最終更新日:2026年7月20日
13年連続増配・医療用モニターに強い映像機器の専業メーカー「EIZO」
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。病院のレントゲン画像や航空管制の現場で使われる、高品質モニターの専業メーカーがあります。売上の45%を医療用(ヘルスケア市場向け)が占め、アメリカ海軍の艦上システムにも採用される石川県の会社です。
今回は9月・3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、EIZO(証券コード:6737)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、EIZOは8つの指標のうち3つをクリアしました。13年連続の増配と自己資本比率77.2%の堅実な財務が強みですが、本業の利益率や配当性向など、確認しておきたい点も多い銘柄です。理由は、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年7月17日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています
EIZOとはどんな会社?
EIZOは、1968年に石川県羽咋市で創業した羽咋電機を前身とするモニターの専業メーカーです(本社は石川県白山市)。1973年にナナオへ商号変更し、2002年3月に東京証券取引所市場第二部に株式を上場(2003年に第一部)、2013年に現在のEIZOへ商号を変更しました。映像技術を核に最適な映像環境を提案する「Visual Technology Company」を掲げています(決算短信・有価証券報告書)。
事業は実質的に単一セグメントで、市場別にB&P(オフィスなどビジネス用途)・ヘルスケア・クリエイティブワーク・V&S(航空管制・船舶・監視・ディフェンスなど)・アミューズメントに分かれます。2026年3月期の売上構成は、ヘルスケア45.0%・B&P17.6%・V&S15.4%・その他8.7%・アミューズメント6.7%・クリエイティブワーク6.6%です(決算短信)。海外売上比率は約58.9%で、なかでも欧州が売上全体の約38.6%を占めます(2026年3月期)。
2026年3月期は売上高813億円(前の年より1.0%増)と2期連続の増収でしたが、欧州経済の停滞で営業利益は36.2%の減益でした。純利益は保有株式の売却益により76.5%増えています(中身は「投資の留意点」で説明します)。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:電気機器
決算月:3月
連続増配:13年(2026年3月期時点)
株価:2,610円(2026年7月17日時点)
予想配当利回り:4.41%(2027年3月期 会社予想配当115円ベース)
配当権利確定:9月・3月(年2回)
配当情報
EIZOは増配を続けていて、2026年3月期で13年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2026年3月期の実績で110円です(中間55円・期末55円)。2027年3月期の会社予想は115円(中間57.5円・期末57.5円)で、実施されれば14期連続の増配となります。
会社は年間配当105円(2025年3月期)を下限とし、株主への還元率(総還元性向=配当と自社株買いの合計が利益に占める割合)を連結当期純利益の70%+αとする方針です(決算短信)。
利益に対する配当の割合(配当性向)は60.9%で、桃モアイ基準の50%以下を上回り、8指標では未達となりました。2027年3月期の予想ベースでも68.6%です。この点は「投資の留意点」で説明します。
📌 EIZOは2024年10月1日付で1株→2株の株式分割を実施しています(過去10年で1回)。本記事の配当額・EPSは、分割をさかのぼって調整した「分割調整後」の基準で記載しています(株価は実際の取引価格のため調整しません)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 2,610円(2026年7月17日時点) |
| 予想配当利回り | 4.41%(2027年3月期 会社予想配当115円ベース) |
| 連続増配年数 | 13年(2026年3月期時点) |
| 配当性向 | 60.9%(2026年3月期 実績) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月17日時点)、配当・配当性向は決算短信。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当(1株115円)に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2026年3月期の実績(110円÷EPS180.64円=60.9%)で、決算短信の公表値と一致しています。連続増配年数は、2013年3月期が調整後25円の据え置きだったため、2014年3月期を増配1年目として実績ベースで13年と数えています(会社開示「13期連続の増配」と一致)。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

1株あたりの配当は、2017年3月期の40円から2026年3月期の110円まで増えました(分割調整後)。毎年ならすと約11.9%ずつ増やしてきた計算です。2027年3月期は110円→115円と、約4.5%の増配予想です。
8指標分析の結果
ここからは、EIZOを私独自の8指標で見ていきます。なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
| 指標 | 基準 | EIZO | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 783億円→813億円(過去10年で約1.04倍・ほぼ横ばい) | - |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 132.8円→180.6円(2019年3月期に▲39.7%の急落) | - |
| 営業利益率 | 5%以上 | 2.9%(直近期・実績) | - |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 77.2%(直近期・実績) | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 過去10年のレンジは▲75.9億〜115.4億円(うち1年がマイナス) | - |
| 現金等 | 増加傾向 | 247.9億円→203.5億円(換金性資産は566億円→847億円・約1.5倍に増加) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 13年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 60.9%(直近期・実績) | - |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標のうち3つをクリア。長期トレンドでは、売上高が過去10年で約1.04倍とほぼ横ばい(2019年3月期に729億円への谷)、EPSは2019年3月期に▲39.7%と単年▲30%超の急落があり、いずれも基準に届きませんでした。直近期の水準では、営業利益率2.9%(基準5%以上)と配当性向60.9%(基準50%以下)が基準を満たさず、営業CFは2023年3月期に▲75.9億円のマイナスがありました。現金等は10年前を下回りますが、換金性資産(現金及び預金+有価証券+投資有価証券)の合計が566億円→847億円と増えているためクリアとしています。なお2026年3月期の純利益には投資有価証券売却益79.9億円の一時的な利益を含みます(詳細は「投資の留意点」)。EPSは決算短信の1株当たり当期純利益(180円64銭)を使用しています。金額は表示桁未満を四捨五入して表示しています(売上高は1億円単位、営業CF・現金等は0.1億円単位。換金性資産は連結貸借対照表の実額から億円未満を切り捨て)。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年3月期〜2026年3月期実績+2027年3月期予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。グラフは2017年3月期〜2026年3月期の実績で、会社予想のある系列は2027年3月期の予想もグレーで示しています。
売上高と営業利益率
売上高は、2017年3月期の783億円から2026年3月期の813億円と、過去10年で約1.04倍のほぼ横ばいです。2019年3月期にアミューズメント向けの反動減などで729億円まで落ち込み、ピークは2022年3月期の868億円でした。直近はヘルスケア向けの回復で2期連続の増収ですが、長期トレンドとしては「増加傾向」と言えず、8指標では未達としました。2027年3月期の会社計画は850億円(4.5%増)です。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は過去10年2.9〜13.0%で推移し、直近は2.9%と基準の5%を下回りました。欧州市場の停滞による販売減少に加え、旧製品の棚卸資産評価損約4億円や、賃上げ・新技術棟の費用などで販管費が増えたためです(決算短信)。2027年3月期の会社予想は3.9%(営業利益39.5%増)です。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPS(1株あたりの利益)は、過去10年で132.8円から180.6円になりましたが、動きは安定していません。ピークの182.8円(2022年3月期)は最初の年の1.38倍にとどまり、2019年3月期には▲39.7%の急落がありました。直近の180.6円には保有株式の売却益という一時的な利益を含みます(詳細は「投資の留意点」)。2027年3月期の会社予想は167.60円です。
配当性向は2023年3月期までおおむね27〜50%で推移しましたが、大幅増配を始めた2024年3月期に75.4%、利益が落ち込んだ2025年3月期には104.2%と利益を超えました。直近は60.9%、2027年3月期の会社予想は68.6%です(グラフの破線)。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のレンジが▲75.9億〜115.4億円で、2023年3月期の1年だけマイナスでした(最大は2025年3月期)。マイナスの主因は部品不足に備えた戦略的な在庫の積み増しで、同期の純利益は58.6億円の黒字です(同期決算短信)。2026年3月期は、前の年に大きかった在庫圧縮の効果が一巡し、55.7億円になりました。
現金等(手元の現金)は、2017年3月期の247.9億円から2026年3月期の203.5億円へと10年前を下回りました。ただし、余った資金を有価証券(株や債券など)で運用し、投資有価証券(長期で持つ株や債券など)の時価も上がっているため、これらを合わせた換金性資産は566億円→847億円(約1.5倍)に増えています。このため8指標ではクリアとしました(グラフ右上の注記)。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年74.1〜78.8%で推移し、直近は77.2%です。基準の40%以上を大きく上回ります。前の年からの低下は、保有株式の時価上昇で投資有価証券と繰延税金負債が増えた影響が主で、自己資本の額自体は1,243億円から1,369億円へ増えています(決算短信)。借入金は短期55億円・長期6.4億円と小さく、堅実な財務です。

注目ポイント
売上の45%を占める医療用モニターが回復基調
主力のヘルスケア市場向けは、2026年3月期に365.7億円(前の年より7.2%増)と過去最高になりました。診断用途は主要市場の欧州・北米で回復し、中東・インドでも販売を拡大、内視鏡用途も北米で復調しています(決算短信)。2026年11月には、Mini LEDを初採用して視認性を高めた4K手術用モニター「CuratOR EX3245H」を発売予定です(決算説明資料p.22)。
米海軍採用など、官公需・インフラ向けのV&Sが次の柱
航空管制・船舶・ディフェンスなどのV&S市場向けは、アメリカ海軍の次世代艦上ATC(航空管制)システムに高耐久モニター「Talon RGD2802」が正式採用されました(決算説明資料p.24)。堅調な受注を背景に、2027年3月期は21.1%増収の計画です(同p.17)。また日本財団の無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」に参画し、コンテナ船が世界初の自動運転レベル4相当での商用運航を開始しています(日本財団調べ・2026年1月時点、同p.21)。
自社株買い・政策株の売却をともなう株主還元の強化
会社は年間配当105円を下限とし、株主還元の強化を掲げています。2026年5月には150万株・40億円を上限とする自社株買い(取得期間2026年5月25日〜2027年4月30日)を決議しました。あわせて、資本効率を高めるため政策保有株式を今後3年間で総額約100億円売却する計画や、ROEをKPIとした取締役報酬制度の導入、第9次中期経営計画の公表(2026年内予定)も示しています(決算説明資料p.25)。
いっぽうで、本業の利益率や配当の原資には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、本業の収益性が低下し、売上も長期では横ばいの点です。営業利益率2.9%は過去10年で最も低く、売上の約38.6%を占める欧州の経済停滞が主因です。2027年3月期は営業利益39.5%増(営業利益率3.9%)の計画ですが、それでも基準の5%には届かず、欧州の回復が遅れれば下振れの可能性もあります。
第二に、EPSの振れが大きく、直近の利益に一時的な要因を含む点です。2019年3月期に▲39.7%の急落があり、2026年3月期の純利益76.5%増には投資有価証券売却益79.9億円を含みます。2027年3月期も売却益約44億円を見込みつつ、純利益は11.2%減る会社予想です。本業ベースの稼ぐ力とのかい離に注意が必要です。
第三に、配当性向が60.9%(予想68.6%)と基準の50%を超え、総還元は利益を上回る点です。自社株買いを含む総還元性向は2026年3月期で109.5%、2027年3月期予想では129.5%と、利益以上の還元が続く見込みです(決算説明資料p.26の会社公表値)。この還元は政策保有株の売却(3年で約100億円計画)に支えられており、売却が一巡した後は利益成長が増配持続のカギになります。
※予想利回り4.41%が高めなのは、予想PER約15.6倍・PBR約0.8倍(株価2,610円と決算短信の予想EPS167.60円・1株純資産3,463.64円から算出)と、株価が純資産に対して低めに評価されていることも一因です。
まとめ
EIZO(6737)は、医療用など高付加価値モニターの専業メーカーで、2026年3月期で13年連続増配となった、8指標のうち3つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 売上の45%を占める医療用モニターが回復基調、米海軍採用などV&Sも拡大
✅ 自己資本比率77.2%・換金性資産847億円の堅実な財務
✅ 配当下限105円・自社株買いをともなう株主還元の強化
【留意点】
・営業利益率2.9%と本業の収益性が低下、売上は過去10年ほぼ横ばい
・EPSは急落歴があり、直近の利益に売却益79.9億円の一時要因を含む
・配当性向60.9%(予想68.6%)と総還元は利益超、原資は政策保有株の売却
9月・3月に配当の権利が確定する銘柄です。2027年3月期の営業利益の回復(39.5%増計画)と、売却益に頼らない利益成長を確認していきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・貸借対照表・キャッシュフロー・配当・株主還元方針の数値は、EIZOの2026年3月期 決算短信および決算説明資料(決算概要p.3、業績見通しp.16、市場別売上高予想p.17、MEGURI2040 p.21、CuratOR EX3245H p.22、Talon RGD2802 p.24、資本収益性の取組みp.25、株主還元p.26)に基づきます。過去10年の売上高・EPS・営業利益率・営業CF・現金等・自己資本比率・配当性向はIRBANKと決算短信・有価証券報告書を突合し、増減率の機械照合で確認しています。EPSは決算短信の1株当たり当期純利益を使用しています(2026年3月期180円64銭・2025年3月期100円81銭。IRBANK表示の180.63円・100.79円とはわずかな差。2023年3月期はIRBANKの140.48円(表示は140.5円)を使用)。2025年3月期の配当性向はIRBANKの決算まとめの表に表示がないため、決算短信の公表値104.2%(調整後の年間配当105円÷EPS100.81円)を使用しました。換金性資産は連結貸借対照表の実額で、起点は第50期有価証券報告書(2017年3月末:現金及び預金6,294百万円+有価証券18,809百万円+投資有価証券31,558百万円=566億円)、直近は2026年3月期決算短信(現金及び預金20,352百万円+投資有価証券64,442百万円=847億円。有価証券の科目はありません)。2023年3月期の営業CFのマイナスは、戦略的な在庫の積み増しによる棚卸資産の増加が主因です(同期決算短信)。株式分割(2024年10月1日付・1株→2株)は決算短信の注記に基づきます。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月17日時点)によります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

