最終更新日:2026年8月10日
10年連続増配・北海道地盤の食品スーパー
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。北海道の帯広・旭川・札幌で、食品スーパー「ダイイチ」を26店舗展開している会社があります(2025年9月期末時点)。1958年創業の老舗ながら、2025年3月に開業したアリオ札幌店が全店1位の売上を争うなど、いま札幌エリアで成長を加速させています。
今回は3月と9月に配当権利が確定する連続増配株の1社、ダイイチ(証券コード:7643)を私独自の8指標で分析しました。
結論からいうと、8つのうち6つをクリアしました(EPSと営業利益率が未達)。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年8月7日時点の値です
📊 8指標の判定は2025年9月期(実績)の数値です。進捗として2026年9月期第2四半期(中間期)にも触れています
ダイイチとはどんな会社?
ダイイチは1958年創業、北海道帯広市に本社を置く食品スーパーです。道内初のセルフサービス方式のスーパーマーケットとして帯広で誕生し、現在は帯広・旭川・札幌の3エリアに店舗網を広げています。事業は食料品主体のスーパーマーケット事業の単一セグメントで、附帯業務として不動産賃貸なども手がけています。
2013年にはイトーヨーカ堂と業務・資本提携を結び、高品質でお買い得価格の「セブンプレミアム商品」の販売にも力を入れています。2025年9月期の地域別売上は、地盤の帯広が227億円、旭川が143億円、札幌が216億円です。アリオ札幌店など新店がけん引し、札幌エリアは前期比+28.7%と大きく伸びました(2025年9月期決算補足資料p.3)。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証スタンダード・札幌証券取引所
業種:小売業
決算月:9月
連続増配:10年(2025年9月期時点)
株価:1,712円(2026年8月7日時点)
予想配当利回り:2.34%(2026年9月期予想)
配当権利確定:3月・9月(年2回)
配当情報
ダイイチは2025年9月期まで10年連続で増配しています。2014年9月期・2015年9月期の据え置き(分割調整後7.5円)を経て、2016年9月期の9円から増配が始まりました。2025年9月期の年間配当は36円(中間18円・期末18円)で、この10年で4倍になりました。なお2023年9月期の25円には65周年記念配当が含まれます(2023年8月10日適時開示)。翌期の30円がこれを上回っているため、連続増配のカウントには影響しません。
2026年9月期は年間40円(中間20円・期末20円)へ、4円の増配を会社が予想しています。中間配当20円はすでに実施済みで、実施されれば2026年9月期で11期連続増配となります。通期の業績予想・配当予想は、2025年11月14日公表の期初予想から修正なく据え置かれています(2026年9月期第2四半期決算短信p.3)。
📌 株式分割と本記事の基準
ダイイチは2018年4月1日付で、1株→2株の株式分割を実施しています。本記事の配当・EPSは、分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額で統一しています(株価は実際の取引価格です)。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 株価(2026年8月7日時点) | 1,712円 |
| 予想配当利回り(2026年9月期予想) | 2.34% |
| 連続増配年数(2025年9月期時点) | 10年 |
| 配当性向(2025年9月期実績) | 41.4% |
※予想配当利回りは2026年9月期の予想配当40円を2026年8月7日時点の株価で割った値です。配当性向は2025年9月期実績。株価の変動により利回りは変わります。
予想利回りは2.34%です。予想配当性向は37.4%(40円÷予想EPS106.84円)と余裕があり、予想PERは約16.0倍です(株価1,712円と予想EPS106.84円から桃モアイが計算)。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2026年9月期)です。

8指標分析の結果
ここからは、ダイイチを私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | ダイイチ | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 383億→586億円 | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 75.29円→86.85円 | - |
| 営業利益率 | 5%以上 | 2.23% | - |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 63.0% | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(14.1億〜23.9億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 25.0億→70.1億円 | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 10年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 41.4% | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2025年9月期(実績)。IRBANKのデータをもとに桃モアイが独自に分析。なお8指標の「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定しており、一時的な減少はクリア扱いとしています。2025年9月期は増収減益となりました。8指標のうち6つをクリア。EPSは2025年9月期に前期比30%を超える減少があり「安定して増加傾向」の基準に、営業利益率は2.23%と5%以上の基準に、それぞれ届きませんでした。投資判断の参考としてご活用ください。
※金額は、売上高は億円未満を四捨五入し、利益・営業CF・現金等は小数第一位までを四捨五入して表示しています。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2016年〜2025年実績+2026年予想)
売上高と営業利益率
売上高は2016年9月期の383億円から2025年9月期の586億円へ、10年で約1.5倍になりました。過去10年はすべて前期比プラスで、直近の2025年9月期はアリオ札幌店など新店の寄与で前期比+13.0%と大きく伸びました。2026年9月期は615億円(前期比+5.0%)を会社が計画しています。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、過去10年で2.23〜4.43%と、全期間で桃モアイ基準の5%を下回ります。食品スーパーは価格競争が激しい薄利の業態で、同社も例外ではありません。2025年9月期は新規出店の費用に加え、人件費や減価償却費など販管費の増加(前期比+18.5%)で2.23%に低下しました(2025年9月期決算補足資料p.3)。2026年9月期は2.73%へ改善する会社予想です。

EPS(1株利益)と配当性向
EPSは2016年9月期の75.29円から2025年9月期の86.85円へ増えましたが、年による振れ幅が大きい推移です。2017年9月期は168.94円へ一時的に急増し、翌期は70.02円へ反動で大きく減少しました。急増の主因は、子会社の吸収合併にともなう特別利益(抱合せ株式消滅差益)の計上です(2016年10月27日適時開示)。2020〜2024年9月期は101〜125円台で推移し、2025年9月期は前期比▲30.65%の86.85円でした。新規出店の費用や販管費の増加による営業利益の減少(前期比▲31.7%)が主因です。
2026年9月期は106.84円へ回復する会社予想です。中間期のEPSは60.17円と前年同期の49.10円を上回り、通期予想に対する進捗率は56.3%です(2026年9月期第2四半期決算短信p.1・p.3)。
配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、2024年9月期までは5.9〜24.0%と低い水準で推移してきました。2025年9月期はEPSの減少と増配が重なり41.4%へ上がりましたが、桃モアイ基準の50%には収まっています。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスです。過去10年のレンジは14.1億〜23.9億円(最小は2017年9月期・最大は2020年9月期)で、2025年9月期は17.0億円でした。新規出店の投資を続けながらも、本業の現金創出は安定しています。
現金等は2016年9月期の25.0億円から2025年9月期の70.1億円へ、約2.8倍に増えました。2025年9月期は前期比▲4.0%の減少ですが、主因は新規出店にともなう設備投資や配当の支払いなどです。長期では増加傾向をしっかり保っています。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、2016年9月期の54.8%から2025年9月期の63.0%へ上昇しました。全期間で桃モアイ基準の40%を大きく上回ります。2023年9月期の67.5%からは低下していますが、要因はアリオ札幌店の出店などで総資産が増えた資産側にあり、自己資本の額自体はむしろ増えています(2025年9月期決算補足資料p.2)。有利子負債は0.4億円と現金等70.1億円に対してわずかで、実質無借金に近い財務です。

注目ポイント
帯広発の老舗スーパー、道内3エリアに密着する26店舗
ダイイチの原点は、1958年に帯広で開いた道内初のセルフサービス方式のスーパーです。以来、地域密着の店舗網を帯広・旭川・札幌の3エリアに広げ、2025年9月期末の店舗数は26店舗になりました。社是「お客様の普段の食生活のお役に立つ」のもと、「即食商品」の拡充やセブンプレミアム商品の販促強化など、節約志向・簡単便利ニーズに応える売場づくりを進めています(2026年9月期第2四半期決算短信p.2)。
アリオ札幌店がけん引、売上は10年で約1.5倍
売上高は10年で約1.5倍になり、2025年9月期は前期比+13.0%と大きく伸びました。2025年3月に開業したアリオ札幌店は、開業当初から全店1位の売上を争う店舗として好調です。すすきの店・稲田店・千歳店といった近年の新店も、2桁の売上成長を続けています。2026年9月期の中間期も売上+9.2%・営業利益+31.7%の増収増益で、札幌ブロックの売上は前年同期比+20.7%と成長が続いています(2026年9月期第2四半期決算短信p.1〜2)。
実質無借金に近い財務と、10年で4倍になった配当
自己資本比率は63.0%と高く、有利子負債は0.4億円まで減りました。現金等70.1億円を持つ、実質無借金に近い財務です(2025年9月期決算補足資料p.2)。1株あたりの配当は10年で9円から36円へ4倍になり、年平均増配率は約16.7%です。2026年9月期も40円へ増配する会社予想で、実施されれば11期連続増配となります。
いっぽうで、営業利益率やEPSには確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
確認しておきたい点が3つあります。
第一に、営業利益率が過去10年を通じて桃モアイ基準の5%に届いていないことです。食品スーパーは価格競争が激しい薄利の業態で、同社の営業利益率は過去10年で2.23〜4.43%の水準です。とくに2025年9月期は、新規出店の費用に人件費・減価償却費の増加が重なり、2.23%まで低下しました。2026年9月期は2.73%へ改善する会社予想で、中間期の実績は営業利益10.1億円(前年同期比+31.7%)・通期予想に対する進捗率60.3%と、計画を上回るペースです(2026年9月期第2四半期決算短信p.1・p.3)。
第二に、EPSが「安定して増加傾向」の基準に届かなかったことです。2025年9月期のEPSは前期比▲30.65%の86.85円と、単年で30%を超える減少になりました。2017年9月期に特別利益で一時的に急増して翌期に反動減となるなど、過去10年は年による振れ幅が大きい推移です。2026年9月期は106.84円へ回復する会社予想で、中間期のEPSは60.17円(前年同期49.10円)と回復が進んでいますが、利益の安定性は今後の確認ポイントです。
第三に、売上のすべてを北海道に依存していることです。営業エリアは帯広・旭川・札幌の道内3ブロックで、地域の経済や人口動態の影響を受けやすい構造です。加えて会社は、飲食料品価格の上昇によるお客の節約志向の強まりや、人件費・各種経費の増加、業種・業態の垣根を越えた競争激化を、経営環境の厳しさとして挙げています(2026年9月期第2四半期決算短信p.2)。
まとめ
ダイイチ(7643)は、2025年9月期で10年連続増配となった、8指標のうち6つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 帯広発・道内3エリアに密着する26店舗の食品スーパー
✅ アリオ札幌店がけん引し売上は10年で約1.5倍、中間期も増収増益
✅ 自己資本比率63.0%・実質無借金に近い財務と10年で4倍になった配当
【留意点】
・営業利益率は2.23%と、過去10年を通じて基準の5%未満
・EPSは2025年9月期に▲30.65%と、年による振れ幅が大きい
・売上のすべてを北海道に依存し、人件費増や競争激化も続く
権利確定は3月と9月(年2回)。予想配当利回りは2.34%ですが、着実な増配と財務の健全さを重視する方は候補に入れて確認してみてください。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※出典:株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年8月7日時点)。財務数値は2026年9月期第2四半期(中間期)決算短信(2026年5月12日公表・通期の業績予想および配当予想は2025年11月14日公表の期初予想から変更なし)、2025年9月期決算補足資料(2025年11月14日)、IRBANKの過去10年データにもとづきます。EPSと配当性向はIRBANKの表示値(2025年9月期86.85円・41.4%)を使用し、予想EPS106.84円は第2四半期決算短信の通期予想の公表値です(IRBANK表示の106.79円とは、算定に用いる株式数の違いにより差があります)。配当性向のうち2018年9月期はIRBANKに表示がないため、調整後の年間配当÷EPSで桃モアイが計算しています(11円÷70.02円=15.7%)。連続増配年数は配当履歴ベースで、2015年9月期の据え置き(分割調整後7.5円)の翌期にあたる2016年9月期(9円)を増配1年目としています。株式分割は2018年4月1日付の1株→2株(2018年9月期有価証券報告書)で、本記事の配当・EPSは分割調整後の金額です。2023年9月期の65周年記念配当と2017年9月期の特別利益(抱合せ株式消滅差益)は、それぞれ2023年8月10日・2016年10月27日の適時開示にもとづきます。創業年・事業内容・イトーヨーカ堂との業務・資本提携は会社公式サイト(会社概要・沿革)、店舗数・地域別売上・有利子負債・販管費は2025年9月期決算補足資料にもとづきます。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

