最終更新日:2026年7月30日
10年連続増配・病院を丸ごと支える医療の総合ソリューション企業「シップヘルスケアホールディングス」
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。病院が新しく建つとき、その設計から医療機器、手術室のリニューアル、患者さんの給食までをまとめて引き受ける会社があります。2026年3月期の売上高は7,181億円で、病院内の物流を受託するSPDは全国277件・約102,000床に広がりました(2026年3月期決算説明会資料〈以下、説明資料〉p.10)。
今回は3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、シップヘルスケアホールディングス(証券コード:3360)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、シップヘルスケアホールディングスは8つのうち6つをクリアしました。営業利益率と自己資本比率が基準に届きませんでした。10年連続増配で、予想配当利回りは2.53%です。2027年3月期は増収増益と65円への増配を見込んでいますが、確認しておきたい点もあります。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年7月29日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています
シップヘルスケアホールディングスとはどんな会社?
シップヘルスケアホールディングスは、大阪に本社を置く医療の総合ソリューション企業です。2005年2月22日に東証二部へ上場し、2007年に東証一部、2022年から東証プライム市場に上場しています。グループは52社(2026年4月30日現在・説明資料p.32)で構成されています。
事業は4つに分かれます。「トータルパックプロデュース事業」は、医療機器や医療設備の一括受注販売とメンテナンス、病院の新設・移転に関するコンサルティングなどです。「メディカルサプライ事業」は、医療用の診療材料や特定保険医療材料の販売です。「ライフケア事業」は老人ホームやグループホームの運営と食事提供サービス、「調剤薬局事業」は調剤薬局の運営を行っています(2026年3月期決算短信p.14)。
2026年3月期の売上構成は、メディカルサプライ事業が71.0%と大半を占め、トータルパックプロデュース事業が19.0%と続きます。いっぽう営業利益の構成は、トータルパックプロデュース事業が44.1%、メディカルサプライ事業が30.5%です(説明資料p.7・p.8)。売上の大きい事業と、利益を稼ぐ事業が異なる点がこの会社の特徴です。
近年は成長領域の拡大を進めています。2025年5月には医療分野のODA(政府開発援助)専門商社テックインターナショナルがグループに加わり、2026年2月には首都圏の医療材料物流拠点「SHIPグランベース 東京」が稼働しました(説明資料p.20・p.23)。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:卸売業
決算月:3月
連続増配:10年(2026年3月期時点)
株価:2,565円(2026年7月29日時点)
予想配当利回り:2.53%(2027年3月期 会社予想配当65円ベース)
配当権利確定:3月(年1回)
配当情報
シップヘルスケアホールディングスは増配を続けていて、2026年3月期で10年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2026年3月期の実績で60円です。前期の58円から2円増えました。配当は期末の年1回で、中間配当はありません。
2027年3月期の会社予想は、5円増の年間65円です。実施されれば11期連続の増配になります。
利益のうち配当に回す割合(配当性向)は、2026年3月期の実績で41.6%でした。桃モアイ基準の50%以下は満たしています。過去10年でもっとも高い水準で、10年前の32.2%から約9ポイント上がりました。
📌 株式分割と本記事の基準
シップヘルスケアホールディングスは、2021年4月1日効力発生で1株→2株の株式分割を実施しました(過去10年で1回)。本記事の配当・EPSは、分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額です(株価は実際の取引価格のため調整しません)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 2,565円(2026年7月29日時点) |
| 予想配当利回り | 2.53%(2027年3月期 会社予想配当65円ベース) |
| 連続増配年数 | 10年(2026年3月期時点) |
| 配当性向 | 41.6%(2026年3月期 実績。60円÷144円19銭) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月29日時点)、配当・EPS・配当性向は決算短信・IRBANK。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当(1株65円)に基づき、株価の変動により変わります。連続増配年数は配当実績ベースで、2016年3月期が27.5円の据え置きだったため2017年3月期を増配1年目とし、実績10年と数えています。配当・EPSは2021年4月1日効力発生の株式分割(1株→2株)を遡及調整した調整後の金額です。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

1株あたりの配当は、2017年3月期の30円から2026年3月期の60円まで、ちょうど2倍に増えました。毎年ならすと約8.0%ずつ増やしてきた計算です。2024年3月期には42円から50円へ増えましたが、この50円には記念配当5円が含まれます(説明資料p.31)。記念配当を除いた普通配当45円で見ても、前後の年より増えています。
8指標分析の結果
ここからは、シップヘルスケアホールディングスを私独自の8指標で見ていきます。8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | シップヘルスケアホールディングス | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 4,084億円→7,181億円(過去10年で約1.8倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 93.2円→144.2円(過去10年で約1.5倍。ピークは2025年3月期の160.3円=最古年の約1.7倍。単年の急落なし) | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 3.4%(直近期・実績) | - |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 39.2%(直近期・実績) | - |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(過去10年のレンジは105億〜316億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 486億円→786億円(過去10年で約1.6倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 10年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 41.6%(直近期・実績) | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標のうち6つをクリアしました。営業利益率3.4%と自己資本比率39.2%は、医療材料の卸売を中核とする事業構成によるもので、基準に届きませんでした。2026年3月期は売上高が過去最高の7,181億円となる一方、親会社株主に帰属する当期純利益は133億円(前期比11.5%減)となりました。金額は億円未満を切り捨てて表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年3月期〜2026年3月期実績+2027年3月期予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。グラフは2017年3月期〜2026年3月期の実績で、会社予想のある系列(売上高・営業利益率・EPS・1株配当)は2027年3月期の予想も示しています。
売上高と営業利益率
売上高は、2017年3月期の4,084億円から2026年3月期の7,181億円へ増えました。過去10年で約1.8倍です。10年間で減収の年はありません。2026年3月期は前期比5.9%増で、期初計画の7,000億円も上回りました(説明資料p.5)。2027年3月期の会社予想は7,400億円(前期比3.0%増)です。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、2017年3月期の3.93%から2026年3月期の3.41%へ推移しました。過去10年のレンジは3.41〜4.38%で、最も高かったのは2021年3月期です。桃モアイ基準の5%以上には届いていません。売上の71.0%を占めるメディカルサプライ事業の利益率が1.5%にとどまることが、全体を押し下げています(説明資料p.7・p.10)。2027年3月期の会社予想は3.51%です。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPS(1株あたりの利益)は、2017年3月期の93.2円から2026年3月期の144.2円へ増えました。ピークは2025年3月期の160.3円で、最も古い年の約1.7倍にあたります。前年を下回った年はありますが、下げ幅はいずれも1割強までに収まっています。2027年3月期の会社予想は173.9円です。
配当性向は、2017年3月期の32.2%から2026年3月期の41.6%へ上がりました。基準の50%以下には収まっていますが、増配のペースが利益の伸びを上回り、余力は10年前より小さくなっています。なお2027年3月期の会社予想は37.4%の見込みです。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスでした(レンジは105億〜316億円。最小は2019年3月期、最大は2024年3月期)。年ごとの振れが大きいのは、大型案件の入金や仕入代金の支払いのタイミングに左右されるためです。2026年3月期の220億円は、仕入債務が71億円増えたことなどが寄与しました。
現金等(手元の現金)は、2017年3月期の486億円から2026年3月期の786億円へと約1.6倍になりました。10年で最も多かったのは2024年3月期の831億円です。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2017年3月期の34.7%から2026年3月期の39.2%へ上がりました。10年で4.5ポイント高まりましたが、桃モアイ基準の40%以上にはあと0.8ポイント届いていません。
2026年3月期は前期の39.1%から0.1ポイント上がり、10年で最も高い水準です。自己資本の額も1,490億円から1,510億円へ増えました。比率が40%に届かない背景には、仕入代金の支払い義務である支払手形及び買掛金1,279億円など、卸売の機能を持つ会社に共通する負債の大きさがあります(2026年3月期決算短信p.7)。

注目ポイント
病院を「つくる」から「支える」まで一社で担う
この会社の強みは、病院との接点が一度で終わらないことです。新設や移転をトータルパックプロデュース事業で手がけ、開院後は診療材料の供給をメディカルサプライ事業が引き受けます。病院内の物流を受託するSPDは全国277件・約102,000床(2026年3月31日現在)に広がり、経営母体の異なる複数病院との一括契約も始まりました(説明資料p.10)。高齢化で医療・介護の需要が続くなか、売上高は過去10年で約1.8倍に伸びています。
10年連続増配・年平均約8.0%のペースで増やしてきた
1株あたりの配当は、2017年3月期の30円から2026年3月期の60円へ2倍になりました。毎年ならすと約8.0%のペースです。配当性向41.6%は桃モアイ基準の50%以下に収まっており、2027年3月期は65円への増配を予想しています。
本業で稼ぐ現金が安定し、成長投資と自己株買いを両立している
営業CFは過去10年すべてプラスで、2026年3月期は220億円でした。手元の現金等も786億円あります。この資金で、首都圏の医療材料物流拠点「SHIPグランベース 東京」の稼働やODA専門商社のグループ参画といった成長投資を進めるいっぽう、2026年3月期には49億円の自己株式を取得しています(2026年3月期決算短信p.13)。
いっぽうで、利益率や財務の安全性、直近の減益には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
確認しておきたい点が3つあります。
第一に、営業利益率3.4%は桃モアイ基準の5%を大きく下回る点です。売上の大半を占めるメディカルサプライ事業は、診療材料をまとめて仕入れて病院へ届ける卸の機能が中心で、薄い利幅を物量でカバーする構造です。薄利ゆえに、コストの増加や案件の端境期が利益に直結します。2026年3月期の営業利益は244億円で、前期比1.2%減でした。前期にあったシニア向け分譲マンションの竣工・販売が今期はなかったこと、リニューアル案件での部材の納期遅れ、M&A手数料などの一過性費用が重なったためです(2026年3月期決算短信p.2)。
第二に、自己資本比率39.2%が基準の40%にあと0.8ポイント届いていない点です。34.7%から改善を続けてきた指標で、直近期も前期から0.1ポイント上がりました。ただし総資産3,851億円に対し、支払手形及び買掛金1,279億円・電子記録債務367億円と仕入債務が大きく、比率が上がりにくい構造です。借入金は303億円あります(同短信p.7)。取引先である医療機関の経営環境は物価高と人手不足で厳しさが続いており、売掛金の回収リスクにも目を配りたいところです。
第三に、2026年3月期は純利益が11.5%減り、配当性向が上がった点です。売上高は過去最高、経常利益も263億円と前期比1.2%増でしたが、貸倒引当金の繰入24億円・投資有価証券評価損7億円といった特別損失に加え、前期にあった貸倒引当金の戻入16億円・補助金収入3億円がなくなったことが響きました(同短信p.8)。この結果、配当性向は36.2%から41.6%へ上がっています。2027年3月期は純利益160億円(前期比19.5%増)への回復を見込みますが、外形標準課税の対象法人の範囲が広がり、租税公課が約8億円増える前提です(説明資料p.27)。会社は中期経営計画で2030年3月期に営業利益率4%・ROE12%を掲げており、達成には利益率の改善が欠かせません(同短信p.5)。
まとめ
シップヘルスケアホールディングス(3360)は、病院の新設から診療材料の供給までを一括で担う医療の総合ソリューション企業で、2026年3月期で10年連続増配となった、8指標のうち6つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 10年連続増配・年平均約8.0%の増配ペースで、配当性向41.6%は基準の50%以下
✅ 売上高は過去10年で約1.8倍の7,181億円、10年間で減収の年なし
✅ 営業CFは過去10年すべてプラス(105億〜316億円)、現金等は486億→786億円
【留意点】
・営業利益率3.4%は基準の5%を下回る(売上の71.0%を占める医療材料卸の薄利構造)
・自己資本比率39.2%は基準の40%にあと0.8ポイント届かず
・2026年3月期は純利益11.5%減で、配当性向が36.2%から41.6%へ上昇
3月の期末に配当の権利が確定する、年1回の銘柄です。予想配当利回りは2.53%で、中期経営計画で掲げる営業利益率4%への道筋をチェックしていきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・配当・還元方針などのデータは、シップヘルスケアホールディングスの2026年3月期決算短信〔日本基準〕(連結・2026年5月12日)および2026年3月期決算説明会資料(2026年5月15日・該当ページは本文中に記載)に基づきます。過去10年の各指標はIRBANKと決算短信を突合し、増減率の機械照合で確認しています。EPSは決算短信の基本的1株当たり当期純利益(2026年3月期144円19銭)で、IRBANK表示(144.18円)とはわずかに異なります。2022年3月期の配当性向31.8%(41円÷129円01銭)は説明資料p.31によります。IRBANKの決算まとめ表では当該年のみ欠測ですが、IRBANK配当ページの表示値31.8%と一致します。2027年3月期の予想EPS173円88銭・予想配当性向37.4%は決算短信の公表値です。連続増配年数は配当実績ベース(分割調整後)で、2016年3月期が27.5円の据え置きだったため2017年3月期を増配1年目とし、2026年3月期で10年連続と数えています。配当・EPSは2021年4月1日効力発生の株式分割(1株→2株)を遡及調整した調整後の金額です。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月29日時点)によります。予想PER約14.8倍・PBR約1.56倍は、株価2,565円を予想EPS173円88銭・1株当たり純資産1,641円74銭で割って桃モアイが算出しました。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

