【10年連続増配】フクダ電子(6960)を8指標分析

フクダ電子(6960)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年8月8日

10年連続増配・8指標オールクリアの医療機器メーカー

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。健康診断でおなじみの心電図検査。その検査装置やAED、人工呼吸器といった医療機器を、病院から在宅医療までまとめて手がけているのがフクダ電子です。全国225カ所の拠点網で地域医療を支えながら、自社製品比率を約40%から50%へ高める内製化を進めています(2026年4月時点・決算説明資料)。

今回は3月と9月に配当権利が確定する連続増配株の1社、フクダ電子(証券コード:6960)を私独自の8指標で分析しました。

結論からいうと、8指標すべてをクリアしました。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年8月7日時点の値です
📊 8指標の判定は2026年3月期(実績)の数値です。進捗として2027年3月期第1四半期にも触れています


フクダ電子とはどんな会社?

フクダ電子は1948年設立、東京都文京区に本社を置く医療機器メーカーです。心電計などの検査装置に強みを持ち、循環器・呼吸器の分野を予防・検査から治療、在宅医療まで一貫してカバーしています。グループ全体で全国225カ所の拠点を展開し、地域に密着した販売とサポートを行っています(2026年4月時点)。

報告セグメントは、生体検査装置・生体情報モニター・治療装置・消耗品等の4部門です。売上の45.6%を占める主力の治療装置部門では、AED(自動体外式除細動器)や人工呼吸器、ペースメーカに加え、在宅医療向けのレンタル事業を手がけています。消耗品や保守などの「ランニングビジネス」が売上の28.5%を占め、業績を下支えしています(構成比は2026年3月期)。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証スタンダード
業種:電気機器
決算月:3月
連続増配:10年(2026年3月期時点)
株価:11,820円(2026年8月7日時点)
予想配当利回り:1.95%(2027年3月期予想)
配当権利確定:3月・9月(年2回)


配当情報

フクダ電子は2026年3月期まで10年連続で増配しています。2016年3月期の据え置き(分割調整後75円)を経て、2017年3月期の80円から増配が始まりました。2026年3月期の年間配当は230円(中間90円・期末140円)で、このうち85円は特別配当です。会社は配当性向35%を目標に掲げています(決算説明資料p.24)。

2027年3月期は前期と同じ年間230円を会社が予想しています。内訳は普通配当160円+特別配当70円で、普通配当は前期の145円から増える設計ですが、総額では据え置きです。なお前期(2026年3月期)も期初予想は180円のまま、決算発表時(2026年5月)の期末増配を経て230円となった経緯があります(期初予想は2025年3月期決算短信、期末増配は2026年5月15日「剰余金の配当に関するお知らせ」)。

📌 株式分割と本記事の基準
フクダ電子は2022年12月1日付(基準日:2022年11月30日)で1株→2株の株式分割を実施しています。本記事の配当・EPSは、分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額で統一しています(株価は実際の取引価格です)。

項目
株価(2026年8月7日時点) 11,820円
予想配当利回り(2027年3月期予想) 1.95%
連続増配年数(2026年3月期時点) 10年
1株あたりの配当(2026年3月期実績・総額=普通145円+特別85円) 230円
EPS(1株あたりの利益・2026年3月期実績) 683.41円
配当性向(2026年3月期実績) 33.7%(230円÷683.41円)

※予想配当利回りは2027年3月期の予想配当230円を2026年8月7日時点の株価で割った値です。配当性向は2026年3月期実績。株価の変動により利回りは変わります。

予想利回りは1.95%と高くありません。予想配当性向は35.1%と会社の目標水準どおりで、PERは約18.0倍です(株価11,820円と予想EPS655.13円から桃モアイが計算)。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

フクダ電子 1株あたりの配当の推移 10年連続増配


8指標分析の結果

ここからは、フクダ電子を私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 フクダ電子 判定
売上高 増加傾向 1,217億→1,396億円
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 287.74円→683.41円(約2.4倍)
営業利益率 5%以上 19.0%
自己資本比率 40%以上 83.8%
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 全期間プラス(139億〜330億円)
現金等 増加傾向 320億→606億円
1株あたりの配当 10年以上連続増配 10年連続増配
配当性向 50%以下 33.7%

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKのデータをもとに桃モアイが独自に分析。なお8指標の「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定しており、一時的な減少はクリア扱いとしています。2026年3月期は増収増益となりました。8指標すべてをクリアしています。投資判断の参考としてご活用ください。
※金額は億円未満を切り捨てて表示しています。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)

売上高と営業利益率

売上高は2017年3月期の1,217億円から2026年3月期の1,396億円へ、10年で約1.15倍になりました。2022年3月期に前期比▲10.0%の減収がありますが、会社はこれを収益認識基準の変更に伴う売上減少と説明しています(決算説明資料p.9)。グラフで2021年から2022年にかけて売上が減って見えるのは、この会計ルール変更の影響を含みます。2027年3月期は1,420億円(前期比+1.6%)を会社が計画しています。

営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、2020年3月期までの9〜10%前後から大きく改善し、2026年3月期は19.0%と過去10年で最高です。営業利益は15年で約2.9倍になりました(決算説明資料p.9)。2027年3月期は費用の増加を見込み、18.0%へ低下する会社予想です。

フクダ電子 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株利益)と配当性向

EPSは2017年の287.74円から2026年の683.41円へ、10年で約2.4倍になりました。過去10年はすべて前年比プラスで、単年▲30%超の急落もありません。自己株式の取得で株式数が減っていることも、1株あたりの利益を押し上げています。2027年3月期の予想EPSは655.13円と、減少の見込みです。

配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、過去10年で27.8〜33.7%と安定しています。2026年3月期は33.7%でした。会社が目標とする35%に近づいていますが、桃モアイ基準の50%にはまだ余裕があります。

フクダ電子 EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスです。過去10年のレンジは139億〜330億円で、2026年3月期は293億円でした。在宅レンタル機器などへの設備投資を続けながらも、本業の現金創出は厚みがあります。

現金等は2017年の320億円から2026年の606億円へ、約1.9倍に増えました。2026年3月期は前期から66億円の減少ですが、主因は自己株式の取得による支出124億円です(決算短信p.4)。株主還元による一時的な減少で、長期では増加傾向を保っています。

フクダ電子 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2017年の72.6%から2026年の83.8%へ上昇しました。全期間で桃モアイ基準の40%を大きく上回ります。2026年3月末の短期借入金は18億円と、現金等606億円に対してわずかで、実質無借金に近い財務です(決算短信p.8)。

フクダ電子 自己資本比率の推移


注目ポイント

予防・検査から在宅までを網羅する事業と全国225拠点

フクダ電子の強みは、循環器・呼吸器の領域を予防・検査、治療、在宅・介護まで切れ目なくカバーする事業展開です。全国225カ所の拠点網(2026年4月時点)で地域医療に密着し、在宅医療向けレンタルや消耗品・保守などのランニングビジネスが業績を支えています。2026年3月期も治療装置(前期比+2.8%)と消耗品等(同+2.7%)が全体をけん引しました。2027年3月期第1四半期も在宅レンタルが伸び、増収増益のスタートです。

営業利益率19.0%へ改善、内製化で稼ぐ力をさらに強化

営業利益率は9〜10%前後の水準から19.0%へ改善しました。会社は国産AED「DYNAHEART」の投入などで自社製品比率を約40%から50%へ高める内製化を進めており、2025年度にはAEDなど5製品がグッドデザイン賞を受賞しています。2029年3月期の中期目標は売上高1,500億円・営業利益285億円・営業利益率18%以上です(決算説明資料p.19〜20)。

配当は15年で約5.8倍、配当性向35%目標の株主還元

1株あたりの配当は15年間で約5.8倍、直近5年間でも約1.7倍に増えました(決算説明資料p.24)。会社は配当性向35%を目標に掲げ、2026年3月期は自己株式の取得も124億円実施しています。自己資本比率83.8%・現金等606億円の財務余力が、この還元を支えています。

いっぽうで、来期の利益見通しや配当予想には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

確認しておきたい点が3つあります。

第一に、2027年3月期は増収減益の予想で、配当も230円の据え置き予想であることです。会社予想は売上高1,420億円(前期比+1.6%)に対し、営業利益255億円(同▲4.2%)・純利益177億円(同▲5.8%)です。在宅レンタル事業の拡大で減価償却費が118億円から135億円へ増えることなどが要因です(決算説明資料p.23)。配当が予想どおりなら、連続増配は10年で止まります。ただし前期も期初予想180円のまま、決算発表時の期末増配で230円となった経緯があり、第1四半期は営業利益45億円(前年同期比+9.9%)の増益で「概ね予想通りに推移」と会社は説明しています(第1四半期決算短信p.2・業績予想と配当予想の修正の有無:無)。

第二に、医療行政の影響を受けやすい事業であることです。国内では2年に1度、診療報酬や特定保険医療材料の公定償還価格の改定があり、方針変更が販売価格の減少につながる可能性を会社もリスクに挙げています(決算短信p.5)。実際、感染症対策の補正予算が終わった後、生体検査装置(2026年3月期は前期比▲5.6%)と生体情報モニター(同▲4.8%)は減収が続いています。

第三に、代表取締役会長による経費の不適切利用が判明したことです。金額は1.54億円(税抜き1.40億円)で、会社は対象者から全額の弁済を受ける契約を結び、当期の財務諸表に反映しています。再発防止策は2026年5月14日公表のお知らせで示されています(決算短信p.18)。なお当該会長は2026年6月に辞任しています(2026年6月16日適時開示「代表取締役会長の異動(辞任)に関するお知らせ」)。業績への影響は限定的ですが、ガバナンス面の動きは続けて確認したいところです。


まとめ

フクダ電子(6960)は、2026年3月期で10年連続増配となった、8指標すべてをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 予防・検査から在宅医療まで網羅する事業と全国225拠点の地域密着網
✅ 営業利益率19.0%・EPSは10年で約2.4倍と向上した稼ぐ力
✅ 配当は15年で約5.8倍、自己資本比率83.8%の堅実な財務

【留意点】
・2027年3月期は増収減益の予想で、配当は230円の据え置き予想
・2年に1度の診療報酬改定など医療行政の影響を受けやすい
・会長による経費の不適切利用(1.54億円・全額弁済予定)が判明

権利確定は3月と9月(年2回)。予想配当利回りは1.95%と高くありませんが、着実な増配と財務の質を重視する方は候補に入れて確認してみてください。


連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。

楽天証券とSBI証券、連続増配株を始めるならどっち?

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※出典:株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年8月7日時点)。財務数値は2026年3月期決算短信(2026年5月15日公表)、2027年3月期第1四半期決算短信(2026年7月31日公表・業績予想および配当予想の修正の有無:無)、2026年3月期決算説明資料(2026年5月22日)、IRBANKの過去10年データにもとづきます。EPSは決算短信の公表値(2025年3月期645.41円・2026年3月期683.41円。IRBANK表示とは小数第二位で差があります)を使用し、予想EPS655.13円は第1四半期決算短信の通期予想の公表値です。配当性向のうち2023年3月期はIRBANKに表示がないため、調整後の年間配当÷EPSで桃モアイが計算しています(170円÷571.21円)。連続増配年数は配当履歴ベースで、2016年3月期の据え置き(分割調整後75円)の翌期にあたる2017年3月期(80円)を増配1年目としています。2026年3月期の年間配当230円には特別配当85円(中間25円・期末60円)を含み、期初の配当予想は年間180円でした(2025年3月期決算短信の公表値)。株式分割は2022年12月1日効力発生(基準日:2022年11月30日)の1株→2株で、本記事の配当・EPSは分割調整後の金額です。全国225カ所・自社製品比率・配当15年で約5.8倍・中期経営計画の記述は2026年3月期決算説明資料にもとづきます。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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