最終更新日:2026年8月7日
10年連続増配・SNSで話題を作りECで売るマーケティング会社、8指標は4つクリア
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。SNSで見かけて気になった商品を、そのままネットで買う——この流れを企業の側から作っている会社があります。2007年からインフルエンサーマーケティングを手がけ、2025年12月にはECコンサルティングのしるし社を子会社化して、「SNS×リテールマーケティング」へ事業を広げています(2026年3月期 決算短信p.13、決算説明資料p.27・p.33)。
今回は3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、トレンダーズ(証券コード:6069)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、トレンダーズは8指標のうち4つをクリアしました(EPS・自己資本比率・営業活動によるCF・配当性向が未達)。10年連続の増配と年平均約19.6%という増配ペースが強みである一方、直近期は利益の急減で確認しておきたい点もあります。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年8月6日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています
トレンダーズとはどんな会社?
トレンダーズは、東京都渋谷区に本社を置くマーケティング会社です。2000年4月の設立で、2012年10月に東証マザーズ(現グロース市場)へ上場しました。グループの従業員は277名です(2026年3月31日時点・連結の正社員及び契約社員、決算説明資料p.2)。
事業は3つの柱で構成されます。1つめのマーケティング事業は、SNSを軸にした企業のマーケティング支援です。2007年に始めたインフルエンサーマーケティングは過去10年の累計案件数が6,500件超、起用者数は延べ10万名を超えます(同p.33)。総フォロワー数約593万(2026年4月時点)の美容メディア「Mimi Beauty」(旧MimiTV)の運営や、イベントのプロデュース、自由診療クリニックの支援も含まれます(同p.34・p.35)。2つめのECコンサルティング事業は、2025年12月に子会社化したしるし社が担い、Amazonなどのネット通販モールの運営を売上連動の報酬で支援します。Amazon運用では3年連続でPlatinumパートナーに選ばれています(同p.32)。3つめのインベストメント事業は、社債や成長企業の株式への投資運用です(同p.38)。
会社はこの3つを組み合わせ、SNSで話題を作りECモールや店頭での購入につなげる「SNS×リテールマーケティング」を成長戦略の中心に置いています。生成AIの活用を経営戦略の中核と位置づけ、2026年3月期から2029年3月期にかけて営業利益を年率25〜30%で伸ばす中期経営目標を掲げています(同p.27・p.30・p.43)。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証グロース
業種:サービス業
決算月:3月
連続増配:10年(2026年3月期時点)
株価:670円(2026年8月6日時点)
予想配当利回り:5.37%(2027年3月期 会社予想配当36円ベース)
配当権利確定:3月(年1回)
配当情報
トレンダーズは増配を続けていて、2026年3月期で10年連続増配になりました。同期の実績は年間35円(期末のみ)で、前期から8円の増配です。2027年3月期の会社予想は36円で、この予想どおりに実施されれば11期連続になります。会社は配当の基本方針に「1株当たり配当額の継続的な増加」を掲げ、短期的にEPSが下振れても、中長期の業績成長とEPSの増加が見込める限り増配を続けるとしています(決算説明資料p.25)。なお2012年10月上場のため補足すると、10年の増配はすべて上場後の実績です(配当開始は2015年3月期)。
📌 株式分割と本記事の基準
トレンダーズは、2018年9月30日に1株→2株の株式分割を実施しています(日付は会社の決算説明資料の表記に合わせています)。本記事の配当・EPS・配当性向は、すべて分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額で統一しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 670円(2026年8月6日時点) |
| 予想配当利回り | 5.37%(2027年3月期 会社予想配当36円ベース) |
| 連続増配年数 | 10年(2026年3月期時点) |
| 配当性向 | 126.1%(2026年3月期 実績) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年8月6日時点)、配当は決算短信・決算説明資料。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当36円に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2026年3月期の実績(35円÷EPS27.76円=126.1%)で、会社公表値と一致します。連続増配年数は配当実績ベースで、2017年3月期を増配1年目として10年と数えています(2016年3月期は調整後3.5円で据え置き、2017年3月期は7円)。配当・EPSは2018年の株式分割をさかのぼって調整した調整後の金額です。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

1株あたりの配当は、2017年3月期の7円から2026年3月期の35円まで増えました。毎年ならすと約19.6%ずつ増やしてきた計算で、連続増配株のなかでも速いペースです。2027年3月期の予想36円が実施されると、10年前のおよそ5.1倍になります。
8指標分析の結果
ここからは、トレンダーズを私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | トレンダーズ | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 18.6億円→82.8億円(過去10年で約4.5倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 19.32円→27.76円(ピークは2023年3月期の98.68円。2024年3月期▲33.4%・2026年3月期▲63.6%の急落) | - |
| 営業利益率 | 5%以上 | 8.8%(直近期・実績) | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 34.3%(直近期・実績) | - |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 過去10年のレンジは▲5.8億〜23.0億円(うち4年がマイナス) | - |
| 現金等 | 増加傾向 | 16.7億円→47.8億円(過去10年で約2.9倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 10年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 126.1%(直近期・実績) | - |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標のうち4つをクリア。EPSは、ピークの98.68円(2023年3月期)が最古年の約5.1倍に達している一方で、2024年3月期(▲33.4%)と2026年3月期(▲63.6%)に▲30%を超える急落があるため「安定して増加傾向」に届きませんでした。自己資本比率は34.3%と基準の40%を下回り、営業CFは過去10年のうち4年(2019・2020・2023・2025年3月期)がマイナス、配当性向は126.1%と基準の50%を上回ったため、いずれも基準に届きませんでした。2026年3月期は売上高82.8億円(前期比+33.7%)と大幅な増収の一方、のれん償却額の増加や特別損失1.7億円の計上などが重なり、純利益は2.2億円(同▲63.9%)に減少しました(2026年3月期 決算短信p.1・p.7)。
※売上高の2024年3月期の減少(▲37.6%)は、一部取引の計上方法の変更による見かけの段差です。会社が計上方法をそろえて示した参考系列では、同期も増収です(2026年3月期 決算説明資料p.9)。トレンダーズは日本基準・連結です。過去10年に2018年9月30日付で1株→2株の株式分割を行っており、本記事の配当・EPSは分割をさかのぼって調整した調整後の金額です。EPSはIRBANKの調整後系列を基本に、直近期は決算短信の公表値27.76円を使っています。IRBANKで配当性向が欠測の2019年3月期は、調整後配当÷調整後EPSで自算しています(13円÷43.46円=29.9%)。金額は小数第一位までを四捨五入して表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。年はいずれも3月期で、いちばん右のグレーは会社予想(2027年3月期)です。配当性向のグラフは実績の最終年で止めています。
売上高と営業利益率
売上高は、2017年3月期の18.6億円から2026年3月期の82.8億円へ、過去10年で約4.5倍になりました。グラフで2023年から2024年にかけて売上が減って見えるのは、会計ルールの変更による見かけの段差です。2024年3月期から一部取引の売上の計上方法を変えたためで、会社が計上方法をそろえて示した参考系列では同期も増収でした(2026年3月期 決算説明資料p.9)。2026年3月期は、しるし社の新規連結もあり前期比+33.7%の大幅増収です。2027年3月期の会社予想は95.0億円(同+14.8%)です(2026年3月期 決算短信p.1)。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、2026年3月期で8.8%でした。過去10年を通じて基準の5%を上回っていますが、同期は買収に伴う販売費及び一般管理費の増加(前期比+46.5%)を吸収しきれず、前期の16.0%から低下しました。買収2社の連結の影響を除くと販管費の増加は2.8%にとどまります(決算説明資料p.12)。2027年3月期の計画は営業利益9.0億円(前期比+23.8%)で、利益率は9.5%の見込みです(2026年3月期 決算短信p.1・自算)。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPSは、2017年3月期の19.32円から2023年3月期の98.68円まで伸びたあと、2026年3月期は27.76円まで下がりました。ピークは最古年の約5.1倍に達していますが、2024年3月期(▲33.4%)と2026年3月期(▲63.6%)に▲30%を超える急落があり、8指標の「安定して増加傾向」には届きませんでした。2026年3月期の減少は、のれん償却額の増加(0.2億→1.9億円)や特別損失1.7億円(事業撤退損・減損損失など)の計上、税効果会計の影響などが重なったものです(2026年3月期 決算短信p.7・p.11、決算説明資料p.8)。2027年3月期の予想EPSは57.99円と、+108.9%の回復を会社は見込んでいます(2026年3月期 決算短信p.1)。
配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、2025年3月期まで22.3〜39.6%の範囲で推移していましたが、2026年3月期は利益の急減により126.1%へ跳ね上がりました。グラフの2026年の点は、値が枠外に出るためグラフの上限に配置しています(実際の値は126.1%です)。2027年3月期の予想配当性向は62.1%で、利益が回復しても基準の50%は上回る見込みです(同p.1)。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のレンジが▲5.8億〜23.0億円(うち4年がマイナス)で、8指標の基準に届きませんでした。マイナスは2019年3月期(▲5.8億円)・2020年3月期(▲4.4億円)・2023年3月期(▲10万円のわずかなマイナス)・2025年3月期(▲1.9億円)です。振れが大きい一因は、インベストメント事業で保有する営業投資有価証券(投資運用のために持つ社債や株式)の取得・売却が営業CFに計上される構造です。2025年3月期は同証券の増加(10.4億円)が押し下げ要因、2026年3月期は逆に減少(18.6億円)が押し上げ要因になりました(2026年3月期 決算短信p.11)。
現金等(手元の現金)は、2017年3月期の16.7億円から2026年3月期の47.8億円へ、10年で約2.9倍になりました。ただし直近の倍増には、しるし社の買収に伴う長期借入35.0億円の調達が含まれます(同p.4・p.12)。この点は「投資の留意点」で説明します。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2026年3月期で34.3%でした。基準の40%を下回り、8指標では未達です。2017年3月期の81.9%から10年で大きく低下しています。
直近の低下は、しるし社の全株式を35.0億円で取得した影響が中心です。借入とのれん(買収額のうち相手の純資産を上回る部分)の計上で総資産が85.1億円から125.1億円へ増えた一方、純資産は配当2.1億円と自己株式の取得1.0億円が純利益2.2億円を上回り、43.6億円から42.9億円へわずかに減りました(2026年3月期 決算短信p.3・p.6)。会社は流動比率169.5%・のれん純資産倍率0.84倍と、健全な財務状態を維持していると説明しています(決算説明資料p.15)。

注目ポイント
10年連続増配。年平均約19.6%のペースで、EPSが下振れても増配継続を明言
1株あたりの配当は2017年3月期の7円から2026年3月期の35円へ、年平均約19.6%のペースで増えました。2027年3月期も36円へ増配予想で、実施されれば11期連続です。配当の基本方針に「1株当たり配当額の継続的な増加」を掲げ、短期的にEPSが下振れても、中長期の業績成長とEPSの増加が見込める限り増配を続けると明言している点は、連続増配株として珍しい特徴です(決算説明資料p.25)。
売上は10年で約4.5倍。SNS×リテールマーケティングへ事業を拡大
売上高は10年で約4.5倍になり、2026年3月期は+33.7%の大幅増収でした。2025年12月に連結を始めたしるし社は、4カ月で1.4億円の営業利益に貢献し、来期以降も継続成長の見通しです(決算説明資料p.6)。2027年3月期は売上高+14.8%・営業利益+23.8%・純利益+107.6%の増収増益を会社は見込み、2029年3月期までの中期経営目標に営業利益の年率25〜30%成長を掲げています(同p.23・p.43)。
累計6,500件超のインフルエンサーマーケティング実績とAI活用
2007年から続けるインフルエンサーマーケティングは、過去10年の累計案件数6,500件超・起用者数延べ10万名超の蓄積があります。実績データに基づくインフルエンサーのマッピングや広告効果の予測など、生成AIを組み込んだ支援体制も特徴です(決算説明資料p.30・p.33)。
いっぽうで、利益(EPS)や配当性向、財務には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、2026年3月期は純利益が急減し、配当性向が126.1%と利益を上回った点です。のれん償却額の増加や特別損失の計上、税効果会計の影響などが重なり、純利益は2.2億円(前期比▲63.9%)に減少しました。会社は下振れの主因を期ズレや保守的な会計処理と説明し、2027年3月期は純利益4.5億円(+107.6%)への回復を見込みますが、予想配当性向は62.1%と、回復しても基準の50%を上回ります(2026年3月期 決算短信p.1、決算説明資料p.8)。なお予想配当利回り5.37%と高めなのは、PER約11.6倍と株価の評価が高くないことも一因です(株価670円÷予想EPS57.99円、PBRは約1.21倍・いずれも自前計算)。
第二に、M&Aで財務が薄くなった点です。しるし社の全株式取得(35.0億円)を借入で賄い、自己資本比率は51.3%から34.3%へ低下しました。有利子負債は60.2億円、のれんは36.2億円と純資産42.9億円に近い規模です(2026年3月期 決算短信p.5・p.6)。2026年3月期にも減損損失0.8億円を計上しており、買収先の業績が計画を下回れば、のれんの減損が利益を圧迫するリスクがあります(同p.7)。時価総額も約54億円(株価670円×発行済株式数8,101,000株で自前計算)と小さく、株価の振れが大きくなりやすい点は意識しておきたいところです。
第三に、営業CFが過去10年で4年マイナスになった点です。インベストメント事業の営業投資有価証券の取得・売却が営業CFに計上されるため、年ごとの振れが大きい構造は今後も続く可能性があります。現金等は47.8億円へ倍増しましたが、その多くは借入による調達で、手元資金の厚みを借金が支えている面があります(2026年3月期 決算短信p.4・p.11・p.12)。
まとめ
トレンダーズ(6069)は、2026年3月期で10年連続増配となった、8指標のうち4つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 10年連続増配。年平均約19.6%のペースで、2027年3月期も36円へ増配予想
✅ 売上は10年で約4.5倍。SNS×リテールマーケティングへ事業を拡大中
✅ 累計6,500件超のインフルエンサーマーケティング実績とAI活用
【留意点】
・EPSは2026年3月期に▲63.6%の急落。配当性向は126.1%と利益を上回った
・自己資本比率34.3%。35.0億円のM&Aを借入で賄い、のれん36.2億円を計上
・営業CFは過去10年で4年マイナス。営業投資有価証券の売買で振れやすい
3月に配当の権利が確定する銘柄です。予想配当利回りは5.37%で、増配方針の持続力と来期の利益回復が計画どおり進むかをあわせて見ていきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・配当・財務の数値は、トレンダーズの2026年3月期 決算短信(2026年5月14日)、2026年3月期第4四半期 決算説明資料(2026年5月14日)およびIRBANKに基づきます(通期の連結業績・配当の状況・2027年3月期予想は決算短信p.1、経営成績とキャッシュ・フローの概況・今後の見通しは同p.2〜p.4、連結貸借対照表は同p.5・p.6、連結損益計算書・特別損失は同p.7、連結キャッシュ・フロー計算書は同p.11・p.12、しるし社の企業結合の注記は同p.13・p.14、1株当たり情報は同p.18。会社概要は決算説明資料p.2、決算サマリーは同p.6、業績予想との差異は同p.8、売上高の計上方法の変更は同p.9、販管費は同p.12、貸借対照表と健全性指標は同p.15、業績予想は同p.23、配当方針は同p.25、事業内容は同p.27〜p.38、中期経営目標は同p.43)。株式分割(2018年9月30日・1株→2株)の日付は、会社の決算説明資料p.25の注記の表記に合わせています。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年8月6日時点)です。時価総額は株価670円と期末発行済株式数8,101,000株から桃モアイが算出しています(媒体によっては自己株式を除くなど異なる基準を使うため、値が異なる場合があります)。上場日(2012年10月19日)は取引所情報で確認しています。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

