【12年連続増配】東京建物(8804)を8指標分析

東京建物(8804)連続増配株の8指標分析

最終更新日:2026年7月24日

12年連続増配・東京駅前の再開発を手がける1896年創業の総合デベロッパー「東京建物」

こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。東京駅の目の前で、駅直結の超高層ビル「TOFROM YAESU」を建てている会社があります。1896年(明治29年)創業の東京建物で、総合不動産会社としては日本で最も長い歴史を持つ会社です。

今回は6月・12月に配当権利が確定する連続増配株の1社、東京建物(証券コード:8804)を私独自の8指標で分析しました。

結論から言うと、東京建物は8指標のうち6つをクリアしました。12年連続の増配と過去最高の更新が続く業績が強みです。いっぽうで、自己資本比率と営業活動によるCFの2つは基準に届きませんでした。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。

📊 株価・利回りの基準日:2026年7月23日時点の値です
📊 財務指標は2025年12月期(実績)の数値を使用しています


東京建物とはどんな会社?

東京建物は、東京都中央区八重洲に本社を構える総合不動産会社です。1896年に安田財閥の創始者・安田善次郎が設立し、1949年に東京証券取引所へ上場しました(現在は東証プライム市場)。分譲マンションのブランド「Brillia(ブリリア)」でも知られています。

事業は4つに分かれます。オフィスビルの賃貸・開発を行う「ビル事業」、Brilliaを中心とする「住宅事業」、不動産仲介と駐車場の「アセットサービス事業」、海外・ファンドなどの「その他」です。売上の柱はビル事業と住宅事業で、2025年12月期はそれぞれ2,201億円・1,651億円でした。

強みは、東京駅周辺の八重洲・日本橋・京橋エリアに保有ビルと再開発案件が集中していることです。保有オフィスは36棟・約52万㎡あります(2025年12月末)。

会社の基本情報は次のとおりです。

上場市場:東証プライム
業種:不動産業
決算月:12月
連続増配:12年(2025年12月期時点)
株価:3,453円(2026年7月23日時点)
予想配当利回り:3.53%(2026年12月期 会社予想配当122円ベース)
配当権利確定:6月・12月(年2回)


配当情報

東京建物は増配を続けていて、2025年12月期で12年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2025年12月期の実績で105円(前期比10円の増配)です。2026年12月期の会社予想は122円(17円の増配)で、実施されれば13期連続の増配となります。

項目 内容
株価 3,453円(2026年7月23日時点)
予想配当利回り 3.53%(2026年12月期 会社予想配当122円ベース)
連続増配年数 12年(2025年12月期時点)
配当性向 37.1%(2025年12月期 実績)

出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月23日時点)、配当は決算短信および決算説明資料。予想配当利回りは2026年12月期の会社予想配当122円に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2025年12月期の実績(105円÷EPS283.08円=37.1%)です。連続増配年数は、2014年12月期を増配1年目として実績ベースで12年と数えています(2015年7月の株式併合〔2株→1株〕をまたぐ期間は併合後基準の配当で比較。会社開示の「12期連続の増配」と同じ数え方です)。

いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2026年12月期)です。

東京建物 1株あたりの配当の推移 12年連続増配

1株あたりの配当は、2016年12月期の26円から2025年12月期の105円まで増えました。毎年ならすと約16.8%ずつ増やしてきた計算で、増配ペースの速さが特徴です。


8指標分析の結果

ここからは、東京建物を私独自の8指標で見ていきます。

8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。

指標 基準 東京建物 判定
売上高 増加傾向 2,544億円→4,745億円(過去10年で約1.9倍)
EPS(1株あたりの利益) 安定して増加傾向 91.0円→283.1円(過去10年で約3.1倍)
営業利益率 5%以上 20.2%(直近期・実績)
自己資本比率 40%以上 26.0%(直近期・実績)
営業活動によるCF 過去10年すべてプラス 過去10年のレンジは▲141億〜658億円(うち2年がマイナス)
現金等 増加傾向 420億円→1,522億円(過去10年で約3.6倍)
1株あたりの配当 10年以上連続増配 12年連続増配
配当性向 50%以下 37.1%(直近期・実績)

※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2025年12月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。売上高の欄は、不動産業の売上にあたる「営業収益」の実額です。2025年12月期は増収・営業増益でした(純利益は前期の政策保有株式売却益の反動で前期比▲10.6%)。8指標のうち6つをクリア。自己資本比率は26.0%と基準の40%に届かず、営業活動によるCFは2017年・2022年12月期がマイナスのため基準に届きませんでした。いずれも、借入も使って開発用の不動産に先行投資する不動産業の事業構造によるものです。EPSは決算短信の公表値を小数第一位に丸めて表示し、金額は億円未満を切り捨てて表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。


グラフで見る業績の推移(過去10年・2016年〜2025年実績+2026年予想)

ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。会社予想のある系列は、いちばん右にグレーで2026年12月期の予想を示しています。

売上高と営業利益率

営業収益(一般企業の売上高にあたります)は、2016年12月期の2,544億円から2025年12月期の4,745億円へと、過去10年で約1.9倍に増えました。2017年12月期から9期連続の増収です。営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は過去10年14.3〜20.2%で推移し、直近は20.2%と基準の5%以上を大きく上回ります。なお2026年12月期の会社予想は営業収益5,240億円・利益率19.1%です。

東京建物 売上高と営業利益率の推移

EPS(1株あたりの利益)と配当性向

EPS(1株あたりの利益)は、2016年12月期の91.0円から2025年12月期の283.1円へと、過去10年で約3.1倍になりました。減少は2025年12月期の1回(前期比▲10.3%)だけで、前期にあった政策保有株式の売却益の反動によるものです。単年で30%を超える急落は一度もありません。配当性向は過去10年27.8〜37.1%と、基準の50%以下で安定しています。

東京建物 EPSと配当性向の推移

営業活動によるCFと現金等

営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のレンジは▲141億〜658億円で、うち2年がマイナスでした(最小は2017年12月期、最大は2021年12月期)。マイナスの年は、販売するためのビルやマンションへの投資が先に出ていくためです。現金等(手元の現金)は、2016年12月期の420億円から2025年12月期の1,522億円へと過去10年で約3.6倍に増えました。2024年12月期に一度減りましたが、2025年12月期は411億円増えています。

東京建物 営業CFと現金等の推移

自己資本比率

自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年23.9〜26.1%で推移し、直近は26.0%です。基準の40%は下回りますが、水準自体は10年間おおむね24〜26%で安定しています。背景は「投資の留意点」で説明します。

東京建物 自己資本比率の推移


注目ポイント

営業収益・営業利益とも過去最高、9期連続の増収

2025年12月期は営業収益4,745億円(前期比+2.3%)・営業利益957億円(同+20.2%)で、営業収益・営業利益・経常利益がそろって過去最高となりました(決算説明資料p.3)。オフィスの稼働率98.2%と平均賃料の上昇に加え、投資家向け物件売却の利益率改善が寄与しました。2026年12月期も、この3つがそろって最高益を更新する見通しです。

東京駅前の大規模再開発と5,999億円の含み益

東京駅直結の「TOFROM YAESU」が2026年に竣工予定で、オフィス部分の内定率は8割に達しています(2025年8月時点・決算説明資料p.25)。その後も呉服橋(2029年度)・京橋三丁目(2030年度)と東京駅前の大型案件が続きます。保有する賃貸不動産の含み益は5,999億円(2025年12月末)と高水準で、資産の厚みが増配を支えます。

利益成長にあわせて株主還元を拡充

会社は中期経営計画(2025〜2027年度)で、2027年度に配当性向(利益のうち配当に回す割合)40%を目標に掲げています。2026年12月期の予想は40.2%で、この目標を1年前倒しで達成する見通しです(決算説明資料p.17)。中期計画の事業利益目標950億円も1年前倒しで超える計画で、利益の成長と還元の拡充を並行して進めています。

いっぽうで、財務のレバレッジや現金の流れには確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。


投資の留意点

強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。

第一に、借入に頼る財務構造で、自己資本比率が26.0%と基準の40%を下回る点です。有利子負債は1兆3,454億円あり、自己資本の2.3倍にあたります(決算説明資料p.6)。大型開発を借入で先行させる不動産業に共通の構造で、JCRの長期発行体格付は「A」です(同p.8)。ただし金利の上昇局面では支払利息が増えます。2025年12月期の支払利息は134億円と前期から39億円増え、有利子負債の平均金利も0.63%(2022年)から1.05%へ上がっています。

第二に、営業CFがマイナスになる年がある点です。過去10年では2017年・2022年12月期がマイナスでした。赤字ではなく、販売用不動産の取得が先に進むためです。ただ2026年12月期の計画も営業CF50億円・投資CF▲2,200億円と投資先行が続き、不足分は借入・社債でまかないます。借入への依存はしばらく続く前提で見ておきたいところです。

第三に、利益が不動産市況と資産売却の動向に左右される点です。中期経営計画では利益の約6割を物件の分譲・売却が占め、売却のタイミングで利益は振れやすくなります。実際2025年12月期は営業増益でも、純利益は前期の政策保有株式売却益の反動で前期比▲10.6%でした。配当性向はすでに目標の40%に近く、この先の増配は利益の成長が前提になります。


まとめ

東京建物(8804)は、東京駅前の再開発を手がける総合デベロッパーで、2025年12月期で12年連続増配となった、8指標のうち6つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。

【強み】
✅ 12年連続増配。2026年12月期は122円予想で、実施されれば13期連続
✅ 営業収益・営業利益とも過去最高を更新中。9期連続の増収
✅ 東京駅前の大規模再開発と含み益5,999億円が今後の利益を支える

【留意点】
・自己資本比率26.0%の借入依存の財務で、金利上昇により支払利息が増加
・営業CFは投資が先行しマイナスの年がある(2017年・2022年12月期)
・利益は物件売却の動向で振れやすく、増配の継続は利益成長が前提

6月・12月に配当の権利が確定する銘柄です。東京駅前の再開発が収益に変わっていくか、これからの決算で見ていきたい1社です。


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※業績・配当・財務の数値は、東京建物の2025年12月期 決算短信および決算説明資料(2026年2月12日)、IRBANKに基づきます(有利子負債・平均金利・支払利息は説明資料p.5〜8、含み益はp.45)。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月23日時点)です。

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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