最終更新日:2026年8月10日
11年連続増配・東北の暮らしを支える地域密着型の総合商社
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。ガソリンスタンドや灯油の宅配、LPガス、自動車販売、調剤薬局。東北の生活インフラを幅広く担っているのが、仙台に本社を置く総合商社のカメイです。1903年の創業から123年、時代に合わせて事業を広げてきた老舗で、2026年3月期は売上高・営業利益・純利益がそろって過去最高を更新しました(決算説明資料p.2)。
今回は9月と3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、カメイ(証券コード:8037)を私独自の8指標で分析しました。
結論からお伝えすると、カメイは8つの指標のうち7つをクリアしました。売上高・EPS・自己資本比率・営業活動によるCF・現金等・1株あたりの配当・配当性向の7つが基準を満たす一方、営業利益率には確認しておきたい点があります。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年8月7日時点の値です
📊 8指標の判定は2026年3月期(実績)の数値です
カメイとはどんな会社?
カメイは、宮城県仙台市に本社を置く総合商社です。1903年に宮城県塩竈で雑貨商「亀井商店」として創業し、石油製品や自動車、酒類などへ商材を広げてきました。中核はENEOSの特約店などとして展開するエネルギー事業で、ガソリン・灯油・LPガスの販売やガソリンスタンドの運営を手がけています。グループ会社は83社(国内55社・海外28社)、拠点は全国と海外に約100カ所あります。
売上の内訳(2026年3月期)は、エネルギーが約48%、海外・貿易が約16%、自動車関連が約14%、建設関連が約8%、食料が約7%などです。海外・貿易では米国で日系スーパー「Mitsuwa Marketplace」を運営するなど、M&Aで事業を多角化してきました。2026年3月期は売上高5,830億円(前期比+1.5%)、営業利益169.7億円(同+6.7%)、純利益119億円(同+11.3%)と増収増益で、いずれも過去最高です。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:卸売業
決算月:3月
連続増配:11年(2026年3月期時点)
株価:4,150円(2026年8月7日終値)
予想配当利回り:3.28%(2027年3月期予想)
配当権利確定:9月・3月(年2回)
配当情報
カメイは、2026年3月期まで11年連続で増配を続けています。増配1年目は2016年3月期です(2015年3月期は15円で据え置き、2014年3月期には17円から15円への減配がありました)。2027年3月期は年間136円(中間68円+期末68円)を予想しており、実施されれば12期連続の増配になります。期初予想は130円でしたが、業績予想の上方修正とあわせて、2026年8月6日に136円へ増配修正されました。会社は「累進配当」と「配当性向を30%目安から段階的に40%目安へ引き上げ」を株主還元の基本方針に掲げています(決算説明資料p.21)。また、2026年3月末の株主名簿を初回基準日として、QUOカードやカタログギフトを贈る株主優待制度も新設しました。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 株価 | 4,150円(2026年8月7日終値) |
| 予想配当利回り | 3.28%(2027年3月期予想136円・2026年8月7日株価) |
| 連続増配年数 | 11年(2026年3月期時点) |
| 配当性向 | 29.6%(2026年3月期実績) |
※予想配当利回りは2027年3月期の予想配当(136円)、配当性向は2026年3月期の実績(115円÷EPS388.91円)にもとづきます。利回りは株価の変動によって変わります。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

8指標分析の結果
ここからは、カメイを私独自の8指標で見ていきます。8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | カメイ | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 4,234億円 → 5,830億円(約1.4倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 233.21円 → 388.91円(約1.7倍) | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 2.9% | - |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 52.4% | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 過去10年すべてプラス(103億〜383億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 254億円 → 589億円 | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 11年連続増配(2026年3月期時点) | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 29.6% | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKと決算短信のデータをもとに桃モアイが独自に分析。8指標の「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定しており、一時的な減少はクリア扱いとしています。金額は、売上高・営業CF・現金等は億円未満を切り捨て、EPS・比率は小数第一位まで(EPSは公表値どおり小数第二位まで)を表示しています。8指標のうち7つをクリア。営業利益率は、商品を仕入れて販売する卸売業の薄利多売型の構造により2.9%と基準の5%に届きませんでした。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)
売上高と営業利益率
売上高は4,234億円から5,830億円へと約1.4倍に増えました。2021年3月期はコロナ禍の影響で減収となりましたが、その後はM&Aや出資で収益基盤を広げ、3期連続で過去最高を更新しています。2027年3月期は6,249億円(前期比+7.2%)の会社予想です(2026年8月6日に上方修正)。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は2.9%で、桃モアイ基準の5%には届きません。商品を仕入れて販売する卸売業の薄利多売型の構造によるもので、過去10年は2.1〜2.9%の範囲で推移しています。2027年3月期は2.9%の見込みです。

EPS(1株利益)と配当性向
EPSは233.21円から388.91円へと約1.7倍に増えました。ピークは最新の2026年3月期です。単年の下げ幅は最大でも▲16.1%(2018年3月期)にとどまり、過去10年で30%を超える急落は一度もありません。2027年3月期は393.80円(前期比+1.3%)の会社予想です(2026年8月6日に上方修正)。
配当性向(利益のうち配当に回す割合)は9.6%から29.6%へ上がってきましたが、基準の50%に対して余裕があります。会社は配当性向を40%目安へ段階的に引き上げる方針で、2027年3月期の予想配当性向は34.5%です。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は過去10年すべて黒字で、103億〜383億円の範囲で推移しています。2026年3月期は296億円と前期(383億円)から減りましたが、これは前期に自動車販売の売上債権の回収が集中した反動によるものです(決算説明資料p.14)。
現金等は254億円から589億円へ増え、長期では増加傾向です。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は40.9%から52.4%へ上がりました。2026年3月期は、純利益の積み上がりに加えて売上債権の回収や借入金の返済が進み、前期の49.3%から3.1ポイント上昇しています(2026年3月期決算短信・決算説明資料p.13)。過去10年は一度も基準の40%を下回っていません。

注目ポイント
東北シェア1位の事業を持つ「地域ドミナント」
カメイの強みは、東北を中心とした地域密着のネットワークです。産業用燃料の取扱量、LPガスの取扱量、ENEOSガソリンスタンドの店舗数(独立系運営事業者として)などで東北シェア1位の事業を持ちます(決算説明資料p.46・自社調査)。灯油の宅配から調剤薬局まで生活に身近な商材を総合的に扱うことで、地域の需要を面でおさえるビジネスモデルです。
M&Aで進む「脱石油依存」と過去最高益
祖業のエネルギー事業に加え、M&Aで海外・貿易や食料などへ事業を広げてきました。セグメント利益に占めるエネルギーの割合は60.9%(2013年3月期)から37.2%(2026年3月期)へ下がり、海外・貿易は2.4%から20.8%へ拡大しています(決算説明資料p.50)。収益源の分散が進んだ結果、2026年3月期は売上高が3期連続、営業利益が5期連続で過去最高を更新しました。
累進配当・配当性向40%目安・株主優待の新設
会社は「累進配当」(減配せず維持または増配)と「配当性向30%目安から段階的に40%目安への引き上げ」を基本方針に掲げ、2027年3月期は136円(12期連続増配の見込み)を予想し、2026年8月6日には期初予想の130円から増配修正しています。あわせて株主優待制度を新設し、100株以上を1年以上保有する株主にQUOカードやカタログギフトを贈ります(初回の2026年3月31日基準日は保有期間を問わず、2027年3月31日基準日は継続保有条件が約半年に緩和されています)。ROE8%以上を当面の目標に、政策保有株式の縮減など資本効率の改善にも取り組んでいます(決算説明資料p.21・p.22・p.38)。
いっぽうで、営業利益率と来期の業績見通しには確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
確認しておきたい点が3つあります。
第一に、営業利益率が2.9%と低い水準です。商品を仕入れて販売する卸売業の薄利多売型の構造によるもので、桃モアイ基準の5%には届きません。過去10年でも2.1〜2.9%の範囲にとどまっています。売上に対する利益の薄さは、価格競争や人件費などの費用増加の影響を受けやすい点として意識しておきたいところです。
第二に、売上の約5割を占めるエネルギー事業は外部環境に左右されやすい事業です。2026年3月期は中東情勢の悪化で原油価格が急騰し、石油販売の増益要因になりました。2027年3月期は期初時点では減益予想でしたが、2026年8月6日に上方修正され、増収増益(営業利益178.9億円・前期比+5.4%)の会社予想となりました。原油価格や中東情勢しだいで業績が上下に振れやすい構造は、意識しておきたいところです。
第三に、配当性向が上昇ペースを速めています。2024年3月期の16.0%から2026年3月期は29.6%、2027年3月期は予想34.5%へ上がる見通しです。配当性向40%目安への引き上げ方針にもとづくもので、まだ基準の50%以下に収まっていますが、増配ペースが利益成長を上回る状態が続くと、将来の増配余地は狭まります。EPSの成長が伴うかに注目したいところです。
まとめ
カメイ(8037)は、2026年3月期で11年連続増配となった、8指標のうち7つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 11年連続増配・年平均増配率は約20.7%(2016年→2026年)
✅ 自己資本比率52.4%・営業CFは10年すべて黒字と財務が健全
✅ 累進配当と配当性向40%目安への引き上げ方針・株主優待も新設
【留意点】
・営業利益率は2.9%と低く、卸売業の薄利多売型の構造
・売上の約5割を占めるエネルギー事業は原油価格や中東情勢の影響を受けやすい
・配当性向は16%台から予想34.5%へ上昇しており、EPSの成長との両立に注目
配当権利確定は9月・3月、予想配当利回りは3.28%(2026年8月7日時点)です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年8月7日終値)にもとづきます。財務データは2026年3月期決算短信、決算説明資料(2026年5月)、IRBANKにもとづきます。
※EPSの388.91円(2026年3月期)は決算短信、予想393.80円は業績予想修正(2026年8月6日)の公表値です(IRBANKの表示388.9円は端数差)。
※2027年3月期の業績予想・配当予想は、2026年8月6日公表の「連結業績予想及び配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」を反映しています(期初予想は2026年5月14日公表)。株主優待の継続保有条件の緩和(2027年3月31日基準日)も同日の開示です。
※連続増配の増配1年目は2016年3月期です(2015年3月期は15円で据え置き、2014年3月期は17円→15円の減配)。会社は決算説明資料で2026年3月期を「11期連続増配」、2027年3月期予想を「12期連続増配の見込み」と説明しています。
※配当性向は「1株あたりの配当÷EPS」で計算した決算短信の値を使用しています。会社の決算説明資料の一部(配当金支払総額÷純利益で計算した年)とは小幅に異なる場合があります。
※東北シェア1位の事業(産業用燃料取扱量など)は、会社の決算説明資料に記載の自社調査にもとづきます。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

