最終更新日:2026年7月28日
12年連続増配・売上は6期連続で過去最高、8指標オールクリアの分析計測機器メーカー「島津製作所」
こんにちは。10年以上連続増配株の情報を発信している桃モアイです。健康診断のX線撮影や、薬・食品の成分検査。その裏側で使われる計測・医用機器を、京都で150年つくり続けてきた会社があります。2026年3月期は売上高が6期連続で過去最高となり、営業利益・経常利益・純利益も2期ぶりに過去最高を更新しました(決算説明会資料〈以下、説明資料〉p.2)。
今回は3月と9月に配当権利が確定する連続増配株の1社、島津製作所(証券コード:7701)を私独自の8指標で分析しました。
結論から言うと、島津製作所は8指標すべてをクリアしました。売上高は過去10年で約1.6倍・EPSは約2.3倍に伸び、自己資本比率76.6%・借入金ゼロと財務も堅実です。理由も含めて、このあとひとつずつ分かりやすく説明します。
📊 株価・利回りの基準日:2026年7月27日時点の値です
📊 財務指標は2026年3月期(実績)の数値を使用しています
島津製作所とはどんな会社?
島津製作所は、1875年に京都で創業した精密機器メーカーで、分析計測機器の大手です。2025年に創業150周年を迎えました。1949年に東京証券取引所へ上場し、現在は東証プライム市場です。
事業は計測機器・医用機器・産業機器・航空機器の4つで、売上構成比は計測65%・医用13%・産業13%・航空8%です(説明資料p.28。四捨五入のため合計は100%になりません)。主力の計測機器は、液体クロマトグラフ(LC)・質量分析システム(MS)・ガスクロマトグラフ(GC)が重点機種です。薬や食品の品質検査から、PFAS(有機フッ素化合物)の環境分析まで幅広く使われます(同p.18・21)。医用機器はX線撮影システム、産業機器は半導体製造装置向けのターボ分子ポンプ(TMP)、航空機器は防衛・民間航空機向けの搭載品が中心です(同p.7〜10)。
海外売上比率は56.7%です(同p.2)。2027年3月期に向けては、北米R&Dセンターの新拠点設立や中国でのTMP生産拠点の立ち上げなど、地産地消の体制づくりを進めています(決算短信p.2)。
会社の基本情報は次のとおりです。
上場市場:東証プライム
業種:精密機器
決算月:3月
連続増配:12年(2026年3月期時点)
株価:4,274円(2026年7月27日時点)
予想配当利回り:1.64%(2027年3月期 会社予想配当70円ベース)
配当権利確定:3月・9月(年2回)
配当情報
島津製作所は増配を続けていて、2026年3月期で12年連続増配になりました。1株あたりの年間配当は、2026年3月期の実績で69円(中間27円+期末42円)です。2027年3月期の会社予想は70円(中間27円+期末43円)で、実施されれば13期連続の増配となります。
配当の方針は、配当性向30%以上の維持と継続的な株主還元を基本とし、内部留保は成長投資や人財・開発・DX関連の基盤強化に充てるというものです(決算短信p.9)。なお2025年3月期の年間配当66円には創業150周年の記念配当4円を含みますが、記念分を除いた普通配当(62円)で比べても増配は続いています。
利益のうち配当に回す割合(配当性向)は33.0%と、桃モアイ基準の50%以下を満たしています。増配の余力を残した水準です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 4,274円(2026年7月27日時点) |
| 予想配当利回り | 1.64%(2027年3月期 会社予想配当70円ベース) |
| 連続増配年数 | 12年(2026年3月期時点) |
| 配当性向 | 33.0%(2026年3月期 実績) |
出典:株価はYahoo!ファイナンス(2026年7月27日時点)、配当・配当性向は決算短信・IRBANK。予想配当利回りは2027年3月期の会社予想配当(1株70円)に基づき、株価の変動により変わります。配当性向は2026年3月期の実績(69円÷EPS209.39円=33.0%)です。連続増配年数は配当実績ベース(IRBANK・決算短信)で、2015年3月期を増配1年目として実績12年と数えています。2025年3月期の年間配当66円には創業150周年記念配当4円を含みます(記念分を除く普通配当でも増配が続いています)。
いちばん右の薄いグレーの棒は会社予想(2027年3月期)です。

1株あたりの配当は、2017年3月期の20円から2026年3月期の69円まで増えました。毎年ならすと約14.8%ずつ増やしてきた計算で、増配ペースは速い部類です。2027年3月期は69円→70円と、約1.4%の増配予想です。
8指標分析の結果
ここからは、島津製作所を私独自の8指標で見ていきます。8指標の詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。
なお私が確認する8つの指標は、売上高・EPS(1株あたりの利益)・営業利益率・自己資本比率・営業活動によるCF(以下、営業CF)・現金等・1株あたりの配当・配当性向です。
| 指標 | 基準 | 島津製作所 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 増加傾向 | 3,425億円→5,607億円(過去10年で約1.6倍) | ✅ |
| EPS(1株あたりの利益) | 安定して増加傾向 | 89.8円→209.4円(過去10年で約2.3倍) | ✅ |
| 営業利益率 | 5%以上 | 13.1%(直近期・実績) | ✅ |
| 自己資本比率 | 40%以上 | 76.6%(直近期・実績) | ✅ |
| 営業活動によるCF | 過去10年すべてプラス | 全期間プラス(過去10年のレンジは294.5億〜638.0億円) | ✅ |
| 現金等 | 増加傾向 | 527.6億円→1,608.4億円(過去10年で約3.0倍) | ✅ |
| 1株あたりの配当 | 10年以上連続増配 | 12年連続増配 | ✅ |
| 配当性向 | 50%以下 | 33.0%(直近期・実績) | ✅ |
※判定欄の✅は桃モアイ基準を満たした指標です。
※財務指標は2026年3月期(実績)。IRBANKおよび決算短信・決算説明会資料をもとに桃モアイが独自に分析しています。「増加傾向」「安定して増加傾向」は過去10年の長期トレンドで判定し、一時的な減少はクリア扱いとしています。8指標すべてをクリアしました。EPSは決算短信の基本的1株当たり当期純利益で、本文・グラフでは小数第一位に丸めて表記しています(2026年3月期は209円39銭)。2025年3月期の年間配当66円には創業150周年記念配当4円を含みます。金額は表示桁未満を四捨五入しています。
グラフで見る業績の推移(過去10年・2017年3月期〜2026年3月期実績+2027年3月期予想)
ここからは、過去10年の業績をグラフで見ていきます。グラフは2017年3月期〜2026年3月期の実績で、会社予想のある系列は2027年3月期の予想もグレーで示しています。
売上高と営業利益率
売上高は、2017年3月期の3,425億円から2026年3月期の5,607億円へと、過去10年で約1.6倍に増えました。この間の減収は2020年3月期(▲1.5%)の1回だけで、直近は6期連続で過去最高を更新しています(説明資料p.2)。日本に加えて北米・欧州・その他のアジア地域の成長が伸びを支えました(決算短信p.2)。2027年3月期は、中東情勢の影響(売上▲100億円)を織り込んだうえで5,750億円(2.5%増)と、過去最高を目指す計画です(説明資料p.12)。
営業利益率(売上に対する本業のもうけの割合)は過去10年10.8〜14.9%で推移し、直近は13.1%と基準の5%以上を大きく上回ります。直近2期の低下は、人財投資や研究開発・DX投資など将来の成長に向けた費用の増加と、関税影響(▲45億円)が主因です(説明資料p.5)。2027年3月期の会社予想は13.2%です。

EPS(1株あたりの利益)と配当性向
EPS(1株あたりの利益)は、過去10年で89.8円から209.4円へと約2.3倍になりました。減少した年は2020年3月期(▲2.3%)と2025年3月期(▲5.2%)の2回だけで、単年で大きく落ち込んだ年はありません。2026年3月期は209.4円と過去最高です。なお2027年3月期の会社予想は190.4円と減少見込みで、理由は「投資の留意点」で説明します。
配当性向は過去10年で22.3%→33.0%と、増配を続けながらも30%台前半に収まっています。2025年3月期の36.0%は記念配当を含む値です。2027年3月期の予想は36.8%(70円÷予想EPS190.35円)と、基準の50%以下に収まる見込みです。

営業活動によるCFと現金等
営業CF(本業で稼いだ現金)は、過去10年すべてプラスでした(レンジは294.5億〜638.0億円。最小は2019年3月期、最大は2021年3月期)。2026年3月期は546.8億円と、2期連続で増えています。現金等(手元の現金)は、2017年3月期の527.6億円から2026年3月期の1,608.4億円へと約3.0倍になりました。2025年3月期の一時的な減少は、自己株式の取得(約250億円)や配当の支払いなど、株主還元に資金を使ったことが主因です(決算短信)。

自己資本比率
自己資本比率(会社の資産のうち、返す必要のないお金でまかなえている割合)は、過去10年64.0〜76.6%で推移し、直近は76.6%です。基準の40%以上を大きく上回ります。2026年3月期末は短期・長期の借入金がゼロで、実質的に無借金の財務です(決算短信)。

注目ポイント
売上は6期連続で過去最高、2027年3月期も更新を目指す
2026年3月期は増収増益で、売上高5,607億円は6期連続の過去最高でした。営業利益737億円・経常利益828億円・純利益605億円も、それぞれ2期ぶりに過去最高を更新しています(説明資料p.2)。2027年3月期も売上高5,750億円・営業利益760億円と、中東情勢の影響を織り込んだうえで売上・営業利益とも過去最高を目指す計画です(同p.12)。
保守・消耗品の「リカーリング」が安定収益に育つ
機器を売って終わりではなく、保守サービスや試薬・消耗品で継続的に稼ぐリカーリング事業を広げています。計測機器のリカーリング売上は1,425億円(前期比7%増)で、セグメント売上の39%を占めます(説明資料p.7)。TMPでもリカーリング比率が24%へ4pt上昇しました(同p.9)。景気に左右されにくい収益の土台になっています。
半導体・ヘルスケアの成長市場に強み
産業機器のTMPは半導体製造装置向けが好調で、会社は「半導体製造装置向けTMPダントツNo1」を掲げています(説明資料p.23)。京都・秦野の増強や中国での生産拠点立ち上げで、供給能力も拡大中です(同p.23、決算短信p.2)。計測機器では、PFAS規制に対応する分析装置や臨床検査向けの質量分析システムが伸びています(説明資料p.16、決算短信p.3)。電子顕微鏡を手がけるチェコのTESCAN社の買収も進めていますが、手続き完了前のため業績は2027年3月期予想に織り込んでいません(説明資料p.2)。
いっぽうで、来期の利益計画や外部環境には確認しておきたい点もあります。次の「投資の留意点」で説明します。
投資の留意点
強みのある会社ですが、確認しておきたい点が3つあります。
第一に、2027年3月期の純利益は減益予想で、EPSは190.4円へ減る見込みである点です。2026年3月期の経常利益には為替差益92億円が含まれており(説明資料p.4)、その反動と円高想定(1ドル150円)から、経常利益▲9.4%・純利益▲9.1%の計画です(決算短信)。本業の営業利益は3.1%増益の計画で、予想配当性向も36.8%と基準の50%以下に収まる見込みです。
第二に、中東情勢・中国市場・米国関税など、外部環境の下振れリスクです。2027年3月期の計画には中東情勢の影響(売上▲100億円・営業利益▲40億円)を織り込み済みですが、会社は今後の情勢変化によっては業績予想を見直す可能性があると説明しています(説明資料p.12、決算短信p.7)。2026年3月期は関税影響で営業利益▲45億円が生じたほか、売上の16.4%を占める中国も民間市場の停滞で横ばいでした(説明資料p.5〜6)。
第三に、予想配当利回りが1.64%と、水準は高くない点です。予想PERは約22.5倍(株価4,274円÷予想EPS190.35円・桃モアイ算出)と市場の評価が高いことに加え、配当性向33.0%と還元を利益の範囲に収める設計のためです。配当利回りを重視する方には物足りない水準です。
このほか、2029年3月期からはIFRS(国際会計基準)を任意適用する予定です。適用後は過去の数値との単純な比較がしにくくなる点も、あわせて押さえておきたいところです(決算短信p.9)。
まとめ
島津製作所(7701)は、京都発の分析計測機器の大手で、2026年3月期で12年連続増配となった、8指標すべてをクリアした連続増配株です。強みと留意点を3点ずつにまとめると、次のとおりです。
【強み】
✅ 売上は6期連続で過去最高、過去10年で約1.6倍・EPSも約2.3倍に成長
✅ 自己資本比率76.6%・借入金ゼロ、営業CFは過去10年すべてプラスの堅実財務
✅ 12年連続増配で配当性向33.0%と、増配の余力を残した株主還元
【留意点】
・2027年3月期は為替差益の反動などで純利益は減益予想(EPSは190.4円へ減少見込み)
・中東情勢・中国市場・米国関税など外部環境の下振れリスク
・予想配当利回りは1.64%と低め(予想PER約22.5倍の市場評価)
3月と9月に配当の権利が確定する銘柄です。成長投資の成果と、2027年3月期の70円への増配(13期連続)が実現するかをチェックしていきたい1社です。
連続増配株への投資を始めるには、証券口座が必要です。どの証券会社で始めるか迷っている方は、こちらの記事で楽天証券とSBI証券を比較しています。
※業績・配当・セグメント・リカーリングなどのデータは、島津製作所の2026年3月期決算短信および決算説明会資料(2026年5月・該当ページは本文中に記載)に基づきます。過去10年の各指標はIRBANKと決算短信を突合し、増減率の機械照合で確認しています。EPSは決算短信の基本的1株当たり当期純利益(2026年3月期209円39銭・2027年3月期予想190円35銭)で、予想PERは株価とEPSから桃モアイが算出しました。連続増配年数は配当実績ベースで、2015年3月期を増配1年目として数えています。株価・予想配当利回りはYahoo!ファイナンス(2026年7月27日時点)によります。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

