【10年連続増配】手間いらず(2477)を8指標分析

手間いらず(2477)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年7月29日

10年連続増配・宿泊予約サイトを一元管理するシステムで営業利益率73.6%

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。ホテルや旅館が複数の予約サイトに出す空室と料金を、1つの画面でまとめて管理できるシステムを作っている会社があります。日本政府観光局によると2025年の訪日外客数は約4,268万人と過去最高で、2026年6月期の第3四半期累計は売上高が前年同期比9.8%増となりました。

今回は6月・12月に配当権利が確定する連続増配株の1社、手間いらず(証券コード:2477)を私独自の8指標で分析しました。

結論から言うと、手間いらずは8指標すべてをクリアしました。10年連続の増配に加えて、営業利益率73.6%・自己資本比率93.8%と、稼ぐ力と財務の両方が基準を大きく上回っています。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年7月28日時点の値です
📊 8指標の判定は2025年6月期(実績)の数値です。進捗として2026年6月期 第3四半期にも触れています


手間いらずとはどんな会社?

手間いらずは、ホテルや旅館などの宿泊施設に向けて、宿泊予約サイトコントローラー『TEMAIRAZU』シリーズを開発・提供しています。複数の予約サイトに出す部屋の在庫と料金を1つの画面でまとめて操作できる仕組みで、宿泊施設は在庫を手作業で直す手間や、二重予約のリスクを減らせます。2003年8月に「比較.com株式会社」として設立し、2006年3月に東証マザーズへ上場しました。2017年10月に現在の社名へ変更し、市場は東証一部・プライムを経て2023年10月から東証スタンダードです(会社の沿革)。

事業は2つです。2025年6月期の売上高21.9億円のうち、アプリケーションサービス事業が21.7億円で全体の99.5%を占めます。もう一方のインターネットメディア事業(比較サイト『比較.com』の運営)は0.1億円で0.5%です(2025年6月期 決算短信p.14)。

売上の内訳は、月額固定収入が16.4億円(74.8%)、予約数に応じて増減する月額変動収入が4.8億円(22.2%)、その他が0.7億円(3.0%)です(同p.16)。毎月決まった利用料が積み上がるストック型の収益構造で、会社は解約率が低い水準を保っていると説明しています(2026年6月期 中間期 決算説明資料p.17)。

直近では、海外の販売チャネルとの接続を広げています。2026年6月期の中間期には、DerbySoft(全世界300以上のチャネルに接続)、インドネシア最大手の旅行予約サイト『Tiket.com』、ホテル向けの管理システム『Oracle OPERA Cloud』などとの連携を順次始めました(2026年6月期 中間期 決算説明資料p.14〜16)。第3四半期には、アジア最大級の旅行体験予約プラットフォーム『KKday』やAgodaとの連携も加わりました(第3四半期決算短信p.3)。なお連結子会社はなく、決算は非連結(単体)です。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証スタンダード
業種:情報・通信業
決算月:6月
連続増配:10年(2025年6月期時点)
株価:2,364円(2026年7月28日時点)
予想配当利回り:1.69%(2026年6月期 会社予想配当40円ベース)
配当権利確定:6月・12月(年2回)


配当情報

手間いらずは増配を続けていて、2025年6月期で10年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2025年6月期の実績で38円(中間15円・期末23円、前期比4円の増配)です。2026年6月期の会社予想は40円(中間16円・期末24円)で、予想どおりなら11期連続の増配になります。

配当は年2回で、中間配当は2019年11月に配当方針を変えて始めたものです。配当性向(利益のうち配当に回す割合)は近年22〜23%で推移していて、2026年6月期の会社予想も22.7%です(2025年6月期 決算短信「配当の状況」)。

📌 株式分割と本記事の基準
手間いらずは2015年7月1日付で、1株を2株に分ける株式分割を実施しました。本記事が「過去10年」として扱う2016年6月期以降には分割がないため、記事に載せた配当・EPS・株価はすべて分割の影響を受けない実際の金額です。分割前にあたる2015年6月期の配当5円は、分割をさかのぼって調整すると2.5円になります。

項目 内容
株価 2,364円(2026年7月28日時点)
予想配当利回り 1.69%(2026年6月期 会社予想配当40円ベース)
連続増配年数 10年(2025年6月期時点)
配当性向 22.9%(2025年6月期 実績)

出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月28日時点)、配当は決算短信。予想配当利回りは2026年6月期の会社予想配当40円に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2025年6月期の実績(38円÷EPS165.73円=22.9%・決算短信の公表値と一致)です。連続増配年数は配当実績ベース(IRBANK)で、2016年6月期を増配1年目として10年と数えています(2015年6月期が初めての配当のため、比較の起点は翌期としています)。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2026年6月期)です。

手間いらず 1株あたりの配当の推移 10年連続増配

1株あたりの配当は、2016年6月期の3.5円から2025年6月期の38円まで増えました。毎年ならすと約30.3%ずつ増やしてきた計算です。ただしこのペースには、初めて配当を出した直後という低い水準からの出発が含まれます。2021年6月期の27円から2025年6月期の38円までの4年間に絞ると、年平均は約8.9%です。


8指標分析の結果

ここからは、手間いらずを私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 手間いらず 判定
売上高 増加傾向 8.0億円→21.9億円(過去10年で約2.7倍)
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 35.4円→165.7円(過去10年で約4.7倍)
営業利益率 5%以上 73.6%(直近期・実績)
自己資本比率 40%以上 93.8%(直近期・実績)
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 全期間プラス(2.8億〜10.6億円)
現金等 増加傾向 21.4億円→65.9億円(過去10年で約3.1倍)
1株あたりの配当 10年以上連続増配 10年連続増配
配当性向 50%以下 22.9%(直近期・実績)

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標です。
※財務指標は2025年6月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。手間いらずは日本基準・非連結(単体)決算で、連結子会社はありません。2025年6月期は増収増益で、8指標すべてをクリアしました。EPS(165.73円)と営業利益率(73.6%)は決算短信の公表値を使用しています。2026年6月期の予想EPSは決算短信の176.51円を採用しており、IRBANKの表示値(184.82円)とは異なります。金額は小数第一位までを四捨五入して表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2016年〜2025年実績+2026年予想)

ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。年はいずれも6月期です。会社予想のある系列は、いちばん右にグレーで2026年6月期の予想を示しています。

売上高と営業利益率

売上高は、2016年6月期の8.0億円から2025年6月期の21.9億円へと、過去10年で約2.7倍に増えました。前期を下回ったのは、コロナ禍で宿泊需要が落ち込んだ2021年6月期の1回だけで、その減少幅も2.4%にとどまります。営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は51.6%から73.6%まで上がりました。月額利用料が中心のため、売上が増えても費用が同じようには増えず、利益率が上がりやすい構造です。なお2026年6月期の会社予想は売上高23.7億円・利益率69.3%で、人材や開発への投資を増やす分だけ利益率は下がる計画です。

手間いらず 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株あたりの利益)と配当性向

EPSは、2016年6月期の35.4円から2025年6月期の165.7円へと、過去10年で約4.7倍に増えました。単年で30%を超える急落はなく、いちばん大きな下げでも2021年6月期の1.2%減です。基準の「安定して増加傾向」を満たしています。

配当性向は、過去10年で9.9〜23.1%と基準の50%を大きく下回って推移し、2025年6月期は22.9%でした。利益の伸びに合わせて配当を増やしてきたため、比率はほぼ一定です。なお2026年6月期の会社予想は22.7%です。

手間いらず EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のレンジが2.8億〜10.6億円で、すべての年がプラスでした。直近の2025年6月期は10.6億円で、過去10年で最も多い水準です。現金等(手元の現金)は、2016年6月期の21.4億円から2025年6月期の65.9億円へと約3.1倍に増えました。直近1年の伸びが0.3%にとどまったのは、6.3億円の自己株式の取得があったためです(2025年6月期 決算短信p.4)。有利子負債はなく、総資産72.2億円の9割以上を現金等が占めます。

手間いらず 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年90.8〜94.6%で推移し、直近は93.8%です。基準の40%を大きく上回ります。借入金がなく、負債の中身は未払法人税等や契約負債などに限られ、固定負債はありません(2025年6月期 決算短信p.8)。

手間いらず 自己資本比率の推移


注目ポイント

月額課金が中心のストック型で、営業利益率73.6%

2025年6月期の売上21.9億円のうち、月額固定収入が16.4億円で74.8%、予約数に応じた月額変動収入が4.8億円で22.2%を占めます(2025年6月期 決算短信p.16)。毎月の利用料が積み上がる形のため、売上が増えても費用は同じようには増えません。その結果、営業利益率は10年前の51.6%から73.6%まで上がりました。会社は解約率が低い水準を保っていると説明しています(2026年6月期 中間期 決算説明資料p.17)。

有利子負債ゼロ・自己資本比率93.8%の財務

2025年6月期末の総資産72.2億円に対し、現金等は65.9億円です。借入金はなく、固定負債もありません(2025年6月期 決算短信p.8)。営業CFも10.6億円と過去10年で最も多く、稼いだ現金がそのまま手元に積み上がる形になっています。増配と自己株式の取得を同時に進めても財務の余裕は保たれていて、2026年3月末の自己資本比率は95.2%です(第3四半期決算短信p.4)。

インバウンド需要を追い風に、10年連続増配

日本政府観光局によると、2025年の訪日外客数は約4,268万人で過去最高を更新しました(2026年6月期 中間期 決算短信p.2)。この追い風を受けて、2026年6月期の第3四半期累計(2025年7月〜2026年3月)は売上高が前年同期比9.8%増、営業利益が同6.6%増となり、通期予想は据え置かれています(第3四半期決算短信p.2・4)。配当は2016年6月期の3.5円から2025年6月期の38円へ増え、2026年6月期は40円の増配予想です。

いっぽうで、収益の集中や利益の伸び方には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。

第一に、収益が宿泊業界のひとつの事業に集中している点です。2025年6月期は、売上の99.5%をアプリケーションサービス事業が占めます。もう一方のインターネットメディア事業は、検索エンジンのアルゴリズムの影響でサイトへの訪問が減り、2025年6月期の売上は前期比47.3%減の0.1億円でした(2025年6月期 決算短信p.3)。2026年6月期の第3四半期累計も、売上が前年同期比49.8%減の約445万円、セグメント損失が約159万円です(第3四半期決算短信p.10)。宿泊需要やインバウンドが落ち込めば、業績はそのまま影響を受けます。

第二に、2026年6月期は増収でも利益の伸びが鈍る計画である点です。会社予想は売上高23.7億円(前期比8.2%増)に対し、営業利益16.4億円(同1.9%増)・純利益11.1億円(同3.8%増)です。人材の採用、機能強化のための開発、セキュリティ対策といった投資を増やすためです。今後数年は毎期1億〜2億円を新サービスや新規事業に投じる計画です(2025年6月期 決算短信p.5)。この結果、予想の営業利益率は73.6%から69.3%へ下がります。なお第3四半期累計の実績は71.5%で、計画をやや上回るペースです(第3四半期決算短信p.6)。

第三に、予想配当利回りが1.69%と控えめな点です。株価が高いから利回りが低いというより、配当性向が22.9%と低く、利益の多くを事業と自己株式の取得に回しているためです。株価2,364円で計算すると、PERは13.4倍、PBRは2.19倍です(2026年6月期の会社予想EPS176.51円、2025年6月期末の1株純資産1,077.93円で算出)。なおEPSの伸びには、2025年6月期6.3億円・2026年6月期の第3四半期累計8.8億円の自己株式の取得による株数の減少も寄与しており、事業の成長だけで押し上げられているわけではありません。


まとめ

手間いらず(2477)は、宿泊予約サイトの一元管理システムを手がける会社で、2025年6月期で10年連続増配となった、8指標すべてをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 月額課金が中心のストック型で、営業利益率73.6%
✅ 有利子負債ゼロ・自己資本比率93.8%・現金等65.9億円の財務
✅ 10年連続増配。配当は3.5円から38円へ、2026年6月期は40円の予想

【留意点】
・売上の99.5%が宿泊業界向けの1事業に集中
・2026年6月期は投資増で営業利益+1.9%と伸びが鈍る計画
・予想配当利回りは1.69%と控えめ

6月・12月に配当の権利が確定する銘柄です。投資を増やす局面で増配のペースをどう保つかを、これからの決算で見ていきたい1社です。


連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。

楽天証券とSBI証券、連続増配株を始めるならどっち?

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※業績・配当・財務の数値は、手間いらずの2025年6月期 決算短信(2025年7月31日)、2026年6月期 第2四半期(中間期)決算短信および同期の決算説明資料(2026年2月10日)、2026年6月期 第3四半期決算短信(2026年5月12日)、IRBANKに基づきます。ページの内訳は次のとおりです。2025年6月期=経営成績と業績予想p.2・5/キャッシュ・フローと自己株式の取得p.4/貸借対照表p.8/セグメント別売上p.14/収益の内訳p.16。2026年6月期中間期=訪日外客数p.2/解約率と収益構成は説明資料p.17/システム連携は同p.14〜16。2026年6月期第3四半期=経営成績p.2/システム連携p.3/財政状態と通期予想p.4/損益計算書p.6/セグメント損益p.10。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月28日時点)、設立・商号変更・市場変更は会社の沿革ページ、株式分割は2015年5月14日開示「株式分割及び定款の一部変更に関するお知らせ」、中間配当の開始は2019年11月1日開示の適時開示によります。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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