最終更新日:2026年7月21日
12年連続増配・EUVマスク検査装置で世界をリードするレーザーテック
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。AIやスマホに使われる最先端の半導体は、回路の「原版」にあたるフォトマスクの検査なしには作れません。レーザーテックは、EUV(極端紫外線)という特殊な光でマスクを検査する装置を世界で初めて実用化した会社です。
今回は連続増配株の1社、レーザーテック(証券コード:6920)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、レーザーテックは8つの指標のうち7つをクリアしました。12年連続増配と、EPS(1株あたりの利益)が過去10年で約26倍という高い成長が強みですが、営業活動によるCFだけは基準に届かず、配当と株価にも確認しておきたい点があります。理由は、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年7月17日時点の値です
📊 財務指標は2025年6月期(実績)の数値を使用しています
レーザーテックとはどんな会社?
レーザーテックは、1960年に「東京ITV研究所」として創業した半導体検査装置メーカーです。1962年に前身の日本自動制御株式会社を設立し、1986年に現在の社名へ変更、1990年に株式を店頭登録(公開)し、2013年に東証一部(現在はプライム市場)へ上場しました(会社サイト「沿革」)。本社は横浜市です。
主力は、半導体回路の「原版」であるフォトマスクや、その材料のマスクブランクスの欠陥検査装置です。1976年に世界初のLSIフォトマスク欠陥検査装置を開発し、2019年には最先端のEUV露光向けに、EUV光そのものでマスクを検査する装置を世界で初めて完成させました(会社サイト「沿革」)。事業は検査・測定装置の単一セグメントです(決算短信)。
2025年6月期の売上構成は、半導体関連装置が80.7%、装置の保守などのサービスが17.1%、その他が2.2%です(決算短信より桃モアイ算出。構成比は四捨五入表示です)。販売先は海外が中心で、海外売上比率は約88%です(2026年6月期 第3四半期累計)。2025年6月期は売上高2,515億円(前の期より17.8%増)、営業利益は51.0%増と大幅な増収増益でした。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:電気機器
決算月:6月
連続増配:12年(2025年6月期時点)
株価:41,890円(2026年7月17日時点)
予想配当利回り:0.79%(2026年6月期 会社予想配当329円ベース)
配当権利確定:12月・6月(年2回)
配当情報
レーザーテックは増配を続けていて、2025年6月期で12年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2025年6月期の実績で329円です(中間115円・期末214円)。2026年6月期の会社予想は329円(中間132円は実施済み・期末197円)で、前の期と同じ額の据え置き予想です。実施されれば、連続増配はいったん12年で止まることになります(「投資の留意点」で説明します)。
会社は連結配当性向35%を目安として、業績に応じた弾力的な配当を基本方針としています(2025年6月期 決算短信)。利益に対する配当の割合(配当性向)は35.1%で、桃モアイ基準の50%以下をクリアしています。
📌 レーザーテックは2017年4月1日付・2020年1月1日付(いずれも効力発生日)で、各1株→2株の株式分割を実施しています(過去10年で2回。このほか10年より前の2013年・2006年にも各1株→2株)。本記事の配当額・EPSは、すべての分割をさかのぼって調整した「分割調整後」の基準で記載しています(株価は実際の取引価格のため調整しません)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 41,890円(2026年7月17日時点) |
| 予想配当利回り | 0.79%(2026年6月期 会社予想配当329円ベース) |
| 連続増配年数 | 12年(2025年6月期時点) |
| 配当性向 | 35.1%(2025年6月期 実績) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月17日時点)、配当・配当性向は決算短信。予想配当利回りは2026年6月期の会社予想配当(1株329円)に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2025年6月期の実績(調整後329円÷EPS938.61円=35.1%)で、決算短信の公表値と一致しています。連続増配年数は、2013年6月期が調整後6円への減配だったため、2014年6月期を増配1年目として実績ベースで12年と数えています。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2026年6月期)です。

1株あたりの配当は、2016年6月期の12.75円から2025年6月期の329円まで、過去10年で約26倍に増えました(分割調整後)。毎年ならすと約43.5%ずつ増やしてきた計算です。いっぽう2026年6月期は、利益の減少見込みにあわせた据え置き予想です。
8指標分析の結果
ここからは、レーザーテックを私独自の8指標で見ていきます。8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | レーザーテック | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 153億円→2,515億円(過去10年で約16.4倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 35.8円→938.6円(過去10年で約26.2倍) | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 48.9%(直近期・実績) | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 63.7%(直近期・実績) | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 過去10年のレンジは▲34.6億〜778.7億円(うち1年がマイナス) | - |
| 現金等 | 増加傾向 | 79.7億円→860.9億円(過去10年で約10.8倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 12年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 35.1%(直近期・実績) | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2025年6月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。2025年6月期は大幅な増収増益となりました。8指標のうち7つをクリア。営業CFは2022年6月期にマイナス(▲34.6億円)の年があり、「過去10年すべてプラス」の基準に届きませんでした。EPSは決算短信の1株当たり当期純利益を使用しています。金額は表示桁未満を四捨五入して表示しています(売上高は1億円単位、営業CF・現金等は0.1億円単位)。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2016年6月期〜2025年6月期実績+2026年6月期予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。グラフは2016年6月期〜2025年6月期の実績で、会社予想のある系列は2026年6月期の予想もグレーで示しています。
売上高と営業利益率
売上高は、2016年6月期の153億円から2025年6月期の2,515億円へと、過去10年で約16.4倍に増えました。AI向けをはじめとする先端半導体への投資拡大を背景に、EUV関連の検査装置が大きく伸びたためです。2026年6月期は、売上高2,200億円(前の期より12.5%減)の会社予想です。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は過去10年26.8〜48.9%で推移し、直近は48.9%と基準の5%以上を大きく上回ります。検査装置の開発に特化したビジネスで、利益率の高さが際立ちます。2026年6月期の会社予想は45.5%です。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPS(1株あたりの利益)は、過去10年で35.8円から938.6円へと約26.2倍になりました。単年で▲30%を超える急落もなく、桃モアイ基準をクリアしています。ただし2026年6月期の会社予想は801.9円と、前の期より14.6%の減少見込みです。
配当性向は過去10年35.1〜35.7%と、ほぼ一定の水準を保ってきました。会社が連結配当性向35%を目安としているためです。2026年6月期の予想ベースでは41.0%になります(グラフの破線。予想配当329円÷予想EPS801.89円で桃モアイが算出)。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のレンジが▲34.6億〜778.7億円で、2022年6月期にマイナスがありました(最小は2022年6月期、最大は2025年6月期)。同期は増収増益で、赤字によるお金の流出ではありません。受注から検収までの期間が長い装置ビジネスのため、仕掛品などの棚卸資産や、顧客から先に受け取る前受金の増減で、営業CFが年ごとに大きく振れる構造です。
現金等(手元の現金)は、2016年6月期の79.7億円から2025年6月期の860.9億円へと過去10年で約10.8倍に増えました。決算短信の貸借対照表に借入金はなく、無借金経営です。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年40.2〜84.2%で推移し、直近は63.7%です。2020〜2023年ごろに40%前後まで下がったのは、受注の急増にあわせて前受金などの負債が増え、総資産が膨らんだためで、自己資本の額自体は利益の積み上げで増えています。直近は55.8%→63.7%と回復し、2026年3月末では72.5%です(第3四半期決算短信)。

注目ポイント
EUVマスク検査で世界をリード、中計は売上4,000〜5,000億円が目標
微細化の最先端であるEUV露光では、マスクのわずかな欠陥が半導体の不良につながるため、検査装置が欠かせません。レーザーテックはEUV光でマスクを検査する装置を世界で初めて実用化し、この分野を切り開いてきました(会社サイト「沿革」)。会社は2030年6月期を最終年度とする中期経営計画で、売上高4,000〜5,000億円・営業利益率35%以上を目標に掲げています(会社IRサイト「業績報告」)。
受注は暦年2026年から回復、次世代機の導入拡大に期待
AI関連需要を背景にロジック・メモリーともデバイスメーカーの投資計画が積極化しており、会社は半導体関連装置を中心に受注が暦年2026年から回復、暦年2027年以降は次世代検査装置「ACTIS A200HiT」の導入が進んでさらに拡大する見込みとしています(決算説明資料p.12)。2026年3月には、幅広い世代のマスクに対応する新製品「MATRICS X712シリーズ」も発表しました(同p.10)。
営業利益率48.9%の高収益と、伸びるサービス売上
2025年6月期の営業利益率は48.9%と、製造業として突出した水準です。据え付けた装置の保守などのサービス売上は、2026年6月期の第3四半期累計で前年同期比35.5%増の420.6億円と伸びています(第3四半期決算短信)。会社はサービス売上高構成比20%以上を目標としており、装置販売の谷を埋める安定収益に育っています(会社IRサイト「業績報告」)。
いっぽうで、確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」で説明します。
投資の留意点
強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、2026年6月期は減収減益の見込みで、配当も329円の据え置き予想である点です。通期の会社予想は売上高2,200億円(前の期より12.5%減)・営業利益18.6%減・純利益14.9%減で、第3四半期時点で予想の変更はありません。予想どおりなら、連続増配はいったん12年で止まります。据え置き予想ベースの配当性向は41.0%と、方針の目安35%を上回る水準です(利益減でも減配せず、配当を維持する形です)。
第二に、業績と営業CFの振れが大きい点です。半導体メーカーの設備投資サイクルの影響を受けるうえ、検収基準の装置ビジネスのため四半期の売上も大きく振れます(2026年6月期3Qの売上は直前の四半期より44.3%減・決算説明資料p.3)。営業CFも棚卸資産や前受金の増減で振れ、2022年6月期はマイナスでした。これが8指標で唯一の未達の理由です。棚卸資産は2026年3月末で1,644億円と総資産の約53%を占め、高水準が続いています(同p.6)。
第三に、株価の評価水準と投資額です。予想PERは約52倍(株価41,890円÷予想EPS801.89円・2026年7月17日時点で桃モアイが算出)と、高い成長期待が織り込まれています。期待に届かない決算が出たときは、株価の振れが大きくなりやすい点に注意が必要です。また1単元(100株)の投資額は約419万円と高額ですが、ネット証券の単元未満株のサービス(1株から買える仕組み)を使えば1株から購入でき、配当も持ち株数に応じて受け取れます。ただし議決権はなく、取扱銘柄や手数料は証券会社によって異なります。
まとめ
レーザーテック(6920)は、EUVマスク検査装置で世界をリードする半導体検査装置メーカーで、2025年6月期で12年連続増配となった、8指標のうち7つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 売上は過去10年で約16.4倍・EPSは約26.2倍、営業利益率48.9%の高収益
✅ EUVマスク検査で世界をリードし、受注は暦年2026年から回復見込み
✅ 自己資本比率63.7%・現金等860.9億円の無借金経営、配当性向35.1%
【留意点】
・2026年6月期は減収減益・配当329円の据え置き予想(実施されれば連続増配は12年でいったん停止)
・業績・営業CFの振れが大きい(2022年6月期の営業CFはマイナス)
・予想PER約52倍と評価が高く、1単元約419万円と投資額も大きめ
12月・6月に配当の権利が確定する銘柄です。増配が再開するかどうか、2026年6月期の本決算と受注の回復ぶりを確認していきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・キャッシュフロー・貸借対照表・配当の数値は、レーザーテックの2025年6月期 決算短信および2026年6月期 第3四半期決算短信・決算説明資料(業績推移p.3、貸借対照表p.6、新製品p.10、事業環境と今後の見通しp.12、通期業績予想p.13)に基づきます。過去10年の売上高・EPS・営業利益率・営業CF・現金等・自己資本比率・配当性向はIRBANKと決算短信を突合し、増減率の機械照合で確認しています。EPSは決算短信の1株当たり当期純利益を使用しています(2024年6月期は655.05円。IRBANK表示の655.04円とはわずかな差があります)。2017年6月期・2020年6月期の配当性向はIRBANKの業績ページの表に非表示のため、調整後の年間配当14円÷EPS39.2円=35.7%、同42.5円÷EPS120.02円=35.4%として桃モアイが算出しました。株式分割(2017年4月1日付・2020年1月1日付、各1株→2株)は会社の適時開示(効力発生日)に基づきます。配当方針(連結配当性向35%目安)は2025年6月期 決算短信、中期経営計画の目標(売上高4,000〜5,000億円・営業利益率35%以上・サービス売上高構成比20%以上)と会社の沿革(1960年創業・世界初のEUVマスク検査装置など)は会社IRサイト・会社サイト「沿革」によります。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月17日時点)によります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

