最終更新日:2026年7月9日
14年連続増配・電気設備工事で国内最大手クラスの関西電力グループ企業
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。オフィスビルやデータセンターの電気設備をつくる、国内最大手クラスの設備工事会社をご存じでしょうか。
今回は9月・3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、きんでん(証券コード:1944)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、きんでんは8指標すべてクリア(オールクリア)でした。関西電力グループの総合設備工事会社で、2026年3月期で14年連続の増配を続けています。完成工事高・利益とも過去最高値を更新中です。ただし、来期の予想配当には特別配当が含まれるなど、確認しておきたい点もあります。このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年7月8日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています
きんでんとはどんな会社?
きんでんは、電気設備工事で国内最大手クラスの総合設備工事会社です(業種は「建設業」)。1944年に設立し、1961年に上場、現在は東証プライム市場に上場しています。関西電力グループの一員で、建設業のため決算では売上高を「完成工事高」と呼びます(一般企業の売上高にあたります)。
工事は大きく5つに分かれます。ビル・工場・データセンターの電気設備をつくる「一般電気工事」、電柱・電線などの「配電工事」、LANなどの「情報通信工事」、空調・給排水の「環境関連工事」、発電所・変電所などの「電力その他工事」です。中心は一般電気工事で、単体の完成工事高の66.1%を占めます(2026年3月期)。顧客は関西電力・関西電力グループ向けが単体の約18%で、残る8割超は一般のお客さまです。海外もドバイやハワイの子会社を中心に、完成工事高729億円の規模があります(決算説明会資料p.18)。
2026年3月期の完成工事高は7,507億円(前の年より6.5%増)でした。データセンターを含む事務所ビルや物流施設などの建設需要が背景です。本業のもうけを示す営業利益は902億円(前の年より48.0%増)と大きく伸び、営業利益率は12.0%でした。純利益は694億円(前の年より47.0%増)で、EPS(1株あたりの利益)は350.53円です。完成工事高・各利益・受注・手持工事とも過去最高値でした(決算説明会資料p.3)。
会社は2027年3月期に、完成工事高8,100億円(前の年より7.9%増)、営業利益970億円(前の年より7.5%増)と増収増益を計画しています。純利益は700億円(前の年より0.8%増)、EPSは406.46円の予想です(自己株式の取得の影響を考慮した値・決算短信)。
きんでんの強みは、配電工事の安定した収益基盤と、データセンターなど成長分野の旺盛な需要を取り込む技術力です。一方で、建設コストの高騰など建設市況の影響を受けやすい面もあります。くわしくは「投資の留意点」で説明します。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:建設業
決算月:3月
連続増配:14年(2026年3月期時点)
株価:7,792円(2026年7月8日時点)
予想配当利回り:3.08%(2027年3月期 会社予想配当240円ベース・特別配当100円を含む)
配当権利確定:9月・3月(年2回)
配当情報
きんでんは増配を続けていて、2026年3月期で14年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2026年3月期の実績で130円です(中間60円+期末70円)。2027年3月期の会社予想は240円で、内訳は普通配当140円+特別配当100円です。特別配当は、中期経営計画の成長指標を2年前倒しで達成したことに伴うものです(決算説明会資料p.5)。普通配当だけでも前の年より10円の増配予想です。
同社は「安定的かつ継続的な配当」を基本方針とし、中期経営計画期間(2023〜26年度)は総額で配当性向40%を目安に掲げています。なお2025年3月期の配当90円には、創業80周年の記念配当10円が含まれています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 7,792円(2026年7月8日時点) |
| 予想配当利回り | 3.08%(2027年3月期 会社予想配当240円ベース・特別配当100円を含む) |
| 連続増配年数 | 14年(2026年3月期時点) |
| 1株あたりの配当(実績) | 130円(2026年3月期・中間60円+期末70円) |
| EPS(1株あたりの利益・実績) | 350.53円(2026年3月期) |
| 配当性向 | 37.1%(2026年3月期 実績・130円÷350.53円) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月8日時点)、配当・EPSは2026年3月期 決算短信。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当(1株240円=普通140円+特別100円)に基づき、特別配当を除いた普通配当140円のみでは約1.80%です。株価変動により利回りは変わります。過去10年(2017年3月期〜)に株式分割はありません。連続増配年数は、2013年3月期を増配1年目として実績ベースで14年連続増配です。2027年3月期予想の増配が実施されれば15期連続となります。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

1株あたりの配当は、2017年3月期の26円から2026年3月期の130円まで増えました。毎年ならすと約19.6%ずつ増やしてきた計算です。2027年3月期の会社予想240円(特別配当100円を含む)が実施されれば、15期連続の増配となります。
8指標分析の結果
ここからは、きんでんを私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | きんでん | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 4,725億円→7,507億円(過去10年で約1.6倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 121.57円→350.53円(過去10年で約2.9倍) | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 12.0%(基準を大きく上回る水準) | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 72.4%(基準を大きく上回る水準) | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(191億〜876億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 1,393億円→1,823億円(過去10年で約1.3倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 14年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 37.1%(基準を下回る水準) | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信のデータをもとに桃モアイが独自に分析しています。売上高は建設業のため決算短信の「完成工事高」を使用しています。8指標の「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定しており、一時的な減少はクリア扱いとしています。EPSは2022年3月期に前期比▲17.8%の減少がありましたが、▲30%超の急落はなく、その後は3年連続で増加して過去最高を更新しているため基準を満たすと判定しました。現金等は直近1年で23億円減っていますが、長期では増加しているためクリア扱いです。なお2027年3月期は会社予想でEPS406.46円(自己株式の取得の影響を考慮)・配当性向59.0%を見込んでいます(特別配当100円を含むベース)。金額は億円未満を切り捨てて表示しています(増減率は開示の百万円ベースで計算しているため、切り捨て後の億円どうしの差とは一致しないことがあります)。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。きんでんはずっと3月決算です。グラフは2017年3月期〜2026年3月期の実績に、数字が出ている項目だけ2027年3月期の会社予想を加えています(営業CF・現金等・自己資本比率は実績10年だけ)。
売上高と営業利益率
売上高(完成工事高)は、2017年3月期の4,725億円から2026年3月期の7,507億円へと、過去10年で約1.6倍に増えました。2021年3月期に約5%の一時的な減少はありましたが、長期では右肩上がりです。会社予想では2027年3月期に8,100億円と、さらに増収を見込んでいます。営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は過去10年おおむね6〜8%台で推移し、直近2026年3月期は12.0%へ大きく改善しました。建設コストに対するお客さまの理解が進む市場環境で、生産性の向上や原価低減が効いたと会社は説明しています(決算説明会資料p.3)。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPS(1株あたりの利益)は、過去10年で121.57円から350.53円へと約2.9倍に増えました。2022年3月期には156.46円から128.65円へ前期比▲17.8%の減少がありましたが、その後は3年連続で増加し、過去最高を更新しています。会社予想では2027年3月期にEPS406.46円を見込みます(自己株式の取得の影響を考慮した値)。配当性向(利益のうち配当に回す割合)は過去10年おおむね20〜38%の範囲で推移し、2026年3月期は37.1%でした。なお2027年3月期は会社予想で59.0%と50%を上回る見通しですが、特別配当100円を含むベースです。くわしくは「投資の留意点」で説明します。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスで、金額は191億〜876億円の範囲で動いています。直近2026年3月期は税引前利益の増加により876億円と過去10年で最大でした。現金等(会社が手元に持っている現金)は過去10年で1,393億〜1,846億円の範囲で動き、直近2026年3月期末は1,823億円です。スタートの1,393億円から約1.3倍に増えており、基準を満たしています。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年ずっと69〜73%の高い水準で安定しています。2026年3月期末は72.4%で、桃モアイ基準の40%以上を大きく上回っています。手元の現金等も1,800億円規模と厚く、財務の健全性は同社の強みのひとつです。

注目ポイント
完成工事高・利益・手持工事がすべて過去最高値
2026年3月期は、完成工事高・営業利益・純利益・受注・期末手持工事高がすべて過去最高値でした(決算説明会資料p.3)。データセンターを含む事務所ビルや物流施設の受注が伸び、大型の蓄電所・風力発電所工事など電力その他工事の受注は前の年の約2倍に増えました。期末の手持工事高は5,817億円と積み上がっており(決算説明会資料p.13)、来期以降の売上の土台になります。
配電工事の安定基盤と幅広い顧客層
配電工事は、電気を届けるために欠かせない継続的な仕事で、安定した収益基盤です。一方で顧客の8割超は一般のお客さまで、特定の取引先に頼りすぎない構成です。海外事業も一定の規模があり、国内外でバランスよく事業を広げています。
増配と大型の自社株買いで株主還元を強化
直近10年は年平均で約19.6%のペースで増配してきました。さらに2026年4月〜6月には、関西電力グループが保有する自社株3,350万株(発行済株式の16.92%)を約2,236億円で買い付け、全株を消却する予定です(決算説明会資料p.27)。株式数が減ることで、1株あたりの利益(EPS)の向上につながります。
いっぽうで、特別配当を含む来期の配当計画や、建設市況の影響には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、2027年3月期の予想配当240円は特別配当100円を含む点です。普通配当は140円で、株価7,792円に対する普通配当だけの利回りは約1.80%です。特別配当がなくなる2028年3月期以降は、配当の総額が今期予想より減る可能性があります。予想配当性向も特別配当込みで59.0%と、桃モアイ基準の50%を上回る見通しです(実績の37.1%は基準内)。
第二に、業績が建設市況や建設コストの影響を受けやすい点です。会社も、建設コストの高騰による案件の計画中止・延期や投資抑制のリスクに言及しています(決算説明会資料p.4)。営業利益率は2023年3月期に6.1%まで低下した年もあり、直近12.0%の高い水準が続くかは今後の決算で確認したいところです。
第三に、大型の自社株買いに伴う資金負担と、関西電力との関係の変化です。約2,236億円の買い付けには借入も使う計画で、会社は財務健全性に大きな影響はないと判断しています(決算説明会資料p.6)。これにより関西電力グループの持株比率は37%から24%へ下がる見込みです。ただし完成工事高の約18%は関西電力向けで、引き続き重要な取引関係です。資本関係の変化が事業に与える影響は見ておきたい点です。
まとめ
きんでん(1944)は、関西電力グループの総合設備工事会社で、2026年3月期で14年連続増配となった、8指標オールクリアの連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 完成工事高・利益・手持工事がすべて過去最高値。データセンターなど旺盛な建設需要を取り込む
✅ 配電工事の安定基盤に加え、顧客の8割超が一般顧客。自己資本比率72.4%と財務も健全
✅ 14年連続増配・直近10年は年平均で約19.6%のペースで増配。大型の自社株買い・消却も実施
【留意点】
・2027年3月期の予想配当240円は特別配当100円込み。普通配当のみの利回りは約1.80%
・業績は建設市況・建設コストの影響を受けやすい。直近12.0%の営業利益率が続くかは要確認
・約2,236億円の自社株買いは借入も併用。関西電力との資本関係の変化も見ておきたい
9月・3月に配当の権利が確定する銘柄です。安定した財務と過去最高の業績、株主還元の強化が魅力です。一方で、特別配当のはく落や建設市況の動きを理解したうえで、これからの決算もチェックしていきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※会社概要・事業内容・経営成績・工事種別/得意先別の構成・配当・業績予想・株主還元(配当方針・特別配当・自己株式の公開買付け)・手持工事高・海外事業などは、きんでんの2026年3月期 決算短信(2026年4月27日)および2025年度 決算説明会資料(2026年5月15日)、会社公式サイトのIR情報に基づきます。EPS・1株あたりの配当・配当性向・営業活動によるCF・現金等・自己資本比率・営業利益率の推移はIRBANKおよび決算短信を参照しています。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月8日時点)に基づきます。2027年3月期の予想EPS406.46円は、自己株式の取得の影響を考慮した会社公表値です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

