最終更新日:2026年6月19日
11年連続増配・農薬とファインケミカルが両輪の全農系化学メーカー
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。
今回は5月・11月に配当権利が確定する連続増配株の1社、北興化学工業(証券コード:4992)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、北興化学工業は8指標すべてをクリアでした。11年連続増配に加え、営業利益率10%・自己資本比率68.2%と収益性・財務がともに良好で、営業活動によるCFも過去10年すべてプラスという、バランスのとれた連続増配株です。一方で、本業のキャッシュ・フローの振れや、増配ペースの今後など、確認しておきたい点もあります。
📊 株価・利回りの基準日:2026年6月15日時点の値です
📊 財務指標は2025年11月期(実績)の数値を使用しています
北興化学工業とはどんな会社?
北興化学工業は、1950年に野村鉱業の製薬部から分離独立して設立された、農薬とファインケミカルを両輪とする化学メーカーです。JA全農(全国農業協同組合連合会)を主要取引先とする全農系で、「種子から収穫まで護るホクコー農薬」をモットーに事業を続けています。
事業は、売上の柱である農薬事業のほか、ファインケミカル事業、繊維資材事業などで構成されます。農薬事業では水稲用・園芸用の殺虫剤・殺菌剤・除草剤などに強みを持ち、ファインケミカル事業では電子材料の原料や医農薬中間体などを手がけています。中国に製造子会社、米国に普及・調査拠点を持ち、海外にも事業を広げています。
2025年11月期は、農薬事業が伸びて売上高491億円(前期比6.3%増)、営業利益49億円(同8.2%増)と増収増益でした。長期経営計画「HOKKO Value Up Plan 2029」では、2029年度に売上高550億円・経常利益68億円を目標に掲げています。
一方で、農薬は天候や作付け、原材料市況の影響を受けやすく、業績や本業のキャッシュ・フローが年によって振れる面があります。この点はあとの「投資の留意点」でも触れます。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証スタンダード
業種:化学
決算月:11月
連続増配:11年(2025年11月期時点)
株価:2,079円(2026年6月15日時点)
予想配当利回り:2.60%(2026年11月期 会社予想ベース)
配当権利確定:5月・11月(年2回)
配当情報
北興化学工業は2015年11月期から増配を続けており、2025年11月期で11年連続増配となりました。年間配当は2025年11月期の実績が46円(中間20円+期末26円)です。2026年11月期の会社予想は54円(中間27円+期末27円)で、前期から8円の増配となる見通しです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 2,079円(2026年6月15日時点) |
| 予想配当利回り | 2.60%(2026年11月期 会社予想ベース) |
| 連続増配年数 | 11年(2025年11月期時点) |
| 配当性向 | 27.1%(2025年11月期 実績) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年6月15日時点)、配当は2025年11月期 決算短信。予想配当利回りは2026年11月期の会社予想配当に基づきます。株価変動により利回りは変わります。連続増配年数は、2015年11月期を増配1年目として、2025年11月期まで11期連続として数えています(このあとの推移グラフは、過去10年分にあたる2016年11月期〜2025年11月期を表示しています)。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2026年11月期)です。

過去10年でみると、1株あたりの配当は10円から46円へと約4.6倍になりました。2016年から2025年までの9期で、年平均(年率換算)約18.5%の増配ペースです。とくに直近の2024年11月期・2025年11月期は32円・46円と大きく引き上げられています。
8指標分析の結果
ここからは、北興化学工業を私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
| 指標 | 基準 | 北興化学工業 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 401億円→491億円(10年で増加) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 71.3円→169.89円(10年で約2.4倍) | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 10.0% | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 68.2% | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(29〜76億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 9億円→132億円(10年で増加) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 11年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 27.1% | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標です。
※財務指標は2025年11月期(実績)。IRBANKのデータをもとに桃モアイが独自に分析。なお8指標の「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定しており、一時的な減少はクリア扱いとしています。2025年11月期は増収・増益となりました(純利益には投資有価証券の売却益も含まれます)。8指標すべてをクリアしています。金額は億円未満を切り捨てて表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2016年〜2025年実績+2026年予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで確認していきます。薄いグレーの棒は会社予想(2026年11月期)です。
売上高と営業利益率
売上高は401億円から491億円へと、10年でゆるやかに増えました。2020年11月期に小幅な減少(419億円→396億円)はあるものの、その後は安定した右肩上がりで、2022年以降は伸びが加速しています。2026年11月期は520億円とさらに増収の会社予想です。営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、かつては6〜7%台でしたが、2022年11月期以降はおおむね10%前後まで高まり、直近の2025年11月期は10.0%と桃モアイ基準の5%を大きく上回りました。収益構造改革などの効果で、利益の出やすい体質に変わってきています。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPS(1株あたりの利益)は71.3円から169.89円へと、10年で約2.4倍に伸びました。2020年(104.05円→88.62円)・2023年(155.61円→137.51円)に一時的な減少はあるものの、いずれも翌期以降に回復し、長期では安定した右肩上がりです。なお2025年11月期は投資有価証券の売却益も計上され、純利益が前期比約11%増となりました(本業を含む経常利益は約7%増)。2026年11月期のEPSは173円(前期比約2%増)と、小幅な増加の会社予想です。配当性向(利益のうち配当に回す割合)は14%から27.1%へと上昇してきました。直近2期の大きな増配で割合が高まっていますが、桃モアイ基準の50%にはまだ余裕があります。

営業活動によるCFと現金等
営業活動によるCF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべての期でプラスを確保しています。ただし金額は29億円から76億円まで年によって振れがあり、在庫や売上債権など運転資金の変動を受けやすい特徴があります。一方、現金等(決算書の「現金及び現金同等物」)は9億円から132億円へと10年で大きく積み上がっており、手元の資金には厚みが増しています。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2016年11月期の47.2%から近年大きく高まり、直近の2025年11月期は68.2%でした(前期の70.7%からはわずかに低下したものの、高い水準を保っています)。桃モアイ基準の40%を大きく上回る水準で、財務の安定性は高いといえます。なお2026年11月期 第1四半期も増収増益で推移しており、財務基盤は引き続き堅調です。

注目ポイント
11年連続増配・直近2期は大きく増配
1株あたりの配当は11年連続で増えています。増配ペースは2016年から2025年までの9期で年平均約18.5%と高く、とくに直近2期は24円→32円→46円と大きく引き上げられました。2026年11月期は年間54円とさらなる増配の会社予想で、増配の継続力が見どころです。
全農系・水稲/園芸用農薬に強み、ファインケミカルが第2の柱
主力の農薬事業は、JA全農を主要取引先とし、水稲用・園芸用の殺虫剤・殺菌剤・除草剤などに強みを持ちます。これに電子材料原料や医農薬中間体を扱うファインケミカル事業が続き、両事業を経営の両輪としています。長期計画では2029年度の売上高550億円を目標に、成長投資を進めています。
営業利益率10%・自己資本比率68.2%と収益性・財務が良好
営業利益率は2022年以降おおむね10%前後まで高まり、自己資本比率も68.2%と高水準です。営業活動によるCFは過去10年すべてプラスで、現金等は9億円から132億円へと積み上がりました。収益性・財務・現金の3点がそろっている点は、増配を支える土台となっています。
今後の見どころ:CFの振れと増配ペース
営業活動によるCFは年ごとの振れがあり、2025年の純利益には一時的な売却益も含まれます。また増配ペースが利益の伸びを上回ってきた面もあります。詳しくは次の「投資の留意点」で説明します。
投資の留意点
8指標はすべてクリアしていますが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、営業活動によるCFが期によって振れる点です。過去10年はすべてプラスを確保しているものの、金額は29億円から76億円まで開きがあります。農薬は天候や作付けの影響を受け、在庫や売上債権など運転資金が変動するため、本業の現金創出は年によって上下します。現金等そのものは積み上がっていますが、CFの安定性は引き続き見ておきたい点です。
第二に、2025年11月期の純利益には一時的な要因が含まれる点です。純利益は前期比約11%増でしたが、これには投資有価証券の売却益が寄与しています。本業を含む経常利益の伸びは約7%で、EPSの伸びをそのまま実力とみるのは早計です。2026年11月期の予想EPSは173円(約2%増)と、伸びはゆるやかになる見通しです。
第三に、増配ペースが利益の伸びを上回ってきた点です。直近2期は配当を大きく引き上げており、配当性向は14%台から27.1%まで高まりました。基準の50%にはまだ余裕がありますが、利益の伸びがゆるやかになるなかで、今後も同じペースの増配が続くかは見どころです。
まとめ
北興化学工業は、11年連続増配・年平均約18.5%の増配ペースに加え、営業利益率10%・自己資本比率68.2%と収益性・財務がともに良好で、8指標すべてをクリアした連続増配株です。一方で、本業のキャッシュ・フローの振れや、増配ペースの今後には、確認しておきたい点もあります。
【強み】
✅ 11年連続増配・年平均約18.5%の増配ペース(直近2期は大きく増配)
✅ 全農系で水稲・園芸用農薬に強み、ファインケミカルが第2の柱
✅ 営業利益率10%・自己資本比率68.2%と収益性・財務がともに良好
✅ 営業活動によるCFは過去10年すべてプラス・現金等は10年で大きく増加
【留意点】
・営業活動によるCFは期ごとの振れがある(運転資金の変動)
・2025年の純利益には投資有価証券の売却益という一時要因(経常利益の伸びは約7%)
・増配ペースが利益の伸びを上回り、配当性向は上昇傾向(ただし27.1%と基準内)
5月・11月に配当権利が確定する銘柄です。8指標すべてをクリアした、収益性・財務・連続増配のそろった1社として、今後の決算もチェックしていきます。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

