最終更新日:2026年8月22日
18年連続増配・焼肉きんぐを展開する外食大手の連続増配株
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。
週末に家族で行く郊外の焼肉食べ放題「焼肉きんぐ」を運営しているのが、物語コーポレーションという会社です。2026年6月期は海外の店舗数が111店舗まで増え、海外の売上高が142億円まで伸びました。
今回は6月・12月に配当権利が確定する連続増配株の1社、物語コーポレーション(証券コード:3097)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、物語コーポレーションは8指標すべてをクリアしました。売上高・EPS・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF・現金等・連続増配・配当性向の8つが、いずれも基準を満たしています。2026年6月期で18年連続増配となり、売上高は1,516億円、営業利益率8.0%、配当性向18.9%でした。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年8月21日時点の値です
📊 財務指標は2026年6月期(実績)の数値を使用しています
物語コーポレーションとはどんな会社?
物語コーポレーションは、愛知県豊橋市に本社を置く外食企業です。郊外のロードサイドを中心に、家族で楽しめる食べ放題の店を全国に広げてきました。
主力は3つのブランドです。焼肉食べ放題の「焼肉きんぐ」、ラーメンの「丸源ラーメン」、寿司としゃぶしゃぶの「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵」で、焼肉市場とラーメン市場では売上1位、寿司・しゃぶしゃぶ市場では3位のブランドを持っています。このほか「お好み焼本舗」「焼きたてのかるび」など、次の柱を目指す新しい業態も育てています。
2026年6月期は国内で63店舗、海外で59店舗を出店しました。期末の店舗数はグループ全体で919店舗(国内808店舗・海外111店舗)で、9カ国・地域に広がっています。直営だけでなくフランチャイズも組み合わせて出店してきたのが特徴です。
海外は中華圏・東南アジア・北米を注力地域と位置づけています。ハンバーグ専門店「肉肉大米」を中華圏で79店舗まで広げたほか、2026年4月には米国の鉄板焼きレストラン「HIBACHI STEAK HOUSE」をグループ化しました。海外の売上高は142億円(前期比202.1%増)となり、営業利益も1億7,100万円と黒字を確保しています。
直近の2026年6月期は、売上高1,516億円(前期比22.4%増)、営業利益121億円(同31.4%増)、経常利益121億円(同34.1%増)、当期純利益87億円(同42.0%増)と、大幅な増収増益でした。売上高は6期連続の増収、営業利益は5期連続・当期純利益は6期連続の増益で、そろって過去最高を更新しています。なお同社は日本基準(国内の会計ルール)を採用しています。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:小売業(東証33業種分類。事業内容は外食チェーン)
決算月:6月
連続増配:18年(2026年6月期時点)
現在の株価:5,670円(2026年8月21日時点)
予想配当利回り:0.81%(2027年6月期 会社予想ベース)
配当権利確定:6月・12月(年2回)
配当情報
物語コーポレーションは、2026年6月期で18年連続増配となりました。1株あたりの年間配当(分割調整後)は、2026年6月期の実績が43円(中間20円+期末23円)です。2027年6月期の会社予想は46円(中間23円+期末23円)で、会社は決算説明資料のなかで「新規上場以来19期連続増配」を計画していると説明しています。
配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、2026年6月期の実績で18.9%でした。桃モアイ基準の50%以下を大きく下回っており、増配を続ける余力は十分に残っています。
会社は「連結配当性向20%以上を目安とし、持続的な利益成長を通じて、安定的・持続的な増配を原則とする累進配当を目指す」という方針を掲げています。累進配当とは、減配せず、配当を維持または増やしていく方針のことです。一方で、予想配当利回りは0.81%と、当ブログで扱う銘柄のなかでは低い水準です。これは利益の多くを成長への投資に回している成長株の特徴で、利回りよりも増配の伸びを重視するタイプの銘柄といえます。
📌株式分割について:物語コーポレーションは、この10年のあいだに2回の株式分割を行っています(2021年3月1日付:1株→2株、2023年3月1日付:1株→3株。いずれも効力発生日ベース)。2回を合わせると、1株が6株になった計算です。本記事では、過去のEPSと1株あたりの配当を、この分割をさかのぼって調整した「調整後」の金額で統一して表示・集計しています。さらにさかのぼると2010年12月1日付でも1株→3株の分割があり、そこからの累積では1株が18株になっています。情報源によっては分割前の金額で表示している場合があり、表示基準が混在することがあるためご注意ください。なお本記事の基準日(2026年8月21日)時点で予定されている分割はありません。株価は実際の取引価格のため、調整していません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 5,670円(2026年8月21日時点) |
| 予想配当利回り | 0.81%(2027年6月期 会社予想ベース) |
| 連続増配年数 | 18年(2026年6月期時点) |
| 配当性向 | 18.9%(2026年6月期 実績) |
出典:株価は東証終値(2026年8月21日時点)。予想配当利回りは2027年6月期の会社予想配当(年間46円)に基づきます。株価変動により利回りは変わります。配当性向は2026年6月期の実績(年間配当43円÷EPS227.23円)で、決算短信の公表値18.9%と一致します。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年6月期)です。

1株あたりの配当(分割調整後)は、2017年6月期の11.67円から2026年6月期は43円へと、過去10年で約3.7倍になりました。2017年から2026年までの9年間で、年平均(年率換算)約15.6%の増配ペースです。2027年6月期は46円の会社予想となっています。
8指標分析の結果
ここからは、物語コーポレーションを私独自の8指標で見ていきます。
8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | 物語コーポレーション | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 445億円→1,516億円(過去10年で増加) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 57.5円→227.2円(過去10年で右肩上がり・2020年6月期の一時的な落ち込みを除く) | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 8.0% | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 54.1% | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(28〜160億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 44億円→169億円(過去10年で増加) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 18年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 18.9% | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標です。
※財務指標は2026年6月期(実績)。IRBANKのデータをもとに桃モアイが独自に分析。なお8指標の「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定しており、一時的な減少はクリア扱いとしています。EPSは2020年6月期に新型コロナの影響で81.4円から12.6円へ一時的に大きく落ち込みましたが、翌期に75.4円へ回復し、その後は毎年最高益を更新しています。過去10年の長期トレンドは明確な右肩上がりのため、一過性の落ち込みとしてクリア扱いとしました。営業CFの28億円は2020年6月期、160億円は2026年6月期の値です。金額は億円未満を切り捨てて表示しています。営業利益率は決算短信の表示に合わせ、小数第1位まで(それ未満は切り捨て)で表示しています。EPSは決算短信の公表値(2026年6月期227.23円)で、期中の加重平均株式数をもとに算出された値です。2025年6月期のEPSはIRBANK表示163.08円に対し決算短信の公表値は163.09円で、本記事は短信の値を採用しています。配当性向は2021年6月期と2023年6月期のみIRBANKで空欄のため、決算説明資料(2026年8月19日)p.28の会社公表値を使用しています。投資判断の参考としてご活用ください。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年〜2026年実績+2027年予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで確認していきます。
売上高と営業利益率
売上高は2017年6月期の445億円から、2026年6月期は1,516億円へと3.4倍に伸びました。2020年6月期に新型コロナの影響で一度減収となりましたが、その後は出店と海外展開で増収が続いています。営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は、2021年・2022年6月期にコロナの影響で4%前後まで下がったものの、2026年6月期は8.0%まで回復し、桃モアイ基準の5%を上回りました。なお2027年6月期も8.0%の見込みです。

EPS(1株利益)と配当性向
EPS(1株あたりの利益)は、2017年6月期の57.5円から2026年6月期は227.2円へと、長期では大きく伸びています。2020年6月期にコロナの影響で81.4円から12.6円へと一時的に大きく落ち込みましたが、翌2021年6月期に75.4円へ回復し、その後は102.8円→129.5円→158.1円→163.1円→227.2円と毎年最高益を更新しています。
配当性向(利益のうち配当に回す割合)は、利益が落ち込んだ2020年6月期に一時125.2%まで上がりましたが、それ以外の年はおおむね18〜27%で推移し、2026年6月期は18.9%でした。桃モアイ基準の50%以下を大きく下回り、増配の余地は十分に残されています。なおグラフの2020年の点は、値が枠外に出るためグラフの上限に配置しています(実際の値は125.2%です)。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべての期でプラスを確保しています。もっとも少なかったコロナ期の2020年6月期でも28億円のプラスを維持し、その後は利益の拡大とともに増えて、2026年6月期は160億円となりました。現金等(決算書の「現金及び現金同等物」)は、2017年6月期の44億円から2026年6月期は169億円へと増えています。出店投資や子会社の取得にともない年ごとの増減はありますが、長期では着実に積み上がっています。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年を通しておおむね41〜54%台で推移してきました。2026年6月期は54.1%と、桃モアイ基準の40%を上回る水準です。前期の54.3%からはわずかに下がりましたが、自己資本の額そのものは402億円から471億円へ増えています。利益剰余金が72億円積み上がったことが主な要因です。出店を続けながらも、返済不要の自己資本でしっかり事業をまかなえている状態です。

注目ポイント
2026年6月期で18年連続増配、配当性向18.9%で増配の余地も大きい
物語コーポレーションは2026年6月期で18年連続増配となりました。年間配当は43円(分割調整後)です。会社は「連結配当性向20%以上を目安とする累進配当」を方針に掲げ、2027年6月期は46円を計画しています。配当性向が18.9%と低く、利益の伸びに合わせて配当を増やす余地が大きいことが、連続増配の継続を支えています。
焼肉・ラーメンで市場1位、919店舗まで広がった外食大手
物語コーポレーションは、焼肉食べ放題「焼肉きんぐ」とラーメン「丸源ラーメン」で、いずれも市場売上1位のブランドを持っています。「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵」は同市場3位です。2026年6月期は国内既存店の売上高が前年比105.0%と堅調で、そこへ122店舗の新規出店が上乗せされました。複数の主力ブランドを持ち、直営とフランチャイズを組み合わせて出店できることが、安定した成長につながっています。
海外の売上高が142億円へ、営業利益も1億7,100万円に
近年は海外展開を成長の柱に育てています。2026年6月期は海外で59店舗を出店し、店舗数は111店舗となりました。海外の売上高は前期の47億円から142億円へと3倍に増え、営業利益も1億7,100万円と黒字を確保しています。会社は2030年6月期に海外売上高構成比10%以上を目指しており、国内に続く収益の柱として期待されています。
一方で、配当利回りの水準や来期の利益計画には、確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」でくわしく説明します。
投資の留意点
8指標はすべてクリアしていますが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、予想配当利回りが0.81%と低い点です。物語コーポレーションは利益の多くを成長への投資に回している成長株で、配当利回りは当ブログで扱う銘柄のなかでも低い水準です。配当でまとまった現金を受け取りたい人には、利回りの面で物足りなく感じられる可能性があります。一方で、配当性向に余裕があり増配ペースも速いため、長期で配当を育てていくタイプの銘柄です。利回りと増配の伸び、どちらを重視するかで評価が分かれます。
第二に、2027年6月期は当期純利益がほぼ横ばいの計画である点です。会社の予想は、売上高1,730億円(前期比14.1%増)・営業利益138億円(同14.1%増)と2桁の増収増益を見込む一方で、当期純利益は87億円(同0.1%増)にとどまります。2026年6月期は法人税等調整額が7億円のマイナス(税負担を軽くする方向)となり、税引後の利益が押し上げられていました。この効果がはがれるぶん、本業の伸びほどには最終利益が伸びない計画になっています。予想配当性向も18.9%から20.1%へ上がる見込みです。
第三に、出店と海外展開に積極的で、投資の成否が今後の利益を左右する点です。2026年6月期は有形固定資産の取得に100億円を投じ、有利子負債(リース債務を含む)は前期末より20億円増えて174億円となりました。店舗が計画どおり利益を生まなければ、増収でも利益が伸びにくくなる可能性があります。実際、この期の減損損失は3億6,800万円と前期の1億500万円から増えています。加えて外食業は、感染症や災害などで来店が落ちると利益が大きく下がりやすい業種です。2020年6月期にはEPSが81.4円から12.6円へ急落した実績もあり、外的要因で業績が振れやすい点は意識しておきたいところです。
まとめ
物語コーポレーション(3097)は、2026年6月期で18年連続増配となった、8指標すべてをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 2026年6月期で18年連続増配。配当性向18.9%と余裕があり、累進配当方針のもと2027年6月期も46円を計画
✅ 売上高は過去10年で445億円→1,516億円、EPSは57.5円→227.2円と長期で大きく成長
✅ 焼肉・ラーメンで市場1位ブランドを持ち、自己資本比率54.1%・営業CF全期プラスと財務も健全
【留意点】
・予想配当利回りは0.81%と低め(成長への投資を優先する成長株のため)
・2027年6月期は営業利益14.1%増の計画に対し、当期純利益はほぼ横ばい(0.1%増)の見込み
・出店と海外展開に積極的で有利子負債は174億円。外食業は外的要因で業績が振れやすい
6月・12月に配当権利が確定する銘柄です。予想配当利回りは0.81%と低めですが、増配の伸びを重視する方には検討しやすい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※2026年6月期の連結業績(売上高1,516億8,900万円、営業利益121億4,500万円、経常利益121億2,200万円、親会社株主に帰属する当期純利益87億4,300万円、EPS227円23銭、売上高営業利益率8.0%、自己資本比率54.1%、営業活動によるCF160億3,300万円、現金及び現金同等物期末残高169億9,300万円、年間配当43円00銭、連結配当性向18.9%、海外カテゴリーの売上高142億3,000万円〔前期比202.1%増〕)は、同社の2026年6月期 決算短信〔日本基準〕(連結/2026年8月10日)の公表値に基づきます。2027年6月期の連結業績予想(売上高1,730億8,400万円、営業利益138億6,400万円、経常利益136億1,900万円、当期純利益87億5,600万円、EPS228円02銭)および予想配当(年間46円00銭、中間23円+期末23円、連結配当性向20.1%)も同短信によります。店舗数919店舗(国内808・海外111)、9カ国・地域での展開、国内既存店売上高前年比105.0%、カテゴリー別の市場順位(焼肉・ラーメンで市場売上1位、寿司・しゃぶしゃぶで3位。出典:富士経済外食産業マーケティング便覧2026)、海外カテゴリーの営業利益1億7,100万円および前期の売上高47億1,200万円・営業利益1,100万円、配当方針および「新規上場以来19期連続増配」の計画は、同社の2026年6月期 決算説明資料(2026年8月19日)p.7・p.28などに基づきます。連続増配年数は分割調整後の配当実績(配当履歴ベース)で数えており、会社が決算説明資料で示す「19期連続増配(2027年6月期計画)」と同じ数え方です。1株あたりの配当・EPS・各種比率の過去10年系列はIRBANKを参照し、株式分割(2010年12月1日付1株→3株、2021年3月1日付1株→2株、2023年3月1日付1株→3株)を反映した分割調整後(現在の株数ベース)に換算しています。金額は億円未満を切り捨てて表示しているため、決算短信(百万円未満切捨て)・決算説明資料の表示とは末尾が異なる場合があります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

