最終更新日:2026年7月28日
12年連続増配・壁紙から床材まで暮らしの空間を彩るインテリア専門商社
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。自宅の壁紙やオフィスの床、窓辺のカーテン。そんな内装材を企画・販売し、住まいや店舗の空間づくりを支える会社があります。グループには壁紙製造の国内最大手クレアネイトを抱え、2026年3月期は売上高・純利益がともに過去最高となりました(決算説明資料p.4)。
今回は9月・3月に配当権利が確定する連続増配株の1社、サンゲツ(証券コード:8130)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、サンゲツは8指標のうち6つをクリアしました。12年連続の増配と、予想利回り5%台の手厚い株主還元が特徴です。いっぽうで、EPSと配当性向の2つは基準に届きませんでした。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年7月27日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています
サンゲツとはどんな会社?
サンゲツは、名古屋市に本社を構えるインテリアの専門商社です。1980年に名古屋証券取引所、1996年に東京証券取引所へ上場し、現在は東証プライムと名証プレミアに上場しています。壁装材(壁紙)・床材・ファブリック(カーテン・椅子生地)の企画・製造・販売に加え、設計・デザインから施工まで空間づくり全体を手がけます。
2026年3月期の売上構成は、国内インテリアが1,641億円と全体の約8割を占めます。内訳は壁装799億円・床材556億円・ファブリック101億円・施工その他184億円です。ほかに門扉やフェンスなどの国内エクステリアが73億円、北米・アジアで展開する海外事業が350億円です(決算説明資料p.8)。
直近の動きでは、2026年5月に新しい中期経営計画2029を公表しました。「素材とデザインを起点に、インテリアから文化をつくる企業」を掲げ、2030年3月期に売上高2,500億円・営業利益250億円を目指します(決算短信p.6)。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム・名証プレミア
業種:卸売業
決算月:3月
連続増配:12年(2026年3月期時点)
株価:3,085円(2026年7月27日時点)
予想配当利回り:5.02%(2027年3月期 会社予想配当155円ベース)
配当権利確定:9月・3月(年2回)
配当情報
サンゲツは増配を続けていて、2026年3月期で12年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2026年3月期の実績で155円(中間77.5円・期末77.5円、前期比5円の増配)です。いっぽう2027年3月期の会社予想は155円の据え置きです。会社は中東情勢など不透明な状況を踏まえ、155円(中間77.5円・期末77.5円)の維持を予想しています(決算説明資料p.27)。予想どおりなら、連続増配はいったん12年で止まることになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 3,085円(2026年7月27日時点) |
| 予想配当利回り | 5.02%(2027年3月期 会社予想配当155円ベース) |
| 連続増配年数 | 12年(2026年3月期時点) |
| 配当性向 | 62.2%(2026年3月期 実績) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月27日時点)、配当は決算短信および決算説明資料。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当155円に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2026年3月期の実績(155円÷EPS249.08円=62.2%)です。連続増配年数は、配当実績ベース(IRBANK・株式分割の調整後)で2015年3月期を増配1年目として12年と数えています(2014年3月期は減配)。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

1株あたりの配当は、2017年3月期の52.5円から2026年3月期の155円まで増えました。毎年ならすと約12.8%ずつ増やしてきた計算です。特に2023年3月期には70円から105円へと大きく増やし、その後も140円→150円→155円と積み上げてきました。
8指標分析の結果
ここからは、サンゲツを私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | サンゲツ | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 1,356億円→2,064億円(過去10年で約1.5倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 97.5円→249.1円(2020年3月期・2022年3月期に急落) | - |
| 営業利益率 | 5%以上 | 9.4%(直近期・実績) | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 64.3%(直近期・実績) | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(過去10年のレンジは57.2億〜192.6億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 232.0億円→350.1億円(過去10年で約1.5倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 12年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 62.2%(直近期・実績) | - |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。2026年3月期は増収増益で、売上高・純利益はともに過去最高でした。8指標のうち6つをクリア。EPSは営業利益が黒字を確保するなかでも、特別損失の計上などで2020年3月期・2022年3月期に単年30%超の急落があり「安定して増加傾向」に届かず、配当性向は62.2%と基準の50%を上回りました。EPSは決算短信の公表値(2026年3月期249.08円・2025年3月期213.60円)を小数第一位に丸めて表示し(IRBANK表示は249.07円)、金額は表示桁未満を四捨五入して表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。年はいずれも3月期です。会社予想のある系列は、いちばん右にグレーで2027年3月期の予想を示しています。
売上高と営業利益率
売上高は、2017年3月期の1,356億円から2026年3月期の2,064億円へと、過去10年で約1.5倍に増えました。2021年3月期はコロナ禍の建設市場の停滞などで減収となりましたが、2023年3月期以降は4期連続で過去最高を更新しています。営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は2018年3月期・2019年3月期に3%台まで下がったものの、価格改定や商品構成の改善が進んだ2023年3月期以降は9〜11.5%と高い水準です。直近は9.4%と基準の5%を上回りました。なお2027年3月期の会社予想は売上高2,130億円・利益率8.9%です。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPS(1株あたりの利益)は、2017年3月期の97.5円から2026年3月期の249.1円へと約2.6倍になり、過去10年で最高です。ただし2020年3月期は23.6円、2022年3月期は4.7円まで急落しました。いずれも営業利益は黒字を確保した一方、特別損失の計上などで純利益が大きく減った年です。単年で30%を超える急落が2回あるため、判定は「-」としました。2023年3月期以降は213.6〜249.1円と高い水準が続いています。
配当性向は、利益が細った年に大きく跳ね上がる形になっています。グラフの2022年3月期の点は、値が枠外に出るためグラフの上限に配置しています(実際の値は1503.5%です)。直近4年は44〜70.2%で推移し、2026年3月期は62.2%と基準の50%を上回りました。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスでした(レンジは57.2億〜192.6億円。最小は2022年3月期、最大は2025年3月期)。現金等(手元の現金)は、2017年3月期の232.0億円から2026年3月期の350.1億円へと過去10年で約1.5倍に増えました。2022年3月期に168.9億円まで減りましたが、その後は回復し、直近2期は334.5億円→350.1億円と過去10年で最も厚い水準です。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年56.8〜65.2%で推移し、直近は64.3%です。基準の40%を大きく上回り、財務の安全性は高い水準です。2026年3月期は長期借入を増やしましたが、利益の積み上がりで自己資本が増え、比率は前期の61.4%から上昇しました(決算短信p.4)。

注目ポイント
12年連続増配・年平均12.8%のペースで配当を増やしてきた
1株あたりの配当は2017年3月期の52.5円から2026年3月期の155円へ、年平均約12.8%のペースで増えました。特に2023年3月期は70円から105円へと大幅に増配し、その後も155円まで積み上げています。株価3,085円に対する予想配当利回りは5.02%(2026年7月27日時点)と、連続増配株のなかでも高い水準です。
売上高・純利益とも過去最高。価格改定と海外の改善で稼ぐ力が向上
2026年3月期は売上高2,064億円(前期比+3.0%)・営業利益194億円(同+7.0%)・純利益146億円(同+16.7%)で、売上高と純利益はともに過去最高でした(決算説明資料p.4)。価格改定と商品構成の改善で利益率が切り上がったことに加え、海外も北米の好調と東南アジアの黒字転換で営業損失が8.2億円から0.4億円へ縮小しています(同p.8)。
新中計2029で売上2,500億円・営業利益250億円を目指す
2026年5月に公表した中期経営計画2029では、「素材とデザインを起点に、インテリアから文化をつくる企業」を掲げ、2030年3月期に売上高2,500億円・営業利益250億円を目指します(決算短信p.6)。自己資本比率64.3%・営業CF10年すべてプラスと財務は堅実で、成長投資と還元を両立できる土台があります。
いっぽうで、配当の続けやすさ(配当性向)やEPSには確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、配当性向が62.2%と基準の50%を上回り、2027年3月期の予想配当が据え置きである点です。会社は中東情勢など不透明な状況を踏まえ、155円の維持を予想しています(決算説明資料p.27)。予想配当性向は67.5%で、予想どおりなら連続増配はいったん12年で止まります。なお予想利回り5.02%は高めですが、自前計算のPERは約13.4倍・PBRは約1.5倍(株価3,085円÷予想EPS229.62円、÷1株純資産2,067.46円)で、株価の低評価というより、利益の6割超を配当に回す高い配当性向が利回りを押し上げている形です。
第二に、EPSの変動が大きい点です。2020年3月期は23.6円、2022年3月期は4.7円まで急落しました。いずれも営業利益は黒字を確保した一方、特別損失の計上などで純利益が大きく減った年で、8指標でEPSが「-」となった理由です。2027年3月期も原材料や物流費・人件費の上昇を織り込み、純利益135億円(前期比▲7.8%)の減少計画で、EPSは229.62円の見込みです(決算短信・決算説明資料p.23)。
第三に、国内の新築市場が縮小している点です。2026年3月期の新設住宅着工戸数は前年同期比▲12.9%(4-3月)と大きく落ち込みました(決算説明資料p.16)。売上の約8割を国内が占めるため、底堅いリフォーム・リニューアル需要や海外の伸びで新築の減少を補えるかがカギになります。
まとめ
サンゲツ(8130)は、壁紙・床材・カーテンなどを手がけるインテリアの専門商社で、2026年3月期で12年連続増配となった、8指標のうち6つをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 12年連続増配。配当は52.5円から155円へ、年平均約12.8%のペースで増加
✅ 2026年3月期は売上高・純利益とも過去最高。営業利益率は9.4%に改善
✅ 自己資本比率64.3%・営業CFは10年すべてプラスの堅実な財務
【留意点】
・配当性向62.2%と基準超。2027年3月期の予想は155円の据え置き
・EPSは2020年3月期・2022年3月期に特別損失の計上などで急落した過去
・国内新築市場の縮小。新設住宅着工戸数は前年同期比▲12.9%
9月・3月に配当の権利が確定する銘柄です。利益の安定と増配の再開につながる動きを、これからの決算で見ていきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・配当・財務の数値は、サンゲツの2026年3月期 決算短信および決算説明資料(2026年5月27日)、IRBANKに基づきます(売上高・純利益の過去最高と海外セグメントは説明資料p.4・8、国内建設市場は同p.16、配当予想の考え方は同p.27、業績予想の前提は同p.23、中期経営計画2029は短信p.6)。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月27日時点)です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

