最終更新日:2026年7月26日
11年連続増配・ハイチュウとinゼリーの老舗菓子メーカー森永製菓
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。ハイチュウやチョコモナカジャンボ、inゼリーなど、コンビニやスーパーでおなじみの商品を手がける会社があります。2026年4月には米国のモチアイスブランド「My/Mochi」の会社を買収し、海外展開を加速しています。
今回は9月と3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、森永製菓(証券コード:2201)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、森永製菓は8つの指標のうち7つをクリアしました。11年連続の増配と、営業利益が2期連続で過去最高という稼ぐ力が強みですが、営業活動によるCF(以下、営業CF)には確認しておきたい点もあります。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年7月24日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています
森永製菓とはどんな会社?
森永製菓は、1899年創業の老舗菓子メーカーです。日本で初めてキャラメルなどの西洋菓子を量産し、現在はハイチュウ・森永ラムネ・ダース・ビスケットなどの菓子食品を土台に、チョコモナカジャンボの冷菓、inゼリーのin事業、通販、米国事業を成長の柱としています。1949年5月に東京証券取引所へ上場し、現在は東証プライム市場です。
売上の中心は国内の食料品製造で、2026年3月期は菓子食品889億円・冷菓535億円・in事業299億円などの構成です(説明資料p.6)。海外では米国でハイチュウ(HI-CHEW)を展開し、2026年4月にはモチアイス「My/Mochi」を手がける米国企業を買収しました。ほかに食料卸売、不動産及びサービスの事業もあります。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:食料品
決算月:3月
連続増配:11年(2026年3月期時点)
株価:2,648.5円(2026年7月24日時点)
予想配当利回り:2.64%(2027年3月期 会社予想配当70円ベース)
配当権利確定:9月・3月(年2回)
配当情報
森永製菓は増配を続けていて、2026年3月期で11年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、調整後で2026年3月期が65円(中間32.5円+期末32.5円)、2027年3月期の会社予想は5円増配の70円です。実施されれば12期連続の増配です。
配当性向(利益のうち配当に回す割合)は2026年3月期の実績で30.8%と、基準の50%以下に収まっています。会社はDOE(純資産配当率)4.0%の水準を保ちつつ、自己株式の取得も機動的に行う方針です(説明資料p.29)。
📌 株式併合・株式分割と本記事の基準:森永製菓は2016年10月1日付で5株を1株にする株式併合を、2024年1月1日(効力発生日)に1株→2株の株式分割を実施しています。本記事の配当・EPSはすべて併合・分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額で、株価は実際の取引価格です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 2,648.5円(2026年7月24日時点) |
| 予想配当利回り | 2.64%(2027年3月期 会社予想配当70円ベース) |
| 連続増配年数 | 11年(2026年3月期時点) |
| 配当性向 | 30.8%(2026年3月期 実績) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月24日時点)、配当は決算短信・決算説明会資料。予想配当利回りは株価の変動により変わります。配当性向は2026年3月期の実績(配当65円÷EPS211.07円=30.8%)です。連続増配年数は、2016年3月期を増配1年目として実績ベースで11年と数えています。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

1株あたりの配当は、調整後で2017年3月期の22.5円から2026年3月期の65円まで増えました。毎年ならすと約12.5%ずつ増やしてきた計算です。
8指標分析の結果
ここからは、森永製菓を私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | 森永製菓 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 1,994億円→2,366億円(過去10年で約1.2倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 106.8円→211.1円(過去10年で約2.0倍) | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 9.5%(直近期・実績) | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 62.8%(直近期・実績) | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 過去10年のレンジは▲29億〜301億円(うち1年がマイナス) | - |
| 現金等 | 増加傾向 | 129億円→257億円(過去10年で約2.0倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 11年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 30.8%(直近期・実績) | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明会資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標のうち7つをクリア。営業CFは2023年3月期の▲29億円が唯一のマイナスで、法人税の支払いや原材料高のもとでの在庫・売上債権の増加が主因です(同期の純利益は黒字)。EPSの2022年3月期276.3円は、投資有価証券の売却に伴う特別利益で一時的に膨らんだ値です(会社は同期の配当性向を「特別利益除く35.3%」と開示=説明資料p.29)。翌期の減少はその反動で、判定は特別利益を除いた実力の推移で行っています。
※売上高の2021年3月期は「収益認識に関する会計基準」(2022年3月期から適用)をさかのぼって適用した後の数値のため、2020年3月期以前とは会計基準の違いによる段差があります(決算短信注記)。配当・EPSは2016年10月の株式併合・2024年1月の株式分割を遡及調整した調整後の金額です。2017年3月期・2024年3月期の配当性向はIRBANK上に表示がないため、調整後の年間配当÷EPS(22.5円÷106.79円=21.1%、55円÷165.60円=33.2%)として桃モアイが算出しています(33.2%は説明資料p.29の会社開示と一致)。金額は原則として億円未満を切り捨て表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。会社予想のある系列は、いちばん右にグレーで2027年3月期の予想を示しています。
売上高と営業利益率
売上高は、2017年3月期の1,994億円から2026年3月期の2,366億円へと、過去10年で約1.2倍に増えました。2026年3月期は過去最高で、営業利益は2期連続で過去最高です(説明資料p.4)。なお2021年3月期の大きな減少(▲19.5%)は、売上の計上方法を変える「収益認識に関する会計基準」を同期にさかのぼって適用した影響が大きく、見かけの段差です。営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は過去10年7.8〜11.4%で推移し、基準の5%以上をつねに上回ります。2027年3月期の会社予想は売上2,570億円(My/Mochi社の連結が押し上げ)・営業利益率8.9%です。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPSは、調整後で2017年3月期の106.8円から2026年3月期の211.1円へと、過去10年で約2.0倍になりました。2022年3月期の276.3円は投資有価証券の売却に伴う特別利益で一時的に膨らんだ値で、翌期の104.4円への減少はその反動です。その後は165.6円→200.9円→211.1円と3期連続で増え、実力ベースでは過去最高の水準にあります。配当性向は16.3〜47.9%で推移しています。2027年3月期の会社予想はEPS196.03円・配当性向35.7%です。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のレンジは▲29億〜301億円(うち1年がマイナス)でした。マイナスは2023年3月期のみで、法人税の支払いや、原材料高のもとでの在庫・売上債権の増加が主因です(同期の純利益は黒字)。2026年3月期は236億円と大きなプラスに戻っています。現金等(手元の現金)は年による振れがありますが、過去10年では2017年3月期の129億円から2026年3月期の257億円へ約2.0倍に増えました。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2017年3月期の48.7%から2026年3月期の62.8%へと高まりました。基準の40%を過去10年つねに上回ります。なお2027年3月期は、My/Mochi社の買収に伴う約200億円の借入で約56%へいったん低下する見込みです(説明資料p.28)。

注目ポイント
生活に根づいたブランド群と、2期連続で過去最高の営業利益
ハイチュウ・森永ラムネ・ダース・チョコモナカジャンボ・inゼリーと、日常で目にするブランドを多く持ちます。カカオなど原材料高が続くなかでも、価格改定とコストダウンで打ち返し、2026年3月期の営業利益は223億円と2期連続で過去最高です(説明資料p.4)。とくに菓子食品事業は営業利益率9.2%(前期比+4.6pt)へ大きく改善し、森永ラムネは年間の販売金額が前年比123.2%と伸びました(同p.6・p.38)。
DOE4.0%の安定還元と11年連続増配
配当はDOE(純資産配当率)4.0%の水準を保ち、2027年3月期は5円増配の70円を計画しています。配当性向は30.8%と50%以下に収まり、増配の余力を残します。あわせて2026年3月期は47億円の自己株式取得も実施しました(説明資料p.29)。
My/Mochi社の買収で米国事業を第2の柱へ
2026年4月にモチアイスの米国企業My/Mochi社の買収を完了し、米国にHI-CHEWの第2工場も構えました(説明資料p.24〜25)。海外売上高比率は2027年3月期に17.4%へ高まる見込みで(同p.16)、My/Mochi社はEBITDA(償却前の利益)ベースでは増益に貢献する計画です(同p.9)。日本で磨いた菓子技術と米国のアイス販路のシナジーが期待されています。
いっぽうで、利益(EPS)の計画や重点領域の足元には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」で分かりやすく説明します。
投資の留意点
強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、2027年3月期は営業増益でも、純利益は▲7.1%の減益計画である点です。My/Mochi社ののれん等(概算約120M$)の償却や買収関連の費用が利益を圧迫し、予想EPSは196.03円と前期を下回ります(説明資料p.9・p.26)。増配計画は維持されていますが、配当性向は35.7%へ上がる見込みです。
第二に、重点領域のinゼリーと米国HI-CHEWが苦戦している点です。inゼリーは酷暑による需要減やPB(プライベートブランド)の台頭で年間の販売金額が前年比95.0%(市場は98.3%)、米国HI-CHEWは競争激化で同94.9%(市場は104.7%)にとどまりました(説明資料p.40)。会社も重点領域の売上高比率は中期計画の目標に届かない想定と開示しています(同p.16)。
第三に、M&Aに伴い財務が一時的に変化する点です。買収資金の借入約200億円で、自己資本比率は約56%へ低下する見込みです(説明資料p.28)。基準の40%は上回る水準ですが、のれん償却とあわせて数年は影響が続きます。また営業CFには2023年3月期にマイナスの年があり、8指標では唯一の未達でした。カカオ相場や為替など外部環境の不確実性も残ります。
まとめ
森永製菓(2201)は、ハイチュウやinゼリーを手がける1899年創業の老舗菓子メーカーで、2026年3月期で11年連続増配となった、8指標のうち7つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 営業利益は2期連続で過去最高、EPSも実力ベースで3期連続の増加
✅ 自己資本比率62.8%・配当性向30.8%で、DOE4.0%の安定還元と増配余力
✅ My/Mochi社の買収とHI-CHEW第2工場で、米国事業の成長を加速
【留意点】
・2027年3月期はのれん償却などで純利益▲7.1%の減益計画
・重点領域のinゼリー・米国HI-CHEWは苦戦が続く
・買収に伴う借入で自己資本比率は約56%へ低下見込み、営業CFにはマイナスの年も
9月と3月に配当の権利が確定する銘柄です。予想利回りは2.64%で、M&A後の利益回復と重点領域の立て直しが増配の継続につながるかを、これからの決算で見ていきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・事業戦略・株主還元などは、森永製菓の2026年3月期決算短信、2026年3月期決算説明会資料(2026年5月13日)に基づきます。過去10年の各系列はIRBANKと突合し、EPS・配当は2016年10月1日付の株式併合(5株→1株)と2024年1月1日(効力発生日)の株式分割(1株→2株)をさかのぼって調整した調整後の値を使用しています。2022年3月期の特別利益と特別利益を除く配当性向35.3%、株式分割の効力発生日は決算説明会資料p.29に基づきます。My/Mochi社の正式名はMyMo Holdco, Inc.です(会社適時開示2026年3月6日・4月2日)。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月24日時点)です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

