最終更新日:2026年7月30日
10年連続増配・5期連続で過去最高益、営業利益率は21.1%へ
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。工場や倉庫の屋根にずらりと並んだ太陽光パネル。あれを中小企業に売り、自分で使う電気を自分でつくることで電気代を減らす提案をしている会社があります。2026年3月期は売上高339億円・営業利益71億円で、営業利益は5期連続で過去最高を更新しました(決算短信p.2、第21期報告書p.1)。
今回は9月・3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、グリムス(証券コード:3150)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、グリムスは8指標のうち7つをクリアしました。10年連続の増配に加え、営業利益率21.1%・自己資本比率68.0%という高い収益性と財務の厚みが特徴です。いっぽうで、営業活動によるCFは1年だけマイナスの年があり、基準に届きませんでした。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年7月29日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています
グリムスとはどんな会社?
グリムスは、東京都品川区に本社を置くエネルギー関連の会社です。2005年7月に設立され、2009年3月にジャスダック証券取引所(現・東京証券取引所)へ上場しました。その後、2020年6月に東証二部、同年11月に東証一部へ移り、2022年4月から東証プライムに上場しています。
事業は2つです。2026年3月期から報告の区分が変わり、「エネルギーソリューション事業」と「小売電気事業」の2区分になりました。前者は事業用太陽光発電システムや蓄電池、省エネ設備を企業に売る事業です。後者は電力の小売で、主に法人のお客さまに電気を届けています。
2026年3月期の売上高は、エネルギーソリューション事業が146億円(構成比43.3%)、小売電気事業が192億円(同56.7%)でした。いっぽう利益はエネルギーソリューション事業が50億円、小売電気事業が28億円で、利益の約6割は前者が稼いでいます(決算短信p.16、第21期報告書p.4)。
主力は、中小企業の工場や倉庫の屋根に太陽光発電システムを置く提案です。つくった電気をその場で使えば、電力会社から買う量を減らせます。大手が狙わない中小企業に絞ることで、競合の少ない市場で受注を積み上げてきました。累計の顧客数は低圧が約60,000件、高圧が約3,400件です(第21期報告書p.3)。
近年の新しい柱が系統用蓄電池事業です。1基目の蓄電所となる伊賀バッテリーパークが、2026年3月から卸電力市場で運用を始めました。2027年3月期には6基(各2MW/8MWh)の稼働を予定しており、新しいストック収益源に育てる計画です(同p.3・p.5)。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:卸売業
決算月:3月
連続増配:10年(2026年3月期時点)
株価:2,625円(2026年7月29日時点)
予想配当利回り:3.54%(2027年3月期 会社予想配当93円ベース)
配当権利確定:9月・3月(年2回)
配当情報
グリムスは増配を続けていて、2026年3月期で10年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2026年3月期の実績で85円(中間25円+期末60円)です。前期の79円から6円の増配になりました(決算短信p.1、第21期報告書p.2)。
会社は2025年3月期から配当性向40%を目安とする方針に切り替えています。実績の配当性向は2025年3月期が40.0%、2026年3月期が40.1%で、方針どおりの水準です。2027年3月期の予想配当は93円(中間28円+期末65円)で、実施されれば11期連続の増配になります(決算短信p.4)。
📌 株式分割と本記事の基準
グリムスは過去10年で株式分割を3回行いました。2017年10月1日付の1株→1.5株、2018年8月1日付の1株→2株、そして2020年9月1日付の1株→2株です(いずれも効力発生日。会社説明資料p.22の注記)。3回を累積すると6倍になるため、2017年10月より前の1株は、いまの6株にあたります。
本記事の配当・EPSは、これらをさかのぼって調整した「調整後」の金額で統一しています。株価は実際の取引価格のため調整していません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 2,625円(2026年7月29日時点) |
| 予想配当利回り | 3.54%(2027年3月期 会社予想配当93円ベース) |
| 連続増配年数 | 10年(2026年3月期時点) |
| 配当性向 | 40.1%(2026年3月期 実績) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月29日時点)、配当は決算短信および第21期報告書。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当93円に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2026年3月期の実績(85円÷EPS211.96円=40.1%)で、決算短信の公表値と一致します。連続増配年数は配当実績ベース(株式分割の調整後)で、2017年3月期を増配1年目として10年と数えています(2010年3月期から2016年3月期までは調整後2.5円の据え置き)。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

1株あたりの配当は、2017年3月期の4.17円から2026年3月期の85円まで増えました(いずれも株式分割の調整後)。毎年ならすと約39.8%ずつ増やしてきた計算で、連続増配株のなかでもかなり速いペースです。とくに2024年3月期以降は47円→79円→85円と伸びています。
8指標分析の結果
ここからは、グリムスを私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | グリムス | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 71億円→339億円(過去10年で約4.8倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 21.9円→212.0円(約9.7倍。単年の最大下落は▲24.8%) | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 21.1%(直近期・実績) | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 68.0%(直近期・実績) | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 過去10年のレンジは▲6.2億〜51.0億円(うち1年がマイナス) | - |
| 現金等 | 増加傾向 | 31.2億円→163.2億円(過去10年で約5.2倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 10年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 40.1%(直近期・実績) | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・第21期報告書をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。2026年3月期は増収増益で、売上高・営業利益・経常利益・純利益はいずれも過去最高でした。8指標のうち7つをクリア。営業活動によるCFは2022年3月期の1年だけマイナス(▲6.2億円)だったため、基準に届きませんでした。同期の純利益は21億円の黒字で、赤字による資金の流出ではありません。
※EPSは決算短信の公表値(2026年3月期211円96銭、2025年3月期197円30銭)を使用しています。2027年3月期の予想EPS232.5円も短信の公表値(232円48銭)です(IRBANK表示の232.71円は期中平均株式数で再計算した媒体差で、93円÷232.48円=40.0%が短信の予想配当性向と一致します)。2018年3月期20.7%・2019年3月期19.6%・2021年3月期34.4%は、調整後配当÷EPSによる算出値です(6.25円÷30.25円、8.5円÷43.4円、17円÷49.45円)。いずれもIRBANKおよび会社説明資料p.22の記載と一致します。金額は、売上高は億円未満を四捨五入し、営業CF・現金等は小数第1位まで表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。年はいずれも3月期です。会社予想のある系列は、いちばん右にグレーで2027年3月期の予想を示しています。
売上高と営業利益率
売上高は、2017年3月期の71億円から2026年3月期の339億円へ、過去10年で約4.8倍になりました。10年のうち減収は2024年3月期の1回だけです。2027年3月期の会社予想は372億円(前期比+9.5%)です。
目を引くのは営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)の上がり方です。2017年3月期の10.6%から2026年3月期は21.1%まで、10年でほぼ倍になりました。桃モアイ基準の5%を全期間で上回っており、直近5年は10.5%→11.5%→17.5%→19.5%→21.1%と伸び続けています。
背景にあるのは、利益率の高い事業用太陽光発電システムへの集中です。2026年3月期のセグメント利益率は、エネルギーソリューション事業が34.2%(売上146億円・利益50億円)でした。2027年3月期の会社予想は営業利益率21.3%で、ほぼ同じ水準を見込んでいます。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPSは、2017年3月期の21.9円から2026年3月期の212.0円へ約9.7倍になりました。株式分割をさかのぼって調整した金額です。8指標の「安定して増加傾向」をクリアしています。
10年で減ったのは2021年3月期の1回だけで、下落率は▲24.8%でした。桃モアイ基準では単年▲30%超の急落があると「-」としていますが、その手前にとどまっています。この年は小売電気事業の調達コストが上がり、同事業のセグメント利益が▲4.8億円に沈んだ影響です(会社説明資料p.21)。2027年3月期の会社予想EPSは232.5円です。
配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、10年を通して18.3%から40.1%の間で動いてきました。基準の50%を一度も上回っていません。2024年3月期までは10%台後半〜30%台でしたが、会社が2025年3月期から目安を40%に引き上げたため、直近2期は40.0%・40.1%で安定しています。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のレンジが▲6.2億〜51.0億円で、2022年3月期の1年だけマイナスでした。8指標は「過去10年すべてプラス」を求めるため、ここは「-」です。
ただし中身は赤字による資金の流出ではありません。2022年3月期の売上高は233億円(前期比+20.4%)、純利益は21億円の黒字でした(会社説明資料p.21・p.22)。事業が急拡大した年で、仕入や売掛金など運転資金の増加が現金の動きに出た形です。翌2023年3月期は14.6億円のプラスに戻り、以降は40.9億円→46.5億円→51.0億円と3期続けて増えています。
現金等(手元の現金)は、2017年3月期の31.2億円から2026年3月期の163.2億円へ約5.2倍に増えました。10年前は30億円台だった水準が、いまは160億円台です。有利子負債は借入金あわせて約37億円で、現金のほうが大きく上回っています(決算短信p.7)。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2017年3月期の54.4%から2026年3月期の68.0%へ改善しました。基準の40%を10年すべてで上回っています。
途中の2021年3月期は46.5%まで下がりました。小売電気事業の利益がマイナスになり、利益の積み増しが止まった年にあたります(会社説明資料p.21)。翌期には58.3%へ戻り、2023年3月期に57.8%とわずかに下げたあと、直近3期は59.7%→62.3%→68.0%と上昇しています。2026年3月期は自己資本が162億円から194億円へ増え、比率も5.7ポイント上がりました(決算短信p.1・p.4)。

注目ポイント
10年連続増配。配当は4.17円から85円へ、年平均約39.8%のペース
1株あたりの配当は2017年3月期の4.17円から2026年3月期の85円へ、年平均約39.8%のペースで増えました(株式分割の調整後)。連続増配株のなかでも速い部類です。会社は2025年3月期から配当性向40%を目安とする方針に切り替え、実績も40.0%・40.1%と方針どおりに運用されています。2027年3月期の予想は93円です。
営業利益率21.1%。5期連続で過去最高益を更新
2026年3月期は売上高339億円(前期比+1.8%)・営業利益71億円(同+10.0%)・経常利益72億円(同+9.7%)・純利益48億円(同+7.4%)でした。営業利益は5期連続で過去最高です。営業利益率21.1%は、桃モアイ基準の5%を大きく上回る水準です。大手が狙わない中小企業の低圧市場に絞り、競合の少ない領域で高い利益率を保っている点が効いています。
自己資本比率68.0%・現金等163.2億円。系統用蓄電池事業という新しい柱
財務は厚みがあります。自己資本比率は68.0%で、10年前の54.4%から改善しました。現金等163.2億円に対し借入金は約37億円で、手元資金のほうが大きく上回ります。この余力を使って、2026年3月期には有形固定資産の取得に約20億円を投じ、系統用蓄電所の1基目を稼働させました。2027年3月期には6基が動く計画で、電力小売と並ぶストック型の収益源に育てる方針です(決算短信p.3・p.4、第21期報告書p.3)。
いっぽうで、現金の動きや来期のセグメント計画には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、営業活動によるCFが2022年3月期にマイナスだった点です。過去10年のレンジは▲6.2億〜51.0億円で、この1年だけが▲6.2億円でした。8指標で唯一届かなかった指標です。赤字が原因ではなく、売上が前期比+20.4%と急拡大するなかで運転資金の負担が増えたことが背景にあります。ただし、成長のスピードが上がる局面では現金の出入りが荒くなりやすい会社だと言えます。今後も系統用蓄電所への設備投資が続くため、営業CFと投資の水準は見ておきたいところです。
第二に、2027年3月期は主力のエネルギーソリューション事業が減収計画である点です。会社の計画では、全社の売上高は372億円(前期比+9.5%)・営業利益79億円(同+10.5%)と増収増益です。ただしセグメント別に見ると、エネルギーソリューション事業は139億円(同▲5.6%)の減収計画で、増収分は小売電気事業233億円(同+21.1%)が担う構図になっています(第21期報告書p.5。増減率は億円未満を含む実額で計算しているため、本記事の表示値どうしの計算とは一致しません)。利益率の高い事業が縮み、相対的に利益率の低い電力小売が伸びる計画です。営業利益はエネルギーソリューション事業54億円・小売電気事業32億円と、どちらも増益を見込んでいますが、売上構成の変化がどう進むかは確認しておきたい点です。
第三に、業績が電力価格や制度の動きに左右されやすい点です。売上の56.7%を占める小売電気事業は、電力市場から仕入れた電気を売る事業です。会社は独自燃調(調達コストの一部を電気代に反映する仕組み)やデリバティブ取引でリスクを抑えていますが、2021年3月期には調達コストの上昇で利益が落ち込みました。太陽光の販売も、電気代が高いほど顧客のメリットが大きくなる構造です。また2026年3月期には、エネルギーソリューション事業で一般消費者向けの販売を縮小し、法人向けに絞る判断をしました。これに伴い事業構造改善費用1.1億円を特別損失に計上しています(決算短信p.2)。なお株価2,625円は、予想EPS232.5円に対して予想PER約11.3倍、1株純資産842.74円に対してPBR約3.11倍です。利回り3.54%は、株価が割安に放置されているためではなく、配当性向40%の方針によるものと見ておくのが自然です。
まとめ
グリムス(3150)は、2026年3月期で10年連続増配となった、8指標のうち7つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 10年連続増配。配当は4.17円から85円へ、年平均約39.8%のペースで増加
✅ 営業利益率21.1%で5期連続の過去最高益。売上は10年で約4.8倍
✅ 自己資本比率68.0%・現金等163.2億円と財務に厚み。系統用蓄電池事業が新しい柱に
【留意点】
・営業活動によるCFは2022年3月期の1年だけマイナス(▲6.2億円)
・2027年3月期は主力のエネルギーソリューション事業が▲5.6%の減収計画
・売上の56.7%を占める電力小売は、電力市場価格の変動を受けやすい
9月・3月に配当の権利が確定する銘柄です。配当性向40%の方針のもとで、増配が利益の伸びについてこられるかを、これからの決算で見ていきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・配当・財務の数値は、グリムスの2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結・2026年5月15日)および第21期報告書(株主通信・2025年4月1日〜2026年3月31日)、IRBANKに基づきます(連結業績・配当の状況・EPSは短信p.1、次期の見通しと配当予想・自己資本比率の推移は同p.4、経営成績とセグメント別の状況・事業構造改善費用は同p.2、連結貸借対照表は同p.7、連結キャッシュ・フロー計算書は同p.12、セグメント情報は同p.16/過去最高益と5期連続更新は報告書p.1、配当と経営理念は同p.2、顧客数・従業員数・系統用蓄電所は同p.3、セグメント別売上高は同p.4、2027年3月期のセグメント計画は同p.5)。株式分割の効力発生日・過去の配当性向・2026年3月期より前のセグメント別業績は、会社説明資料(2025年4月12日)p.21・p.22に基づきます。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月29日時点)です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

