【13年連続増配】MS&ADホールディングス(8725)を8指標分析

MS&ADホールディングス(8725)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年7月24日

13年連続増配・国内損保シェアNo.1のMS&ADホールディングス

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。自動車保険や火災保険でおなじみの三井住友海上と、あいおいニッセイ同和損保。この2社を傘下に持つのが、国内シェアNo.1の損害保険グループ、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(以下、MS&ADホールディングス)です。2027年4月には傘下の損保2社が合併し、1つのブランドになる予定です。

今回は3月・9月に配当権利が確定する連続増配株の1社、MS&ADホールディングス(証券コード:8725)を私独自の8指標で分析しました。

結論から言うと、MS&ADホールディングスは8つのうち6つの指標をクリアしました。届かなかった2つには、保険業ならではの理由があります。このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年7月23日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています


MS&ADホールディングスとはどんな会社?

MS&ADホールディングスは、東京都中央区に本社を構える保険持株会社です。2008年に前身の三井住友海上グループホールディングスとして設立・上場し、2010年にあいおい損保・ニッセイ同和損保との経営統合で現在のMS&ADグループが発足しました(東証プライム・名証プレミアに上場)。傘下に三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保などの損害保険会社と、生命保険会社を持ちます。

事業は国内損保・国内生保・海外・金融サービス・デジタルリスク関連の5つです。利益の柱は国内損保事業(グループ修正利益の66.6%・2024年度)で、海外事業(同25.8%)が続きます。国内損保市場のシェアは33%でNo.1です(2024年度・会社資料)。連結従業員は46,856名(2026年3月期末)の巨大グループです。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証プライム(名証プレミアにも上場)
業種:保険業
決算月:3月
連続増配:13年(2026年3月期時点)
株価:4,873円(2026年7月23日時点)
予想配当利回り:3.49%(2027年3月期 会社予想配当170円〔特別配当30円を含む〕ベース)
配当権利確定:3月・9月(年2回)


配当情報

MS&ADホールディングスは増配を続けていて、2026年3月期で13年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2026年3月期の実績で160円(分割調整後)です。会社はグループ修正利益の50%を株主還元し、総配当額を毎年安定的に増やす「累進配当」を目指す方針を掲げています。2027年3月期の会社予想は170円で、実施されれば14年連続の増配となります。

なお予想170円の内訳は、普通配当140円+特別配当30円です。特別配当は、政策株式(取引先と持ち合う株式)の売却に伴う利益を対象とした配当です。普通配当140円だけで計算すると、利回りは約2.87%になります。

📌 株式分割と本記事の基準:MS&ADホールディングスは2024年4月1日(効力発生日)に1株→3株の株式分割を実施しました。本記事の株価・配当・EPSはすべて分割後の基準で統一しています。過去の配当・EPSは分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額です(株価は実際の取引価格のため調整しません)。

項目 内容
株価 4,873円(2026年7月23日時点)
予想配当利回り 3.49%(2027年3月期 会社予想配当170円〔特別配当30円を含む〕ベース)
連続増配年数 13年(2026年3月期時点)
1株あたりの配当 160円(2026年3月期 実績・普通配当と特別配当の合計)
EPS(1株あたりの利益) 342.98円(2026年3月期 実績)
配当性向 46.6%(2026年3月期 実績・160円÷342.98円)

出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月23日時点)、配当・EPSは決算短信。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当170円に基づき、株価の変動により変わります。予想配当の普通・特別の内訳は決算短信の注記が出典です。連続増配年数は、2014年3月期を増配1年目として実績ベースで13年と数えています(分割調整後)。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

MS&ADホールディングス 1株あたりの配当の推移 13年連続増配

1株あたりの配当は、2017年3月期の40円から2026年3月期の160円まで増えました。毎年ならすと約16.7%ずつ増やしてきた計算です。


8指標分析の結果

ここからは、MS&ADホールディングスを私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 MS&ADホールディングス 判定
売上高 増加傾向 3兆4,073億円→6兆4,360億円(途中に会計基準の変更を含む・日本基準期間もIFRS期間も増収基調)
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 116.98円→342.98円(過去10年で約2.9倍)
営業利益率 5%以上 10.9%(直近期・実績。税引前利益率で代用)
自己資本比率 40%以上 21.7%(直近期・実績)
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 過去10年のレンジは▲3,239億〜1兆869億円(うち1年がマイナス)
現金等 増加傾向 1兆4,159億円→2兆5,138億円(過去10年で約1.8倍)
1株あたりの配当 10年以上連続増配 13年連続増配
配当性向 50%以下 46.6%(直近期・実績)

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・会社資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。自己資本比率は会計基準により表記が異なり、IFRS採用企業ではIRBANK上「株主資本比率」と表示されます。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。2026年3月期は増収増益(保険収益8.2%増・当期利益70.1%増)でした。8指標のうち6つをクリア。自己資本比率と営業活動によるCFは、巨額の保険負債を抱えて資産を運用し、保険金の支払いで資金が大きく出入りする保険業の事業特性により、基準に届きませんでした。

※当社は2026年3月期からIFRS(国際会計基準)を任意適用しており、表・グラフの2025年3月期以降はIFRS、2024年3月期以前は日本基準の数値です。売上高は日本基準では「正味収入保険料」、IFRSでは「保険収益」を使用し、2025年3月期の増収率には会計基準変更の影響を含みます。営業利益率は保険業では開示がないため、経常利益率(IFRS期は税引前利益率)で代用しています。配当・EPSは株式分割をさかのぼって調整した調整後の金額で、EPSは決算短信の基本的1株当たり当期利益を使用しています(IRBANK表示の342.99円とはわずかな差)。2025年3月期の配当性向はIRBANKに欠測があるため自算しています(配当145円÷EPS193.36円=75.0%)。金額は億円未満を四捨五入して表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)

ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。会社予想のある系列(EPS・配当)は、いちばん右にグレーで2027年3月期の予想を示しています。

売上高と営業利益率

売上高にあたる項目は、日本基準では「正味収入保険料」、IFRSでは「保険収益」です。日本基準の期間(2017年〜2024年3月期)は3兆4,073億円から4兆2,617億円へ増え、IFRSに切り替わった直近の2026年3月期は前期比8.2%増の6兆4,360億円でした。グラフの2025年の棒からIFRSの数値になるため、2024年以前との段差は会計基準の変更によるもので、単純比較はできません。営業利益率の代わりに見る税引前利益率は、過去10年おおむね4〜11%で推移し、直近は10.9%です。5%を下回ったのは自然災害の保険金支払いなどがかさんだ2020年3月期(4.4%)の1回だけで、基準の5%以上をクリアしています。

MS&ADホールディングス 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株あたりの利益)と配当性向

EPS(1株あたりの利益)は、2017年3月期の116.98円から2026年3月期の342.98円へと、過去10年で約2.9倍になりました。自然災害や運用環境しだいで減る年もあり、期間中の減少は4回ありますが、最大でも25.9%減と、単年で30%を超える急落はありません。配当性向(利益のうち配当に回す割合)は過去10年34.2〜75.0%で推移し、直近は46.6%です。特別配当を始めた2025年3月期は75.0%まで上がりましたが、2026年3月期は利益の増加で基準の50%以下に戻りました。

MS&ADホールディングス EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のレンジは▲3,239億〜1兆869億円(うち1年がマイナス。最小は2021年3月期、最大は2017年3月期)です。保険業は保険料の受け取りと保険金の支払い、再保険や運用のやりとりで資金が大きく出入りするため、年による振れが大きくなります。マイナスは2021年3月期の1回で、基準の「過去10年すべてプラス」には届きませんでした。現金等(手元の現金)は、2017年3月期の1兆4,159億円から2026年3月期の2兆5,138億円へと約1.8倍に増えました。2025年3月期にいったん減っていますが、この年からIFRSの数値に切り替わるため前年との単純比較はできず、直近の2026年3月期は増えています。

MS&ADホールディングス 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年10.6〜21.7%で推移し、直近は21.7%です。基準の40%には届きませんが、これは保険業の事業構造によるものです(くわしくは「投資の留意点」で説明します)。2024年3月期に大きく上がったのは、保有株式の含み益の増加などで純資産が積み上がったためです。

MS&ADホールディングス 自己資本比率の推移


注目ポイント

13年連続増配、利益の50%を還元する累進配当の方針

「配当情報」で触れた累進配当の方針を支えるのは、利益の伸びです。2026年3月期はEPSが前期比77.4%増の342.98円と大きく伸び、160円へ増配しても配当性向は46.6%に収まりました。株主還元の土台となる利益が育っている点は強みです。

国内損保シェアNo.1、2027年4月の合併で1ブランドに

2027年4月に三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保が合併し、1つのブランドになる予定です。合併により事業費1,500億円規模の削減を見込み、世界の大手損保並みの「事業費率30%未満」を目指します(経営戦略資料 P.25)。規模の強みを効率化につなげられるかが、次の成長のカギです。

政策株式を2029年度末にゼロへ、売却資金2兆円を成長投資に

取引先と持ち合う政策株式を、2029年度末までに残高ゼロにする方針です。売却資金のうち約2兆円を成長投資に振り向け、米国の保険会社W.R.Berkley社へ約0.6兆円を出資しました(発行済株式の15%取得を2025年3月に決定)。会社は2030年度に利益水準1兆円・利益の海外比率約6割を目指しています(経営戦略資料 P.21・24・33〜35)。

いっぽうで、財務指標の見え方や配当の中身には、保険業ならではの確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。

第一に、自己資本比率と営業CFの2指標が基準に届かない点です。いずれも「悪い」のではなく、巨額の保険負債と運用資産を抱え、保険金の支払いで資金が出入りする保険業の構造によるものです。8指標は一般の事業会社を想定した基準のため、構造的に外れやすくなります。財務の健全性は、国内保険子会社の格付け(S&P「A+」・ムーディーズ「A1」・R&I「AA」)と、経済価値ベースの健全性指標ESR214%(2026年3月末・会社決算説明資料)が補強しています。

第二に、予想配当170円のうち30円は、政策株式の売却を前提とした特別配当という点です。政策株式は2029年度末に残高ゼロとする方針のため、売却が終われば特別配当は続かない前提で見る必要があります。利回りを見るときは、普通配当だけの約2.87%も目安にしておくと安心です。また2027年3月期は当期利益が前期比16.8%減の会社予想で、予想ベースの配当性向は58.0%と、実績の46.6%より高くなります。

第三に、自然災害や海外事業の動向で業績が振れやすい点です。業界全体の自然災害による火災保険の支払いは、2018・2019年度に2年連続で1兆円を超えました(会社資料)。同社もEPSが年により2割超減る局面がありました。今後は利益の海外比率を約6割へ高める計画のため、為替や海外の保険市場の影響も受けやすくなります。


まとめ

MS&ADホールディングス(8725)は、三井住友海上などを傘下に持つ国内シェアNo.1の損害保険グループで、2026年3月期で13年連続増配となった、8指標のうち6つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 13年連続増配。修正利益の50%還元と累進配当の方針で、配当性向は46.6%
✅ 国内損保シェアNo.1。2027年4月の合併で事業費1,500億円規模の削減へ
✅ 政策株式の売却資金約2兆円を成長投資に。2030年度に利益水準1兆円を目指す

【留意点】
・自己資本比率と営業CFは、保険業の事業構造により基準に届かない
・予想配当170円のうち30円は、政策株式の売却を前提とする特別配当
・自然災害や海外事業の動向で業績が振れやすい

3月・9月に配当の権利が確定する銘柄です。2027年4月の合併という節目を越えて、累進配当をどこまで続けられるか、これからの決算で見ていきたい1社です。


連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。

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※会社概要・シェア・合併・政策株式・株主還元方針・格付けなどは、MS&ADホールディングス「個人投資家の皆さまへ MS&ADグループの経営戦略」(2025年9月6日)および2026年3月期決算短信〔IFRS〕・有価証券報告書に基づきます(従業員数は有価証券報告書、ESRは決算説明資料)。過去10年の各系列はIRBANKと一次資料を突合し、全系列を増減率で機械検算しています。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月23日時点)です。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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