はDOE(純資産配当率=純資産に対する配当の割合)を軸に、2015年度以降毎年増配を続けてきました(決算説明資料p.21)。


8指標分析の結果

ここからは、アズビルを私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 アズビル 判定
売上高 増加傾向 2,548億円→2,989億円(過去10年で約1.2倍)
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 22.45円→75.76円(ピークは2025年3月期の77.96円・最古年の約3.5倍)
営業利益率 5%以上 15.8%(直近期・実績)
自己資本比率 40%以上 76.1%(直近期・実績)
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 全期間プラス(101億〜439億円)
現金等 増加傾向 598億円→979億円(過去10年で約1.6倍)
1株あたりの配当 10年以上連続増配 11年連続増配
配当性向 50%以下 42.2%(直近期・実績)

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標をすべてクリアしました。2026年3月期の売上高は2,989億円(前期比▲0.5%)と微減でしたが、前期に譲渡した海外子会社アズビルテルスターの影響(▲146億円)を除けば実質増収で、営業利益は473億円(同+14.0%)と過去最高を更新しています(2026年3月期 決算短信p.2・p.11)。
※アズビルは日本基準・連結です(2026年3月期実績まで)。2027年3月期第1四半期から国際会計基準(IFRS)を任意適用するため、同期の予想値は「売上収益」などIFRSベースの数値です(2026年3月期 決算短信p.7)。過去10年に2018年10月1日付で1株→2株、2024年10月1日付で1株→4株の株式分割を行っており、本記事の配当・EPSは全分割をさかのぼって調整した調整後の金額です。EPSはIRBANKの調整後系列を基本に、直近期は決算短信の公表値75.76円(IRBANKと一致)を使っています。IRBANKで配当性向が欠測の2019年3月期は調整後配当÷調整後EPSで自算し(11.5円÷33.01円=34.8%)、同じく欠測の2025年3月期は決算短信の公表値30.8%を使っています。金額は億円未満を切り捨てて表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)

ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。年はいずれも3月期で、いちばん右のグレーは会社予想(2027年3月期)です。予想値はIFRSベースの数値で、配当性向のグラフは実績の最終年で止めています。

売上高と営業利益率

売上高は、2017年3月期の2,548億円から2026年3月期の2,989億円へ、過去10年で約1.2倍になりました。2026年3月期は前期比▲0.5%の微減に見えますが、これは前期に譲渡した海外子会社アズビルテルスターの影響(▲146億円)によるもので、譲渡の影響を除けば+4.6%の実質増収です(2026年3月期 決算短信p.2、決算説明資料p.5)。2027年3月期の会社計画は売上収益3,150億円(+5.4%)です(決算短信p.7)。

営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、2017年3月期の7.9%から2026年3月期の15.8%へ、10年でほぼ2倍に高まりました。価格転嫁を含む収益力強化やDX(デジタル変革)による効率化が効き、営業利益473億円(+14.0%)は過去最高です(決算短信p.2・p.11)。2027年3月期はIFRS営業利益497億円・利益率15.8%の計画で、会社が本業の指標とする事業利益は482億円(+4.3%)を見込みます(決算短信p.7)。

アズビル 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株あたりの利益)と配当性向

EPSは、2017年3月期の22.45円から2025年3月期の77.96円まで伸び、2026年3月期は75.76円(▲2.8%)とわずかに下がりました。純利益385億円(▲5.8%)の減少は、前期にアズビルテルスターの売却益(約76億円)を特別利益として計上していた反動が主因で、営業利益・経常利益はいずれも増益です(決算短信p.1・p.2)。ピークは最古年の約3.5倍に達し、単年▲30%を超える急落もないため、「安定して増加傾向」をクリアしています。2027年3月期の予想EPSは69.48円(IFRS・▲8.3%)です(決算短信p.1)。

配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、過去10年で30.8〜42.9%の範囲に収まっています。2026年3月期は42.2%と前期の30.8%から上がりましたが、これは期末配当を当初計画から6円積み増したためで、基準の50%以下は維持しています(決算短信p.9)。

アズビル EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスで、レンジは101億〜439億円です。最小は2022年3月期の101億円、最大は2025年3月期の439億円でした。2026年3月期は法人税等の支払額が増えた影響で380億円(▲13.5%)です(決算短信p.8)。

現金等(手元の現金)は、2017年3月期の598億円から2026年3月期の979億円へ、10年で約1.6倍になりました。増配と自己株式の取得を続けながら手元資金も積み上がっており、稼ぐ力の裏づけといえます(決算短信p.8)。

アズビル 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2026年3月期で76.1%でした。基準の40%を大きく上回り、2017年3月期の62.2%から10年かけて着実に高まっています。純利益の計上や保有株式の評価額の増加で純資産が2,559億円へ増えたことが背景です(決算短信p.8)。借金に頼らない財務のまま、ROE(自己資本利益率)も15.7%と高い水準です(決算短信p.1)。

アズビル 自己資本比率の推移


注目ポイント

11年連続増配。2015年度以降毎年増配し、2027年3月期は記念配当を含む50円へ

1株あたりの配当は2017年3月期の9.63円から2026年3月期の32円へ、年平均約14.3%のペースで増えました。会社はDOEの向上を軸に2015年度以降毎年増配を続け、2025年度のDOEは6.7%と中期経営計画の目標水準6.0%を前倒しで上回りました(決算説明資料p.19・p.21)。2027年3月期は普通配当の6円増配に加えて記念配当12円を実施し年間50円を計画、あわせて上限200億円の自己株式取得も決議しています(決算短信p.9・p.28)。

営業利益は過去最高を更新。利益率は10年で7.9%→15.8%へ改善

2026年3月期の営業利益473億円は過去最高で、営業利益率は10年でほぼ2倍になりました。価格転嫁を含む収益力強化やDXによる効率化が寄与し、主力のBA事業はセグメント利益率18.5%に達しています(決算短信p.2・p.3・p.11)。中期経営計画は2027年度に事業利益510億円、長期目標は2030年度に営業利益650億円を掲げています(決算短信p.10)。

ビル・工場・ライフラインを支えるストック型の事業基盤。受注残高は1,484億円

都市再開発のオフィスビル新設や建物改修、データセンター向けの需要が堅調で、BA事業は既設建物向け・サービス分野を中心に伸びています(決算短信p.3)。納入済みの機器を起点に保守・改修で稼ぐストック型のビジネスが収益を下支えし、期末の受注残高は1,484億円と前期から増えました(決算短信p.11・p.30)。

いっぽうで、記念配当のはく落や来期の利益計画には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。

第一に、2027年3月期の予想配当50円には、一過性の記念配当12円が含まれる点です。記念配当は創業120周年にともなう今期限りのもので、翌2028年3月期にはく落すると、配当の総額はいったん減る可能性があります。会社は普通配当ベースでは12期連続の増配を計画しており、普通配当38円のみで計算した利回りは2.20%です。また予想配当性向は72.0%(記念配当を除いても54.8%)と、実績の42.2%から上がり基準の50%を上回る見込みです(決算短信p.1、決算説明資料p.19)。8指標の判定は実績ベースのため変わりませんが、来期の水準は意識しておきたいところです。

第二に、純利益は2期続けて減少方向にある点です。2026年3月期の純利益は385億円(▲5.8%)で、前期に子会社売却益約76億円を特別利益として計上していた反動が主因です。本業の営業利益・経常利益は増益でした。2027年3月期もIFRSベースの当期利益353億円(▲3.1%)・予想EPS69.48円(▲8.3%)と減少の計画です。なお予想EPSには、2026年度に取得する自己株式の影響は織り込まれていません(決算短信p.1・p.2・p.7)。

第三に、中東情勢をはじめとする地政学的リスクの不確実性です。会社は、資源価格・物流・調達面への影響やインフレによるコスト上昇を挙げ、業績予想には現時点で確認できる影響のみを織り込んでいると説明しています(決算短信p.6)。AA事業が関わるFA(工場の自動化)市場の回復も地域差があり、全体としては緩やかにとどまっています(決算短信p.4)。


まとめ

アズビル(6845)は、2026年3月期で11年連続増配となった、8指標すべてをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 11年連続増配。年平均約14.3%のペースで、2027年3月期は記念配当を含む50円へ増配予想
✅ 営業利益473億円は過去最高。営業利益率は10年で7.9%→15.8%へ改善
✅ ビル・工場・ライフラインを支えるストック型の事業基盤。自己資本比率76.1%

【留意点】
・記念配当12円は2027年3月期限り。予想配当性向は72.0%と基準を上回る見込み
・純利益は▲5.8%。2027年3月期もIFRSベースで▲3.1%の減少計画
・中東情勢など地政学的リスクの不確実性を会社自身が明記

3月と9月に配当の権利が確定する銘柄です。予想配当利回りは2.89%で、記念配当のはく落後も普通配当ベースの増配が続くかを見ていきたい1社です。


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※業績・配当・財務の数値は、アズビルの2026年3月期 決算短信(2026年5月13日)、2025年度(2026年3月期)決算説明資料(2026年5月13日)およびIRBANKに基づきます(通期の連結業績・配当の状況・2027年3月期予想は決算短信p.1、経営成績の概況は同p.2、セグメント別の状況は同p.3〜p.5、次期の見通しとIFRSベースの業績予想は同p.6・p.7、財政状態・キャッシュ・フロー・配当方針は同p.8・p.9、経営指標と中長期戦略は同p.10・p.11、企業集団の状況は同p.12、セグメント別売上は同p.24、自己株式の取得は同p.28、受注の状況は同p.30。経営成績は決算説明資料p.5、海外売上高比率は同p.10、株主還元・配当計画は同p.18・p.19、株主還元の推移は同p.21、本社移転・創業120周年は同p.33、受注残高は同p.37)。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年8月6日時点)です。株式分割(2018年10月1日 1株→2株・2024年10月1日 1株→4株)の日付は、会社IRサイト「株主還元・配当」の注記および決算短信p.1の注記で確認した効力発生日です。上場日(1961年10月2日)・商号変更(2012年4月1日に山武からアズビルへ)は会社公式サイトで確認しています。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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