最終更新日:2026年7月29日
11年連続増配・売上高1兆円を突破した日用品卸の大手「あらた」
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。ドラッグストアの棚に並ぶ洗剤やおむつ、化粧品を、メーカーから店へ運んでいる会社があります。2026年3月期は売上高が1兆47億円となり、11期連続で過去最高を更新しました(2026年3月期決算説明資料〈以下、説明資料〉p.2)。
今回は3月と9月に配当権利が確定する連続増配株の1社、あらた(証券コード:2733)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、あらたは8つのうち6つをクリアしました。営業利益率と自己資本比率が基準に届きませんでした。11年連続増配で、予想配当利回りは4.25%と高めの水準です。ただし2027年3月期は減益の計画で、配当予想も112円で据え置かれています。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年7月28日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています
あらたとはどんな会社?
あらたは、日用品・化粧品などをメーカーから仕入れ、小売店へ販売する卸売業です。2002年4月にダイカ・伊藤伊・サンビックの3社が共同で持株会社を設立し、ジャスダックに上場しました。2004年4月に事業会社へ移り、2022年4月から東証プライム市場に上場しています。
事業は日用品・化粧品等の卸売業ひとつだけで、報告セグメントも1つです。商品カテゴリー別では、化粧品や医薬品などのヘルス&ビューティーが3,145億円で全体の31.3%を占めます。紙製品が1,955億円(19.5%)、ペットが1,916億円(19.1%)と続きます(2026年3月期決算短信)。
販売先を業態別に見ると、ドラッグストアが5,229億円で全体の52.0%です。ホームセンターやスーパー、ディスカウントストアなど、生活必需品を扱う店が主な取引先になります(同短信)。
近年は「運ぶ」だけでなく「創る」機能も広げています。ペット用品ではグループのジャペルが専門性の高い提案を担い、2026年3月期には化粧品ブランド「Love Liner」などを持つmshを買収しました(同短信)。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:卸売業
決算月:3月
連続増配:11年(2026年3月期時点)
株価:2,636円(2026年7月28日時点)
予想配当利回り:4.25%(2027年3月期 会社予想配当112円ベース)
配当権利確定:3月・9月(年2回)
配当情報
あらたは増配を続けていて、2026年3月期で11年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2026年3月期の実績で112円(中間56円+期末56円)です。前期の102円から10円増えました。
2027年3月期の会社予想は、前期と同じ年間112円(中間56円+期末56円)です。実施されれば、連続増配はいったん11年で止まります。
会社の配当方針は、「配当性向30%を意識しながら安定配当・増配を図る」というものです(説明資料p.12)。利益のうち配当に回す割合(配当性向)は、2026年3月期の実績で37.0%でした。桃モアイ基準の50%以下は満たしていますが、会社が意識する30%は上回っています。
📌 株式分割と本記事の基準
あらたは、2024年1月1日付で1株→2株の株式分割を実施しました(過去10年で1回)。本記事の配当・EPSは、分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額です(株価は実際の取引価格のため調整しません)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 2,636円(2026年7月28日時点) |
| 予想配当利回り | 4.25%(2027年3月期 会社予想配当112円ベース) |
| 連続増配年数 | 11年(2026年3月期時点) |
| 配当性向 | 37.0%(2026年3月期 実績。112円÷302円76銭) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月28日時点)、配当・EPS・配当性向は決算短信・IRBANK。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当(1株112円)に基づき、株価の変動により変わります。連続増配年数は配当実績ベース(IRBANK・決算短信)で、2016年3月期を増配1年目として実績11年と数えています。配当・EPSは2024年1月1日付の株式分割(1株→2株)を遡及調整した調整後の金額です。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

1株あたりの配当は、2017年3月期の32.5円から2026年3月期の112円まで増えました。毎年ならすと約14.7%ずつ増やしてきた計算です。2024年3月期には68円から92.5円へ36.0%増やすなど、二桁の増配率が続いた年もあります。
8指標分析の結果
ここからは、あらたを私独自の8指標で見ていきます。8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | あらた | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 7,046億円→1兆47億円(過去10年で約1.4倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 165.46円→302.76円(過去10年で約1.8倍・単年の急落なし) | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 1.3%(直近期・実績) | - |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 35.7%(直近期・実績) | - |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(過去10年のレンジは52億〜186億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 129億円→386億円(過去10年で約3.0倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 11年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 37.0%(直近期・実績) | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標のうち6つをクリアしました。営業利益率1.3%と自己資本比率35.7%は、商品を大量に仕入れて薄い利幅で売る卸売業の構造によるもので、基準に届きませんでした。2026年3月期は売上高1兆47億円(前期比1.9%増)と過去最高でしたが、営業利益は132億円(同11.9%減)と減りました。純利益101億円(同2.2%減)には、固定資産売却益約6億円・投資有価証券売却益約9億円という一時的な利益が含まれます(説明資料p.2)。金額は億円未満を切り捨てて表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年3月期〜2026年3月期実績+2027年3月期予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。グラフは2017年3月期〜2026年3月期の実績で、会社予想のある系列(売上高・営業利益率・EPS・1株配当)は2027年3月期の予想も示しています。
売上高と営業利益率
売上高は、2017年3月期の7,046億円から2026年3月期の1兆47億円へ増えました。過去10年で約1.4倍です。10年間ずっと増収が続き、会社は11期連続で過去最高を更新したとしています(説明資料p.2)。2027年3月期の会社予想は1兆300億円(前期比2.5%増)です。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、2017年3月期の1.05%から2026年3月期の1.31%へ推移しました。過去10年のレンジは1.05〜1.54%で、最も高かったのは2024年3月期です。桃モアイ基準の5%以上には遠く届きません。商品を大量に仕入れて薄い利幅で売る、卸売業の構造によるものです。2026年3月期は前期の1.52%から0.21ポイント下がりました。2027年3月期の会社予想は1.07%です。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPS(1株あたりの利益)は、2017年3月期の165.46円から2026年3月期の302.76円へ増えました。過去10年で約1.8倍です。ピークは2025年3月期の309.55円で、最も古い年の1.87倍にあたります。前年を下回った年はありますが、下げ幅はいずれも1割以内でした。2027年3月期の会社予想は209.19円です。
配当性向は、19.6%から37.0%へ上がりました。基準の50%以下には収まっていますが、増配のペースが利益の伸びを上回り、余力は10年前より小さくなっています。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスでした(レンジは52億〜186億円。最小は2020年3月期、最大は2026年3月期)。年ごとの振れは大きく、仕入代金の支払いや在庫の増減に左右されます。2026年3月期の186億円は、仕入債務が79億円増えたことなどが寄与しました。
現金等(手元の現金)は、2017年3月期の129億円から2026年3月期の386億円へと約3.0倍になりました。2026年3月期の増加分には、買収や物流投資に備えた借入れによる調達も含まれます。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、26.7%から35.7%へ上がりました。10年で9.0ポイント高まっていますが、桃モアイ基準の40%以上には届いていません。
2026年3月期は前期の37.4%から1.7ポイント下がりました。自己資本の額は1,165億円から1,241億円へ増えています。比率が下がったのは、買収にともなうのれん86億円や、借入金の増加で総資産が3,117億円から3,478億円へふくらんだためです(2026年3月期決算短信)。仕入代金の支払い義務である買掛金などが大きく積み上がる点も、卸売業に共通する特徴です。

注目ポイント
生活に欠かせない商品を扱い、売上を伸ばし続けている
あらたが運ぶのは、洗剤やおむつ、化粧品といった生活必需品です。景気が悪くても需要が大きく減りにくい分野で、売上高は過去10年ずっと増え続けてきました。2026年3月期は1兆47億円となり、11期連続で過去最高を更新しています(説明資料p.2)。販売先の52.0%はドラッグストアで、インバウンド需要やインストアシェアの拡大が伸びを支えました(同p.6)。
11年連続増配・年平均約14.7%のペースで増やしてきた
1株あたりの配当は、2017年3月期の32.5円から2026年3月期の112円へ増えました。毎年ならすと約14.7%のペースです。会社の方針は「配当性向30%を意識しながら安定配当・増配を図る」というもので、実績の配当性向はこの目安を上回る37.0%まで高まっています(説明資料p.12)。利益の伸び以上に配当を増やしてきた10年でした。
本業で稼ぐ現金が増え、化粧品メーカーの買収で「創る」機能も広げた
営業CFは過去10年すべてプラスで、2026年3月期の186億円は10年で最大でした。手元の現金等も386億円まで積み上がっています。2026年1月には、化粧品ブランド「Love Liner」「TIME SECRET」などを展開するmshを含む3社を買収しました(2026年3月期決算短信)。商品を運ぶだけでなく、自ら企画・開発する機能を強める動きです。
いっぽうで、利益率や財務の安全性、来期の計画には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
確認しておきたい点が3つあります。
第一に、営業利益率1.3%は桃モアイ基準の5%を大きく下回る点です。これは卸売業の構造によるもので、あらた特有の問題ではありません。ただし薄い利幅ゆえに、コストの増加が利益に直結します。2026年3月期の営業利益は132億円で、前期比11.9%減となりました。小売店に支払うセンターフィーやリベートの増加に加え、人件費や物流費、賃借料の上昇が重なったためです(説明資料p.4・p.8)。純利益の減少が2.2%にとどまったのは、固定資産売却益約6億円と投資有価証券売却益約9億円という一時的な利益があったからです(説明資料p.2)。
第二に、自己資本比率35.7%が基準の40%に届いていない点です。26.7%から35.7%へ改善してきた指標ではありますが、2026年3月期は前期から1.7ポイント下がりました。買収にともなうのれん86億円の計上に加え、長期借入金が94億円、短期借入金が91億円増えたためです(同短信)。手元の現金は増えたものの、その一部は借入れによるものです。買収の効果が利益として表れるまでには時間がかかります。
第三に、2027年3月期は大幅な減益の計画で、配当も据え置きである点です。会社は売上高1兆300億円(前期比2.5%増)に対し、営業利益110億円(同16.7%減)・純利益70億円(同30.9%減)を見込んでいます。小売業の再編、インフレによるコスト増、成長投資の増加が理由です(説明資料p.11)。配当予想は112円で据え置かれ、実施されれば連続増配はいったん11年で止まります。予想配当性向は53.5%と、桃モアイ基準の50%を超える見通しです。予想配当利回り4.25%という高めの水準の背景には、予想PER約12.6倍・PBR約0.71倍という株価の評価の低さもあります。
まとめ
あらた(2733)は、日用品・化粧品を小売店へ届ける卸の大手で、2026年3月期で11年連続増配となった、8指標のうち6つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 11年連続増配・年平均約14.7%の増配ペースで、配当性向37.0%は基準の50%以下
✅ 売上高は11期連続で過去最高を更新し、2026年3月期に1兆47億円へ到達
✅ 営業CFは過去10年すべてプラス(52億〜186億円)、現金等は129億→386億円
【留意点】
・営業利益率1.3%は基準の5%を下回る(卸売業の薄利構造・2026年3月期は営業利益11.9%減)
・自己資本比率35.7%は基準の40%に届かず、買収と借入で総資産が増加
・2027年3月期は純利益30.9%減の計画で、配当は112円で据え置き(実施されれば連続増配は11年で止まる)
3月と9月に配当の権利が確定する銘柄です。予想配当利回りは4.25%で、減益を見込む来期をどう乗り切るかをチェックしていきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・配当・還元方針などのデータは、あらたの2026年3月期決算短信〔日本基準〕(2026年5月14日)および2026年3月期決算説明資料(2026年5月14日・該当ページは本文中に記載)に基づきます。過去10年の各指標はIRBANKと決算短信を突合し、増減率の機械照合で確認しています。EPSは決算短信の基本的1株当たり当期純利益(2026年3月期302円76銭)で、IRBANK表示(302.73円)とはわずかに異なります。2024年3月期の配当性向はIRBANK欠測のため、説明資料p.12の30.5%を使用しています(92.5円÷303円01銭=30.5%)。2027年3月期の予想EPS209円19銭・予想配当性向53.5%は決算短信の公表値です。連続増配年数は配当実績ベース(分割調整後)で、2016年3月期を増配1年目として実績11年と数えています。配当・EPSは2024年1月1日付の株式分割(1株→2株)を遡及調整した調整後の金額です。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月28日時点)によります。予想PER約12.6倍・PBR約0.71倍は、株価2,636円を予想EPS209円19銭・1株当たり純資産3,707円92銭で割って桃モアイが算出しました。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

