【10年連続増配】クスリのアオキホールディングス(3549)を8指標分析

クスリのアオキホールディングス(3549)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年8月20日

10年連続増配・北陸地盤で1,144店舗、フード&ドラッグへ転換するドラッグストア

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。北陸を中心に、青果や精肉まで並んでいるドラッグストアを見かけたことがあるかもしれません。クスリのアオキホールディングスは2026年5月期に過去最高となる111店舗を出店し、食品スーパーのM&Aも重ねて、店舗数を1,144店舗まで広げました。

今回は5月と11月に配当権利が確定する連続増配株の1社、クスリのアオキホールディングス(証券コード:3549)を私独自の8指標で分析しました。

結論から言うと、8つのうち6つをクリアしました。営業利益率と自己資本比率が基準に届いていません。確認しておきたい点もいくつかあります。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年8月19日時点の値です
📊 財務指標は2026年5月期(実績)の数値を使用しています


クスリのアオキホールディングスとはどんな会社?

石川県白山市に本社を置く、ドラッグストアの持株会社です。「健康と美と衛生を通じて社会から期待される企業作りを目指すこと」を経営理念に掲げ、医薬品や化粧品を核にしながら、生活必需品や食品まで幅広く扱っています。

2026年5月期末の店舗数は、ドラッグストア1,107店舗(うち調剤薬局併設692店舗)、調剤専門薬局6店舗、スーパーマーケット31店舗の合計1,144店舗です。北信越(北陸3県と新潟・長野)を地盤に、東北・関東・東海・関西・四国へエリアを広げています。

特徴は、食品の比率がとても高いことです。2026年5月期の商品部門別売上高は、フード(生鮮を除く食品)が2,301億円で構成比40.6%、生鮮(青果・精肉・鮮魚・惣菜)が714億円で同12.6%です。会社開示では生鮮を含めた「フード」を3,015億円・53.2%としていますが、本記事では生鮮を分けて表示しています。合わせると売上の半分以上を食品が占めます。これに調剤(薬局で処方する医療用医薬品)598億円が加わり、「フード&ドラッグ+調剤」という店舗の形を作っています。

いっぽうで、業界環境は厳しさを増しています。会社自身も決算短信で、M&Aによる再編や店舗数増加による競争の激化、それにともなう商圏の狭小化を挙げ、経営環境は厳しい状況が継続していると説明しています。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証スタンダード市場・名証メイン市場
業種:小売業
決算月:5月期
連続増配:10年(2026年5月期時点)
現在の株価:4,018円
予想配当利回り:1.59%
配当権利確定:5月、11月(年2回)


配当情報

クスリのアオキホールディングスは、2026年5月期で10年連続の増配となりました。1株あたりの配当は、2017年5月期の2.33円から2026年5月期の56円まで増えています(いずれも株式分割の調整後)。

ただし、2026年5月期の56円には注意点があります。内訳は普通配当16円と、設立40周年を記念した記念配当40円です。記念配当は一度きりのものですが、記念配当を除いた普通配当16円だけで見ても前期の14円を上回っているため、普通配当ベースでも増配は続いています。

2027年5月期の予想は年間64円です。記念配当40円が剥落したうえでの64円なので、普通配当だけで前期の56円を上回る計画になっています。実施されれば11期連続の増配です。

この背景にあるのが、2025年12月に発表された第4次中期経営計画(2026年5月期〜2030年5月期)です。会社は株主還元方針を抜本的に見直し、配当性向30%を基本方針とすることを決めました。従来の配当性向は10%未満で推移していたため、水準そのものが大きく切り上がっています。

📌株式分割について:本記事の配当・EPS(1株あたりの利益)は、株式分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額です。過去10年の期間内に効力が発生した分割は、2023年11月21日の1株→3株の1件です(このほか2014年5月・2015年5月にも1株→2株の分割がありましたが、いずれも本記事が対象とする2017年5月期より前のため、10年分の数値には影響しません)。
なお2024年5月期は期の途中で分割があったため、決算短信の配当表では中間配当16円が分割前、期末配当5.50円が分割後の基準になっています。本記事の2024年5月期の年間配当10.83円は、中間配当を分割後に置き換えた5.33円と期末配当5.50円を合計した金額です。株価は実際の取引価格のため調整していません。

項目 内容
現在の株価 4,018円(2026年8月19日時点)
予想配当利回り 1.59%(2027年5月期予想/2026年8月19日時点)
連続増配年数 10年(2026年5月期時点)
1株あたりの配当(実績・総額) 56円=普通配当16円+記念配当40円(2026年5月期)
EPS(1株あたりの利益・実績) 176.95円(2026年5月期)
配当性向 31.6%(56円 ÷ 176.95円/2026年5月期)

※配当利回りは2027年5月期の会社予想配当64円をもとに、株価で割って算出しています。配当性向は2026年5月期の実績です。株価は東証終値(2026年8月19日時点)。株価変動により利回りは変わります。
※2026年5月期の普通配当16円だけで計算した場合の利回りは0.40%です(2027年5月期予想の64円はすべて普通配当です)。
※連続増配年数は配当履歴(株式分割の調整後)で数えており、2017年5月期を増配1年目としています。持株会社としての上場は2016年11月のため、上場後の増配実績も10年です(前身の株式会社クスリのアオキは2006年2月に東証2部へ上場)。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年5月期)です。

クスリのアオキホールディングス 1株あたりの配当の推移 10年連続増配

2026年の棒が急に高くなっているのは、記念配当40円が乗っているためです。グラフに表示している年平均増配率 約42.4%も記念配当を含んだ数字で、記念配当を除いた普通配当ベースでは約23.9%になります。


8指標分析の結果

ここからは、クスリのアオキホールディングスを私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 実値 判定
売上高 増加傾向 1,887億円 → 5,668億円(約3.0倍)
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 86.74円 → 176.95円(約2.0倍)
営業利益率 5%以上 4.78%
自己資本比率 40%以上 34.3%
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 全期間プラス(87億〜373億円)
現金等 増加傾向 65億円 → 586億円(約9.0倍)
1株あたりの配当 10年以上連続増配 10年連続増配(2017年5月期〜2026年5月期)
配当性向 50%以下 31.6%

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年5月期(実績)。IRBANKのデータをもとに桃モアイが独自に分析。なお8指標の「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定しており、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標のうち6つをクリア。営業利益率は出店拡大にともなう先行費用で、自己資本比率は借入による出店投資と自己株式の取得で、それぞれ基準に届きませんでした。金額は億円未満を切り捨てて表示しています。
※EPSは決算短信の1株当たり当期純利益176.95円を採用しています(IRBANKの表示は176.94円)。
※配当性向は「年間配当 ÷ EPS」で算出した31.6%を採用しています。決算短信の公表値31.1%は「配当金総額5,320百万円 ÷ 親会社株主に帰属する当期純利益17,133百万円」で計算されたもので、期中の自己株式の取得により1株ベースと総額ベースで差が出ています。どちらの数値でも判定は変わりません。
※2026年5月期の増配分には設立40周年記念配当40円が含まれます。普通配当は14円から16円へ増えています。
※投資判断の参考としてご活用ください。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)

売上高と営業利益率

売上高は2017年5月期の1,887億円から2026年5月期の5,668億円まで、約3.0倍に増えました。過去10年で一度も前期を下回っておらず、2026年5月期も前期比13.0%増と二桁の伸びが続いています。2027年5月期は6,400億円(前期比12.9%増)を計画しています。

いっぽう営業利益率は横ばいから低下気味です。2017年5月期の5.66%から2021年5月期の5.43%までは5%台を保っていましたが、2022年5月期に4.29%まで下がり、その後は4%台と5%台を行き来しています。2026年5月期は4.78%で、桃モアイ基準の5%にわずかに届きませんでした。会社は2027年5月期に5.0%まで戻す計画を示しています。

クスリのアオキホールディングス 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株利益)と配当性向

EPSは2017年5月期の86.74円から2026年5月期の176.95円へ、約2.0倍になりました。途中、2022年5月期に104.01円まで下がった年がありますが、下落幅は前期比18.4%で、単年で30%を超える急落はありません。2024年5月期から2025年5月期にかけては130.10円から175.42円へ大きく伸びています。長期では安定して増加傾向にあると判断しました。

配当性向は2017年5月期の2.7%から2025年5月期の8.0%まで、一桁台で推移してきました。利益の9割以上を社内に残し、その多くを出店投資に充ててきたことになります。それが2026年5月期に31.6%へ跳ね上がりました。記念配当40円の影響が大きいものの、2027年5月期予想も32.0%と同じ水準です。第4次中期経営計画で配当性向30%を基本方針としたためで、水準の切り上げは一時的なものではありません。

クスリのアオキホールディングス EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は過去10年すべてプラスでした。レンジは87億〜373億円です。2024年5月期から2025年5月期にかけて2年続けて減りましたが、2026年5月期は373億円と過去最高を更新しています。棚卸資産の増加による支出はあったものの、減価償却費144億円が積み上がり、収入が大きく伸びました。

現金等は65億円から586億円へ、約9.0倍に増えています。2025年5月期に一度477億円まで減りましたが、2026年5月期は長期借入れによる収入660億円などを背景に、再び増加に転じました。

クスリのアオキホールディングス 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年で34.3〜41.4%のあいだを動いてきました。桃モアイ基準の40%を上回ったのは2025年5月期(41.4%)の1回だけで、次に高い2019年5月期でも39.9%です。基準にはやや届かない水準が続いてきたことになります。

2026年5月期は34.3%と、前期の41.4%から7.1ポイント低下しました。過去10年で最も低い水準です。要因は総資産側と自己資本側の両方にあります。総資産は4,109億円と前期末比584億円増えました。新規出店による建物及び構築物の増加200億円などが主因です。いっぽう純資産は1,410億円と47億円減りました。当期純利益171億円を積み上げた一方で、自己株式の取得に238億円を使ったためです。

クスリのアオキホールディングス 自己資本比率の推移


注目ポイント

出店とM&Aの両輪で、売上高は10年で3倍

2026年5月期は、年間111店舗という過去最高の出店を実施しました。内訳は自社出店73店舗、M&Aによる取得38店舗です。総投資額も過去最高の486億円に達しました。自社出店のペースが鈍っても、地場のスーパーマーケットのM&Aを組み合わせることで、出店スピードを維持している点が特徴です。

2026年5月期には食品スーパーを展開するミワ商店(香川県)、スポット(新潟県)、キューピット(新潟県)などの株式取得・事業譲受を行い、スーパーマーケット37店舗を新たに取得しました。なお前期末のスーパーマーケットは26店舗で、そこに37店舗を加えながら期末は31店舗にとどまっています。取得した店舗のうち、当期中にドラッグストア業態へ転換した店舗や、改装で一時休業している店舗があるためです。M&Aの累計は21社、売上高1,303億円・167店舗規模まで広がっています。

「フード&ドラッグ」への転換が売上を押し上げている

生鮮食品の売上高は714億円で、前期比21.4%増と全部門で最も高い伸びを示しました。売上構成比も11.7%から12.6%へ上がっています。会社は2025年5月期までの3年間で、生鮮導入を目的とした改装を700店舗で実施しました。店舗の標準規格も300坪から400坪へ広げ、大型店は500坪に統一しています。

調剤薬局も伸びています。2026年5月期の調剤売上高は598億円で前期比15.3%増、新規開局は38薬局でした。第4次中期経営計画では、2030年5月期に調剤売上高1,000億円、生鮮売上高1,300億円を目標に掲げています。

株主還元方針を抜本的に見直した

2025年12月、会社は配当性向30%を基本方針とすることを決定しました。それまでの配当性向は10%未満で、連続増配は続けていたものの水準そのものは低いままでした。この見直しにより、年間配当は2025年5月期の14円から2026年5月期56円、2027年5月期予想64円へと一気に切り上がっています。

自己株式の取得も続いています。2026年5月期には合計238億69百万円の自己株式を取得しました。内訳は2024年10月3日の取締役会決議にもとづく530,700株(18億69百万円)と、2025年7月3日の決議にもとづく5,609,200株(219億99百万円)です(億円未満を切り捨てているため、内訳の合計は総額と一致しません)。なお2025年11月20日には、保有していた自己株式9,480,700株(340億66百万円)を消却しています。

さらに2025年12月25日には、600万株・240億円を上限とする新たな取得枠が決議されました。取得期間は2025年12月26日から2026年12月25日までです。

いっぽうで、収益性や財務の安全性、そして上場市場については確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

確認しておきたい点が3つあります。

第一に、8指標のうち営業利益率と自己資本比率の2つが基準に届いていないことです。2026年5月期の営業利益率は4.78%でした。売上高が13.0%増えたのに対し、営業利益は1.9%増にとどまっています。販管費率が21.6%と前期から0.4ポイント上がったことが響きました。うち人件費率は9.6%で0.3ポイント上昇しています。年間111店舗という過去最高の出店にともなう先行費用が、利益率を押し下げた形です。自己資本比率は34.3%で、前期の41.4%から7.1ポイント下がりました。新規店舗の建築資金として長期借入れによる収入660億円を得たことで長期借入金が415億円増え、同時に自己株式の取得238億円で純資産が47億円減ったためです。出店を借入でまかなう構造が続く限り、この比率がすぐに40%へ戻る見通しは立ちにくいと考えられます。

第二に、配当の性格が変わったことです。2026年5月期の年間配当56円のうち40円は設立40周年の記念配当で、一度きりのものです。2027年5月期は普通配当だけで64円を予想しているため、水準としては下がりませんが、その根拠は配当性向30%という方針です。つまり、これまでの「配当性向一桁で利益に大きな余裕を持たせた増配」から、「利益に連動して決まる配当」へ性格が変わりました。減益になれば配当が伸びにくくなる構造です。2026年5月期の親会社株主に帰属する当期純利益は171億33百万円で前期比3.7%減でした。減損損失25億円、投資有価証券評価損4億円などを計上したことが影響しています。既存店の客数も前期比99.7%と前年を下回りました。第2四半期から生鮮商品の販売価格を相場並みに引き上げたことで、下期の客数が鈍化したと会社は説明しています。

第三に、2026年6月に上場する市場が変わった点です。同社は2026年6月19日付で東証プライム市場から東証スタンダード市場へ区分を変更し、同日から名証メイン市場にも重複上場しました。会社はこの目的を、プライム市場で求められる流通株式比率の基準達成が難しい状況のもとで、中長期的な成長や経営効率を優先するためと説明しています。市場区分は上場を維持するための基準の厳しさが異なり、一般にプライム市場のほうが機関投資家の関心を集めやすいとされます。いっぽうで会社は、名証への重複上場によって東海エリアの個人投資家に事業を知ってもらう機会をつくり、投資家層の拡大と株式の流動性向上を図るとしています。

なお予想配当利回りは1.59%と低めですが、これは株価が割高だからというより、これまで配当性向を一桁に抑えて利益を出店投資に回してきたためです。2026年8月19日時点の予想PERは20.08倍、PBRは2.71倍です。


まとめ

クスリのアオキホールディングス(3549)は、2026年5月期で10年連続増配となった、8指標のうち6つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 売上高が10年で約3.0倍。過去10年で一度も減収がない
✅ 営業CFは10年すべてプラスで、2026年5月期は373億円と過去最高
✅ 配当性向30%を基本方針とし、株主還元の水準を大きく引き上げた

【留意点】
・営業利益率4.78%・自己資本比率34.3%が基準に届いていない
・2026年5月期の配当56円には一度きりの記念配当40円が含まれる
・2026年6月に東証プライムから東証スタンダードへ市場区分が変わった

配当の権利確定は5月と11月の年2回、予想配当利回りは1.59%です。


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【出典】株式会社クスリのアオキホールディングス「2026年5月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年7月2日)p.1〜p.14/同「2026年5月期 決算説明会資料」(2026年7月7日)p.3・p.6・p.8〜p.13・p.29〜p.39/同「配当予想の修正(設立40周年記念配当)に関するお知らせ」(2025年12月25日)/同「東京証券取引所スタンダード市場への市場区分変更承認及び名古屋証券取引所メイン市場への新規上場承認に関するお知らせ」(2026年6月12日)/IRBANK(過去10年の業績・配当データ)/株価は東証終値(2026年8月19日時点)。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。記載の数値は執筆時点のものです。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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