【11年連続増配】野村マイクロ・サイエンス(6254)を8指標分析

野村マイクロ・サイエンス(6254)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年8月7日

11年連続増配・半導体を支える「超純水」装置の専業大手

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。スマートフォンやAIサーバーに使われる半導体は、不純物を極限まで取り除いた「超純水」という特別な水で洗いながら作られています。その超純水をつくる装置の専業大手が野村マイクロ・サイエンスで、AI向けの半導体投資を追い風に、2027年3月期は過去最高水準の受注を見込んでいます。

今回は9月・3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、野村マイクロ・サイエンス(証券コード:6254)を私独自の8指標で分析しました。

結論からいうと、8つのうち4つをクリアしました。EPS(1株あたりの利益)・自己資本比率・営業活動によるCF・配当性向に確認しておきたい点があります。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年8月6日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています


野村マイクロ・サイエンスとはどんな会社?

野村マイクロ・サイエンスは、水をきれいにする「水処理装置」の専業メーカーです。主力は半導体工場向けの超純水製造装置で、設計から施工、納入後のメンテナンスまでを一貫して手がけています。超純水の品質は半導体の出来を左右するため、高い技術力が求められる分野です。

売上の9割は半導体業界向けです(2026年3月期の業種別構成比90.0%)。製薬業界向けも5.3%あり、注射用水など医療の分野にも広がっています。販売先は日本だけでなく、韓国・中国・台湾・米国など世界各地です。半導体メーカーの工場建設にあわせて大型案件を受注する、受注型のビジネスモデルです。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証プライム
業種:機械
決算月:3月
連続増配:11年(2026年3月期時点)
株価:4,415円(2026年8月6日時点)
予想配当利回り:1.93%(2027年3月期予想)
配当権利確定:9月・3月(年2回)


配当情報

野村マイクロ・サイエンスは2026年3月期まで11年連続で増配しています。2015年3月期の無配から2016年3月期に配当を再開し、そこから増配が続いています。2026年3月期の年間配当は81円(中間20円+期末61円)です。

2027年3月期は4円増配の年間85円(中間30円+期末55円)を会社が予想しています。実施されれば12期連続の増配です。会社は配当性向30%を目標に、安定した株主還元を続ける方針を示しています。

📌 株式分割と本記事の基準
野村マイクロ・サイエンスは2024年4月1日に1株→4株の株式分割を実施しました。本記事の配当・EPSは、分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額で統一しています(株価は実際の取引価格のため調整しません)。

項目
株価(2026年8月6日時点) 4,415円
予想配当利回り(2027年3月期予想) 1.93%
連続増配年数(2026年3月期時点) 11年
配当性向(2026年3月期実績) 81.1%

※予想配当利回りは2027年3月期の予想配当85円を2026年8月6日時点の株価で割った値です。配当性向は2026年3月期実績で、決算短信公表の連結配当性向(配当金総額÷純利益)です。年間配当81円÷EPS100.36円で計算すると80.7%になります。株価の変動により利回りは変わります。

予想利回りは1.93%と低めです。これは株価が下がっているからではなく、配当性向30%を目標に利益を成長投資へ回す方針に加え、半導体投資の拡大への期待から株価が高く評価されているためです(PER約15.2倍・PBR約4.30倍。株価4,415円と予想EPS289.90円・BPS1,026.65円から桃モアイが計算)。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

野村マイクロ・サイエンス 1株あたりの配当の推移 11年連続増配


8指標分析の結果

ここからは、野村マイクロ・サイエンスを私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 野村マイクロ・サイエンス 判定
売上高 増加傾向 165億→562億円(10年で約3.4倍)
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 19.43円→100.36円(2026年に単年▲62.9%)
営業利益率 5%以上 11.9%
自己資本比率 40%以上 35.6%
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 過去10年のレンジは▲202.0億〜59.6億円(うち4年がマイナス)
現金等 増加傾向 45.6億→99.3億円
1株あたりの配当 10年以上連続増配 11年連続増配
配当性向 50%以下 81.1%

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKのデータをもとに桃モアイが独自に分析。なお8指標の「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定しており、一時的な減少はクリア扱いとしています。2026年3月期は米国の大型案件が一巡し、減収減益となりました。8指標のうち4つをクリア。EPSと配当性向はこの大幅減益(EPS単年▲62.9%・配当性向81.1%)、自己資本比率は40%未満(35.6%)、営業CFは10年のうち4年がマイナスのため、それぞれ基準に届きませんでした。
※金額は、売上高・受注高は億円未満を四捨五入し、営業CF・現金等・借入金などは小数第一位までを四捨五入して表示しています。営業CFは決算短信の連結キャッシュ・フロー計算書の値を使用しています(決算説明会資料の営業CF43.6億円は、投資CFとの間の組み替えによる表示差で、合計は一致します)。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)

売上高と営業利益率

売上高は2017年3月期の165億円から2026年3月期の562億円へ、10年で約3.4倍になりました。ただし1年ごとの振れ幅が大きいのが特徴です。半導体工場の建設にあわせて大型案件を売り上げる受注型のビジネスのため、案件が集中する年と一巡した年で山と谷ができます。

2025年3月期は米国の大型案件がけん引し、過去最高の964億円まで拡大しました。2026年3月期はその反動で562億円(前期比▲41.6%)に減少しています。2027年3月期は受注済み案件の工事が進むことで、970億円と過去最高水準へ戻る会社予想です。

営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、2017〜2019年の4.7〜5.7%から、2021年以降は11〜16%へ大きく改善しました。プレファブ工法の導入など、工事プロセスの改革によるコスト削減が背景です。2026年3月期は11.9%で桃モアイ基準の5%を上回り、2027年3月期は16.5%への回復を会社が見込んでいます。

野村マイクロ・サイエンス 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株利益)と配当性向

EPSは2017年3月期の19.43円から2025年3月期の270.75円まで、8年で約14倍に急拡大しました。しかし2026年3月期は100.36円へ、単年で62.9%減少しています。米国の大型案件が一巡した反動です。10年前と比べれば約5.2倍の水準ですが、この単年での大きな急落があるため、8指標のEPSは「安定して増加傾向」の基準に届かず「-」としています。

なお2027年3月期の予想EPSは289.90円で、過去最高を更新する見込みです。

配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、2025年3月期まで18〜30%の低い水準で推移してきました。2026年3月期は、減益のなかでも増配を続けたため81.1%へ跳ね上がっています。グラフの2026年の点は、値が枠外に出るためグラフの上限に配置しています(実際の値は81.1%です)。2027年3月期の予想では29.3%へ戻る見込みです。

野村マイクロ・サイエンス EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のレンジが▲202.0億〜59.6億円(うち4年がマイナス)と大きく振れており、8指標では「-」です。大型案件では、工事の進み具合と代金の受け取り時期がずれるためです。2025年3月期は米国案件の売上債権(未回収の代金)が積み上がり▲202.0億円まで沈みましたが、2026年3月期は回収が進み46.8億円のプラスへ転じました。

現金等は2017年3月期の45.6億円から2026年3月期の99.3億円へ増えています。ピークの2025年3月期(165.4億円)からは減りましたが、これは短期借入金の返済(57.8億円)や配当の支払い(30.3億円)などに現金を使ったためです。10年間では最新が最古を上回っており、8指標はクリアです。

野村マイクロ・サイエンス 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2022年3月期の58.3%をピークに低下し、2025年3月期は31.2%まで下がりました。米国の大型案件の運転資金として短期借入金(2025年3月期末521.6億円)が膨らみ、総資産が拡大したことが主因です。自己資本の額は364.8億円(2025年3月期)から393.1億円(2026年3月期)へ、むしろ増えています。

2026年3月期は借入金の返済が進み、35.6%へ回復しました。それでも桃モアイ基準の40%には届かないため、8指標では「-」としています。

野村マイクロ・サイエンス 自己資本比率の推移


注目ポイント

半導体づくりに欠かせない「超純水」の専業大手

主力の超純水製造装置は、半導体の製造工程で大量に使われる水をつくる装置です。半導体の微細化が進むほど、水に求められる純度も上がります。SEMI(国際半導体製造装置材料協会)によると、2025年の半導体製造装置の世界販売額は前年比15%増の1,351億ドルに達しました(2026年3月期決算短信p.2)。AI関連の投資拡大が、装置と超純水の需要を押し上げています。

受注は過去最高水準へ回復する見通し

2027年3月期の受注高は1,648億円(前期比+245.5%)と、過去最高水準になる会社予想です。台湾で新規の大型案件を受注したほか、各地で大型案件の受注を見込んでいます。通期の業績も売上高970億円(同+72.5%)・営業利益160億円(同+140.0%)と、大幅な増収増益の計画です。

高い資本効率と研究開発への投資

自己資本に対する利益の割合を示すROEは、過去5期の平均で25%を超えています(2026年3月期決算説明会資料p.23)。研究開発では、微量分析で世界初となる5nm(ナノメートル)の粒子計測技術を確立しました。最先端の超純水製造装置を開発するための新開発棟も建設し、次の成長への布石を打っています。

いっぽうで、利益(EPS)や配当性向、財務には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

確認しておきたい点が3つあります。

第一に、業績の振れ幅が大きいことです。大型案件の受注型ビジネスのため、売上・利益とも年ごとの増減が激しくなります。2026年3月期は米国の大型案件が一巡し、売上高▲41.6%・EPS▲62.9%(270.75円→100.36円)の大幅な減収減益でした。この単年▲30%超の急落があるため、8指標のEPSは「-」としています。2027年3月期は大幅な回復予想ですが、受注と工事の進み具合しだいで振れる点は意識しておきたいところです。

第二に、配当性向が81.1%まで上昇したことです。減益のなかでも増配を優先した結果で、桃モアイ基準の50%を大きく超えました。会社の目標は配当性向30%で、2027年3月期の予想では29.3%へ戻る計画です。ただし業績が予想に届かない年は、再び高くなる可能性があります。

第三に、財務と資金繰りが大きく変動することです。自己資本比率は35.6%と基準の40%に届かず、短期借入金は510.7億円あります。営業CFも10年のうち4年がマイナスで、大型案件の代金回収の時期しだいで大きく振れます。2026年3月期は借入の返済と代金の回収が進んで改善しましたが、案件の規模が大きいだけに、財務の動きは確認を続けたい点です。


まとめ

野村マイクロ・サイエンス(6254)は、2026年3月期で11年連続増配となった、8指標のうち4つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 半導体づくりに欠かせない超純水装置の専業大手で、AI投資の拡大が追い風
✅ 2027年3月期は受注高1,648億円・売上高970億円と過去最高水準の会社予想
✅ 年平均約40.7%の増配ペースで、2027年3月期は85円予想(12期連続へ)

【留意点】
・EPSは2026年3月期に単年▲62.9%の急落があり、8指標では「-」
・減益下の増配で配当性向は81.1%(2027年3月期予想は29.3%)
・自己資本比率35.6%、営業CFは10年のうち4年がマイナス

権利確定は9月・3月(年2回)。予想配当利回りは1.93%と低めですが、半導体投資の波と増配の継続力を見たい方は、候補に入れて確認してみてください。


連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。

楽天証券とSBI証券、連続増配株を始めるならどっち?

10年以上連続増配株一覧に戻る

※出典:株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年8月6日時点)。財務数値は2026年3月期決算短信(2026年5月14日公表)とIRBANKの過去10年データにもとづきます。営業CFの46.8億円(4,679百万円)は2026年3月期決算短信p.11の連結キャッシュ・フロー計算書の値です。EPSの実績100.36円・予想289.90円は決算短信の公表値です(IRBANKの表示100.35円は端数差)。連続増配年数は配当履歴ベース(株式分割の調整後)で、会社公表に合わせ、復配した2016年3月期を1期目と数えています(2015年3月期は無配)。業種別構成比・受注見通し・ROE・株主還元方針の記述は2026年3月期決算説明会資料(2026年5月22日・6月16日改訂)にもとづきます。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA