最終更新日:2026年8月28日
12年連続増配でストップ・EUVマスク検査で世界をリードするレーザーテック
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。スマホやパソコンの頭脳になる半導体は、回路の「原版」であるフォトマスクの検査なしには作れません。レーザーテックは、EUV(極端紫外線)という特殊な光でマスクを検査する装置を世界で初めて実用化した会社です。
今回は連続増配株の1社、レーザーテック(証券コード:6920)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、レーザーテックは8つの指標のうち6つをクリアしました。営業利益率45.7%の高収益と、自己資本比率73.3%の無借金経営が強みです。いっぽう2026年6月期は配当が据え置きとなり、12年続いた連続増配はいったん止まりました。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年8月27日時点の値です
📊 財務指標は2026年6月期(実績)の数値を使用しています
※この記事は2026年6月期の決算を反映した内容です。連続増配は2025年6月期の12年で終了しているため、今後の年次更新は行いません。
レーザーテックとはどんな会社?
レーザーテックは、1960年に「東京ITV研究所」として創業した半導体検査装置メーカーです。1986年に現在の社名へ変更し、1990年に株式を公開、2013年に東証一部(現在はプライム市場)へ上場しました(会社サイト「沿革」)。本社は横浜市で、海外に5つの子会社を持ちます。
主力は、半導体回路の原版であるフォトマスクや、その材料であるマスクブランクスの欠陥検査装置です。1976年に世界初のLSIフォトマスク欠陥検査装置を開発し、2019年には最先端のEUV露光向けに、EUV光そのものでマスクを検査する装置を世界で初めて開発・発売しました(会社サイト「沿革」)。事業は検査・測定装置の単一セグメントです。
2026年6月期の売上構成は、半導体関連装置が1,680億円で72.9%、装置の保守などのサービスが586億円で25.4%、その他の製品が37億円で1.6%です(決算短信より桃モアイ算出)。販売先は海外が中心で、海外売上比率は87.8%です(同)。売上高は2,304億円で前の期より8.3%減りましたが、次の期は2,900億円への回復を見込んでいます。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:電気機器
決算月:6月
連続増配:12年(2025年6月期まで。2026年6月期は据え置き)
現在の株価:34,610円(2026年8月27日時点)
予想配当利回り:1.01%(2027年6月期 会社予想配当351円ベース)
配当権利確定:12月・6月(年2回)
配当情報
レーザーテックの1株あたりの年間配当は、2026年6月期の実績で329円です(中間132円・期末197円)。前の期と同じ額の据え置きとなり、2014年6月期から続いた連続増配は2025年6月期の12年でいったん止まりました。
ただし配当額そのものが減ったわけではありません。2027年6月期は351円への増配予想(中間140円・期末211円)が出ています。予想どおりなら、増配1年目から数え直す形で再スタートします。
会社は連結配当性向35%を目安に、業績に応じた弾力的な配当を基本方針としています(2026年6月期 決算短信)。利益に対する配当の割合(配当性向)は38.1%で、桃モアイ基準の50%以下をクリアしています。減益となった2026年6月期に配当を据え置いたため、目安の35%をやや上回る水準になりました。
📌 レーザーテックは2017年4月1日付・2020年1月1日付(いずれも効力発生日)で、各1株→2株の株式分割を実施しています(過去10年で2回。このほか10年より前の2013年・2006年にも各1株→2株)。本記事の配当額・EPSは、すべての分割をさかのぼって調整した「分割調整後」の基準で記載しています(株価は実際の取引価格のため調整しません)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 34,610円(2026年8月27日時点) |
| 予想配当利回り | 1.01%(2027年6月期 会社予想配当351円ベース) |
| 連続増配年数 | 12年(2025年6月期まで。2026年6月期は329円で据え置き) |
| 配当性向 | 38.1%(2026年6月期 実績) |
出典:株価は東京証券取引所の終値(2026年8月27日)、配当・配当性向は決算短信。予想配当利回りは2027年6月期の会社予想配当(1株351円)÷株価として桃モアイが算出しており、株価の変動により変わります。配当性向は2026年6月期の実績(329円÷EPS862.99円=38.1%)で、決算短信の公表値と一致しています。連続増配年数は、2013年6月期が調整後6円への減配だったため、2014年6月期を増配1年目として実績ベースで数えています。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年6月期)です。

1株あたりの配当は、2017年6月期の14円から2026年6月期の329円まで、過去10年で約23.5倍に増えました(分割調整後)。毎年ならすと約42.0%ずつ増やしてきた計算です。増配のペースが止まったのは、2014年6月期に増配が始まって以降では初めてです。次の期は増配予想に戻っています。
8指標分析の結果
ここからは、レーザーテックを私独自の8指標で見ていきます。8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | レーザーテック | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 172億円→2,304億円(過去10年で約13.3倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 39.2円→862.99円(過去10年で約22.0倍) | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 45.7%(直近期・実績) | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 73.3%(直近期・実績) | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 過去10年のレンジは▲34億〜778億円(うち1年がマイナス) | - |
| 現金等 | 増加傾向 | 97億円→915億円(過去10年で約9.4倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 2025年6月期までの12年連続増配。2026年6月期は据え置き | - |
| 配当性向 | 50%以下 | 38.1%(直近期・実績) | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標、「-」は基準に届かなかった指標です。
※財務指標は2026年6月期(実績)。IRBANKおよび決算短信をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標のうち6つをクリア。営業CFは2022年6月期にマイナス(▲34億円)の年があり、「過去10年すべてプラス」の基準に届きませんでした。1株あたりの配当は、2026年6月期が前の期と同額の据え置きとなったため、判定は「-」としています(2027年6月期は351円の増配予想)。EPSは決算短信の1株当たり当期純利益を使用しています。営業利益率は決算短信の売上高営業利益率(2026年6月期45.7%・2025年6月期48.8%)を使用し、IRBANK表示(同45.67%・48.85%)とはわずかな差があります。会計基準は日本基準です。金額は億円未満を切り捨てて表示しています。EPSはグラフのみ小数第一位まで表示しています。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年6月期〜2026年6月期実績+2027年6月期予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。グラフは2017年6月期〜2026年6月期の実績で、会社予想のある系列は2027年6月期の予想もグレーで示しています。
売上高と営業利益率
売上高は、2017年6月期の172億円から2026年6月期の2,304億円へと、過去10年で約13.3倍に増えました。AI向けをはじめとする先端半導体への投資拡大を背景に、EUV関連の検査装置が伸びたためです。
直近の2026年6月期は8.3%の減収でした。前の期の受注が落ち込んだ影響が、検収のタイミングを通じて売上に表れたものです。ただし当期の受注高は2,375億円と、前の期の1,052億円から大きく回復しました。会社は2027年6月期に売上高2,900億円(25.8%増)を見込んでいます。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は過去10年26.8〜48.8%で推移し、直近は45.7%と基準の5%以上を大きく上回ります。検査装置の開発に特化した事業構造で、利益率の高さが際立ちます。2027年6月期の会社予想は43.1%です。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPS(1株あたりの利益)は、過去10年で39.2円から862.99円へと約22.0倍になりました。直近は前の期の938.61円から8.1%の減少ですが、単年で30%を超える急落はなく、桃モアイ基準をクリアしています。2027年6月期の会社予想は1,004.12円で、過去最高を更新する見込みです。
配当性向は過去10年35.1〜38.1%と、ほぼ一定の水準を保ってきました。会社が連結配当性向35%を目安としているためです。減益でも配当を据え置いた2026年6月期だけ38.1%に上がり、2027年6月期の予想は35.0%に戻ります。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年のレンジが▲34億〜778億円で、2022年6月期にマイナスがありました(最小は2022年6月期、最大は2025年6月期)。同じ期は増収増益で、赤字によるお金の流出ではありません。受注から検収までの期間が長い装置ビジネスのため、仕掛品などの棚卸資産や、顧客から先に受け取る前受金の増減で、営業CFが年ごとに大きく振れる構造です。
直近の2026年6月期も485億円と、前の期より37.7%減りました。主な要因は、法人税等の支払額434億円と、前受金の減少額211億円です(決算短信)。それでも支払いをまかなえる水準の現金を稼いでいます。
現金等(手元の現金)は、2017年6月期の97億円から2026年6月期の915億円へと過去10年で約9.4倍に増えました。決算短信によると、当期は利子を支払う負債がなく、無借金経営が続いています。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年40.2〜74.1%で推移し、直近は73.3%です。2020〜2023年ごろに40%台まで下がったのは、受注の急増にあわせて前受金などの負債が増え、総資産が膨らんだためです。自己資本の額そのものは利益の積み上げで増え続けていました。
直近は63.7%から73.3%へ上がりました。前受金が201億円、未払法人税等が133億円減って負債が縮んだ一方、利益の計上で株主資本が343億円増えたためです(決算短信)。

注目ポイント
EUVマスク検査で世界をリードする独自の立ち位置
微細化の最先端であるEUV露光では、マスクのわずかな欠陥が半導体の不良につながるため、検査装置が欠かせません。レーザーテックはEUV光でマスクを検査する装置を世界で初めて実用化し、この分野を切り開いてきました(会社サイト「沿革」)。研究開発費は2026年6月期に162億円と、前の期の116億円から積み増しています。
受注高が2,375億円へ回復し、受注残高も3,229億円
会社は、主要な販売先である半導体業界でAIデータセンター関連の投資が一段と高まったと説明しています(決算短信)。受注高は2,375億円と前の期の1,052億円から回復し、期末の受注残高も3,229億円と前の期より2.2%増えました。この受注残高は、2027年6月期の売上高予想2,900億円を上回る水準です。同期は増収増益の見通しです。
サービス売上が36.5%増、装置の谷を埋める収益源に
据え付けた装置の保守などのサービス売上は、2026年6月期に586億円と前の期より36.5%伸び、売上全体の25.4%を占めるまでになりました。装置の販売が減った期にサービスが伸びたことで、減収の幅が和らいでいます。装置の販売量に左右されにくい収益源として育ちつつあります。
いっぽうで、確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」で説明します。
投資の留意点
強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、連続増配が2025年6月期の12年でいったん止まった点です。2026年6月期は減収減益となり、配当は329円で据え置かれました。会社は配当性向35%を目安とする方針のため、利益が減る期には配当も伸びにくくなります。2027年6月期は351円の増配予想が出ていますが、実施されても連続増配の年数は1年目からの数え直しになります。長く増配が続く記録を重視する場合は、この点を確認しておきたいところです。
第二に、業績と営業CFの振れが大きい点です。半導体メーカーの設備投資サイクルの影響を受けるうえ、装置は顧客の検収時に売上を計上するため、期ごとの数字が大きく動きます。営業CFも棚卸資産や前受金の増減で振れ、2022年6月期はマイナスでした。これが8指標で未達となった理由の一つです。棚卸資産(仕掛品と原材料及び貯蔵品)は2026年6月末で1,677億円と総資産の約50%を占め、高い水準が続いています。
第三に、株価の評価水準と投資額です。予想PERは約34.5倍、PBRは約12.6倍です(株価34,610円・2026年8月27日終値をもとに桃モアイが算出)。予想配当利回りが1.01%と低いのは、株価が高いからというより、配当性向35%を目安に利益の多くを研究開発や事業投資に回しているためです。なお会社は2026年6月期に120億円の自己株式の取得も行っており、配当と合わせた株主還元は純利益の53.5%にあたります。配当金総額294億円と自己株式の取得120億円を足した金額を、純利益774億円で割った値です(桃モアイ算出)。また1単元(100株)の投資額は約346万円と高額です。ネット証券の単元未満株のサービス(1株から買える仕組み)を使えば1株から購入でき、配当も持ち株数に応じて受け取れます。ただし議決権はなく、取扱銘柄や手数料は証券会社によって異なります。
まとめ
レーザーテック(6920)は、EUVマスク検査装置で世界をリードする半導体検査装置メーカーで、8つのうち6つをクリアした銘柄です。2026年6月期の配当据え置きにより、12年続いた連続増配はいったん止まりました。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 売上は過去10年で約13.3倍・EPSは約22.0倍、営業利益率45.7%の高収益
✅ 受注高が2,375億円へ回復し、2027年6月期は増収増益の見通し
✅ 自己資本比率73.3%・現金等915億円の無借金経営、配当性向38.1%
【留意点】
・2026年6月期は配当329円の据え置きで、連続増配は12年でいったん停止
・業績・営業CFの振れが大きい(2022年6月期の営業CFはマイナス)
・予想PER約34.5倍と評価が高く、1単元約346万円と投資額も大きめ
12月・6月に配当の権利が確定する銘柄です。2027年6月期は351円の増配予想が出ていますが、本サイトの一覧に戻るのは先の話になります。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・キャッシュフロー・貸借対照表・配当の数値は、レーザーテックの2026年6月期 決算短信(2026年8月6日開示)に基づきます。過去10年の売上高・EPS・営業利益率・営業CF・現金等・自己資本比率・配当性向はIRBANKと決算短信を突合し、増減率の機械照合で確認しています。EPSは決算短信の1株当たり当期純利益を使用しています(2026年6月期862円99銭・2025年6月期938円61銭)。2017年6月期・2020年6月期の配当性向はIRBANKの業績ページの表に非表示のため、調整後の年間配当14円÷EPS39.2円=35.7%、同42.5円÷EPS120.02円=35.4%として桃モアイが算出しました。株式分割(2017年4月1日付・2020年1月1日付、各1株→2株)は会社の適時開示(効力発生日)に基づきます。配当方針(連結配当性向35%目安)と品目別・地域別の売上、受注高・受注残高、研究開発費は2026年6月期 決算短信によります。会社の沿革(1960年創業・世界初のEUVマスク検査装置など)は会社サイト「沿革」によります。株価は東京証券取引所の終値(2026年8月27日)によります。予想配当利回り・PER・PBRは、この株価をもとに桃モアイが算出しました。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

